アレハタレドキ [彼は誰時]

えだまめ

文字の大きさ
81 / 89
餼羊編

ep20 あなたと2人

しおりを挟む

リータ/アリシアside


セイシロウさんが弾に負けてしまった
その一部始終を側で見ていた私は


「セイシロウさん………??」


地面に身体を打ち付けた際に彼は気絶したのだろうか 
電池が切れた玩具のように動く気配が全くない
渦巻いていた怒りより消失感が上回った瞬間だった


「リータ逃"げッ………ぐぁあッッ……!!」


倒れているガクトさんが吐血しながら私に促すが
その意図を見抜いた弾に蹴り飛ばされた


「オイ……………… 」


奴が私に声をかける
憎悪が籠もったその威圧的な声は私を萎縮させた
セイシロウさんが駆けつける前までとは違って
既に私は奴のことを恐怖していた、身体が震えている


「ソノ者ニ 2日間待ツト 伝エロ 
2日間待ッタ後ニ コイツヲ殺ストナ…………」


そう続けながら奴は担いでいるミクさんに目線を移し
狂気と横暴さに満ちた気味の悪い声で


「コイツハ 生贄ノ羊 ダ 」


「………………………」


「今貴様ガ 抵抗シタラ コノ場ノ全員 ヲ殺ス…
ダカラ貴様ハ 黙ッテ従エ………」


まずはコイツから殺してやると言わんばかりに
太く大きな手でミクさんの首を締める素振りを見せる
脅迫を突きつけられた私は目を閉じて考える


(傀銀を生成して奴に抗ってみたところで
ミクさんが殺されたら…………  )


運良くミクさんを救えたとして
側で倒れているガクトさん達が殺されてしまったら
が生き残る道は断たれてしまう


(現時点ではかろうじて皆は生きている…
無理だ…今私の選択で誰を犠牲にするかなんて…
選べないよ……… )


今奴と戦ったら確実に誰かを失ってしまう
最悪の場合は全員を失う


(……………………… )


ミクさんの奪還を優先し
セイシロウさん達を見殺しにするのか 


(………………………)


奴の脅迫を受け入れる事でセイシロウさん達を守り
ミクさんを見捨ててしまうのか


「………………私はッ」 


精神的に耐えられなくなったのだろう
身体から力が抜けていくなか視界が暗闇に染まった


~~~~~~~~~



「弱いわ…リータ 」



電気を消した真っ暗な部屋に私は立ち尽くしていると
私を待っていたかのように彼女は言葉を発した
ソレは私と同じ声のはずなのに似ても似つかない
冷淡で無慈悲な口調は容赦なく私の心に突き刺さる


「ア……リシアさん…? 」


「メアリーと戦った数週間前から 
私の精神は私とあなたで分割されているわ
身体の主導権は貴女が握ってるみたいね 」


「リータである私は… 居なくなるのですか? 」


「わからない………でも 」


アリシアさんと話していると希望が見える気がした
絶望的な展開を前に屈服してしまった私は 
圧倒的な力を有す彼女に縋りたかったのだろうか 
アリシアさんは一旦間を空けて  


「貧弱な貴女と違って私は強い………
奴を殺し必ずミクさんを助けることができるわ
貴女が弱さは見てて不快」


「……………なぜアリシアさんは 
ミクさんを知っているのですか?……」


「精神は分割されていても 
元々は私の身体だから記憶は共有されている………
そんな所かしら」


「アリシアさんがそう仰るのは………
弾からカミダさんを救えなかったからですか?」


「…………………そうね」


言葉のみを見ると何の変哲もない短い言葉だが
彼女のその返答には確かな怒りが燃え盛っている
これ以上は触れてくるなと警鐘を鳴らすように
アリシアさんは線引きをした印象を受ける


「アリシアさん……… 」


最初から答えは1つしか残されていなかったのだ
そう悟った私は暗闇へ向かって静かに呟く
そして彼女の反応を待たないまま



「1つお願いしてもいいですか?………」



私は彼女にそう伝えた
私に弾という存在が横暴に見えていたように
彼女からすると私がそう映っていたのかもしれない


(身体の主導権は握っている癖に
面倒事と対峙した時だけその主導権を返してくる…
確かに私がやっていることは横暴でしかない )


しかしここで引き退がるわけにはいかない
アリシアさんは強さを持って己の存在理由を示した
張り合うために私が示すのは"意地"だろうか


~ ep20完 ~


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

復讐は、冷やして食すのが一番美味い

Yuito_Maru
ファンタジー
3度目の人生を生きるピオニー・レノドン。 1度目の人生は、愛した幼馴染と家族に裏切られ、無垢で無力のまま命を落とした。 2度目は、剣を磨き、王太子の婚約者となるも、1度目より惨めに死んでいった。 3度目は、微笑の裏で傭兵団を率い、冷たく復讐の刃を研ぐ。 狙うは、レノドン伯爵家、そして王家や腐った貴族たち。 「復讐とは、怒りを凍らせて成就する歪んだ喜びだ」――ピオニーは今、その意味を体現する。 ----- 外部サイトでも掲載を行っております

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

裏切者には神罰を

夜桜
恋愛
 幸せな生活は途端に終わりを告げた。  辺境伯令嬢フィリス・クラインは毒殺、暗殺、撲殺、絞殺、刺殺――あらゆる方法で婚約者の伯爵ハンスから命を狙われた。  けれど、フィリスは全てをある能力で神回避していた。  あまりの殺意に復讐を決め、ハンスを逆に地獄へ送る。

処理中です...