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薬草。
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薬草を売るにあたってジンを頼ったのは正解だった。
何せ大通りにないどころか裏道をさらに奥に入ったところにラダさんの店はあったのだ。
右曲がって左曲がって左曲がって・・・・・・・曲がりすぎだろって感じ。
木造だけど壊れそうな感じはなく、むしろ丈夫そう。
外には薬草類が干してあり、さながらおとぎ話に出てくるような魔女の家という雰囲気だ。
薬草を売るにあたってジンを頼ったのは正解だった。
何せ大通りにないどころか裏道をさらに奥に入ったところにラダさんの店はあった。
右曲がって左曲がって左曲がって・・・・・・・曲がりすぎだろって感じ。
木造だけど壊れそうな感じはなく、むしろ丈夫そう。
外には薬草類が干してあり、さながらおとぎ話に出てくるような魔女の家という雰囲気だ。
「ラダ婆さん来たよ」
「なんだいジン呼んじゃいないよ」
「お客さんだよ。薬草売りたいんだってさ」
「・・・ちょいと待っとくれこっちが先だ」
中には先客がいた。
旅人なのだろうか、淡い茶色のマントを羽織り、足元には大きめのカバンが無造作に置いてある。
ラダさんと何かを話しているところだったらしい。
私たちは、ドア付近においてあるいすに腰掛けて待つことにした。
ふと何気なく案内をしてくれているジンに目を向ける。
(金色の目に緑色の髪やっぱり違う世界の人よねぇ
よく見れば整った顔しているし。そういえば町の人たちもカラフルで見目のいいひとが多かった気がする。
この町の特徴かな。それとも世界?隣に並ぶの気後れしそう)
ジーっとイケメン鑑賞しながら思考していると、ジンが視線に耐えられなくなったのか目線をこちらに向けられた。
心なしか顔が赤い。
「・・・・あんまり見つめられると恥ずかしいんだけど。何かついてる?」
「あ、すみません。この辺の人皆さんなかなかきれいな人が多かったものでつい観察してしまいました・・・」
あ、さらに顔が赤くなった。
「・・・・・・・・アヤ。誰にでもいっちゃだめだよ?そーいうこと。勘違いしちゃうから」
「すみません。単純にそう思ってしまったもので」
「だから・・・・・・もう。」
とうとう、視線をそらされてしまった。きれいだなと思ってみていただけなのだが、恥ずかしいの限度を迎えたようだ。
おとなしく店内を見ていよう。
そう広くはない店内は両方の壁際に棚がずらりと並び、箱や瓶などが所狭しと並んでいる。
文字は自動翻訳が働いているのか一瞬で読めない文字から読める文字に変わった。
ただ、薬草に詳しくはないため読めても鑑定なしだと意味不明状態ではある。
店内真ん中付近には天井から花や草が吊るされている。干して乾燥中なのだろうか。
ラダさんはどうやら旅人と薬草の取引をしているみたいで、値段の話をひたすらしている。
「これだと5MGだね」
「せめて7MGで買ってくれないか?割と苦労したんだぜ手にいれるの」
「状態が悪いんだよ。ほら、花弁の先が赤くなってきてる」
んーすごいなぁラダさん。すぐ見抜けるなんて。
5千円と7千円で競り合ってる。旅人さん粘るな。そんなに遠かったのか、どこから収穫してきたのだろう。
あ、ラダさん勝ったみたいだ。いくらで買取したのだろう。
「ほら、ジン終わったよ。要件は?」
「え、ほんとに終わったの?そのお客さんは?」
「ああ、いいんだよ。ごねてるだけだから」
「ラダ婆さん、手厳しんだもん。これだけ持ってきたんだぜ?何かさおまけをくれてもいいじゃないか」
なるほど、たぶんラダさんの言い値で買取させたからおまけとして何かくれてもいいんじゃないかと残ってるわけか。
粘るなぁほんとに。
「なるほどね。じゃあ婆さんに客だよ。アヤっていうんだ
今日この町に来たらしくてさ、薬草売るとこ探してたんだってさ」
「初めまして。アヤ・ムカイといいます。よろしくお願いします」
「ラダ・フェナールだよ。」
紹介していただき、ぺこりとお辞儀をする。きっと通じるだろう。
まさか挨拶の礼が違うとは言うまい。
「ねえ君、どんな薬草持ってきたんだい?」
本題をラダさんに話す前に旅人さんが話しかけてきた
「あんたまだいたのかい。まあ、そうだねとりあえず見せてごらん」
・月光草×10
・ジンフィスの花×10
・カルエア×10
とりあえず、採取した薬草をすべて出してみる。
今の私が持っていても使えないものだし。
出した瞬間旅人とラダさんが目を見開いて固まった。
え、私なんかまずいもの持ってきた?
