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1話:森の都の外套技師
暴走と確執_2
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アジェットの店を訪れた人物は、迷うことなく暗闇を進み奥の棺型の扉を開いた。中でお茶を啜っていた二人が、その人物に気付いて跳ねるように立ち上がる。がたっと音を立てて転がった飲み茶碗から、まだ湯気の立ち上る茶が机に零れて広がっていく。
「どうして・・・・・・どうして、あんたがここに居るの!?」
「あ、ああ・・・・・・」
リンは敵をむき出しにして叫ぶ様に急な来訪者に問う。アジェットも驚きを隠せずに居たが、リンとは違う感情が胸の内にあった。
「黙ってないで、答えなさい。何をしに来たのよ・・・・・・ハイリ!!」
長い刀が腰で揺れて、小さく音を立てる。ハイリは二人を交互に見たが、その表情はリンにもアジェットにも見えなかった。
「・・・・・・お久しぶりですね。リン、アジェット」
「ああ、息災じゃったかフュニ・・・・・・」
「アジェット、その名では呼ばないでください」
その名前の一端が出た瞬間、ハイリから刺すような圧が飛んだ。ハイリは奥にある一室の方へと目を向ける。
「フランとケニーの容体はいかがですか?」
2人の名前を呼んだ瞬間、リンは腰元にかけていた外套を縫う専用の針を取り出して、ハイリに向けて突きつける。その姿を見た、アジェットが声を荒げた。
「やめなさいリン!! フュ・・・・・・その子をそんな目で見てはいかん」
「どうして!? おじいちゃん、なんでそんなこと言うの? こいつが、こいつが・・・・・・
こいつがママとパパをあんな姿にしたのに!!」
リンは大粒の涙をぼろぼろと零しながら、膝からその場に崩れ落ちた。リンの叫びを聞いたハイリが、眉をひそめながらいたたまれない表情で顔を伏せる。震えながら針を持っていた手を顔の前にしながら、身体を丸める。アジェットの皺くちゃな手が、そのリンの手を包み針を取り上げて机に置いた。リンは声を漏らしながら、泣き続けている。
「リンや、何度も説明をしたが、フランとケニーを襲ったブレイグルは・・・・・・」
「良いのですアジェット。あの罪は・・・・・・紛れもなく私が背負うべきものなのですから」
「じゃが!」
「良いのです」
ハイリはリンの咽び泣く姿を淋しそうに見つめている。アジェットは震えるリンの背中を優しくさすって、リンの工房へと入って何かを取ってきた。その、何かをハイリに手渡す。
「手入れは怠っておらんか?」
「ええ」
「そうか。両方の管理は大変じゃろうが」
「心配無用です、いつもありがとう。
・・・・・・もう、ここへは訪れない方が良さそうですね。今まで本当に世話になりました」
ハイリはアジェットの手を両手で包み、別れを告げる。アジェットも言葉は発さずに、そんなハイリの手を握り返した。温かな手に包まれる感覚を胸に刻みながら、最後にもう一度ぐっと握りしめてハイリはゆっくりと手を離す。
「アジェット、そしてリンもどうかお元気で」
「ふっ、うっ、うあああ・・・・・・」
突然の来訪者はまた音もなく姿を消す。声を堪えていたリンの、叫びが部屋に響いて、隣の部屋にいたフランの瞳から一粒の涙が零れ落ちていた。
ハイリが店を出ると、門の所で待っていた小さな影が駆け寄ってきた。
「もう良いのハーちゃん?」
「・・・・・・ああ、もうこれでこの場所を訪れることも無いだろう」
「そうなのね。
・・・・・・ハーちゃん、泣いてるの?」
ミュールに見上げられるハイリの目に涙は無かったが、ハイリは何も言わずに歩き始める。ミュールは泣きそうな表情でその背中を少し見つめて、駆け足でその背中を追いかけていく。
