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一章
カイル皇太子視点
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俺は、この国の皇太子だ。
この大陸で一番豊かで広い国にして、支配地域の多い国だ。
つまり、この大陸で一番偉いということだ。
もちろん父もいるが、アレは実質いないようなものだ。
「それを、あの女め……!」
ちっとも触らせないくせに、口ばかり達者で俺に説教する女め!
何が結婚まではいたしませんだ!
俺様がやらせろと言ったらやらせろってんだ!
「何が民のために行動しろだ!」
あんなものは放っておいても、すぐに増えるだろう!
いくら死のうが構わんではないか!
むしろ、もっと税金を納めろ!
「兵士達は大変?」
そんなの知ったことか!
国を守るのが、兵士の役目だろうが!
つべこべ言わずに、戦えってんだよ!
「チッ……本当に、腹の立つ女だったな」
なまじ見た目がいいだけに、なおさらのことだ。
だから、無実の罪で死刑にまで追い込んだのだが……逃げられる始末。
「くそっ! 腹立たしい!」
……だが、もっと業腹《ごうはら》な奴がいる。
「この俺をゴミを見るかのような目で見やがって……!」
あのクロウとかいう男だ。
あいつのせいで、カグヤには逃げられた。
しかも……皇太子である、この俺を殺そうとしやがった!
「許せるわけがないだろうが!」
カグヤもクロウとかいう奴もムカつくぜ!
全ての民は、俺に傅かなくてはならないんだ!
……必ず、二人とも殺してやる!
そんなことを思いつつ荒れていると、女が寄りかかってくる。
「大丈夫ですか?カイルさまぁ」
「ああ、大丈夫だ。少しイラついただけだ」
「あら……では、私が忘れさせてあげますわ」
「ふふ、良い心掛けだ。やはり、そうでなくてはな」
全く、これがあるべき女の姿だろうに!
ククク……そうだ、良い考えを思いついたぞ。
ことを済ませすっきりした俺は、考えをまとめる。
「どうですか? スッキリいたしましたか?」
「ああ……おい! 誰かこい!」
すると、すぐに衛兵がやってくる。
「皇太子殿下、お呼びでしょうか?」
「ああ、バーグ侯爵を呼べ。今すぐにだ」
「畏まりました。すぐに呼んでまいります」
「お父様をですか?」
「ああ、どうなったかを聞かなくてはな」
すると、五分も経たずにバーグ侯爵がやってくる。
「この俺を待たせるとは……と言いたいところだが、お前だから勘弁してやろう。
こんなに良い女をくれたし、邪魔な奴やうるさい奴らを消してくれたからな」
コイツは、俺が皇太子になる前から仕えてる。
さらに俺に説教する古い貴族や、帝位を狙ってくる奴らを秘密裏に消してくれた。
だから俺は、コイツを宰相にした。
有能だし、俺様の言うことを聞くからな。
ついでに、親父のことも壊してくれたしな。
「カイル殿下の懐の深さに感謝いたします。それで、いかがなさったのでしょうか?」
「あれからどうなった? 色々と説明をしろ」
「畏まりました。まず、あの二人は行方不明になった模様です」
「なんだと!?どういうことだ!?」
その言葉に、俺は近くにある壺を割る。
せっかく、良い作戦を思いついたというのに!
「辺境伯から言われました。そちらこそ、どこにやったと。おそらくは、マルグリット王国に逃げたのだと思います。なので、追手を差し向けております」
「なるほど……動いているならいい。それで、大丈夫なんだろうな? お前が言ったんだぞ? 辺境伯は、最終的には敵にまわらないと……カグヤより、国を優先すると」
「ええ、大丈夫です。あそこの辺境伯は民を見捨てられませんから。多少の抗議はありますが、結果的に娘も死んでいないので収まるでしょう」
「だが、俺はあの女を捕まえたいぞ!」
あの女は、俺に跪かせてやる。
それこそ、命乞いをするまでな。
「ご安心を。カグヤのみを極秘裏に捕まえ、こちらに運べばよいのです。カグヤには、このまま行方不明になってもらいましょう。何しろ、辺境伯本人も知らないと言っておりますから」
「なるほど……ククク、お前も悪いやつよ。それで、西の戦線は? あの、クロウとかいう奴がいないとまずいのか?」
「いえ、問題はありません。所詮は一人の兵士です。さらに新たな辺境伯は父親とは違い、指揮官として優秀です」
「そうか、ならいい。この皇都にさえ、被害が及ばないならな」
「これで、しばらくは問題ないはずです。あとは、ゆっくりと地盤を固めてまいりましょう」
「それらは、お前に任せる。俺は、ここでのんびりするとしよう」
すると、再びマリアが身を寄せてくる。
「ねぇ、お父様ぁ。もういいでしょう?」
「そうだな。ではカイル殿下、下がってもよろしいでしょうか?」
「ああ、下がっていい」
「では、失礼いたします。マリア、しっかりな」
「はぁい、お父様」
「大丈夫だ、こいつはよくやってくれている」
「カイル様ぁ……私、もう……」
ククク……更に良いことを思いついた。
カグヤを捕まえたら、犯してやろう。
それも、あのクロウとかいう奴の目の前でだ。
騎士団長も、準備さえしてしてればクロウなどに不覚をとることはないと言っていた。
ハハハ!今から楽しみだ!