思わずジンを見上げる。
「え?何?」
「いえ、ラダさんと旅人さん固まっちゃったので。私何かまずいことしたかなと」
「ん~特にまずいことはなかったけど?婆さん?なんかまずかったの?」
ジンは特に問題は感じていなかったらしい。平然とラダさんの顔の前で手を振っている。
ラダさんが硬直から元に戻る。
「ジン。邪魔だよ。お嬢さん、アヤといったかい?どこで取ってきたんだい?」
「どこでって・・・・」
「月光草やカルエアなんかはね、この辺じゃ獲れないんだよ。傷薬とか万能薬草なんて呼ばれているものでね。
割ととれる代替品で最高の薬草としてあんたの持ってきたジンフィズの花が市場に出回っているんだ。」
「ま、それもそう数はないんだけどね」
ラダさんの言葉を補足するように旅人さんが発言する。
はー、そんなに希少な薬草だったのか。まあ、とった時点で鑑定すればよかったんだけどね。
・・・・・・・忘れてたっ(笑)
「で?どこで取ってきたんだい?」
「私にも教えておくれ」
・・・・・・・採取しに行くんですね。はい。
でもね、旅人さんは大丈夫かもしれませんがラダさんはたぶん危険だと思いますが。
ま、場所は言っても問題はないかな?
自分の取ってきた薬草を眺めながら考え目線を上げると
旅人さんと至近距離で目が合った。どうやら考えている間に接近してきていたらしい。
ホント、無駄に顔がいいから困るよね。
思わず後ずさる・・・
「お客人?顔が近いよ」
「ああ、すまんすまん。好奇心に勝てずについね」
あきれた顔をしつつジンが止めてくれる。
「えっと、場所ですよね。」
「ああ、この辺りじゃ獲れないものだとされていたんだよ。とれる場所があるなら知りたいね」
「ラダさんには難しいかと思うのですが・・・・皆さんがなんと呼んでいるのかはわからないのですが、世界樹のある森です。」
「「「え?」」」
「だから、世界樹のある付近で取ってきたんですよ。一応薬草だという判定は出ていたので。
まさかそんなにレアものだとは思いませんでしたが」
「せ、世界樹って。アヤが来た方向にあったあの森のど真ん中にあるやつか?」
「そう。ジンさんあの森なんて呼ぶんですか?」
「世界樹の森と地図にはある。この街では静謐の森と呼ばれる森だ」
「静謐の森?静かで落ち着いたってこと?確かに魔獣や動物以外生き物はいないみたいでしたが」
静かだったかな?
