[完結]聖女?いいえ容赦のない鬼だそうなので、クズな父と婚約者をまとめてヤっちゃっていいですか? 、、、そして私は王妃になります。

masato

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5 おっとこまえ〜

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それは本当に突然だった。

「エストラージュ侯爵令嬢はおられるか⁈」

教室で友人達と話している所に、最近聞いた声で呼ばれた。
入り口のドアから呼びかけていたのは、エストロジア公爵令息。
教室内がざわりと反応した。
慌てて公子のもとに向かう。

「エストロジア小公爵様にご挨拶致します。アリア・エストラージュでございます。如何なさいましたでしょう?」

軽く礼をとって答えた。
冷静を装っているけど、かなり焦ったご様子。
何事かしら?

「すみません、不調法謝罪します。君の助けが必要なんです。一緒に来てくれませんか?」
「、、、?承知致しました。」

そう言って、訳もわからず連れ出され、人気のないところでとんでもない事を言われた。

「内密に願います。アレク殿下が毒を盛られました。王家から持たされている解毒剤は飲みましたがあまり効いてません。」
「殿下が⁈」
「お願いします、エストラージュの力を貸して下さい。」
「分かりました。とりあえず私のカバンを取ってこないと。殿下はどちらに?医務室ですか?」
「いえ、殿下の待機室です。医務官は席を外していなかったので。場所は分かりますか?カバンは僕が取ってきますので、すぐに向かってください。コレ鍵です。施錠してあります。それと、ドアの取っ手に毒が仕込んであったので気をつけて下さいね!」
「!承知しました!」

鍵を預かって殿下の待機室に向かう。
一刻を争うので全力疾走。
令嬢にはあるまじき姿だけども。

待機室にはいつもいるはずの護衛騎士がいなかった。
だから鍵を持たされたのね。
そして件の取手にはハンカチが巻き付けられていた。
ここに毒が仕込まれていたと…。
慎重に鍵を開けて室内に入る。

「殿下?」

室内に人影はない。
不審に思って見回すと、奥に続くドアが目についた。
開くと、小さな部屋に簡素なベッドが置いてあり、仮眠室だと分かる。
その上に殿下が横になっていた。

「殿下!」

駆け寄って様子を見る。
意識はない。
呼吸も荒く、汗をかいている。
瞳孔の状態や肌の色、心音などを確認。
取手に毒が仕込まれていたということは、握った手から毒が回ったということ。
慎重に両手を確認する。
右手のひらに小さな傷と周囲の皮膚の変色。

腕の上腕を布で縛ってる。
公子の応急処置ね、さすがね。

一通りの確認をしていたら公子が私のカバンを持って部屋に入ってきて。

「エストラージュ侯爵令嬢!カバンです、コレでいいですか⁈」
「はい、ありがとうございます!」
「殿下のご様子は?どうにかなりそうですか?」
「毒を特定したいので、ドアの“仕込み”を持ってきて下さい!」
「承知しました!」

王家に納めている解毒薬はエストラージュの最高峰よ?既存の毒なら解毒できるはずなのにこの症状。
だとしたら…。

カバンを広げて中身を並べる。
多種多様な薬剤や薬草と簡易な製薬道具。
公子に持って来てもらった毒の鑑定を始める。
多分最近発見された毒物のうちのどれか。
毒物に幾つかの試薬を混ぜて様子を見ていく。

「ビンゴ。」
「!分かったんですか⁈」
「おそらく。すぐに調薬します。」

そうして慌てて作った薬を公子が殿下に飲ませようとするも、意識の戻らない彼は飲んでくれず。

「どうすれば⁈」
「…口移しだと確実ですが?」
「僕が⁈」
「他に誰が?」
「令嬢の方が絵面的にもいいのでは⁈」
「はぁ⁈」
「だって、僕と殿下のソレって寒気がします!」
「十分噂になってんでしょうが!貴方方!」
「えええっ⁈」
「もういいです!一刻を争うってのに!貸して下さい!」

不毛な言い合いにキレて、薬液を公子から取り上げると、一気に煽った。
その勢いのまま、殿下に口移しで飲ませる。
不敬だとかって、後で言わないでよね⁈

コクン

と、飲み込んだ事を確認して唇を離した。

「ふう。」

思わず安堵のため息をつくと、

「おっとこまえ~。」

と、気の抜ける声がした。

「貴方ねぇ⁈」
「すみません!じゃぁ僕後処理して来ますんで!エストラージュ侯爵令嬢は殿下のご様子見てて頂けますか?貴女の担任には適当な事情を伝えておきますんで!仔細は後ほど!」

早口でまくし立てて部屋から出て行った。

…ああいう人だったんだ。
気が抜けて、殿下が眠るベッドの横に椅子を持って来て座る。
うん、顔色も良くなってきたし、呼吸も安定してきた。
大丈夫、薬が効いてきてる。
発熱してるわね、冷やした方が楽かな。

そうして額に置いた濡らしたタオルを何度か取り替えていると、殿下がふと目を覚ました。

「…アリア?」

かすれた声で名前を呼ばれた。
うわぁ、なんて甘い声、、、!
しかもなんで名前⁈
って場合じゃないわ!!

「大丈夫ですか?殿下。ご気分は?」
「随分楽になったよ。君が助けてくれたの?」
「エストロジア公子様に頼まれまして。」
「ありがとう、本当に助かったよ。」
「まだ安静が必要です。お眠り下さい。熱もありますからね?」

そう言って額に当てて熱を見ようとした手を殿下が両手で握った。

「⁈」
「アリアの手は冷たくて気持ちいいね。」

そう言ってまた眠りについた。
また名前呼び⁈
なんで⁈

そうして真っ赤になった顔を俯けて、殿下に握られた右手をどうしても引き抜くことが出来なかった。


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