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おっさん、異世界に慣れる
おっさん、試験の説明を受ける
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基本の動作を確認しつつ、一時間ほど鍛錬を続ける。
元々の下地があるからか、俺の目から見れば徐々に良くなってきている。
「良いですね」
「ふふ、先生が良いからな?」
そう言い、軽くウインクをしてくる。
不覚にも、ドキっとしてしまった。
「からかわないでくださいよ」
「すまんすまん。しかし、本当に教え方が上手いと思うぞ。こう、なんというか……何回聞いても答えてくれそうな雰囲気を感じるな」
「それなら良かったです。まあ、意識はしてますけどね。料理の世界は結構言い方とかもきつくて、自分が嫌になったんで」
前の世界でもあったが、基本的に新人さんが上達しない場合は上司に責任がある。
教える時間を渋ったり、丁寧に教えたりする人が少ない。
あとは醸し出す雰囲気で、聞き辛くなるパターンとか。
もちろん、本人も大変だけど、それを新人に押し付けるのは違うと思う。
「なるほど……自分が嫌なことをされたから、それを押し付けないか……うん、素敵な考えだ」
「そう言ってくれると嬉しいですね。甘いとか、偽善とか言われたりもするんで」
「少なくとも、私は良いと思う……って、何をまじめに……!」
そして、少し照れ臭そうに頬を赤らめる。
これを突っ込むとは無粋なので、わざとらしく空気を変えることにする。
「では、次は実際に打ち込みをやってみますか?」
「う、うむ! よろしく頼む!」
そうして俺たちは、日が暮れるまで鍛錬を続けるのだった。
そして、キリがいいところで、練習場を後にしようとすると……。
「あっ! いました! ソーマさん!」
「ん? アリスさん?」
隣のギルドからやってきたのか、入り口付近でアリスさんが手を振っている。
俺とクレアさんは顔を見合わせ、そちらに向かうことにする。
「どうしたんですか?」
「いえ、ここで練習をしてるって冒険者の方から聞いたんですよー。今から、少し時間はありますか?」
「ええ、もちろんです」
「では、私は帰った方がいいだろうか?」
「いえ、できればクレアさんにも同席して頂けると助かりますー」
「むっ? 私もか? いや、構わんが……」
「ではでは、お二人共ついてきてください」
そのまま外に出て、冒険者ギルドに入り……以前入ったギルドマスターの部屋に通される。
そこでは、ギルドマスターであるハウゼンさんが待っていた。
「おう、すまんな。稽古してるところだったと聞いたが、少し用事があってな」
「いえ、丁度キリがいいところだったので」
「それなら良かった。さて、日も暮れてるし手短に済ませよう。ソーマ殿よ、確認だが昇給試験を受ける気はあるか?」
「昇級試験……まだポイントは溜まってないと思うのですが?」
地道に依頼をこなしE級になった俺だが、まだD級になるためのポイントは半分くらいだったはず。
「おいおい、忘れてるだろ? お主には、オーガを倒したというポイントが保留されている」
「ですが、アレはC級なはず。ポイントは一つ上までしか適応しないと聞いてます」
「かぁー、真面目な奴だ。それはありがたくて、どっかの冒険者共に聞かせてやりたいくらいだが……まあ、俺自身も誤魔化したりするのは好きじゃない。要するに、お主にはささっと上がって欲しいのだ。他の冒険者のためや、このギルドのためにもな」
「どういうことですか?」
すると、横にいたクレアさんが手を挙げる。
「お話し中、邪魔してすまない。ソーマ殿、貴方は強い。その強さに相応しいランクになって危険な魔物などを狩って欲しいのだと思う。そして仕事も的確だが……それが、低ランクの冒険者達には眩しく見えてしまう」
「……前半はわかるのですが、後半はどういう意味ですか?」
「前提として、お主が悪いわけではないことは言っておく。ただ、その強さと仕事の丁寧さは……他の冒険者達の仕事を見劣りさせてしまう。無論、その者達がきちんとやれば良い話だ。しかし、強さに関しては……私自身も、自分より下ということが疑問ではある」
「……なるほど」
そうか、そういう意味か。
他の冒険者達がやってることが、手を抜いてしまっているように見えるってことか。
そしてランクに見合わない強さが、同じランクの人達の強さを誤解させると。
「クレアよ、言いにいくことを言わせてしまったな」
「いえ、お気になさらずに。最初の通り、彼は私が責任を持つと決めていましたから」
「クレアさん、ありがとうございます」
俺は姿勢を正し、クレアさんにお辞儀をする。
こういうことをきちんと言ってくれる方は貴重だ。
自分が嫌な奴と思われるかもしれないことを、相手に助言することは勇気がいる。
「い、いや、私は別に……」
「クク……まあ、そういうわけだ。お主にはオーガのポイントを使って、D級の昇格試験を受けてもらいたい……良いだろうか?」
「はい、そういう事情ならお受けしたいと思います」
「助かる。それじゃあ、詳しい内容は明日の午前中でもしよう。今日のところは、帰って平気だ」
「わかりました。それでは、明日また来ます」
まあ……不正というわけじゃないし、結果的には良いか。
正直なところ、お金が必要になってくるとは思っていたし。
試験か……どういうことをするのだろうか?