「・・・・・・・嬢ちゃんあの森はな、魔力が集まる場所なんだ。集まりすぎて常人では近寄れない。
ものすごく魔力が高くないと入れない。世界樹に近くなるほど負荷が大きくなっていくらしい。僕も入口付近ウロウロするのが限界かな」
「この街からだと距離も相当あるね。」
なるほど、魔力の集まる森だったのか。まあ、住むには人が来ないなら好都合かな。
さて、どう言ってもいろんな人に突っ込まれる気がする。どうしたものか。
でも私隠し事向かないしなぁ。
「・・・・・・・・・・・私、そこから来たんですが。そして住む予定なんですよね」
とりあえず、後でばれてもめんどくさいと思うのでここでばらしておきましょう。
「え?東のほうの国から来たんじゃ・・・・」
「そうですよ~来る途中で静かでいい感じのところ見つけたので、住むところ整えてから来たんですよ」
「うん、確かにこの辺じゃ見かけない服装だね。」
「お、お嬢ちゃんあの森に入れるのかい!?魔力、魔力は?職業は?レベルは?」
ラダさんは細かいことには特にこだわらないのか、来たところと採取した場所を説明したら何となく納得したみたい。
旅人さんは興味津々。すごくいろいろ聞いてくる。それって個人情報じゃ・・・・・
ジンさんは・・・・・・・あ、固まってる。
「と、とりあえずラダさんこの薬草は買い取っていただけるのでしょうか?」
「ああ、ジンフィズの花は定価だね状態もいいし10本なら8MGだねぇ。
で、問題は月光花とカルエアなんだがねこれはあまりにも出回らないからね正直定価がないんだよ」
困ったとつぶやくラダさんに思わず提案をしてしまう。
「あ、じゃあ2種類合わせて3GGでどうでしょう?」
定価が1本800円だもんね1本1000円にしてレア度で5000円くらい足してもまあいい値段だろう。
「それじゃ安すぎる!君はこの価値をわかっているのかい!?」
旅人は焦るが、私は生活費を稼げればそれでよいのだ。
「いいんですよ。私は生活に必要なものがそろえられればそれで」
「ほんとにいいのかい?とても貴重なんだよ?それをそんなただ同然みたいな値段で・・・」
あ、ラダさんも渋ってる。うーん
「別に問題はないですよ。ラダさんこれだけたくさん薬草と本持ってるならいっぱい知識持ってそうだし。有効活用してくれますよね
何なら定期的に数本とって持ってきますよ?」
ホントに問題はないのでそういったのだが、さらに目を見開かれた。
「ほ、ほんとにいいのかい?頼んでも。
もちろん代金は支払う。何なら倍でもいいさ」
「わかりました。いつ持ってい来るかっていうのはまたおいおい決めるとして。今のこの20本は3GGでいいでしょうか?」
これで生活費が入る!ついでに定期収入確保できた!
内心ウキウキで今後の生活に思いを馳せつつまとまった話にほっとしていると横やりが入ってきた。
「チョーーーーっと待った!そういうことなら僕が買い取る!」
目を輝かせつつ旅人さんが近寄ってきた
ええ、それはもう獲物を前にした肉食獣のごとき目の輝きでしたよ。
「え、えーと・・・」
私としてはお金が手に入れば売る先はどちらでもよいのですが
とりあえず、交渉するにしても旅人さんの情報がない。
「すみません、とりあえず名前をお聞きしても?」
「あ、名乗ってなかったね。僕はライト。ライト・シークエンド。情報屋兼収集家やってて、たまにこうして薬草とか鉱石とか売りに来るんだ」
あーだからほしいのか。納得。
一人でうんうんとうなずいていると、
「アヤ、世界樹に本気で住む気なのかい?」
あ、ジンさんが復活した。
「住みますよ。静かでいいとこでした。食べ物がないのが欠点ですがまあ、調達すれば何とか?」
「一人じゃ危ないよ」
「え、だって誰も近づけないんですよね?むしろ安心なのでは?」
「魔獣とかもいるし。」
「魔法で撃退します。接近戦は苦手だけど魔術は得意ですよ?魔術師ですもん。」
「魔術師!お嬢さんは魔術師なのか!道理であの森にも平気なわけだ。
でも、駆け引きとかは苦手そうだね。さっきから交渉には向いていない気がするよ」
「ええ、まあ苦手ですね。だから活動していなかったという面もあります」
「で、この婆さんのとこに毎月売りに来るなら今回の分くらい僕が買ってもいいかい?
まだ、問題も特にないしきっと役立ててみせるよ!」
話は逸れなかったらしい。戻ってきた・・・
どうしたものかと考えているとラダさんが怒った様子で割り込んでくる。
「この子はうちで売るって言ってるんだよ」
「いーや、うちで扱ったほうが有効活用できるよ」
「うちだ!」「いや、うちだね」
「「お嬢さん、どっちで売る!?」」
(どっちでもいいです)
苦笑いしながら、目の前の問答を眺める。
後ろで案内のジンさんも目を丸くしている。
ラダさんの気性は知っていたがこうなった要因が薬草だということがどうも信じられないようだ。
こうなるとどう収集をつけたものかということになってくる
でもさ、定期的に入れるんだし、ライトさんも買いにくればいいんじゃないかないかと思ったりもしてる。
と、いうことで提案してみよう!
