57 / 64
おっさん、異世界に慣れる
おっさん、行動を開始する
しおりを挟む
作戦を立てた俺たちは、相手にバレないようにギリギリまで近づく。
俺の気配察知能力は高いので、俺が気づけない距離はあいつらも気づけない。
故に、ギリギリまで攻めることができる。
「……この辺りかと。これ以上進むと危ないかもしれません」
「……わかった。それでは、作戦通りに行こう」
「ええ。それでは、失礼します」
小声で確認して、クレアさんをお姫様抱っこする。
少し汗の匂いがして、不謹慎なことにクラクラしそうになる。
クソ……今はそんな場合ではないというのに。
「く、臭いだろうか?」
「い、いえ、そんなことありません」
「そ、そうか……すまん、へんなことを聞いた」
「いえ、おかげでリラックスできましたよ。さあ、準備はいいですか?」
クレアさんが頷き、準備を始めた。
俺も頭の中で作戦を確認しつつ、それが終わるのを待つのだった。
準備を終えたら、あとはスピード勝負!
クレアさんに抱きつかれながらも、俺はとある壁を刀で切り裂く!
すると、すぐ横には安全地帯への入り口がある。
「な、なんの音だっ!?」
「崩落っすかね!?」
壁が地面に落ちる前に入った俺には奴らの位置がわかるが、奴らにはわからない。
何故なら、壁が崩れたことで土煙が上がっているからだ。
俺はクレアさんに耳打ちする。
「見ました。ここから右斜めに撃ってください」
「ああ——アクアジェット!」
クレアさんの両手から、消防機のホースのように水の鉄砲が放たれる!
そして俺はクレアさんを抱えたまま、安全地帯に突撃する。
「ぐはっ!?」
「ザザ!? ……てめぇは」
クレアさんの撃った魔法は、狙い違わずザザという男に当たった。
それを食らった奴は壁に激突して、地面に倒れこむ。
「クレアさん!」
「わかっている!」
俺の言葉に反応し、クレアさんが俺から飛び降りて走り出す。
気絶しているソラをクレアさんに任せ、俺は刀を抜いてブライに迫る!
「くっ!?」
「……避けたか」
隙をついて放ったが、アレを避けるとは……A級というとは伊達ではないということか。
だが、これで十分だ。
この隙に、クレアさんがソラを確保してくれるだろう。
「ソーマ殿! ソラは大丈夫だっ! あとは好きに暴れてくれ!」
「ありがとうございます! さて……何か言うことはあるか?」
「ちっ、あの役立たずめ。こんなことなら、ささっと殺しておけば良かったぜ」
「……今、なんて言った?」
「あん? おいおい、獣人こどきに何をムキになってんだよ? 頭おかしいんじゃねえか?」
「……その口を今すぐ閉じてやる」
「クク、できるならやってみろ。もともと、人質なんざ要らねえんだよ」
……確かに奴のステータスは、俺とそこまで差はないとか。
こいつに勝つためには、俺も本気でいくしかあるまい。
俺の気配察知能力は高いので、俺が気づけない距離はあいつらも気づけない。
故に、ギリギリまで攻めることができる。
「……この辺りかと。これ以上進むと危ないかもしれません」
「……わかった。それでは、作戦通りに行こう」
「ええ。それでは、失礼します」
小声で確認して、クレアさんをお姫様抱っこする。
少し汗の匂いがして、不謹慎なことにクラクラしそうになる。
クソ……今はそんな場合ではないというのに。
「く、臭いだろうか?」
「い、いえ、そんなことありません」
「そ、そうか……すまん、へんなことを聞いた」
「いえ、おかげでリラックスできましたよ。さあ、準備はいいですか?」
クレアさんが頷き、準備を始めた。
俺も頭の中で作戦を確認しつつ、それが終わるのを待つのだった。
準備を終えたら、あとはスピード勝負!
クレアさんに抱きつかれながらも、俺はとある壁を刀で切り裂く!
すると、すぐ横には安全地帯への入り口がある。
「な、なんの音だっ!?」
「崩落っすかね!?」
壁が地面に落ちる前に入った俺には奴らの位置がわかるが、奴らにはわからない。
何故なら、壁が崩れたことで土煙が上がっているからだ。
俺はクレアさんに耳打ちする。
「見ました。ここから右斜めに撃ってください」
「ああ——アクアジェット!」
クレアさんの両手から、消防機のホースのように水の鉄砲が放たれる!
そして俺はクレアさんを抱えたまま、安全地帯に突撃する。
「ぐはっ!?」
「ザザ!? ……てめぇは」
クレアさんの撃った魔法は、狙い違わずザザという男に当たった。
それを食らった奴は壁に激突して、地面に倒れこむ。
「クレアさん!」
「わかっている!」
俺の言葉に反応し、クレアさんが俺から飛び降りて走り出す。
気絶しているソラをクレアさんに任せ、俺は刀を抜いてブライに迫る!
「くっ!?」
「……避けたか」
隙をついて放ったが、アレを避けるとは……A級というとは伊達ではないということか。
だが、これで十分だ。
この隙に、クレアさんがソラを確保してくれるだろう。
「ソーマ殿! ソラは大丈夫だっ! あとは好きに暴れてくれ!」
「ありがとうございます! さて……何か言うことはあるか?」
「ちっ、あの役立たずめ。こんなことなら、ささっと殺しておけば良かったぜ」
「……今、なんて言った?」
「あん? おいおい、獣人こどきに何をムキになってんだよ? 頭おかしいんじゃねえか?」
「……その口を今すぐ閉じてやる」
「クク、できるならやってみろ。もともと、人質なんざ要らねえんだよ」
……確かに奴のステータスは、俺とそこまで差はないとか。
こいつに勝つためには、俺も本気でいくしかあるまい。
44
あなたにおすすめの小説
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる