誰かこの子のお父さんをしりませんかぁ?

かみい

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17◇悪い人はいませんかぁ?◇

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警戒していても悪い人は傍によってきます。
アイリの戦いが始まります?

戦っていますよ、これでも・・・





~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇







森から出る最後の木の影から周囲を注意深く見まわす。
見る限りでは人影もおらず、獣の気配すらもしない。

町への門が近い森の出口。
それでも見える距離にあるわけではない。
街道からは少し外れたところだから走ってまずは街道に出れば、魔除けされているので安心できる。

一先ずだけど・・・ね

誰も、何もいないことを目視すると一歩足を踏み出す。
そのあとはとにかく、足をできる限り一生懸命前に出す。
とにかく走る。
一生懸命走る。
息が切れても走る。

流れる景色が緑濃いものから、人が植えたであろう人工的な規則正しい間隔に生い茂る植え込みが見えた。

・・・もう少しで街道が見える・・・

「ちょっと、あなた」

まだ人影がない、もう少しで門近くの街道に出るところで声をかけられた。

足を止めて息を整えながら振り向けば、胸当ての簡易な防具を身に着けた冒険者風の男女が立っていた。
背の高い紺色の髪の男性と、平均的な女性の身長のオレンジの髪をした女性。女の人は防具の上にマントを羽織ってる。年は私よりも少し上なのが分かるが見たことのない顔だった。
この町の冒険者ギルドに所属登録をして随分と経つ。
入れ替わりが激しいギルドの中で、ここ最近は近隣のダンジョンが乱立してきたことで冒険者たちにとってはレベルアップに勤しむいい場所に恵まれたという。長期滞在してダンジョンアタックをしている冒険者達がおおいから、あまり顔ぶれが変わらない。
声はかけてもらうことは少ないけど、顔は大体覚えてる。
なんとな~くこの人はギルドで見るよねぇって感じだけどね。名前も知らない。

でもこの人たちは正真正銘初めて見る。
特に女の人なんてこんなに目立つ出で立ち。冒険者なのにバッチシ濃いメイク。見るからに不自然すぎるほどのつけまつげバッサバッサだもん。一度見たら忘れられない顔ですね。

「はぁはぁっ、なんで、しょう、か?」

走って切れ切れの息を吐きながら返事をした。
見知らぬ人とはいえ相手は明確にこちらに訪ねてるわけだし、でも、できれば早く町の中に入りたかった。普通は息を整えてから返事をするべきだけど急いている気持ちからそんな変事になってしまった。

「・・・いえね、ちょっと聞きたいことがあって」

女の人は男性のほうに意味ありげな視線を送りながらにこやかな顔を受けべて話してくる。
その声の甘やかな声音だけど、なんだかゾワゾワする。
いやな感じ。
なんだかよくアシュトンさんたちにお近づきになりたいけどできない、その鬱憤をこちらに向かわせてくる人たちに似ている。けどそーゆーあからさまな感じはしない。でもなんだか・・・嫌な、カンジ?

「・・・なんでしょう?急いでますので手短にお願いします」

聞かれるであろう事柄に全く心当たりがないけどね。
私の返事を聞いた女の人はにこっと笑顔を深くして、すっと私の持ち物を指さして聞いてきた。

「それ。その籠の中、特別クエストの薬草かしら?」

妖精の森の隠れた池の薬草採取依頼は、『特別クエスト』と呼ばれている。経験値よりも報酬金額がいい依頼だ。


閑話
普通はレベルに合わせて、経験値と報酬額は比例しているものだけど『特別クエスト』だけは違う。
ほぼ経験値よりも報酬額が多いというのが多い。ほかにも珍しい当別クエストでは経験値がべらぼうに高くって、報酬はその時に手に入るアイテムを上げるからというものがある。これは大概、小さな村などを襲う魔物を倒してほしいが報酬がそれに見合うだけ出せない貧しい地域に多い。
今の冒険者たちは勇者アーサーに憧れている人が多い。勇者の自己犠牲のもと人々を守った話は、人々の心に強くあり多くの冒険者が引き受けている。
むしろ取り合いになるほどの人気の依頼らしい。
何しろその助けた村の人々にとってはその人勇者の様にあがめられるんだもの、とういうらしい。
私はその特別クエストは受けたことはないのでその辺はわからない。