「あの、・・・「あんた旅人だろ自分で仕入れな」「できるならそうしてるさ!」・・・・・・・」
聞いてくれそうにないなぁ
「あのっ」
はい、大声でも聞こえなーい。聞こえてなーい。
横からスッとジンさんが出てきた。こちらを見ずにそっとつぶやくように一言
「耳ふさいでて」
目すら合わないその様子に、素直に従う。
もう本能ですよ。
スウッと息を吸い込む動作が背中越しに目に映る。
「いい加減にしないかっ」
空気が震えるような怒鳴り声とともに目の前のけんかが止む。
後ろ側で耳をふさいでいて普通の会話くらいの音量に聞こえたのだ目の前の二人は耳が痛くなるくらいの音量だっただろう。
店内に吊られている薬草が心なしか揺れている気がする。
肺活量はいったいどうなっているのやら
「なんだいジンっそんなに大声で怒鳴るんじゃないよ」
「あーーーーー耳が壊れるかと思ったよ」
片耳をふさぎつつぶつぶつと文句を言う二人
呆れた顔をしつつジンは二人を見る
「客はアヤだろう?アヤがどうしたいかで決めればいいじゃないか。そもそもそんなに口論をして、アヤが困っているじゃないか
違うところに持っていかれて困るのは婆さんたちじゃないか?」
確かに困っていた。話を聞いてくれないから
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
あ、二人して黙っちゃった。
とりあえず早く売ってしまいたい。
お金にならなきゃ何も買えないし
「あの、とりあえず今ある分はラダさんに売っても良いでしょうか?
ライトさんにはラダさんから売ってもらうという形で。これからも売りに来ますし。ね?」
全力の笑顔だ。惜しみはせん!だって買ってもらいたいしこのゴタゴタから早く去りたいもの。
二人は一瞬沈黙をしたが
やがてあきらめたのかコクリと頷いてくれた。
「ま、売り主のご意向なら仕方ないか」
「後でたっぷり交渉してやるよ」
何はともあれ問題解決!
意外といい金額が手に入ったし、身分証と食料も問題ないでしょう!
さあいざ行かん。身分証を作りに
・・・・・・・まって、私のステータス。ばれたら薬草より大事なんじゃ。。。
何せ大通りにないどころか裏道をさらに奥に入ったところにラダさんの店はあったのだ。
右曲がって左曲がって左曲がって・・・・・・・曲がりすぎだろって感じ。
木造だけど壊れそうな感じはなく、むしろ丈夫そう。
外には薬草類が干してあり、さながらおとぎ話に出てくるような魔女の家という雰囲気だ。
薬草を売るにあたってジンを頼ったのは正解だった。
何せ大通りにないどころか裏道をさらに奥に入ったところにラダさんの店はあった。
右曲がって左曲がって左曲がって・・・・・・・曲がりすぎだろって感じ。
木造だけど壊れそうな感じはなく、むしろ丈夫そう。
外には薬草類が干してあり、さながらおとぎ話に出てくるような魔女の家という雰囲気だ。
「ラダ婆さん来たよ」
「なんだいジン呼んじゃいないよ」
「お客さんだよ。薬草売りたいんだってさ」
「・・・ちょいと待っとくれこっちが先だ」
中には先客がいた。
旅人なのだろうか、淡い茶色のマントを羽織り、足元には大きめのカバンが無造作に置いてある。
ラダさんと何かを話しているところだったらしい。
私たちは、ドア付近においてあるいすに腰掛けて待つことにした。
ふと何気なく案内をしてくれているジンに目を向ける。
(金色の目に緑色の髪やっぱり違う世界の人よねぇ
よく見れば整った顔しているし。そういえば町の人たちもカラフルで見目のいいひとが多かった気がする。
この町の特徴かな。それとも世界?隣に並ぶの気後れしそう)
ジーっとイケメン鑑賞しながら思考していると、ジンが視線に耐えられなくなったのか目線をこちらに向けられた。
心なしか顔が赤い。
「・・・・あんまり見つめられると恥ずかしいんだけど。何かついてる?」
「あ、すみません。この辺の人皆さんなかなかきれいな人が多かったものでつい観察してしまいました・・・」
あ、さらに顔が赤くなった。
「・・・・・・・・アヤ。誰にでもいっちゃだめだよ?そーいうこと。勘違いしちゃうから」
「すみません。単純にそう思ってしまったもので」
「だから・・・・・・もう。」
とうとう、視線をそらされてしまった。きれいだなと思ってみていただけなのだが、恥ずかしいの限度を迎えたようだ。
おとなしく店内を見ていよう。
そう広くはない店内は両方の壁際に棚がずらりと並び、箱や瓶などが所狭しと並んでいる。
文字は自動翻訳が働いているのか一瞬で読めない文字から読める文字に変わった。
ただ、薬草に詳しくはないため読めても鑑定なしだと意味不明状態ではある。
店内真ん中付近には天井から花や草が吊るされている。干して乾燥中なのだろうか。
ラダさんはどうやら旅人と薬草の取引をしているみたいで、値段の話をひたすらしている。
「これだと5MGだね」
「せめて7MGで買ってくれないか?割と苦労したんだぜ手にいれるの」
「状態が悪いんだよ。ほら、花弁の先が赤くなってきてる」
んーすごいなぁラダさん。すぐ見抜けるなんて。
5千円と7千円で競り合ってる。旅人さん粘るな。そんなに遠かったのか、どこから収穫してきたのだろう。
あ、ラダさん勝ったみたいだ。いくらで買取したのだろう。
「ほら、ジン終わったよ。要件は?」
「え、ほんとに終わったの?そのお客さんは?」
「ああ、いいんだよ。ごねてるだけだから」
「ラダ婆さん、手厳しんだもん。これだけ持ってきたんだぜ?何かさおまけをくれてもいいじゃないか」
なるほど、たぶんラダさんの言い値で買取させたからおまけとして何かくれてもいいんじゃないかと残ってるわけか。
粘るなぁほんとに。
「なるほどね。じゃあ婆さんに客だよ。アヤっていうんだ
今日この町に来たらしくてさ、薬草売るとこ探してたんだってさ」
「初めまして。アヤ・ムカイといいます。よろしくお願いします」
「ラダ・フェナールだよ。」
紹介していただき、ぺこりとお辞儀をする。きっと通じるだろう。
まさか挨拶の礼が違うとは言うまい。
「ねえ君、どんな薬草持ってきたんだい?」
本題をラダさんに話す前に旅人さんが話しかけてきた
「あんたまだいたのかい。まあ、そうだねとりあえず見せてごらん」
・月光草×10
・ジンフィスの花×10
・カルエア×10
とりあえず、採取した薬草をすべて出してみる。
今の私が持っていても使えないものだし。
出した瞬間旅人とラダさんが目を見開いて固まった。
え、私なんかまずいもの持ってきた?
思わずジンを見上げる。
「え?何?」
「いえ、ラダさんと旅人さん固まっちゃったので。私何かまずいことしたかなと」
「ん~特にまずいことはなかったけど?婆さん?なんかまずかったの?」
ジンは特に問題は感じていなかったらしい。平然とラダさんの顔の前で手を振っている。
ラダさんが硬直から元に戻る。
「ジン。邪魔だよ。お嬢さん、アヤといったかい?どこで取ってきたんだい?」
「どこでって・・・・」
「月光草やカルエアなんかはね、この辺じゃ獲れないんだよ。傷薬とか万能薬草なんて呼ばれているものでね。
割ととれる代替品で最高の薬草としてあんたの持ってきたジンフィズの花が市場に出回っているんだ。」
「ま、それもそう数はないんだけどね」
ラダさんの言葉を補足するように旅人さんが発言する。
はー、そんなに希少な薬草だったのか。まあ、とった時点で鑑定すればよかったんだけどね。
・・・・・・・忘れてたっ(笑)
「で?どこで取ってきたんだい?」
「私にも教えておくれ」
・・・・・・・採取しに行くんですね。はい。
でもね、旅人さんは大丈夫かもしれませんがラダさんはたぶん危険だと思いますが。
ま、場所は言っても問題はないかな?