さぞかし気分が良いことだろう!
この大陸で一番豊かで広い国にして、支配地域の多い国だ。
つまり、この大陸で一番偉いということだ。
もちろん父もいるが、アレは実質いないようなものだ。
「それを、あの女め……!」
ちっとも触らせないくせに、口ばかり達者で俺に説教する女め!
何が結婚まではいたしませんだ!
俺様がやらせろと言ったらやらせろってんだ!
「何が民のために行動しろだ!」
あんなものは放っておいても、すぐに増えるだろう!
いくら死のうが構わんではないか!
むしろ、もっと税金を納めろ!
「兵士達は大変?」
そんなの知ったことか!
国を守るのが、兵士の役目だろうが!
つべこべ言わずに、戦えってんだよ!
「チッ……本当に、腹の立つ女だったな」
なまじ見た目がいいだけに、なおさらのことだ。
だから、無実の罪で死刑にまで追い込んだのだが……逃げられる始末。
「くそっ! 腹立たしい!」
……だが、もっと業腹《ごうはら》な奴がいる。
「この俺をゴミを見るかのような目で見やがって……!」
あのクロウとかいう男だ。
あいつのせいで、カグヤには逃げられた。
しかも……皇太子である、この俺を殺そうとしやがった!
「許せるわけがないだろうが!」
カグヤもクロウとかいう奴もムカつくぜ!
全ての民は、俺に傅かなくてはならないんだ!
……必ず、二人とも殺してやる!
そんなことを思いつつ荒れていると、女が寄りかかってくる。
「大丈夫ですか?カイルさまぁ」
「ああ、大丈夫だ。少しイラついただけだ」
「あら……では、私が忘れさせてあげますわ」
「ふふ、良い心掛けだ。やはり、そうでなくてはな」
全く、これがあるべき女の姿だろうに!
ククク……そうだ、良い考えを思いついたぞ。
ことを済ませすっきりした俺は、考えをまとめる。
「どうですか? スッキリいたしましたか?」
「ああ……おい! 誰かこい!」
すると、すぐに衛兵がやってくる。
「皇太子殿下、お呼びでしょうか?」
「ああ、バーグ侯爵を呼べ。今すぐにだ」
「畏まりました。すぐに呼んでまいります」
「お父様をですか?」
「ああ、どうなったかを聞かなくてはな」
すると、五分も経たずにバーグ侯爵がやってくる。
「この俺を待たせるとは……と言いたいところだが、お前だから勘弁してやろう。
こんなに良い女をくれたし、邪魔な奴やうるさい奴らを消してくれたからな」
コイツは、俺が皇太子になる前から仕えてる。
さらに俺に説教する古い貴族や、帝位を狙ってくる奴らを秘密裏に消してくれた。
だから俺は、コイツを宰相にした。
有能だし、俺様の言うことを聞くからな。
ついでに、親父のことも壊してくれたしな。
「カイル殿下の懐の深さに感謝いたします。それで、いかがなさったのでしょうか?」
「あれからどうなった? 色々と説明をしろ」
「畏まりました。まず、あの二人は行方不明になった模様です」
「なんだと!?どういうことだ!?」
その言葉に、俺は近くにある壺を割る。
せっかく、良い作戦を思いついたというのに!
「辺境伯から言われました。そちらこそ、どこにやったと。おそらくは、マルグリット王国に逃げたのだと思います。なので、追手を差し向けております」
「なるほど……動いているならいい。それで、大丈夫なんだろうな? お前が言ったんだぞ? 辺境伯は、最終的には敵にまわらないと……カグヤより、国を優先すると」
「ええ、大丈夫です。あそこの辺境伯は民を見捨てられませんから。多少の抗議はありますが、結果的に娘も死んでいないので収まるでしょう」
「だが、俺はあの女を捕まえたいぞ!」
あの女は、俺に跪かせてやる。
それこそ、命乞いをするまでな。
「ご安心を。カグヤのみを極秘裏に捕まえ、こちらに運べばよいのです。カグヤには、このまま行方不明になってもらいましょう。何しろ、辺境伯本人も知らないと言っておりますから」
「なるほど……ククク、お前も悪いやつよ。それで、西の戦線は? あの、クロウとかいう奴がいないとまずいのか?」
「いえ、問題はありません。所詮は一人の兵士です。さらに新たな辺境伯は父親とは違い、指揮官として優秀です」
「そうか、ならいい。この皇都にさえ、被害が及ばないならな」
「これで、しばらくは問題ないはずです。あとは、ゆっくりと地盤を固めてまいりましょう」
「それらは、お前に任せる。俺は、ここでのんびりするとしよう」
すると、再びマリアが身を寄せてくる。
「ねぇ、お父様ぁ。もういいでしょう?」
「そうだな。ではカイル殿下、下がってもよろしいでしょうか?」
「ああ、下がっていい」
「では、失礼いたします。マリア、しっかりな」
「はぁい、お父様」
「大丈夫だ、こいつはよくやってくれている」
「カイル様ぁ……私、もう……」
ククク……更に良いことを思いついた。
カグヤを捕まえたら、犯してやろう。
それも、あのクロウとかいう奴の目の前でだ。
騎士団長も、準備さえしてしてればクロウなどに不覚をとることはないと言っていた。
ハハハ!今から楽しみだ!
さぞかし気分が良いことだろう!
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