私が受ける『特別クエスト』は私しかできないといわれているものだけ。
昨日の魔石の依頼も同じだ。
特殊能力を買われて依頼されるのだけど、あまり吹聴したくはない。
無理な依頼を個人的にされないためだ。レベルが低く日戦闘員冒険者に対して無理強要されても対抗する術が少ないから。
それ以外にも私のような非戦闘系冒険者にはいろいろ危険があるらしい。
自分のスキルは秘密にしておたほうがいいとみんなからいわれている。

「・・・なんの話でしょうか?」

だからこんな風に呼び止められても答えは一択。
とぼけるにかぎる。

頬に手を当てて本当にすっとボケてみる。
そのあとににこりとうっすら微笑む。
所謂愛想笑いだ。
平和ボケのニホンジン感覚はなかなか抜けない。

「とぼけるのね・・・ふ~ん」

女の人の声は変わりないけど、いやな感じはいまだに収まらない。
愛想笑いを浮かべた頬が引きつる。

「わかってるんだけどなぁ」

そう言いながらニヤニヤ強気な笑みを浮かべている女。

嫌だ・・・この人。

そして気が付く、女の人の横にいた男の人が気が付くといないことに。
さっきまではいた。
そして今はいない。




バン!!!!




後ろから大きな音共に衝撃が空気を揺らす。
実際にはこちらには実害はない。
大きな音がしたというだけ。

「んん~、ままぁ~ちゅいたぁ?」

大きな音に目が覚めたのか、背中でむにゃむにゃ声を出すマナ。

「あら?起きちゃった?まだ着いてないから寝ててもいいよ」

森の中のような半覚醒のマナ。
何もないように声をかければ、は~ぃ・・・と消えそうな声で夢の中に落ちていってくれた。よく寝るいい子だ。母の気持ちをよくわかってる。
こんなわからない状況でマナに気遣って抜けるほど私は経験値高くないもんね。

「グァ!!!!!」

「キャァー!ヘンリー!」


さて、私の後ろからした衝撃音は音と同じく相手にその威力を与えてくれた。
森を出る前にかけた結界には、悪意を持って仕掛けられたのと同じだけの攻撃を跳ね返す魔術を組み込ませてある。どういう仕組みかって?ただ単に私たちは守られて攻撃してくる人にはそれに見合った報いを名付けて『因果応報・自業自得』の防御結界です。

目の前の女の人に注意を惹いておいて、いつの間にか後ろに回っていた男性のほうが攻撃を仕掛けてきたらしい。

やめてよ!
背中にはマナがいるっていうのに!!
冗談じゃない!!!

「なにするんですか!」

「そっ、それはこっちのセリフよ!ヘンリーになにしたのよ!!!」

女の人は私の後ろに衝撃で吹っ飛ばされて離れたところで伸びている。
言っとくけどそんなに強いものじゃないよ。
相手の攻撃と悪意をそのまま跳ね返すんだから、そんなに強い衝撃ってことはそういう意思をもって至ったことになる。本当に自業自得だ

「私たちに攻撃を仕掛けようとしたのはそっちでしょ」

「何よ・・・。いいからそれをこっちによこしなさい!」

何もしてないであろう私があの男の人に何をしたのはわからない女性は、男の人が動くことがないことに恐怖しているみたいだけど、見るからに非戦闘員の私だからかちょっとパニックになりながらも大声を出す。
って言うか、そうですか獲物の強奪ですか?
それが目的ですか?

私の目の前で掌に炎の球を出した。

「子連れなんだから早く降参してこっちのそれをよこしなさい!」

炎の球をさらに増やして見せる。
脅しかな?
ヒューバートさんの魔法で見慣れてる火球。だっけどヒューバートさんのそれよりも小さく見える。
ヒューバートさんがだす火球はバスケットボールくらいあるけど、この人のはソフトボールくらいかな?ヒューバートさんなら一度に10個は出すけどこの人は1づつ出して、でも3個が限界なのかそれ以上は出してこない。

って言うか!
子連れってわかって攻撃してきたの?
何考えてるのよ!!!

うちのかわいいマナが怪我したらどうしてくれるっていうの!!!!!

「バッカっじゃないの!あげるわけないでしょ!!!」

もう!怒ったもん。

吐き捨てるように怒りをあらわにしたら、女の人は見るからにびくってした。
反撃なんてないと思っていたんだろうな。
どこで私を知ったのかは知らないけど、アシュトンさんたちパーティーにいる私は弱っちそうにみえたんだろうなぁ。
実際にそうだから反論はしないけど、非戦闘員は戦えないなら戦えないなりに考えて行動するもんです。ましてや私はマナをつれて行動してるんです。
RPGの鐵板!『攻撃は最大の防御』っていうのなら私は『防御なくして攻撃なし』ではなく『防御は最大の攻撃に転ず!!!』ですそれがこの『因果応報・自業自得の防御結界』なのです

「大体!子供がいるってわかってるくせに攻撃するってどんなだけ非人道的人格者なのよ!!!
貴方を捕まえてギルドの保安に突き出します」

「うるさいうるさいうるさい!!!!」

私の結界はクレイさんのお墨付きをいただいているくらいすごいらしいのですが、それでも心配。
マナを連れている以上は、結界用心結界用心を重ねてもいいくらいなのです。
とはいえ、結界の重ね付けは想像がつかないのでいまだにできていないのですが。
一度してみたくて、ヒューバートさんに相談をしたけど何故か絶句されました。
そのあとなんでそんなこと聞くのって言われたので「思いついたから」って言ったらスキップをしてさっていかれました。
なんでだろう?

まあ、それはいいけど目の前の悪い女の人(マナに害しようとした人はみんな悪い人です)=略して悪女は喚き散らしながら火球をこっちに投げ飛ばしてきます。

それらは結界に憚れて消えていきます。
魔法攻撃に対しては反射攻撃は作動されないようで火球は結界に溶けて消えるだけ。
こちらに害はない。
でも目の前に迫る火の玉に思わずビクっと身を竦める。
だって怖いでしょ!普通に!!!

手から離れた火球がこちらに届かないと気が付いた悪女はさらに魔術を繰り出してさっきよりも大きな火球を飛ばしてくる。それらも結界にジュッと音をたてて消えたけどキリがない。
私からの攻撃は、難しい。
攻撃魔法なんてしたことない。
物理的攻撃をしてくれれば、さっきの連れの男性のように反射攻撃がされるんだけど・・・

このままじりじりと悪女の魔力切れを待つしかないのか・・・
でもマナがいるからできれば早くここを切り抜けたい。

手に持っていた魔石、赤の魔石を手に取り悪女に向けて投げる。

前世でも非力、運動音痴の私の力いっぱい投げた魔石は、結界の外に出ただけで悪女までは程遠くに落ちた。
ぽてんっとなんとも情けない効果音と共に生い茂った草の上に。
悪女も私が攻撃をすると思ったのか身構えていたが、繰り出された石は届くことなく、寧ろアイリたちの近くだといったほうがいいところに落ちた。

「あはっ、ハハッ!なにこれ?それで攻撃でもしているの?防御しかできないなんてね、って!なに?!」

悪女はその石に近づき石を足先でついてころがした。嘲り笑いながら小ばかにした視線をこちらに寄越して。そして私が攻撃ができないと踏むと近くまで来た距離のまま手に出したさらに大きめの火球を見せつけるようにだす。出した瞬間、悪女の足元にある転がした魔石からピーっという甲高い音と共にモクモクと濃い煙が吹きだす。
煙は白から青、緑、黄、赤、紫と反化して空に高く昇っていく。
昇った先で消えることなくとどまり続ける。

「っち!なんなんだ、コイツは!!!」

思ったよりも色がはっきりとついたなぁとぼんやりとそれを眺めていた私の後ろから声がする。
最初に自分の攻撃で返り討ちにされた悪い男(もう一度言うマナに害しようとした人はみんな悪い人です)=略して悪男が意識を取り戻したらしい。額に手を当てながら頭を振って、持っていた剣を杖にして立ち上がっているところだった。舌打ち付きっていうのはいただけませんね。
目の前には火球を出して上空を見上げていた悪女。それが悪男の目覚めに見上げていた顔をこちらに戻して再び強気な顔で笑っていた。

悪男の打った舌打ちは、さっきの攻撃が返り討ちにされたことなのか、それとも上空に広がる色とりどりの煙に対してなのか。どちらもかな?
体制を整えた悪男の手に剣が握られている。それを見とめてふつふつと怒りがこみ上げる。
後ろから攻撃を仕掛けたまではわかったけど、まさか剣を用いていたなんて。
背中に背負ったマナがいる。もちろん防御は普段から気を付けているけど万が一がある。
もしもそれがマナにあたりでもすればどうなるか!
私だって子連れで冒険者をやる以上、わが身だけでなくマナも守らないといけないことは重々承知だけど!!!