自分の取ってきた薬草を眺めながら考え目線を上げると
旅人さんと至近距離で目が合った。どうやら考えている間に接近してきていたらしい。
ホント、無駄に顔がいいから困るよね。
思わず後ずさる・・・
「お客人?顔が近いよ」
「ああ、すまんすまん。好奇心に勝てずについね」
あきれた顔をしつつジンが止めてくれる。
「えっと、場所ですよね。」
「ああ、この辺りじゃ獲れないものだとされていたんだよ。とれる場所があるなら知りたいね」
「ラダさんには難しいかと思うのですが・・・・皆さんがなんと呼んでいるのかはわからないのですが、世界樹のある森です。」
「「「え?」」」
「だから、世界樹のある付近で取ってきたんですよ。一応薬草だという判定は出ていたので。
まさかそんなにレアものだとは思いませんでしたが」
「せ、世界樹って。アヤが来た方向にあったあの森のど真ん中にあるやつか?」
「そう。ジンさんあの森なんて呼ぶんですか?」
「世界樹の森と地図にはある。この街では静謐の森と呼ばれる森だ」
「静謐の森?静かで落ち着いたってこと?確かに魔獣や動物以外生き物はいないみたいでしたが」
静かだったかな?
「・・・・・・・嬢ちゃんあの森はな、魔力が集まる場所なんだ。集まりすぎて常人では近寄れない。
ものすごく魔力が高くないと入れない。世界樹に近くなるほど負荷が大きくなっていくらしい。僕も入口付近ウロウロするのが限界かな」
「この街からだと距離も相当あるね。」
なるほど、魔力の集まる森だったのか。まあ、住むには人が来ないなら好都合かな。
さて、どう言ってもいろんな人に突っ込まれる気がする。どうしたものか。
でも私隠し事向かないしなぁ。
「・・・・・・・・・・・私、そこから来たんですが。そして住む予定なんですよね」
とりあえず、後でばれてもめんどくさいと思うのでここでばらしておきましょう。
「え?東のほうの国から来たんじゃ・・・・」
「そうですよ~来る途中で静かでいい感じのところ見つけたので、住むところ整えてから来たんですよ」
「うん、確かにこの辺じゃ見かけない服装だね。」
「お、お嬢ちゃんあの森に入れるのかい!?魔力、魔力は?職業は?レベルは?」
ラダさんは細かいことには特にこだわらないのか、来たところと採取した場所を説明したら何となく納得したみたい。
旅人さんは興味津々。すごくいろいろ聞いてくる。それって個人情報じゃ・・・・・
ジンさんは・・・・・・・あ、固まってる。
「と、とりあえずラダさんこの薬草は買い取っていただけるのでしょうか?」
「ああ、ジンフィズの花は定価だね状態もいいし10本なら8MGだねぇ。
で、問題は月光花とカルエアなんだがねこれはあまりにも出回らないからね正直定価がないんだよ」
困ったとつぶやくラダさんに思わず提案をしてしまう。
「あ、じゃあ2種類合わせて3GGでどうでしょう?」
定価が1本800円だもんね1本1000円にしてレア度で5000円くらい足してもまあいい値段だろう。
「それじゃ安すぎる!君はこの価値をわかっているのかい!?」
旅人は焦るが、私は生活費を稼げればそれでよいのだ。
「いいんですよ。私は生活に必要なものがそろえられればそれで」
「ほんとにいいのかい?とても貴重なんだよ?それをそんなただ同然みたいな値段で・・・」
あ、ラダさんも渋ってる。うーん
「別に問題はないですよ。ラダさんこれだけたくさん薬草と本持ってるならいっぱい知識持ってそうだし。有効活用してくれますよね
何なら定期的に数本とって持ってきますよ?」
ホントに問題はないのでそういったのだが、さらに目を見開かれた。
「ほ、ほんとにいいのかい?頼んでも。
もちろん代金は支払う。何なら倍でもいいさ」
「わかりました。いつ持ってい来るかっていうのはまたおいおい決めるとして。今のこの20本は3GGでいいでしょうか?」
これで生活費が入る!ついでに定期収入確保できた!
