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ムカついた理由
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……やってしまったァァァァ!
何を俺は王太子と第二王妃に喧嘩を売っているんだ!?
あんな安い挑発、適当に流せばよかったのに!
あまりにムカついたから、つい口を出してしまった!
……ん? 俺は何にムカついたんだ?
今更、スペアだ第二王子風情とか言われて怒るような俺じゃないんだけど。
「ア、アレク……」
「ん? どうした?」
「そ、そのぅ……なんでもなぃ」
振り返ると、その顔は真っ赤になっていた。
それこそ、耳まで赤くなるくらいに。
なるほど……セレナも怒ってるってわけか。
それなのに我慢して……俺よりも、よっぽど大人だな。
「平気か? よく我慢したな」
「ふえっ? な、なんの話?」
「いや、あいつらに言われたことがムカついてるから顔が赤いのかと」
「……ち、違うわよ……ずっと手を繋いでるからだし……それに、私を庇って助けてくれたから……」
「聞こえないのだが?」
「う、うるさいわねっ! いつまで手を握ってるのよ!」
「あっ、悪い悪い。もう、ここまでくれば平気だな」
「ぁ……むぅ」
ひとまず手を離して、後ろを振り返る……よし、追ってきてはいないと。
あの二人に、これ以上難癖つけられるのは勘弁だからな。
流石に俺も、あの二人と喧嘩になるのは面倒である。
まあ、あの二人も本気で事を構える気はないだろうし。
「それにしても相変わらずって感じだな。昔と変わらず、嫌味ったらしい人だ。別に対して騒いでもいないっていうのに」
「……そうね。でも、良かったの? また、アレクが目をつけられるんじゃ……」
「それならそれで、こっちもやりようがあるさ」
「……変わったわね、アレク。昔は絡まれても、謝ったりして適当に流していたのに」
「当たり前だろ。別に俺に何か言ってきたなら良い。だが、立場の弱いセレナに向かって言うなら話は別だ」
そうか……俺はセレナが責められたことにムカついたのか。
セレナは第一王女ではあるが、女性ということで立場は強くない。
王太子にはもちろん、王太子を産んだ第二王妃の方が立場は強かったりする。
何より、セレナには負い目がある……自分が男に生まれなかったという。
そうすれば自分が王位を継いで、この国を良くできるのにって言ってたな……。
「わ、私のために?」
「……気のせいだよ」
「そ、そうなんだ……えへへ……あれ~? そうなんでしょ? 私のために怒ってくれたんだ?」
「だから気のせいって言ってるだろ。というか、お前も何を謝ってるんだよ。いつもみたいに、言い返せばいいのに」
「だ、だって……相手は王太子と第二王妃様だもん。私は何の権利もない第一王女だし、私がお淑やかじゃないのは事実だし……」
俺が知らないだけで……もしかして、今までもこういう感じだったとか?
だとしたら、俺にも原因があるな。
元婚約者である俺がしっかりしてなかったから、あれこれと言われたこともあるだろう。
それについて、セレナが俺を責めたことはない。
「次に何か言ってきたら、すぐに俺に言え。これでも第二王子にして公爵家嫡男、何より英雄シグルドの息子だ。正式に王位を継いだわけでもない相手なら平気だろ」
「ど、どうしたのよ? アレクって、そういうの嫌いでしょ?」
「別に大したことじゃない。ただ、お前には……お淑やかなんか似合わないんだよ。というか、無理に決まってるし。だから、あんなのは気にしなくて良い」
「もう! 私だってお淑やかくらいできるわよ! でも、アレク……ありがとぅ」
「無理無理。というか、お淑やかなセレナなんか、俺は気持ち悪くて見てられん」
「ちょっと!? 酷くない!?」
「わー! 悪かった! だから叩くなって!」
どうやら、いつものセレナに戻ったらしい。
なんだかんだで……やっぱり、こいつはこうじゃないとな。
さて、喧嘩を売った形になったが……どうなることやら。
何を俺は王太子と第二王妃に喧嘩を売っているんだ!?
