57 / 89
存命編
ep22 血液の調べ
しおりを挟む「それは牙だよな………? 」
最近よく化け物と遭遇するせいか
彼を見れば見るほど恐怖心が巣くってしまう
だから相手の回答を待つことにすると
「アリシアは成功したようだな、、 」
彼は予想外のことを答える
アリシアの名前を知っていたのも驚いた
急に冷静になったように見えたが
彼は元々こういう性格なのかもしれない
(やはり……ここの関係者なのは間違いない
アリシアの何を知っている…?
そして成功ってなんだよ、、?? )
頭の中で様々な疑問が相次いで浮かんでくる
今すぐにその全てをぶちまけてスッキリしたい
しかしとりあえず俺は
「あんたは
アリシアの知り合いなんだよな??」
そう角度を変えることにすると
「向こうは知らないだろうが
私はよく知っている 」
「成功って………
アリシアを怪物に創り上げることなのか? 」
「その通りだ 」
感情を押し殺してるのかそもそもの声なのか
無機質な声で彼は淡々と答えた
その全てに俺はどうしようもない怒りを感じて
「何がしてえんだよっ……!! 」
怒鳴って両手で胸ぐらを掴んだ
先ほど捕まえた時とは別人のように彼は黙る
ただ目線だけをコチラに向けていた
そして遂に口を開き
「さっきから君ばかりが質問して
私が答え続けている、、 」
「……… だからなんだよ? 」
「今度は君が応える番だろう…?
私がしたように正直にね」
俺はソレを言われて何も言えずに
胸ぐらから手を離すと彼はさらに続けた
「何故この場所を知っている?… 」
そう聞いてきた
彼から微かに威圧的なものを感じ取り
俺は目を逸しながら
「アリシアから教えてもらった 」
「彼女と共に行動しているのか?… 」
「そうだよ 」
まるでロボットと話している気分だ
そんなことを思っていると
「彼女は……このままでは手遅れになる 」
彼は呟くように言った
新手の冗談には聞こえず俺は一瞬耳を疑った
そして今度は俺が
「どういうことだよっ… !? 」
「そのまま死ぬわけではない
しかし 怪物 になってしまう、、 」
「怪物…?怪物だとっ……??
彼女を仕立て上げたお前らだろうがっ…!!
何を今更っ……… 」
耐えきれずに俺が声を荒げるなか
「言葉が適切ではなかった…
理性を失った獣になる……ということだ」
アリシアが暴れている姿を想像してしまった
俺は冷静になるように努めた後に
「……… G-killer の場所を教えてくれ 」
賭けにでた提案を持ちかける
すると彼は一瞬だけ驚きの表情を浮かべた
俺は逆にソレを見て確信を持てた
「俺と取引をしよう
あんたはさっき腹が減ってるって言ったよな? 」
彼は寡黙のまま聞いている
否定こそしていないし肯定もしていないのだ
「あんたには 牙 があった…
もしかしたら俺の血を渡せばいいのか……? 」
食料なら俺のように店などを漁れば
缶詰なら腐るほど手に入ってしまうのだ
まぁ缶詰だから中々腐らないけど
では…何故ソレをしないのか…………
答えは明確で商品として存在していないからだ
さしずめ人の血液や臓器と言った所だろう
完全にダークウェブや闇市の世界なのだ
「察しが良いな、、」
笑みを浮かべ彼はそう答えた
口から鋭い牙が左右に1本ずつハッキリと見えた
彼はそのまま続けて
「取引をしよう…私は争いが嫌いでね
信じてもらう為に私が G-killer の場所を教える
その後に血を分けてくれ 」
逆に彼から提案してきてくれて助かった
全く異論がなかった俺は
「わかった…でも急いで欲しい 」
「重々承知している
しかし何故 G-killer を知っている? 」
「あんたの仲間にあたる人の手帳を拾った
そこから興味を持ったんだ」
「でも今は好奇心だけでは動いていない…
アリシアを助ける為だ 」
そう俺は応えると
彼は納得したのかまた寡黙に戻った
「では…… 着いてきてくれ……… 」
その後俺は彼に先導されて医療室みたいな
大きな手術台がある部屋に戻ってきた
少々不安に思った俺は
「悪いけどさ
俺はここでさっきずっと探してたよ 」
「ならここも探したのか、、? 」
彼がそう言うと同時に施術台へ近寄っていく
俺はその様子を黙って見ていると
バガッ、、!!
