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31 ラジアンに向けて
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エスト王国から隣国ラジアン王国までは馬車で一週間ほどかかる。
せっかくだからと、旅行がてらのんびり向かおうと10日の旅程をリディアム様が組んだらしい。
「ラジアンの良いところをいっぱい紹介したいんだ。」
と言って下さった。
でも、レティシア様もお忙しいでしょうに良いのかしら?と恐縮していたら、
「帰ったら公務で大忙しで窮屈な日々が待ってるんだもの、ちょっとくらいのんびりしたってバチは当たらないわよね。」
なんて、嬉しそうに仰るから。
まぁ、いいの、かしら?
エストリア家を出て、しばらく走った馬車の中。
レティシア様とリディアム様が隣同士に座り、レティシア様の向かいに私が座る。
さすが王家の馬車、広いしフカフカで座り心地がいい!
「ふふふ、おめでとう、アリーチェ。無事婚約破棄と家から脱出できたわね?」
レティシア様がちょっと意地悪そうに仰る。
「うふふ、ありがとうございます。」
「それにしても、最後が傑作だったね。」
「ふふふ、お父様の焦った顔!ザマーミロですわ!」
「それにしても、リディアムったらよくあんな情報掴んできたわね?」
「だってね?頑なにデヴィッドを跡取りにして、キャサリンを金持ちに売ろうとしてたからさ、不審に思ったんだよ。アリーチェの言うように出世したいってタイプにも見えなかったし?だから、最初はロマロフ侯爵に弱みでもあるのかなって。ちょーっと調べてみたら、びっくりだよね~。」
実はリディアム様は少し前から我が家の事をコッソリ調べさせていたんですって。
それこそ、父の弱みを握れたら、私が家を出る交渉に使えるからって。
その報告をあの宴の後で受け取ったのだ。
私の邸に向かう馬車の中で見せられた報告書に目が点になったわ。
なるほど、デヴィッドの不貞を責めるわけがない。
“そんな事”なはずよね、自分は3人も愛人がいたんだもの。
「本当に、最低の屑ですわ。あんな男の都合で振り回されてたなんて腹立たしいったら。リディアム様、ありがとうございました。」
「アリーチェの役に立てたなら嬉しいよ。」
本当に嬉しそうに笑って言って下さるから、嬉しくて、恥ずかしくて、そして、ちょっと哀しい。
リディアム様は次男とはいえ公爵家の方で、私は元伯爵家の今では平民だ。
元々でさえ釣り合わないのに、今では身分が違いすぎる、、、。
そんな事考えるだけでも不敬だわ。
ううん、しっかりしなくちゃ。
これからは自分の力だけで生きて行くんだから。
レティシア様とリディアム様の期待に応えられるように。
そうして、見たことのない花々が見渡す限り咲き誇るとても綺麗なお花畑や、色々な色に変化する不思議な湖を観光しながらラジアンの都に到着した。
初めて見る景色はたくさんの感動をくれた。
リディアム様とこんな風に過ごせるなんて、泣きたいくらいに幸せだと思った。
でもこれが最後かもしれないと思うと本当に泣けてしまった。
そんな私をリディアム様は、国を捨てた事を後悔していると勘違いして、
「大丈夫だよ。僕はずっとアリーチェの味方だよ。絶対幸せにしてあげるから、不安にならないで。」
と、慰めてくれた。
頭を撫でてくれる手が優しすぎて、余計に泣けてしまうのに。
レティシア様はそんな私達を、とても優しい瞳で見ていてくれた。
都に到着すると、まず馬車はリディアム様の実家であるリンドバーグ公爵邸に向かい、リディアム様と私が下された。
荷物を積んだ馬車も止まり、荷下ろしをした後城に戻るそう。
「じゃあまたね、アリーチェ。落ち着いたらリディと一緒にお城に遊びにきてちょうだいね?待ってるわ。」
「本当に有難うございました、レティシア様。このご恩は決して忘れません!」
「あら、いいのよ?貴女は私の大事なお友達だもの。それに、貸はリディアムに付けておくわ。頑張りなさいね、リディ?」
「分かっているよ。有難う、」
「、、、???リディアム様?」
「それではご機嫌よう。うふふ。」
そう言って笑いながらレティシア様を乗せた馬車はお城へ向かって行った。
せっかくだからと、旅行がてらのんびり向かおうと10日の旅程をリディアム様が組んだらしい。
「ラジアンの良いところをいっぱい紹介したいんだ。」
と言って下さった。
でも、レティシア様もお忙しいでしょうに良いのかしら?と恐縮していたら、
「帰ったら公務で大忙しで窮屈な日々が待ってるんだもの、ちょっとくらいのんびりしたってバチは当たらないわよね。」
なんて、嬉しそうに仰るから。
まぁ、いいの、かしら?
