67 / 89
餼羊編
ep6 血塗られた美少女
しおりを挟むリータ/アリシアside
何か悍しいものが迫ってきている
あの巨大なゾンビは
傷の治癒が間に合わずに倒れたのではない
誰かに殺されたのだ
(私は… あの者を知っている………… ? )
8m近い化物を瞬殺したのだ
それができるのは同じ化物なのだろうか
自分と近い何かを感じるのだ
「アイツ…人だよな? こっちに向かってる…? 」
ガクトさんがその人影に気づいてしまう
30mほど離れているその者を指差していた
「でも……あの状況で人がでてくるのは
おかしくないか、、? 」
場が混乱するなかで
首を傾げながらトウマさんが応える
(今すぐ言うべきだ…
あの人とは関わらずに保険室へ戻ろうと、、 )
横を見るとセイシロウさんが額に右手を当て
苦しみながらしゃがみこんでいる
「何か…嫌な予感がする………」
セイシロウさんが呟いた
経緯はどうであれ私の意見と同じようで
私は少し安堵していると
「あの人と闘ってはダメだ…
今すぐ逃げないと、、 」
そう焦った様子で続けた
しかし少々皆にはソレは軽率的に見えたのか
ミクさんがセイシロウさんのもとへ駆け寄って
「誠ちゃん……?? どうしたの? …
人は出来るだけ助けるのが
方針なんじゃなかったの…?? 」
「それは思ったぜ 」
頷きながらガクトさんもミクさんに同意している
トウマさんは沈黙し特に干渉しなかった
(嫌な状況だ…
もし彼女と戦うことになったら、、)
え…………今私…………………
次の瞬間凄まじい勢いで血の気が引いていく
え………?戦う…………??
何故私は…そうなることを前提に考えているの?
「俺 ちょっとアイツと話して来る
誠士郎をよろしく頼むわ………… !! 」
そう言ってガクトさんが走り出した
色んな感情が渦巻くなかで私は
「待ってください…! ガクトさんっ…!! 」
思わず彼を呼び止めてしまう
数m先で止まった彼は振り返って
「なんだよリータまで…… 大丈夫か??
少し話してくるだけだって
あと… 美九達は誠士郎の様子をみてから
先に戻っていてくれ 」
そう言ったあとに
前へ向き直りあの人へと近づいていった
「誠ちゃん とりあえず戻ろう 」
美九さんの優しく明るい声が響いた
ただ私は不安で不安で仕方がないのだ
~~~~~~~~~~
楽斗side
「おーいアンタ…… どうしたんだ? 」
近寄りながらそう声をかけた時に俺は気づいた
その人はなんと女性だったのだ
長身で175cmはあるようで色白な肌を有している
まるで西洋人形のようだった
黒ドレスの様な服装に艶のある銀色の髪に
やや細くルビーのように輝く両目に加え
顔は整っていて綺麗だと思った
「俺は 楽斗 って言うんだ
あんたの名前は……? 」
「メアリー 」
その一言だけ彼女は答えた
幸い日本語は話せるようで安心していると
「こんな所で 何をしてたんだ?? 」
「殺戮ごっこです ♬ 」
奇妙な薄ら笑いを浮かべながら彼女は答えた
表情とその内容が全く噛み合ってない
「何の話だ… ?? 本気か、、? 」
「ごっこだから
本気じゃないでしょう?♫ 」
彼女は変わらず呑気な口調でそう応える
その包み込んでくるような不気味な笑みに屈さず
俺は質問を続けた
「その ゾンビ は
あんたが殺したのか、、?? 」
「ええ
そうかもしれませんね? ♬ 」
そう答えられた時に気づいたことがある
微かに彼女から生々しい刺激臭がしたことを
(彼女のドレスの色は黒ではない…?
黒に見えるのは………… )
ドレスは浴びた返り血で黒く染まっていたのだ
目の前にいるのは正常な人間ではない
いや、そもそも………
「あんた… 人なのか、、?? 」
そう聞きながら右手を刀に添える
全身が震えていた
「 さぁ… どうでしょう……?♫ 」
彼女が狂気の笑みを浮かべた瞬間に
視界から彼女の姿が消えて
ドガァッ…………!!
