元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

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出発前

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それから慌ただしい日々が過ぎていく。

俺は連日親父にボロボロにされるし、相変わらずカエラには襲われるし。

そのせいで週末にはダウンしてしまった。

そのせいでセレナが遊びにくる話はなくなった……もちろん、次の週にはやってくるが。

流石に俺が可哀想と思ったのか、マリアが親父とカエラを諌めたり……。

ただし、そのおかげがチャクラを使ってもそこまで疲労感を感じなくなってきた。

あれだな、筋肉痛になった後に筋肉がつく感じかな?

そして……あっという間に林間学校の日がやってくる。 

「お兄様、お身体は平気ですの? ごめんなさい、私がけしかけてしまって……」

「いやいや、お前のせいじゃないさ。俺がひ弱なのが原因だよ。全く、情けないことに」

「うむ、そうじゃ、お主は鍛え方が足らん」

「そうですよ~結局、貞操は奪えませんでしたし」

「お・と・う・さ・ま? カ・エ・ラ?」

「ぐぬぬっ……儂も悪かったわい」

「す、すみません、お嬢様」

マリアの冷たい視線に二人が縮こまる。
相変わらず、我が家最強は妹であるようだ。

「もう良いって。それじゃあ、行ってくるわ。二泊三日の予定で、帰るのは夜になるかな」

「お気をつけてくださいね? その、戦闘訓練もあるとか……」

俺は不安そうにしているマリアの頭を優しく撫でる。
この子は昔から心配性だからな。

「帰ってくるから安心しなさい。まあ、校外学習だし平気だろ。何より、俺は適当に手を抜いてやるさ」

「アレクよ、今なんと言った?」

「げげっ!? そ、それじゃ!」

「ふふ、いってらっしゃいませ」

「御主人様、お気をつけて」

親父にどやされる前に、俺は家を飛び出すのだった。
学校に到着すると、すでに校門前には馬車が並んでいる。
その周りには生徒達が集まって、先生達の指示でそれぞれの馬車に乗っていく。
そんな中、馬車の窓から身を乗り出して手を振るセレナを発見する。

「アレク~! 遅いわよっ! こっちこっち!」

「へいへい、悪かったよ」

どうでも良いけど、おっぱいがブルンブルン揺れてるのですが?
俺が前かがみになったらどうしてくれんだか……別にどうもしないか。
責任を取ってくれなんて言ったら、色々な意味で人生が終わる気がする。
そのまま、俺も馬車に乗り込むと、すでに二人も揃っていた。

「よっ、アレク」

「アレク君、おはようございます」

「二人共、おはよう」

「これで揃ったわね? それじゃあ、私はノイス先生に伝えてくるわ」

 そう言い、一人馬車から降りていく。
その姿は軽快で、何やらご機嫌な様子に見えた。

「なんだ?  やたらと機嫌が良さそうだが……」

「ふふ、そうですね。セレナちゃん、随分と楽しみにしてたみたいですよ?」

「そうみたいだぜ。まあ、王女様が自由に外に出れるなんて珍しいしな。こんな機会でもないと、中々難しいだろ」

「ああ、そういうことね」

「いや、お前だって珍しいからな? こんなんでも、この国の第二王子に値するんだから。本来なら専属の近衛騎士団が護衛につくところだ」

「こんなんとかいうなし。まあ専属は面倒だから、いないのは助かる」

妖魔の活動が穏やかとはいえ、当然ながら騎士の護衛がいる。
貴族の子供達も沢山いるし、俺とセレナは王族だ。
メルルも国賓扱いだし、何かあったら困るしね。

「ぶっちゃけ、俺やお前より弱い騎士に守られてもな」

「えっ? お二人って、そんなに強いのですか?」

「そういや、戦闘の授業は一緒に受けないもんな。うちは扱い武器によって選択科目に分かれるし」

「それもそうだね。まあ……俺達が特殊なだけだろ」

そんな会話をしていると、セレナが馬車に戻ってくる。

「みんな揃ったから出発するそうよ」

「了解」

「はいっ」

「へーい」

そして、言葉通り馬車がゆっくりと進み出す。

正直なところ……何だかんだ言って、俺も楽しみではある。

記憶を取り戻してからは、初めて外の世界を見ることになるのだから。






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