内心ウキウキで今後の生活に思いを馳せつつまとまった話にほっとしていると横やりが入ってきた。
「チョーーーーっと待った!そういうことなら僕が買い取る!」
目を輝かせつつ旅人さんが近寄ってきた
ええ、それはもう獲物を前にした肉食獣のごとき目の輝きでしたよ。
「え、えーと・・・」
私としてはお金が手に入れば売る先はどちらでもよいのですが
とりあえず、交渉するにしても旅人さんの情報がない。
「すみません、とりあえず名前をお聞きしても?」
「あ、名乗ってなかったね。僕はライト。ライト・シークエンド。情報屋兼収集家やってて、たまにこうして薬草とか鉱石とか売りに来るんだ」
あーだからほしいのか。納得。
一人でうんうんとうなずいていると、
「アヤ、世界樹に本気で住む気なのかい?」
あ、ジンさんが復活した。
「住みますよ。静かでいいとこでした。食べ物がないのが欠点ですがまあ、調達すれば何とか?」
「一人じゃ危ないよ」
「え、だって誰も近づけないんですよね?むしろ安心なのでは?」
「魔獣とかもいるし。」
「魔法で撃退します。接近戦は苦手だけど魔術は得意ですよ?魔術師ですもん。」
「魔術師!お嬢さんは魔術師なのか!道理であの森にも平気なわけだ。
でも、駆け引きとかは苦手そうだね。さっきから交渉には向いていない気がするよ」
「ええ、まあ苦手ですね。だから活動していなかったという面もあります」
「で、この婆さんのとこに毎月売りに来るなら今回の分くらい僕が買ってもいいかい?
まだ、問題も特にないしきっと役立ててみせるよ!」
話は逸れなかったらしい。戻ってきた・・・
どうしたものかと考えているとラダさんが怒った様子で割り込んでくる。
「この子はうちで売るって言ってるんだよ」
「いーや、うちで扱ったほうが有効活用できるよ」
「うちだ!」「いや、うちだね」
「「お嬢さん、どっちで売る!?」」
(どっちでもいいです)
苦笑いしながら、目の前の問答を眺める。
後ろで案内のジンさんも目を丸くしている。
ラダさんの気性は知っていたがこうなった要因が薬草だということがどうも信じられないようだ。
こうなるとどう収集をつけたものかということになってくる
でもさ、定期的に入れるんだし、ライトさんも買いにくればいいんじゃないかないかと思ったりもしてる。
と、いうことで提案してみよう!
「あの、・・・「あんた旅人だろ自分で仕入れな」「できるならそうしてるさ!」・・・・・・・」
聞いてくれそうにないなぁ
「あのっ」
はい、大声でも聞こえなーい。聞こえてなーい。
横からスッとジンさんが出てきた。こちらを見ずにそっとつぶやくように一言
「耳ふさいでて」
目すら合わないその様子に、素直に従う。
もう本能ですよ。
スウッと息を吸い込む動作が背中越しに目に映る。
「いい加減にしないかっ」
空気が震えるような怒鳴り声とともに目の前のけんかが止む。
後ろ側で耳をふさいでいて普通の会話くらいの音量に聞こえたのだ目の前の二人は耳が痛くなるくらいの音量だっただろう。
店内に吊られている薬草が心なしか揺れている気がする。
肺活量はいったいどうなっているのやら
「なんだいジンっそんなに大声で怒鳴るんじゃないよ」
「あーーーーー耳が壊れるかと思ったよ」
片耳をふさぎつつぶつぶつと文句を言う二人
呆れた顔をしつつジンは二人を見る
「客はアヤだろう?アヤがどうしたいかで決めればいいじゃないか。そもそもそんなに口論をして、アヤが困っているじゃないか
違うところに持っていかれて困るのは婆さんたちじゃないか?」
確かに困っていた。話を聞いてくれないから
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
あ、二人して黙っちゃった。
とりあえず早く売ってしまいたい。
お金にならなきゃ何も買えないし
「あの、とりあえず今ある分はラダさんに売っても良いでしょうか?
ライトさんにはラダさんから売ってもらうという形で。これからも売りに来ますし。ね?」
全力の笑顔だ。惜しみはせん!だって買ってもらいたいしこのゴタゴタから早く去りたいもの。
二人は一瞬沈黙をしたが
やがてあきらめたのかコクリと頷いてくれた。
「ま、売り主のご意向なら仕方ないか」
「後でたっぷり交渉してやるよ」
何はともあれ問題解決!
意外といい金額が手に入ったし、身分証と食料も問題ないでしょう!
さあいざ行かん。身分証を作りに
・・・・・・・まって、私のステータス。ばれたら薬草より大事なんじゃ。。。
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ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
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パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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