彼は右足で手術台を蹴飛ばした
台が大きな音をたてて転がっていくなか
周りとは色が明らかに違う木製の扉が現れる
「例の薬はココにあるんだ
あの台はこれを隠すためのフェイクだ 」
そう彼は言ったあとすぐにその扉を上へ開く
扉が開き奥へと繋がる梯子が見えている
「返ってくるから
少しここで待っていてくれ 」
俺に伝えると彼は下へ降りていった
何もすることなく十数分後に彼は戻ってきた
「長くなって済まなかったな 」
そう言いながら彼は扉を閉じた
そして黙って俺の眼前に注射を差し出した
「取引はちゃんと守る
この薬は怪物の細胞が暴走した時に
打ち込んで抑制を図るものだ」
「わざわざ説明ありがとう
わかってる…俺も守るよ 」
そう言って受け取った後に
俺はポケットからカッターナイフを取り出す
すると彼は俺に背を向けて
何故か見ないようにしてビンを渡した
「見たら理性が保てなくなりそうだ
匂いだけならまだ耐えられるだろうから
今のうちにさっさとビンに血を入れてくれ
量は君に任せる 」
目の前の男性も化物だったことを再認識する
しかし色々と丁寧にしてもらったのだ
多少無理しても相手の要求は答えるのが道理だ
アリシアは俺を助けるために
血だらけになってまで戦ってくれたのだ
なら俺だって………
カッターナイフの持ち手をいじる
キリキリと音を立てて刃が出てきた
それを左手の掌に添えるように当てていく……
ズプリ…ズプリィ、、
少しずつ少しずつ力を入れていく……
何も考えずにカッターの刃を上下に動かし続ける
手から血液がドロドロと流ていく
そして液体が
瓶の壁をつたって少しずつ溜まっていった
(リスカってこんな感じなのかね、、 )
くだらないことを考えながら
ひたすら無言のまま刃を動かし続けた
結構溜まって気分が悪くなってきている
俺はナイフを地面に捨ててビンを覗き込む
生々しい赤色の液体………
これが俺の血…
そんなことを思いながら彼に渡した
彼は目を逸したまま
「礼を言う、、 」
「待てよ…名前ぐらい名乗ってから行ってくれ
次会った時とか不便だよ 」
「……………倫だ 」
それだけ言い残して彼は立ち去っていく
頭がボンヤリし軽く目眩を引き起こしていた
「もっと色々聞いとけば良かったな…
くそ…左手がヒリヒリする、、 」
しかしコレでアリシアを……
ようやくアリシアの暴走を止めれるのだ
得られた達成感は大きかった
フラつきながら俺は彼女の居場所へ向かった
~ ep22完 ~
0
あなたにおすすめの小説
復讐は、冷やして食すのが一番美味い
Yuito_Maru
ファンタジー
3度目の人生を生きるピオニー・レノドン。
1度目の人生は、愛した幼馴染と家族に裏切られ、無垢で無力のまま命を落とした。
2度目は、剣を磨き、王太子の婚約者となるも、1度目より惨めに死んでいった。
3度目は、微笑の裏で傭兵団を率い、冷たく復讐の刃を研ぐ。
狙うは、レノドン伯爵家、そして王家や腐った貴族たち。
「復讐とは、怒りを凍らせて成就する歪んだ喜びだ」――ピオニーは今、その意味を体現する。
-----
外部サイトでも掲載を行っております
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
裏切者には神罰を
夜桜
恋愛
幸せな生活は途端に終わりを告げた。
辺境伯令嬢フィリス・クラインは毒殺、暗殺、撲殺、絞殺、刺殺――あらゆる方法で婚約者の伯爵ハンスから命を狙われた。
けれど、フィリスは全てをある能力で神回避していた。
あまりの殺意に復讐を決め、ハンスを逆に地獄へ送る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる