異世界:世界樹の根本で生活始めます。

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これ売れますか?

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門番に挨拶をして、中に入ると
こじんまりとした温かい街並みが広がっていた。
門番は何もないといったが、それなりに人通りのある石畳のメインストリート両脇に構える民家や商店の数々。
店の二階のベランダに見える洗濯物などが、それはそれで少しの生活感を感じさせほっこりとする。
稜にとっては十分すぎる街だ。

「まずは、資金だな。で、服を数着買って。食材とか買い込んで、あ身分証も作れるところ聞かなきゃなぁ」

でかい独り言をつぶやきつつ、肉を売ってそうなところを探す。
骨董屋らしき店を見かけて思わず入りたくなったが、一歩踏み出してやめた。
ここで入ったら、買えなかったり本がなかったりしたときの落胆が後々に響きそうである。
散歩気分でぶらぶらと歩いていると、ようやく肉屋らしき店を発見できた。
ただ、肉はどうやって売るのものだろうか・・・・
少し躊躇いつつも、店屋の奥さんに恐る恐る近寄っていく。

「いらっしゃい。お嬢さん見かけない顔ねぇ。何にする?」
「あの、お肉って買い取ってもらえたりもできますか?」

売る気満々の奥さんには申し訳ないが、今はこちらが売りに来たので。そもそも買う金も持ち合わせてはいない。
年若い、戦闘力皆無そうな女性が肉を売りたいなどと言い出したものだから、奥さんも目を丸くしている。

「売るって・・・・・・そりゃ買取もしてるけど。あんたが売るのかい?」
「ええ、森で数匹仕留めたので。どこで出したらいいですか?」
「出すって、あんたそれマジックバックかい!?」
「そのようなものですね。」

更に驚いた顔をした奥さんは、稜の手をグイっと引き、ずんずんと店の奥に引きずり込んだ。
料理場らしきところで、稜に向き直り真剣な顔で忠告を始める。
奥さん曰く、
・マジックバックは高級品のため広まれば賊に狙われる
・綾の外見は弱いようにしか見えないからカモになる
・この平和な街にも少なからずそういう輩はいる
「あんた、よく今まで無事でいたもんだねぇ」
最後にそう締めくくって感心されてしまった。
この世界で生きてまだ3日目ですとは言えない・・・・

「あまり、人と関わって来なかったもので。そうそう気づかれることもなかったんじゃないでしょうか。」
「そんなもんかねぇ」
「そんなもんですよ。それで、お肉のほうは・・・・」
「ああ、ここでいいよ出しといてくれるかい?旦那を呼んでくるよ」
「はい、わかりました。」

2階へ去っていく奥さんを横目に、誰もいないことをいいことに異空間からパッと数匹の肉を出す。
台の上に並べて準備完了。待つだけの状態である。
傍の椅子に腰かけて待っていると、ドスドスと音をたてながらこれぞ肉屋という感じの大柄な男性が下りてきた。
(熊かな・・・・)

「おう、待たせたな。嬢ちゃんかい?肉売りに来たってやつは。言っとくが、状態の悪い奴は買えねーからな。」
じろり。そう形用するのが正しいような鋭い眼光で上から見下ろされると、このまま失礼しましたと言って帰りたくなってくる。
が、しかし売るものが肉しかないのでここでお金が手に入れられないとひっっじょーうに困る。困るので、
「大丈夫です。血抜きはちゃんとしましたし、今朝獲ったばかりなので新鮮さには自信があります。」
「ほう。」

とりあえず、会社の上役だと思うことにした。
男性は台の上の獣類を一瞥すると目を見開いた。
「おい、これは本当に嬢ちゃんが一人で獲ってきたんだよな?」
「は、はい。そうですが」
「む。。」
台の上に並んでいる肉類は普通の猪、鹿、ネズミウサギが4匹程度だ。そんなに驚くものではないはずだが。

「なあ、普通の猪があるのだが」
「そうですね。行きがけ見かけたので獲ってみました」
「獲ってみましたって・・・・猪鳥はよく見かける奴らだが、普通の猪なんざそうそう出会わないぞ?」
「・・・・・・・」
それはそれは、そんなこと知らんという気分だが。
(というか、鑑定したときそんなレア度書いてなかったし。普通にいるもんだと思ってたよ。
羽が生えてるほうがレアなのかと・・・・)

「・・・・まあ、いないわけじゃないしな。そんなに強くもないし。多少魔法が使えて見つけられさえすれば獲れないわけではないか」
「私、運がよかったんですねきっと」
「そういうこったな。状態もいいし買い取ろう。5GKでどうだ?」
「・・・・・・」
「どうした?不満か?」
黙り込んだ私に不満があると思ったのか持ち前の鋭い眼光でこちらを見てくる。
絶対この人接客業する気ないな。この店がやっていける要因はたぶん奥さんだろうな。
問題はそこではなく、お金が適正かの知識が私にないことである。
まあ、正直に言って騙されたりする可能性もないわけじゃないし。騙されたら授業料ってことで
価値は、もらったらお金を鑑定したらわかるだろうし。
「いえ、その価格でおねがいします。」

始終強面の旦那さんから料金を受け取って表に出ると、奥さんが一言。
「騙されなさんなよ。これからもまたお肉獲れたらおいで」
満面の笑みで忠告と、温かい声をかけてくれた。

~~~~~~~~~~~~~

念願のお金を手に入れた!
見た目金貨5枚もらった感じなんだけど
さっそく鑑定してみる
【1GK:一枚日本円にして1万円。千円になるとMG100円でGの単位になる。】
鑑定で日本円という単語が出てくる時点で何かが間違っていると思うのだが・・・・
絶対私以外に必要がないと思われる。
そして、10円と1円単位はいったいどこへ・・・・
とりあえず、5万円持っているということか。
家具その他はつくれるしそろったから、服とか調味料とこの世界の本とかが欲しいかな。
物価はどのくらいなんだろう。お肉はレアものが混ざってたみたいだから相場は不明だし。
(んーとりあえず、薬草のほうも売りに行ってみるか。)

採取した薬草は効能とか鑑定しても使用用途はわかるが使い方が私には不明だったため、売って正しく使ってもらおうと思ったのだ。
採って来た薬草は全部で3種類どれも治癒用と書いてっあった。
・月光草
・ジンフィスの花
・カルエア

薬品店は何処かとキョロキョロしていると、門のところで会った門番が声をかけてきた。
「よお、お嬢さん。買い物とかは順調か?」
「あ、先ほどはどうも。えーと、門番さん」
「おいおい、確かに俺の職業は門番だが名前があってな・・・って名乗ってないか」
門番は苦笑しながら自己紹介を始めた。
「俺はジン。ジン・イエール。ジンでいいぜ悪かったな自己紹介が遅れて」
「いえ、私は向井 綾・・・・アヤ・ムカイといいます。よろしくお願いします。」
「よろしくな。で?買い物とかは終わったのか」
門で見送ってくれた時と同じような満面の笑みで再び問いかけてきた。
「それが、とりあえずお金と身分証を手にいれようと思い持ってきた肉類は売ったのですが、薬草を売るところと身分証を出してもらうところがまだ見つかってなくて」
(というか、探せていなくて・・・・)
「なんだ、俺今日この後仕事ないんだ。よかったら案内しようか?ほら、知り合い拾ってきてもらったし」

知り合いを拾ってくるという表現もどうかと思うが、まあ案内をしてくれるというのであればこちらとしても大助かりだ。
何せ、メインの通りにいるようだとは言え薬屋とかは路地裏にひっそりとしているイメージなのだ。
さすがに地元民に案内してもらわないとわからないかもしれない。
知らない男の人とは言えお礼だし・・・・・・たぶんきっと害はないと思う、そう信じよう。

「じゃあ、お願いできますか?」
「おう、任せろ。まずは薬草売るんだったよな?じゃあ、ラダ婆さんのところに行こう。」
「ラダさん?薬屋さんとか薬草専門店とかではなく?」
「この町は大体薬の元もしくは薬はラダ婆さんのところに買いに行くんだ。医者も診断はしても薬はそこから買うからな
いろいろな薬草の煎じ方とか飲み方とか飲み合わせとかいろいろ知ってる人だ。」
(日本でいう薬剤薬局みたいなものかな。お医者さんは処方箋だけ出してって感じか。)
「なるほど。では、ラダさんのところに向かいましょう。」

~~~~数分後~~~~~~

「この子はうちで売るって言ってるんだよ」
「いーや、うちで扱ったほうが有効活用できるよ」
「うちだ!」「いや、うちだね」
「「お嬢さん、どっちで売る!?」」
(どっちでもいいです)

苦笑いしながら、目の前の問答を眺める。
後ろで案内人も目を丸くしている。
ただお金を手に入れたくて売りに来たのに。どーしてこうなった。
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