元々の下地があるからか、俺の目から見れば徐々に良くなってきている。
「良いですね」
「ふふ、先生が良いからな?」
そう言い、軽くウインクをしてくる。
不覚にも、ドキっとしてしまった。
「からかわないでくださいよ」
「すまんすまん。しかし、本当に教え方が上手いと思うぞ。こう、なんというか……何回聞いても答えてくれそうな雰囲気を感じるな」
「それなら良かったです。まあ、意識はしてますけどね。料理の世界は結構言い方とかもきつくて、自分が嫌になったんで」
前の世界でもあったが、基本的に新人さんが上達しない場合は上司に責任がある。
教える時間を渋ったり、丁寧に教えたりする人が少ない。
あとは醸し出す雰囲気で、聞き辛くなるパターンとか。
もちろん、本人も大変だけど、それを新人に押し付けるのは違うと思う。
「なるほど……自分が嫌なことをされたから、それを押し付けないか……うん、素敵な考えだ」
「そう言ってくれると嬉しいですね。甘いとか、偽善とか言われたりもするんで」
「少なくとも、私は良いと思う……って、何をまじめに……!」
そして、少し照れ臭そうに頬を赤らめる。
これを突っ込むとは無粋なので、わざとらしく空気を変えることにする。
「では、次は実際に打ち込みをやってみますか?」
「う、うむ! よろしく頼む!」
そうして俺たちは、日が暮れるまで鍛錬を続けるのだった。
そして、キリがいいところで、練習場を後にしようとすると……。
「あっ! いました! ソーマさん!」
「ん? アリスさん?」
隣のギルドからやってきたのか、入り口付近でアリスさんが手を振っている。
俺とクレアさんは顔を見合わせ、そちらに向かうことにする。
「どうしたんですか?」
「いえ、ここで練習をしてるって冒険者の方から聞いたんですよー。今から、少し時間はありますか?」
「ええ、もちろんです」
「では、私は帰った方がいいだろうか?」
「いえ、できればクレアさんにも同席して頂けると助かりますー」
「むっ? 私もか? いや、構わんが……」
「ではでは、お二人共ついてきてください」
そのまま外に出て、冒険者ギルドに入り……以前入ったギルドマスターの部屋に通される。
そこでは、ギルドマスターであるハウゼンさんが待っていた。
「おう、すまんな。稽古してるところだったと聞いたが、少し用事があってな」
「いえ、丁度キリがいいところだったので」
「それなら良かった。さて、日も暮れてるし手短に済ませよう。ソーマ殿よ、確認だが昇給試験を受ける気はあるか?」
「昇級試験……まだポイントは溜まってないと思うのですが?」
地道に依頼をこなしE級になった俺だが、まだD級になるためのポイントは半分くらいだったはず。
「おいおい、忘れてるだろ? お主には、オーガを倒したというポイントが保留されている」
「ですが、アレはC級なはず。ポイントは一つ上までしか適応しないと聞いてます」
「かぁー、真面目な奴だ。それはありがたくて、どっかの冒険者共に聞かせてやりたいくらいだが……まあ、俺自身も誤魔化したりするのは好きじゃない。要するに、お主にはささっと上がって欲しいのだ。他の冒険者のためや、このギルドのためにもな」
「どういうことですか?」
すると、横にいたクレアさんが手を挙げる。
「お話し中、邪魔してすまない。ソーマ殿、貴方は強い。その強さに相応しいランクになって危険な魔物などを狩って欲しいのだと思う。そして仕事も的確だが……それが、低ランクの冒険者達には眩しく見えてしまう」
「……前半はわかるのですが、後半はどういう意味ですか?」
「前提として、お主が悪いわけではないことは言っておく。ただ、その強さと仕事の丁寧さは……他の冒険者達の仕事を見劣りさせてしまう。無論、その者達がきちんとやれば良い話だ。しかし、強さに関しては……私自身も、自分より下ということが疑問ではある」
「……なるほど」
そうか、そういう意味か。
他の冒険者達がやってることが、手を抜いてしまっているように見えるってことか。
そしてランクに見合わない強さが、同じランクの人達の強さを誤解させると。
「クレアよ、言いにいくことを言わせてしまったな」
「いえ、お気になさらずに。最初の通り、彼は私が責任を持つと決めていましたから」
「クレアさん、ありがとうございます」
俺は姿勢を正し、クレアさんにお辞儀をする。
こういうことをきちんと言ってくれる方は貴重だ。
自分が嫌な奴と思われるかもしれないことを、相手に助言することは勇気がいる。
「い、いや、私は別に……」
「クク……まあ、そういうわけだ。お主にはオーガのポイントを使って、D級の昇格試験を受けてもらいたい……良いだろうか?」
「はい、そういう事情ならお受けしたいと思います」
「助かる。それじゃあ、詳しい内容は明日の午前中でもしよう。今日のところは、帰って平気だ」
「わかりました。それでは、明日また来ます」
まあ……不正というわけじゃないし、結果的には良いか。
正直なところ、お金が必要になってくるとは思っていたし。
試験か……どういうことをするのだろうか?
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