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第一章 異世界で生き抜くチュートリアル
1 小説よりも・・・
しおりを挟む明日の終業式で冬休みに入るっていう学校からの帰り道、学生なら皆ウキウキしちゃっているだろう日に、私はそんな気分になれず…猫背な背中をさらに丸めて歩いていた。
「はぁ~~…今日の進路相談想定外だった」
自慢じゃないけど、私江本アイリは普通の女子高生だと思う。
150センチそこそこの身長に痩せても太ってもいない。黒目黒髪。凹凸のない顔。
ザ・ジャパニーズスタイル。
持久走も1キロ5分ぐらいだし、成績もクラスの平均点にはなんとかギリギリセーフ!
そんな普通な私も、来年は高校3年生となり受験シーズン到来って事で2年生のこの学期末に進路相談があった…
まだ2年生だし、とりあえず進学しま~す。ぐらいでいいのかな。とか思っていたら友達は皆ちゃんと考えててびっくり…進路相談で先生に具体的な進学先が決まってないとは言えなかった私は、
「進学するにしても方向性も決まってないのは江本さんぐらいです。」
なんて言われて…衝撃を受けた。
言われてみれば、教室での話題は好きなアイドルとか新しいコスメの話をしてたのが…予備校が~とか、志望校が~とか。最近話題が変わってた気がする…
家ではパパに、「学歴社会なんだから大学出ているか出ていないかで初任給も変わるんだぞ!行ける環境なんだからとりあえず行っておけばいいんだ!」とか言われて
まだ2年なのに、そんな進路とかわかんない!とかケンカしたばかりだけど
私…のんびりしすぎだった?ちゃんと考えないといけない現実が急に壁みたいに出てきて、焦りと不安でいっぱいいっぱいになった。
来年から受験生なんだから来年から始めたらいいのに…
いつもの通学路から家に帰るだけなのに気が重く、また、ため息が出てくる。
「はぁ~~、家に帰ったら今日の進路相談について聞かれる…世間はもうすぐクリスマスなのに私はアンハッピーだよ」
空を見上げれば、まさに今の自分の心のようにどんよりしていて今にも雪が降ってきそうだ。
「サンタさーん、お願いです。受験、学校、親、友達もぜーんぶないところに行きたいです!プレゼントしてー」
しばらくひとりになりたいのー。そんな気持ちで思わず空に向かってサンタさんへ願ってしまい、
思わず空に向かって叫んでしまってから、近所の人に見られてたらハズイ!とダッシュでその場から逃げだした。
だから、気づかなかった…願いをかけたその時、どんよりした空のすき間に一瞬赤い何かがきらめいたことを。
一一一一一一一一
走り出して早々に、息切れし…そこの角を曲がれば家って所で頭がクラっとしたと思ったら、ひどい耳鳴りがした。
キーン…!!
目の前が白くなり、ヤバいこれって貧血!?ちょっと走っただけで貧血とか私体力無さすぎ!
膝が震えて力が入らず、曲がり角に手をつき、目を閉じてぐらぐらする頭を下に向け、しばらくじっと耐えた。
しばらくして、ぐらぐらした頭と耳鳴りが治まり、おそるおそる目を開けて最初に見たのは自分の履いているスニーカーで、所々汚れてなんかボロい…クリスマスプレゼントに可愛いのお願いしようかな、なんてスニーカーを見ていると、地面がアスファルトじゃない事に、気づいた
「なにこれ?砂?近所工事とかしてたっけ?やだー靴に砂入るー…」
スニーカーについた砂を足でブンブン振り払いながらゆっくり顔をあげていく…私の目に映ったのは見慣れた景色ではなかった。
一一一一一一一
いつも曲がり角の先に見える我が家は、35年ローンで購入したパパ自慢の青い屋根の一軒家ですごく可愛い外見をしている。
ママは庭がある家でのガーデニングが夢だったらしく今の我が家は冬野菜が良くできている。
野菜ってガーデニング?菜園じゃん。と思うけど言うと怒るから黙ってる。楽しそうなママは機嫌もいいし。
そんな我が家が私も大好きで、青い屋根が見えると帰ってきた!とちょっとホッとする。
なのに…
ザザーン。ザザーン。
そこには、青い屋根でなく青い海が広がっていた。
「え?…」
この日私は、人間驚き過ぎると言葉を失うということを本当の意味で知った。
一一一一一一一
夢?私は今、夢を見ているのかも?
だって、さっきまで家の近くにいたし…急に海ってありえない。
青い海、白い砂浜、青い空には黄色い太陽がサンサンと輝いていて、そこには見慣れた街並みはどこにもなく波の音だけが聞こえてくる。
思わず、ギュウ!と頬をつねってみたら痛くて、その場にヘナヘナとへたりこんだ。
体を支えるために手をついた砂浜がやけに熱くて、まぎれもなくリアルなんだって訴えていた。
なにがなんだかわからず、もしかしたら元の場所に戻るかもしれない。とその場から動かずにしばらく待ってみたが何も変わらないまま時間だけが過ぎていく。
一一一一一一一
そのまま待ち続けたが、だんだんと日が落ちてきた…暗くなってくる辺りに恐怖を感じる。
このまま戻れなかったらどうしよう…
夜になったら、もしかして真っ暗?こんな、どこかもわからないところで、ひとりぼっち!?
絶望的な気持ちになりながらも、なんとかしなきゃまずいのはわかった。
力の抜けた足に、なんとか気合いを入れて立ち上がり、周囲を見渡してみる、前に海!後ろに森!あとは砂浜ってか海岸。
森!?まるでテレビで見る無人島みたいだな。と考えてまさか人がいないなんて事……ある?
自分の考えに、ただでさえ不安なのに真っ青になって大きな声で叫んだ。
「だ…誰かいませんかー!!」
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
反応はなかった………
「ど…どうしようっっ、いや!近くに居ないだけかも!」
海岸には何も無いし、森に入ってみるしかない?でも、よくわからない森に入るとか危ないんじゃない??
頭を左右に振って嫌な考えを振り払う!こんな時はまず落ち着くのよアイリ!まずは深呼吸。
スーハー…スーハー。
とりあえず今、自分にできることをするしかない。
まずは、なんかないか見てみよう!使えるものがあるかもしれないし
通学リュックを肩から下ろして中を見る。
数学の参考書
ノート
ペンケース
飲みかけのペットボトル
食べかけのクッキー
ポーチ
スマホ
四角い箱
四角い箱?こんなの持ってたっけ?見たことの無い箱に首をかしげたけど、ひとまずは
リュックから、ペットボトルとクッキーを見つけた。ペットボトルはひとくち飲んでた。クッキーはフタが開いていて…
クッキーフタ開けたままつっこむとか最悪!リュックの中はクッキーのカケラでザラザラしている…自分で自分が嫌になる。
あ!!っていうか、スマホあるじゃん!通じるかも!
電源を入れてロックを解除してっていつもの手慣れた動きで通話をタップしようとしたら
「え?なにこれ??」
画面がいつもと違うんだけど…。
毎日のように使っている、お気に入りのアプリたちがひとつもない!写真は?カメラは?私のSNSは!?ちょっとー!!なんなの…ショック過ぎて泣きそう…
変わりに、知らないアプリが5つならんでいる事に気づいた
(取説)
(nr)
(T)
(代神)
(∞)
「は??」
意味わかんないよ、なんなの??とりあえずタップして中を見てみる…しかない??
戸惑いながらも、見たことのないアプリの中身を確認してみる。
分かりやすく、「取説」ってやつからポチっ。取説っていうからには何かの説明書?
(取説)…マジックアイテム「すま~ほ」の使い方
「は?………はぁぁぁー!??」
1個目からツッコミどころ満載なんですけど!マジックアイテム「すま~ほ」って何!?
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
ここまで、読んで頂きありがとうございました。
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−−−−−−
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