エストリア家を出て、しばらく走った馬車の中。
レティシア様とリディアム様が隣同士に座り、レティシア様の向かいに私が座る。
さすが王家の馬車、広いしフカフカで座り心地がいい!
「ふふふ、おめでとう、アリーチェ。無事婚約破棄と家から脱出できたわね?」
レティシア様がちょっと意地悪そうに仰る。
「うふふ、ありがとうございます。」
「それにしても、最後が傑作だったね。」
「ふふふ、お父様の焦った顔!ザマーミロですわ!」
「それにしても、リディアムったらよくあんな情報掴んできたわね?」
「だってね?頑なにデヴィッドを跡取りにして、キャサリンを金持ちに売ろうとしてたからさ、不審に思ったんだよ。アリーチェの言うように出世したいってタイプにも見えなかったし?だから、最初はロマロフ侯爵に弱みでもあるのかなって。ちょーっと調べてみたら、びっくりだよね~。」
実はリディアム様は少し前から我が家の事をコッソリ調べさせていたんですって。
それこそ、父の弱みを握れたら、私が家を出る交渉に使えるからって。
その報告をあの宴の後で受け取ったのだ。
私の邸に向かう馬車の中で見せられた報告書に目が点になったわ。
なるほど、デヴィッドの不貞を責めるわけがない。
“そんな事”なはずよね、自分は3人も愛人がいたんだもの。
「本当に、最低の屑ですわ。あんな男の都合で振り回されてたなんて腹立たしいったら。リディアム様、ありがとうございました。」
「アリーチェの役に立てたなら嬉しいよ。」
本当に嬉しそうに笑って言って下さるから、嬉しくて、恥ずかしくて、そして、ちょっと哀しい。
リディアム様は次男とはいえ公爵家の方で、私は元伯爵家の今では平民だ。
元々でさえ釣り合わないのに、今では身分が違いすぎる、、、。
そんな事考えるだけでも不敬だわ。
ううん、しっかりしなくちゃ。
これからは自分の力だけで生きて行くんだから。
レティシア様とリディアム様の期待に応えられるように。
そうして、見たことのない花々が見渡す限り咲き誇るとても綺麗なお花畑や、色々な色に変化する不思議な湖を観光しながらラジアンの都に到着した。
初めて見る景色はたくさんの感動をくれた。
リディアム様とこんな風に過ごせるなんて、泣きたいくらいに幸せだと思った。
でもこれが最後かもしれないと思うと本当に泣けてしまった。
そんな私をリディアム様は、国を捨てた事を後悔していると勘違いして、
「大丈夫だよ。僕はずっとアリーチェの味方だよ。絶対幸せにしてあげるから、不安にならないで。」
と、慰めてくれた。
頭を撫でてくれる手が優しすぎて、余計に泣けてしまうのに。
レティシア様はそんな私達を、とても優しい瞳で見ていてくれた。
都に到着すると、まず馬車はリディアム様の実家であるリンドバーグ公爵邸に向かい、リディアム様と私が下された。
荷物を積んだ馬車も止まり、荷下ろしをした後城に戻るそう。
「じゃあまたね、アリーチェ。落ち着いたらリディと一緒にお城に遊びにきてちょうだいね?待ってるわ。」
「本当に有難うございました、レティシア様。このご恩は決して忘れません!」
「あら、いいのよ?貴女は私の大事なお友達だもの。それに、貸はリディアムに付けておくわ。頑張りなさいね、リディ?」
「分かっているよ。有難う、」
「、、、???リディアム様?」
「それではご機嫌よう。うふふ。」
そう言って笑いながらレティシア様を乗せた馬車はお城へ向かって行った。
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