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16 アズロ宰相の告白(サイラス)
「私がラジアンで静養し、やっと起き上がれる頃には既に陛下とミランダ妃の成婚が成されていました。今更醜聞を晒しても分かってて容認した時点で王家の責任も重い。黙るしかありませんでした。」
「全くバカな事をしたよ、父上は!事を公にしてアズロを断罪しておけば、父上が阿呆だったってだけで終わってたんだ。」
うわー、今度は陛下阿呆って言われてる。
ちょっと可哀想になってきたな。
腕噛みちぎる勢いで抵抗したのに、、、。
って、いや、やっぱ喜劇だよな。
御免なさい、阿呆だわ。
「加担したカルヴァン伯爵ですが、どういう意図だったのでしょうか?」
父が質問すると、宰相は小さく頷いて答えた。
「善意でないのは確かです。奴は陛下の弱みを最大にしようとしたのでしょう。殿下の仰る通り、その場でアズロを断罪しておけば同情票も多かったと思います。ですが、容認してしまった事で、陛下自身も王族の血統を詐称した罪に問われてしまう。その秘密を共有している事がやつの強みだと。カルヴァンはアズロと手を組みました。国の中枢を握れると思ったのでしょうね。具体的には行政のトップである宰相になれると。」
僕と両親が顔を見合わせる。
一歩間違えれば、ミリアンナの夢の通りにカルヴァン伯爵が宰相になっていたのだ。
「アズロとカルヴァンがミランダ妃を正妃に挿げ替えろと言い出しましたが、前エストロジア公爵含むエストの五家が譲らず、それは阻止されました。ですが、それで余計にアズロはエストロジアを憎む様になりました。あわよくばフランクリンを次期王にしてこの国を乗っ取れたのにと。恐ろしい事です。」
「おかげで、邪魔な僕も何度も命を狙われる羽目になってる。僕が死ねば次の王太子はフランクリンだと思ってるんだろうよ。」
「え、まさか、学園で一人で食事してるのも、盛られる薬って媚薬じゃなくて⁈」
「阿呆、毒薬に決まってるだろう。まだ僕は14歳だぞ?既成事実作るには早すぎるわ!」
殿下が真っ赤になって叫ぶ。
うわぁ、思ってた以上にハードな人生歩んでたんだなぁ。
御免なさい、もう馬鹿にしません。
「エストロジアを狙っている。具体的に何か計画があるのでしょうか?」
父が質問する。
今後の事が既に計画されているのかどうか。
つまり、僕たちを殺そうとしているのかを確認する為だ。
「これは、仮定としてお考え頂きたいのですが。」
「どういう意味でしょう?」
「そうですね、ある方の忠告、いえ予言、、、とでも言いましょうか。」
「‼︎」
宰相の言葉に、ある人の顔が浮かんだ。
サラサラのプラチナブロンドにアメジストの様に煌めく瞳の、おそろしく整った顔立ちの少女。
「リンドバーグ公爵家の姫君のご覧になった予知夢の話です。」
ユリアーナ様‼︎
「ああ、そういえば、予知夢をご覧になると聞いた事が、、、、?」
両親が僕を見たので頷く。
そして揃って宰相の方に振り向くと、宰相は頷いて続けた。
「はい。私がラジアンで過ごす様になって5-6年ほどがたったでしょうか。もうエストに帰るつもりはなかったので、ラジアンの王宮に士官していたのですが、急遽リディアム卿に呼ばれましてね。その時初めてユリアーナ様にお会いしたのです。ユリアーナ様は私の顔を見るなり、「よくぞ生きてて下さいました!」と、仰ったのです。」
「「「え?」」」
「当時、ユリアーナ様は7歳でしたか。おそろしくしっかりなさったお方でね。聞くと、彼女は未来を夢で見るのだとか。俄かには信じられませんでしたが、私しか知らないはずのアズロでの出来事を語られてしまって、信じざるを得なくなりました。また、リディアム卿からユリアーナ様が予知夢を見られる事は秘匿されているとも。」
そこで一息ついた宰相が僕たちを順に見つめた。
「皆様もご存知だったのでしょう?ユリアーナ様から、サイラス殿は知ってるから話しても平気だとお聞きしておりましたよ。」
「はい。以前お会いした際にお聞きしています。ミリアンナの事を色々当てられたので、僕もそれは本物だと思っています。」
宰相は一度大きく頷いて続けた。
「その予知夢でご覧になったそうです。このエスト王国とラジアン王国の未来を。」