怪しい人影を見たという街の人からの通報を受けて、騎士団の団員がアジェットの店を訪ねるのはハイリが立ち去ってから5分後のこと。団員に詰め寄られてもアジェットは終始無言を貫き、決してハイリのことを口にすることは無かった。
ハイリは厳重態勢の騎士団の警備をかいくぐりリンクタウンを出発。姿をくらませた。
「どうして・・・・・・どうして、あんたがここに居るの!?」
「あ、ああ・・・・・・」
リンは敵をむき出しにして叫ぶ様に急な来訪者に問う。アジェットも驚きを隠せずに居たが、リンとは違う感情が胸の内にあった。
「黙ってないで、答えなさい。何をしに来たのよ・・・・・・ハイリ!!」
長い刀が腰で揺れて、小さく音を立てる。ハイリは二人を交互に見たが、その表情はリンにもアジェットにも見えなかった。
「・・・・・・お久しぶりですね。リン、アジェット」
「ああ、息災じゃったかフュニ・・・・・・」
「アジェット、その名では呼ばないでください」
その名前の一端が出た瞬間、ハイリから刺すような圧が飛んだ。ハイリは奥にある一室の方へと目を向ける。
「フランとケニーの容体はいかがですか?」
2人の名前を呼んだ瞬間、リンは腰元にかけていた外套を縫う専用の針を取り出して、ハイリに向けて突きつける。その姿を見た、アジェットが声を荒げた。
「やめなさいリン!! フュ・・・・・・その子をそんな目で見てはいかん」
「どうして!? おじいちゃん、なんでそんなこと言うの? こいつが、こいつが・・・・・・
こいつがママとパパをあんな姿にしたのに!!」
リンは大粒の涙をぼろぼろと零しながら、膝からその場に崩れ落ちた。リンの叫びを聞いたハイリが、眉をひそめながらいたたまれない表情で顔を伏せる。震えながら針を持っていた手を顔の前にしながら、身体を丸める。アジェットの皺くちゃな手が、そのリンの手を包み針を取り上げて机に置いた。リンは声を漏らしながら、泣き続けている。
「リンや、何度も説明をしたが、フランとケニーを襲ったブレイグルは・・・・・・」
「良いのですアジェット。あの罪は・・・・・・紛れもなく私が背負うべきものなのですから」
「じゃが!」
「良いのです」
ハイリはリンの咽び泣く姿を淋しそうに見つめている。アジェットは震えるリンの背中を優しくさすって、リンの工房へと入って何かを取ってきた。その、何かをハイリに手渡す。
「手入れは怠っておらんか?」
「ええ」
「そうか。両方の管理は大変じゃろうが」
「心配無用です、いつもありがとう。
・・・・・・もう、ここへは訪れない方が良さそうですね。今まで本当に世話になりました」
ハイリはアジェットの手を両手で包み、別れを告げる。アジェットも言葉は発さずに、そんなハイリの手を握り返した。温かな手に包まれる感覚を胸に刻みながら、最後にもう一度ぐっと握りしめてハイリはゆっくりと手を離す。
「アジェット、そしてリンもどうかお元気で」
「ふっ、うっ、うあああ・・・・・・」
突然の来訪者はまた音もなく姿を消す。声を堪えていたリンの、叫びが部屋に響いて、隣の部屋にいたフランの瞳から一粒の涙が零れ落ちていた。
ハイリが店を出ると、門の所で待っていた小さな影が駆け寄ってきた。
「もう良いのハーちゃん?」
「・・・・・・ああ、もうこれでこの場所を訪れることも無いだろう」
「そうなのね。
・・・・・・ハーちゃん、泣いてるの?」
ミュールに見上げられるハイリの目に涙は無かったが、ハイリは何も言わずに歩き始める。ミュールは泣きそうな表情でその背中を少し見つめて、駆け足でその背中を追いかけていく。
怪しい人影を見たという街の人からの通報を受けて、騎士団の団員がアジェットの店を訪ねるのはハイリが立ち去ってから5分後のこと。団員に詰め寄られてもアジェットは終始無言を貫き、決してハイリのことを口にすることは無かった。
ハイリは厳重態勢の騎士団の警備をかいくぐりリンクタウンを出発。姿をくらませた。
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