アレハタレドキ [彼は誰時]

えだまめ

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餼羊編

ep27 白銀の女帝

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誠士郎side


側で何かが破裂したかのような激しい衝撃音が響く 
怪物となり突進してきた弾に恐怖してしまい 
入口の前で自分は腰を抜かし目を瞑ってしまった 


(しかし………痛みや衝撃は感じない………けど )


え、と声をあげ困惑する楽斗につられて
自分はゆっくりと目を見開いて前方を確認すると



何者かが自分たちを迫る弾から庇ってくれていた



金髪でロングの髪型から女性だと推測できる
2m近くある弾の突撃を受け止め
曲げた両腕を押し当てて弾の行動を抑制している


( まるで……生きる西洋人形のみたい…………
……身長は自分と同じ170cmないぐらいかな…? )


その後ろ姿からでもわかるほど華奢な身体つきだった
長くて凛々しい金髪が入口から吹く風で靡いている 
色白な彼女が纏う神秘的な雰囲気に魅入ってしまい



「 綺麗………… 」



場違いにも自分は思わずそう呟いた
そのようななか楽斗の声掛けが状況を思い出させる


「おい誠ッ…! 今のうちに逃げるぞッ……!!」


主任務は美九を奪還することである
既に東真が彼女の拘束を解き共に逃げている現状で
奴を足止めする必要はないと言える


「……わかった……… 」


彼女の正体が気になりながらも
すぐ後ろの入口から飛び出し自分達は教会を後にした


~~~~~~~~~

リータ/アリシアside



弾の胸部に当てていた両腕に力を込めて
奴を後ろへと押し飛ばす



セイシロウさん達が脱出したことを確認し
弾と組み合うなかで私は安堵した


(どうにか間に合ってよかった………… )


上半身へ集中的に傀銀を生成したことが功を成し
奴の突進もどうにか受け止めることができたようだ



「随分と怪物らしくなりましたね……… 」



目の前で息を荒げている弾は
私の知っている奴の姿とは大きく変化している
両腕が巨大化し黒色の皮膚は鎧のように硬く厚い



「グガッ………グガガァア"ア"ッ"………!! 」



荒々しい雄叫びが礼拝堂内を何度も反響する
飢えた獣のように咆哮する奴に気圧されてしまう
どう考えても苦戦は確実だった


( しかし…ソレは戦うのがリータだった場合の話……
…………私のすることは決まっている)


私は眼を閉じて息を吸う
貴女の身体を復讐相手まで導いてあげたのだ
お膳立てとしては十分なはず



「私の意思に呼応してください…
アリシアさんッ……!! 」



~~~~~~~~~~

アリシアside


眼を開けるとそこには怪物の姿があった
肩を上下に揺らし荒々しく呼吸をする奴へと歩み寄り


「ねぇ…………少しうるさい… 」


私は導かれるように奴の頭に右手を添えて



ドメシャッ……!!



思いっきり地面へと叩きつけた


「ゥガァ"ア"ッッ……!! 」


その衝撃で鼻が完全に潰れたのが確認できる
奴の顔面から緑色の液体が噴き出るなか 


「逃げて、吠えて、また逃げる……… 
それしかできないの?…  」


自然と声に怒りが籠もっていくのを感じた
地面に叩きつけられた反動で仰け反る奴へ接近し 
跨ぐように左脚で大きく踏み込んで



バギャアッ……!!

 

ガラ空きだった首元へ右脚の蹴りを入れた
大きくグラついている奴へと距離を詰め
さらに追い討ちをかけるように両眼に指を突き刺す 



ズブォッ………!!



生々しい音と感触を味わいながら目を抉り続ける
泥沼に指を突っ込んでいるかのようだった


「ゲガッ……グガッアッ………!! 」


奴は藻掻き苦しみながら左腕を雑に振り回した
私は目から指を抜き半歩下がってソレを躱す


「無様ね………」


追撃しようと前進するなか
奴は設置されていた十字架を引き抜いて薙ぎ払った



ドゴァアッ………!!



私の膝辺りを狙ったその軌道を警戒し
後方へ跳んで回避するが既に弾の姿はそこに無く


「ッ…………!? 」


後ろへ跳んだ私の動きを先回りするかのように
組んだ両手を挙げて奴が待ち伏せをしていたのだ


( 行動を読まれていた……… ? )


そう思った時には既に遅く
未だ滞空する私に奴は荒々しく両腕を振り下ろす



バギャアッ………!!



その重い一撃を両腕で防御するが
その衝撃と重力が合わさった凄まじい勢いは殺せずに 
物凄い速度で地面へと身体を打ち付けてしまう 


「ぐッ………… 」


痛みを堪えつつそのまま起き上がろうとした際に
奴が何かを拾ってコチラへ投げたのを目にする
どうやら先程の十字架のようだった



ドギャアッ……… !!



間髪入れずに左へと転がり
物凄い速度で飛んでくる十字架を躱しつつ身構える
奴が投げた十字架によって破壊された座席を横目に
戦況が傾きつつあることを私は悟った


(流れを掴まれた………? )



「グア"ァアア"ッ………… !! 」



雄叫びを上げながら奴は突撃してきている
まるで飢えた獣のように唾液を撒き散らしながら……


「だけどようやく…楽しめそうね………… 」


私の方へ特攻する奴を見据えながらそう呟き



ビキィ……ビギビギビギィ……………!!



全身から力を抜いて棒立ちのまま
右足の踵に 傀銀 を生成し奴の動きを注視する


(捨て身で体当たりすると思ってたけど…… 
ソレはブラフだった?……)


一見、全速力で突撃してきているようだが
奴が 右腕 を引いていることに気づいたのである 
助走の勢いを乗せた 右ストレート を放つつもりらしい 



「ゥ"ガガァ"ア"ア"ッッ………!! 」



目の前まで迫ってきた奴は吠えるとともに
予想通り 右ストレート を繰り出した


( 露骨、過ぎるのよ…………)



私はその右腕の 手首辺り を両手で側面から素早く掴む



すぐさま奴に背中を向けるように身体を 半回転 させ
右ストレートの 勢い を殺さないうちに
奴の懐に素早く潜り込み…………



トン、、



密着した状態のなか右足を後ろに蹴り上げ奴を崩し
奴の身体を浮かせつつ上半身に力を込めて叫んだ


「堕ちろッッ………!! 」



ズッ…………ドシィンッッ………!!



奴の巨体を軽々としかし荒々しく数m先へ投げつけた
この国では 背負い投げ と呼ばれている技である
相手の勢いを殺さずに決めた分、威力も増していた


( これで 終わり …………… )


重い衝撃で痙攣する身体で藻掻いている 奴 へと迫り
左脚を軸に右脚を大きく振り上げつつ


「 私は貴方の命を奪う者よ…諦めなさい 」



ズブジャアッッ…………!!



全力で右脚を振り下ろし傀銀を巻きつけた 踵 で 
奴の顔面を思いっきり潰した
石でできた礼拝堂の床に亀裂が入り破片が飛び散る


(精々カミダさんに…向こうで謝罪して……………)


それ以上も以下も…述べるつもりはない
大雨に晒されるように吹き出る奴の体液を浴びながら
頭が消し飛んだ死骸を横目に私は溜息をついた


~ ep27完 ~

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