「・・・子供を背負った背後から、切りつけようとするなんて・・・」

怒りで声が震える。
なんて非道なのか!
分かっている冒険なんて危険なことにマナを同行させるこちらがいけないってことも。でも、でもさぁ!こんな小さな子供にまで躊躇なく剣を向けるなんて!!!

「下劣!非道!悪道!自分たちがどれだけひどいことをしているのかわかってるの!!!!」

沸騰した頭で手元にあった魔石を目の前の悪女、後ろの悪男に叫びながら投げつける。
相手にあたる前、空中でその魔石は素早く効果を表した。
魔石は緑色の石。投げる前に魔力を石に流して投げた。
緑に輝き、瞬きをする間もなくそれは、仕込んだとおりに姿を変えた。
緑色の蔦がレースのように編みこまれた大きな網。
蔦にはいくつかの棘もついていてその棘は暴れない限り刺さらないんだけど・・・

「きゃあああ、何これ!」

「うわぁ、イタァっ!なんで絡みついてくるんだよ!」

悪女の方はきれいに頭から全身に網が覆ったが、悪男の方は半身にかかっただけだけど外そうともがいたことで棘が刺さっていったらしい。
その棘に文句を言いながら、持っていた剣で網を切り取っていく。
網はまだ悪男の足に絡まっているから大丈夫

「なんて硬いんだ!刃が負けてる!!!」

そうでしょ、そうでしょう!試しに作ってみたんだけど良い出来だったみたい。
私はこの隙に町に向かえば・・・・

「こんのぉ!行かすもんですかっ!」

頭から網がかかって身動きが取れない悪女は、網の中からだというのに素早く手を払い何か詠唱を始めた。
その声に走り出すために踏み出した足のすぐ前、結界のギリギリに地面を舐めまわすような炎があらわれた。
それはすぐに地に生えた短い草を飲み込みじりじりと広がり、私の、結界の周辺に円を描いた。魔法の炎だけでなく実際に植物にも火が付いているようだ。
脅しの幻想魔法じゃない。
そういえば、今更だけど悪女の投げつけてきた火球も本物、モノホン!
って、あたれば火傷どころの怪我じゃすまされないじゃない!

ヒドっ!

マナにあたったらどうしてくれるのよ!!!

っていうか、本気の魔法みたい。
思ったよりも地面からじわじわと熱が結界内に伝わってきて内部の温度が上がる。
どうしよう!
このままじゃ!蒸し焼き?炙り焼き?だわ・・・水魔法の魔石は・・・

内部の温度を下げるために水か氷の魔石をバックの中に手を入れて探すが、こういう時に限って出てこない。
魔石のほとんどが回復系の魔石だからほかのものが見つけずらい。
しかも視線は、悪女と悪男から離さずに手探りなので時間がかかる。

「んん~~~ん、あちゅぃ・・・う~ん」

背中から苦しそうな声がする。
マナも熱いよね。
ごめんね
早く対策を・・・

「ぎゃっ!」

一瞬マナを確認するために視線を外して、戻すと近くに火球が飛んできた。
勿論、結界に憚れてジュっと消えたけどいきなりのことで驚いて思わず声を上げてしまった。

それに気をよくしたのかまた火球が飛んでくる。

いや、どんだけ魔力があるのよ!
って悪女をみると足元に瓶らしきものが落ちている!

MPポーションだ、あれ!
いつの間に回復したのよ!

そんな永遠ループじゃないの!

蒸し焼きにされちゃう!!!


顔から血の気が引いたそのとき
ふわっと体が浮いた気がした。

否、浮いた。

シャボン玉の中で浮いたような浮遊感で気が付けば暖かな腕の中で守られていた。




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