元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

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貞操の危機

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 翌日の朝、俺が起きようとすると……何故か、体が動かなかった。

 これが世に言う金縛りというやつか!?

 そう思い、何とか動かそうとすると……激痛が走る!

「イテテ! これって金縛りじゃなくて、ただの筋肉痛か?」

「あら、御主人様。おはようございます。どうやら、チャクラを使いすぎたみたいですね?」

「あぁ……そういうことか」

 チャクラは己の内側にある力を解放して使う技だ。
 当然、リミッターを外せば身体に負担がかかる。
 ゆえにそれを行使しすぎると……こういう状態になる。
 例えるなら、三倍界王拳を使った後の悟○といったところか。
 ……これがわかったら、貴方もアラフォーですね!

「ふふ、つまりチャンスですね?」

「な、何がだ?」

「わかってるくせして……それっ!」

「ヒャァ?!? や、やめてぇぇ!」

 カエラが俺の太ももをツンツンしてくる!
 そのたびに、ビリビリと痺れるような感覚になってしまう!

「ふふふ、こんなチャンスは滅多にないですね。今なら、なんでもできそうです……なんでも? ふむ、それは良いですね」

「あのぅ? カエラさんや? めちゃくちゃ怖いんですけど?」

「大丈夫です、ちょっとお着替えを手伝うだけですから。動けないなら仕方のないことです。ええ、これは仕方のないことなのです」

 そう言いながら、ジリジリと俺の体の上に登ってくる。
 その顔は恍惚としており、まるで変態である。

「よ、よだれを垂らしながらくるんじゃない! だ、誰かぁぁぁ!? 助けてぇぇ~!」

「ぐへへへ、誰も助けに来ませんよ? 大人しく、私に食べられると良いです……さあ、まずはズボンから」

「どこの悪代官だっ! こらっ! ぬ、脱がすんじゃない! くそっ! 持ってくれ! オラの身体! 四倍ダァァァァ!」

 チャクラを全体に流して、無理矢理身体を動かす!
 痛みが走るが、どうにかカエラを押しのけることに成功する。

「きゃっ!?」

「へっ、どんなもんだ……あっ」

「あっ、えっ、その……優しくしてください」

 いつの間にか俺が上になり、カエラを押し倒している形になっていた。
 不覚にも、その姿にドキドキしてしまう。

「な、何を言って……」

「きゃー! お兄様がご乱心ですわー! お父様ー! セバスー!」

 いつからいたのかわからないが、マリアがドアから顔を覗かせていた。
 そして、恐ろしいことを口走っている。

「ご、誤解だっ!」

「お、お知らせしないとですの!」

「妹よっ! 待つんだっ! 今日が俺の命日になってしまう!」

「ヨヨヨ、もうお嫁に行けません……これは責任を取ってくれないと」

「ええいっ! 離せっ! ……どうしてこうなったぁぁぁ!?」

 その後、言い訳に労力を費やし……どうにかことなきを得る。

 しかし結局、朝からクタクタに疲れた俺は……その日の授業のほとんどを寝ることに。

 そして気がつけば放課後になっていた。

 そんな中、俺の知らないところで少しの変化があったようだ。

「ねえねえ、獣人の人って肌とか凄い綺麗だけど何かしてるの?」

「男の人を強さだけで見るってほんと?」

「スタイルもすごく良いし、獣人の方ってみんなそうなのかしら?」

「え、えっと、その……」

 メルルが女子達に囲まれて、何やら質問攻めにあっている。
 別に苛めてる訳ではなく、みんな興味津々の様子だ。

「よう、アレク。やっと、お前達のしてきたことが実ってきたか?」

「お疲れ、トール。まあ、そういうことかな。でも、頑張ったのは本人だから」

「まあ、確かにな。今もおどおどはしているが、拒絶をしようとはしてないし」

 確かにテニス部でメルルと部活をしたり、教室内でも遊んだりしてきた。
 そのことで、獣人というより……メルル個人に対する恐怖心が薄れてきたのだろう。
 元々良い子なので、話せば仲良くなるのは道理だ……もちろん、一部を除いて。

「そういうこと。これで、俺たち以外とも遊んだりするでしょ。もしかしたら、そっちを優先したり」

「それはどうかな? きっと、そうはならないと思うが」

「はい? いや、まあ……マリアの件もあるから、それならそれで良いけど。ただ、その理由は?」

「いや、なんでもないさ。俺は高みの見物と行くか」

「おい、気になることを言うなよ」

「良いんだよ、お前は好きにやれば良い。その代わり、こっちも好きにやるだけさ」

 俺がどういう意味か聞こうとすると、メルルを見守っていたセレナがやってくる。
 ちなみに、今日は一緒に国王陛下に会うことになっていた。

「アレク、そろそろ行くわよ」

「メルルはいいのか?」

「流石にお父様を待たせるわけにはいかないわ。それに、メルルが自分で頑張りますって言ったから。どうやら、マリアちゃんと話したことが良かったみたい」

「それは良いことだが……どういう意味だ?」

「自分はチャンスがあるのにしないのは違うのかなとか……マリアちゃんは生まれ故に仕方のない部分があるのにって」

「ああ、そういうことか……うん、そうだな」

 マリアは自分が望んでも手に入らないモノが多すぎる。

 ……その願いを叶えてあげるのも、兄である俺の役目か。

 そのためにも、国王陛下に会わないといけないってわけだ。




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