果たしてそれはミリアンナの見た未来と同じものなのか。
僕たち家族は目を見開いて身動きもできなかった。
「全くバカな事をしたよ、父上は!事を公にしてアズロを断罪しておけば、父上が阿呆だったってだけで終わってたんだ。」
うわー、今度は陛下阿呆って言われてる。
ちょっと可哀想になってきたな。
腕噛みちぎる勢いで抵抗したのに、、、。
って、いや、やっぱ喜劇だよな。
御免なさい、阿呆だわ。
「加担したカルヴァン伯爵ですが、どういう意図だったのでしょうか?」
父が質問すると、宰相は小さく頷いて答えた。
「善意でないのは確かです。奴は陛下の弱みを最大にしようとしたのでしょう。殿下の仰る通り、その場でアズロを断罪しておけば同情票も多かったと思います。ですが、容認してしまった事で、陛下自身も王族の血統を詐称した罪に問われてしまう。その秘密を共有している事がやつの強みだと。カルヴァンはアズロと手を組みました。国の中枢を握れると思ったのでしょうね。具体的には行政のトップである宰相になれると。」
僕と両親が顔を見合わせる。
一歩間違えれば、ミリアンナの夢の通りにカルヴァン伯爵が宰相になっていたのだ。
「アズロとカルヴァンがミランダ妃を正妃に挿げ替えろと言い出しましたが、前エストロジア公爵含むエストの五家が譲らず、それは阻止されました。ですが、それで余計にアズロはエストロジアを憎む様になりました。あわよくばフランクリンを次期王にしてこの国を乗っ取れたのにと。恐ろしい事です。」
「おかげで、邪魔な僕も何度も命を狙われる羽目になってる。僕が死ねば次の王太子はフランクリンだと思ってるんだろうよ。」
「え、まさか、学園で一人で食事してるのも、盛られる薬って媚薬じゃなくて⁈」
「阿呆、毒薬に決まってるだろう。まだ僕は14歳だぞ?既成事実作るには早すぎるわ!」
殿下が真っ赤になって叫ぶ。
うわぁ、思ってた以上にハードな人生歩んでたんだなぁ。
御免なさい、もう馬鹿にしません。
「エストロジアを狙っている。具体的に何か計画があるのでしょうか?」
父が質問する。
今後の事が既に計画されているのかどうか。
つまり、僕たちを殺そうとしているのかを確認する為だ。
「これは、仮定としてお考え頂きたいのですが。」
「どういう意味でしょう?」
「そうですね、ある方の忠告、いえ予言、、、とでも言いましょうか。」
「‼︎」
宰相の言葉に、ある人の顔が浮かんだ。
サラサラのプラチナブロンドにアメジストの様に煌めく瞳の、おそろしく整った顔立ちの少女。
「リンドバーグ公爵家の姫君のご覧になった予知夢の話です。」
ユリアーナ様‼︎
「ああ、そういえば、予知夢をご覧になると聞いた事が、、、、?」
両親が僕を見たので頷く。
そして揃って宰相の方に振り向くと、宰相は頷いて続けた。
「はい。私がラジアンで過ごす様になって5-6年ほどがたったでしょうか。もうエストに帰るつもりはなかったので、ラジアンの王宮に士官していたのですが、急遽リディアム卿に呼ばれましてね。その時初めてユリアーナ様にお会いしたのです。ユリアーナ様は私の顔を見るなり、「よくぞ生きてて下さいました!」と、仰ったのです。」
「「「え?」」」
「当時、ユリアーナ様は7歳でしたか。おそろしくしっかりなさったお方でね。聞くと、彼女は未来を夢で見るのだとか。俄かには信じられませんでしたが、私しか知らないはずのアズロでの出来事を語られてしまって、信じざるを得なくなりました。また、リディアム卿からユリアーナ様が予知夢を見られる事は秘匿されているとも。」
そこで一息ついた宰相が僕たちを順に見つめた。
「皆様もご存知だったのでしょう?ユリアーナ様から、サイラス殿は知ってるから話しても平気だとお聞きしておりましたよ。」
「はい。以前お会いした際にお聞きしています。ミリアンナの事を色々当てられたので、僕もそれは本物だと思っています。」
宰相は一度大きく頷いて続けた。
「その予知夢でご覧になったそうです。このエスト王国とラジアン王国の未来を。」
果たしてそれはミリアンナの見た未来と同じものなのか。
僕たち家族は目を見開いて身動きもできなかった。
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