アレハタレドキ [彼は誰時]

えだまめ

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餼羊編

ep8 傀儡の力

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黒ドレスを着飾る少女は続ける
細く色白な手を後ろにまわしみつ編みを解きながら



「その構えの原理は単純で
人間の反応時間を利用しただけですねぇ…」
 


そう淡々と述べる
冷めたのか言葉の抑揚が消え溜め息をついていた


(早くも見破られてしまったのか……… )


呼吸が乱れるのを無理矢理抑えながら
彼女の話を聞くことにした


反応時間とは
感覚刺激の提示から
行動による反応が生じるまでの時間 である

例えば 
ボールがこっちに飛んできたとしよう

 ① まず ボールの接近を目で認識して
脳にボールの接近を伝える

② そして脳が身体に 避けろ だの 取れ
だの 指令 を出す

③ その後 やっと身体は動くのである

これらの全ての動きに
掛かった時間を 反応時間 と呼ぶのだ


「と言う風に
人間の反応時間の平均は0.2~0.7秒
つまりあなたは………… 」

「その1秒にも満たない時間を
距離を取ることで稼ぎ徹底した待ちの構えに
専念していたのでしょう、、? 」


自分はただ黙って刀を構え直す
薄ら笑いを浮かべた彼女が



「貴方………根性なしですか?♫」



そう言った途端に彼女は姿を消した


(……………来る、、!! 
彼女の動きを捉えることは不可能………
でもイミングさえ合わせればっ………!!  )


大抵彼女は蹴りから戦闘を始めるのだ
だからその蹴りのタイミングさえ
予測すれば…………



ズドッ、、!!



「がはっ、、 !?!? 」


気づいたら彼女が目の前に現れていた
彼女の掌が鳩尾に打ち込まれており鋭い衝撃が走る
呼吸が充分に出来ずに苦しい
思わず前かがみに態勢を崩してしまうなか



バギッ… ビキビキッ、、!!



荒々しい破裂音が響いてくる

彼女の右脚は輝いた骨のようなものに覆われて
ソレが何重も折り重なっていた


「なっ……それは、、? 」


目の前で起こる未知に困惑する自分は
掠れた声でそう彼女に聞くと



「傀儡の 力 ですよ 」



そう彼女は答える
そしてその右脚をゆっくりと振り上げて
地面を潰すように思いっきり振り下ろした



ドギャアッ、、!!



後頭部に鈍痛と重い衝撃が伝わる 
自分の身体は耐えられずにうつ伏せで倒れた
気づくと俺の目線は彼女から地面へと移っている 
血液で赤く染まった地面が視界に映っていた  


(踵落とし かよ……………)


思いっきり頭を地面に打ち付けた 
意識が飛んでしまう


「このままじゃっ………………  」


文字通り歯がたたないまま
それを最後に自分はは暗闇に堕ちていった



~~~~~~~~~~~

メアリーside


「期待はずれでした………… 」


懐かしい気配を感じたから
追い求めて来てここへと辿り着いたのに
アテが外れ少しがっかりしていた


「これならまだあの巨大な怪物と
遊んでたほうが楽しかったようですねぇ♫」


結局、
あの気配は誰のものだったのかは不明だった
足元に転がる肉の塊を眺めながら


「人間は、、
なんて脆い生物なのでしょう…? ♬ 」


足元に転がっている2人に視線を移す
このボロボロで汚い虫ケラ達は殺さない



そのうち成長して
私を楽しませる存在になるかもしれない……



期待はせずに待っていたい
本気で殺しにきた者をへし折る時が一番楽しく
虫ケラ共の生命の尊さを感じる瞬間なのだ


「さて……そろそろ行きますか♬ 」


私はもう一度辺りを見回し
そうして歩いて立ち去ろうとした時に



「 待って……… メアリー 」



誰かが私の名前を呼んだ
この声は私が物心つく前から聞いていた声だった
振り返るとそこには…………



「アリシア   」



金髪でオッドアイの少女が立っていた
自分より1歳年下である彼女は再び口を開く


「違う…… 私はリータ………
この2人に危害を加えたなら、、 」


彼女は何か意味深な事を述べる
明らかに声は震え身体に力が籠っていた 
そして瞳には闘志が宿って燃え盛っている
煉獄のように熱く苛烈な敵意と共に…………………



ビキィ、、 ビギビギビキッ… !!



破裂音に近いものが鳴り響くなか彼女は目を瞑る
彼女の右脚を包むように銀色の鎧が生成されていく
そうて閉じた目を存分に見開き


「私は 貴女 を全力で潰すっ…………!! 」


私に向かってそう言い放った瞬間に
彼女は右足で強く地面を踏み切り跳んだ



ドギャアッ…………!!



…………?
彼女が右足で踏み込むまでは目で追えていた
地面のコンクリートが抉られる音も聞き取っていた
それほど私は彼女を注視していたというのに



ズドギャアッッ………!!



「がっっは……!?  」


彼女との距離は少なくとも7~8mあったはずだが
一瞬で詰められて私は左手で殴られていた 
そのまま私の身体は後ろに仰け反ってしまう
しかし抱いたのは危機感ではなく 高揚感 だった


( 私が待ち望んでいたのはっ…… ♬ )


私は心から喜んでいた
目の前で怒り狂う彼女に目線を移し叫ぶ



「女帝アリシアッ………!!
私も全力で答えましょうッッ…!!! 」



~ ep8完 ~

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