あんな安い挑発、適当に流せばよかったのに!
あまりにムカついたから、つい口を出してしまった!
……ん? 俺は何にムカついたんだ?
今更、スペアだ第二王子風情とか言われて怒るような俺じゃないんだけど。
「ア、アレク……」
「ん? どうした?」
「そ、そのぅ……なんでもなぃ」
振り返ると、その顔は真っ赤になっていた。
それこそ、耳まで赤くなるくらいに。
なるほど……セレナも怒ってるってわけか。
それなのに我慢して……俺よりも、よっぽど大人だな。
「平気か? よく我慢したな」
「ふえっ? な、なんの話?」
「いや、あいつらに言われたことがムカついてるから顔が赤いのかと」
「……ち、違うわよ……ずっと手を繋いでるからだし……それに、私を庇って助けてくれたから……」
「聞こえないのだが?」
「う、うるさいわねっ! いつまで手を握ってるのよ!」
「あっ、悪い悪い。もう、ここまでくれば平気だな」
「ぁ……むぅ」
ひとまず手を離して、後ろを振り返る……よし、追ってきてはいないと。
あの二人に、これ以上難癖つけられるのは勘弁だからな。
流石に俺も、あの二人と喧嘩になるのは面倒である。
まあ、あの二人も本気で事を構える気はないだろうし。
「それにしても相変わらずって感じだな。昔と変わらず、嫌味ったらしい人だ。別に対して騒いでもいないっていうのに」
「……そうね。でも、良かったの? また、アレクが目をつけられるんじゃ……」
「それならそれで、こっちもやりようがあるさ」
「……変わったわね、アレク。昔は絡まれても、謝ったりして適当に流していたのに」
「当たり前だろ。別に俺に何か言ってきたなら良い。だが、立場の弱いセレナに向かって言うなら話は別だ」
そうか……俺はセレナが責められたことにムカついたのか。
セレナは第一王女ではあるが、女性ということで立場は強くない。
王太子にはもちろん、王太子を産んだ第二王妃の方が立場は強かったりする。
何より、セレナには負い目がある……自分が男に生まれなかったという。
そうすれば自分が王位を継いで、この国を良くできるのにって言ってたな……。
「わ、私のために?」
「……気のせいだよ」
「そ、そうなんだ……えへへ……あれ~? そうなんでしょ? 私のために怒ってくれたんだ?」
「だから気のせいって言ってるだろ。というか、お前も何を謝ってるんだよ。いつもみたいに、言い返せばいいのに」
「だ、だって……相手は王太子と第二王妃様だもん。私は何の権利もない第一王女だし、私がお淑やかじゃないのは事実だし……」
俺が知らないだけで……もしかして、今までもこういう感じだったとか?
だとしたら、俺にも原因があるな。
元婚約者である俺がしっかりしてなかったから、あれこれと言われたこともあるだろう。
それについて、セレナが俺を責めたことはない。
「次に何か言ってきたら、すぐに俺に言え。これでも第二王子にして公爵家嫡男、何より英雄シグルドの息子だ。正式に王位を継いだわけでもない相手なら平気だろ」
「ど、どうしたのよ? アレクって、そういうの嫌いでしょ?」
「別に大したことじゃない。ただ、お前には……お淑やかなんか似合わないんだよ。というか、無理に決まってるし。だから、あんなのは気にしなくて良い」
「もう! 私だってお淑やかくらいできるわよ! でも、アレク……ありがとぅ」
「無理無理。というか、お淑やかなセレナなんか、俺は気持ち悪くて見てられん」
「ちょっと!? 酷くない!?」
「わー! 悪かった! だから叩くなって!」
どうやら、いつものセレナに戻ったらしい。
なんだかんだで……やっぱり、こいつはこうじゃないとな。
さて、喧嘩を売った形になったが……どうなることやら。
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