反逆の英雄譚~愛する幼馴染が処刑されそうだったので国を捨てることにした~

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一章

今後の話

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 ひとしきり再会を喜んだ後、今後の話をすることになった。

「ヨゼフ様、今後はどのように動きますか? 正直言って、俺はこの国に未練はありません。流石に無辜の民を手にかけることはありませんが……腐った貴族達なら剣を振るいます」

 愛する母上はもういないし、父親は俺達を捨てた憎っくき相手だ。
 そして、後妻であるあの女も……その子供には、そこまでは思わないがな。
 だが、大事な部下達も国を出た。
 そうなると、俺は本当に未練がない。

「クロウに賛成ですね、アイツらは万死に値する。あとで悔いればいい……我々がいたから、平和を享受できていたことを」

「お主達の気持ちはわかる……だが、そうもいかん。そうなると全面戦争になり、この辺境伯領も無事では済まないだろう。だが、許せないのも事実だ。ただ、現皇帝の考えがよくわからない。あやつは腐ってはおるが、そこまで愚かではなかったはず……だからワシも、カグヤを泣く泣く送り出したのだ」

「そうなのですか?  俺はよく知らないのですが……カグヤは会ったことがあるのか?」

 すると、カグヤが気まずそうに目を伏せる。

「ええ、何度か。ただ、その……舐め回すように見られてる気がして……」

「まあ、現皇帝は大の女好きでな……」

「はい決定、滅ぼします」

「よく言ったクロウ! 私と今のお前なら殺れる!」

 俺とエリゼが今すぐにでも動き出そうとすると、ヨゼフ様が止めに入る。

「やめんか! 全く、昔から変わらんな。カグヤのことになると、見境いがなくなる……ワシもじゃが」

「二人とも、私は大丈夫よ。ショックだったけれど……皆がいるもの!」

「ああ、俺が側にいる」

「おい、私の台詞をとるな」

俺とエリゼの間に火花が散る。

「だからやめんか!  はぁ……というわけで、ひとまずは様子見じゃ。もちろん、何が起きても良いように準備はしておくがな」

「私もそれで良いわ。流石に民が犠牲になるのは心が痛むもの。もちろん悔しいし、恨む気持ちはあるけれど……今は、少し休みたいかな」

 俺は馬鹿か。
   カグヤは今まで頑張ってきたから、休ませてあげなくては。
    その間は、俺が安らかに過ごせるように頑張ろう。

「すまない、自分の気持ちを押し付けてしまうところだった」

「お嬢様……申し訳ありません。お嬢様のお気持ちを無視し、自分の感情を優先しようとしてしまいました」

俺とエリゼは、カグヤに向かって頭を下げる。

「ううん、いいの。二人とも私のことを大事に思ってくれていることは、わかっているから……」

「さて、まとまったようじゃな。でだ、クロウ」

「はい、なんでしょうか?」

「お主はカグヤを連れて、マルグリット王国へ行ってもらいたい」

 ヨゼフ様は、そう言い頭を下げるのだった。





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