急に俺の目の前に現れた直後に
胸部に重い衝撃が走り身体が仰け反った
「げがッッ……………!?!? 」
( 俺は…蹴られたのかっ………!? )
体勢を立て直そうと踏ん張った時には
既に彼女の両手が俺の首に静かに添えられていた
人間の域を超えた所業にただ息を呑んでしまう
「私は人ではないかも……? ♫」
余裕のある表情を浮かべながら少女はそう応える
俺を殺そうと思えばいつでも殺せるだろうに
敢えてソレをせずに遊んでいることに気づいた
しかしその気まぐれで生きながらえているのも事実で
一種のジレンマと不快感に陥るなか
「なら……なんだよッッ………!! 」
果物ナイフでも刃が届く範囲に彼女はいる
さらに装備しているのはリーチのある刀なのだ
俺は奴の首を狙って刀を引き抜いて一閃する
シュバァッ…………!!
地面と水平に刀を振るが当たらない
相手の動きが速すぎて捉えられないのだ
( はっ………………!? )
気づけば俺の背後にいる彼女は
ゆっくり口を開き
「私は 傀儡者 と呼ばれる者です♫ 」
ただ声のする方を便りに後ろへ振り向くが
彼女は緩やかな口調で答えると共に
また視界から消える様な移動をしていた
ドガァッ…………!!
「ぐぁあ"っ………! 」
気づけば再度背後に回られて腰を蹴られていた
少女は押し飛ばされる俺にすかさず距離をつめて
「そんなもんですか………?
ほらっ…… ほらっ……ほらっ………
ほらっ……ほらっ…………!! 」
彼女は左手で俺の胸ぐらを捕んで固定し
嗤いながら右手でパンチを何発も繰り出し続けた
トギャッ………!! ゴギャッ……!!
ボキッ………!! バキィッ……!!
最初に喰らった鎖骨が砕けるのを始めとして
上半身の様々な箇所が潰されていく
視界にボンヤリと映るのは少女の微笑……
もう何かがなんだかわからなかった
痛"い"痛"い"痛"い痛"い痛"い痛"いっ………!!
痛"い痛"い痛"い痛"い痛"い痛"い痛"い痛"い痛"い痛"いぃ
痛"い痛"uい痛"い痛"い痛"い痛"い痛"aい痛"い痛"い〆い
痛"い痛"い痛j'い痛"い痛"い痛"い痛"い痛"い痛"い痛"い
痛"いpjw痛"い4o8fcs9sil6k8oicfryfotwgc………………
ズドギャアッッ……!!
最後に蹴飛ばされて身体を地面に打ち付けた
もう何が何だかわからない
「 だれか………たす……………… 」
そう言いかけたその時
彼女の背後に何者かが現れたのだ
ズドアッ…………!!
その背後からの振りおろしは躱されてしまう
鈍器が地面に打ち付けられた重い音が聞こえた
(誰、、なんだ……… ? )
激痛と目眩と吐き気に襲われるなか
必死に目を開こうとするが感覚がないのだ
「やっと来ましたか
あなたのお仲間が死ぬところでしたよ?
次は…少し楽しめそうですね ♬ 」
「楽斗、遅れてごめん… 」
挑発気味に嗤い余裕をみせる奴の声と
誠士郎の優しい声が聞こえた
そして………
「おい…… 殺"してやるッ…………!! 」
すぐさま豹変した彼の声が耳に響いた
仲間の俺でさえ戦慄が走る怒りの現れだった
~ ep6完 ~
0
あなたにおすすめの小説
復讐は、冷やして食すのが一番美味い
Yuito_Maru
ファンタジー
3度目の人生を生きるピオニー・レノドン。
1度目の人生は、愛した幼馴染と家族に裏切られ、無垢で無力のまま命を落とした。
2度目は、剣を磨き、王太子の婚約者となるも、1度目より惨めに死んでいった。
3度目は、微笑の裏で傭兵団を率い、冷たく復讐の刃を研ぐ。
狙うは、レノドン伯爵家、そして王家や腐った貴族たち。
「復讐とは、怒りを凍らせて成就する歪んだ喜びだ」――ピオニーは今、その意味を体現する。
-----
外部サイトでも掲載を行っております
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
裏切者には神罰を
夜桜
恋愛
幸せな生活は途端に終わりを告げた。
辺境伯令嬢フィリス・クラインは毒殺、暗殺、撲殺、絞殺、刺殺――あらゆる方法で婚約者の伯爵ハンスから命を狙われた。
けれど、フィリスは全てをある能力で神回避していた。
あまりの殺意に復讐を決め、ハンスを逆に地獄へ送る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
