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第25話「初めてのデート(という名の戦場)」
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リアの部屋(朝6時頃)
東の窓から差し込む朝日が、質素な軍の個室を淡いオレンジ色に染めていた。しかし、その部屋の住人は一睡もできずにベッドの上で悶々としていた。
「やっべ…緊張してあんま寝れなかった…」
リアは布団を頭まで被りながら、昨夜から何度目かの呟きを漏らした。枕元の時計は午前6時を指している。約束の時間まではまだ4時間もあるというのに、心臓は既に全力疾走を始めていた。
「あたしも変わるとは、セグリットで言ったが、まさかお兄も変わってくるとは思わなんだ…」
昨日の夕方、中庭でのノクスとのやり取りを思い出す。いつもなら強引に押し切ろうとする自分が、恥ずかしくて素直に「デートしたい」と言えなかった。そして、そんな自分を優しくからかいながらも、最終的には「明日はデートだな」と言ってくれたノクス。
(あのとき、ノクスの顔...なんか、いつもと違ってた...)
布団から顔を出すと、鏡に映った自分の髪がとんでもないことになっていた。一晩中寝返りを打っていたせいで、まるで爆発したような有様だ。
「うわあああ!やばい!」
慌てて起き上がり、洗面台に向かう。冷たい水で顔を洗いながら、今日一日のことを考えると胸がきゅっと締め付けられた。
(今日は絶対に失敗できない...ノクスに可愛いって思ってもらうんだ...!)
そそくさと準備を始めようとして、リアは最大の問題に直面した。
「…可愛い服って持ってないんだよなぁ…」
クローゼットを開けると、軍服と孤児院時代の古い服、そして数着の質素なシャツとズボンがあるだけだった。おしゃれな服を買う余裕なんて、孤児院から出たばかりの自分にはない。
「ああいうの高いし…どーしよ」
仕方なく、比較的キレイめな白いシャツ(唯一まともな私服)を手に取る。鏡に当ててみると、確かに清楚で上品だが...
「ぐぁぁぁぁ!!色っぽさがねぇぇぇ!!!」
ベッドに飛び込んで悶える。
「こんなのデートに来て行ったら笑われるぅぅぅぅ」
枕を抱きしめながら「どうしよう、どうしよう」と呟いていると、ふとあることを思いついた。
「仕方ない…スカートで誤魔化すか…」
軍服のスカートを思い切り短く上げてみる。鏡で横からチェックして「う、うん…これなら…」と頬を赤らめる。
「なるべくミニに捲し上げればお兄も男だから、そっちに目が行くだろ…」
顔を真っ赤にしながら「こ、これで勝負や!」と決意を固めた。
ノクスの部屋(同時刻)
一方、ノクスの個室では全く対照的な朝が始まっていた。几帳面な性格通り、既に起床と洗面を済ませ、軽い朝食も摂り終えている。
「なんか昨日のノリで僕から言わせてしまったのが後悔で仕方ない…」
歯磨きをしながら鏡の中の自分に話しかける。表情は困惑しているように見えるが、どこか穏やかでもあった。
(どうした…僕の中のお兄ちゃん…)
完全に嫌がっているわけではない、ということを自分でも薄々感じている。リアの健気な変化や、昨日の素直な一面を見て、少しずつ心境に変化が生まれていた。
「とりあえず、普段着でいっかぁ…」
クローゼットから黒いジャケットと白のタートルネックを取り出す。事務仕事用のジャケットから軍の紋章を外したもので、シンプルだが上品な印象だ。
「これで十分だろう」
淡々と着替えながら、ふとリアの反応を想像してしまう。
「リアのやつ、なんでデートなのに、普段着なの?!もうちょっと気合入れてこいやぁぁぁぁぁ!!とか言ってきそうで怖い」
過去のリアの反応を思い出してげんなりする。でも慣れた様子で「まぁ、いいか」と肩をすくめた。
時計を確認すると8時半。待ち合わせは10時なので、まだ時間に余裕がある。
「ちょっと早めに待ち合わせ場所の噴水前に行くかなぁ…」
本屋で事務仕事用の資料でも見てから待つつもりで、一時間前到着を目指して部屋を出た。
「待たせると怖いし」
そんな呟きからも、リアへの気遣いが感じられた。
噴水前の待ち合わせ場所(9時頃)
王都中央広場の噴水前は、朝の買い物客がちらほらと行き交う、のんびりとした雰囲気に包まれていた。爽やかな風が吹き、噴水の水音が心地よく響いている。
「まだ誰もいないよな」
ノクスは本屋に寄る前に噴水前を通りかかった。約束の1時間前なので、さすがにリアはまだ来ていないだろうと思いながら歩いていると...
「…リア?」
驚いた声を上げた。まさかもう来ているとは思わなかった。
「お、おぉぉお、お待たせ」
慌てた様子で振り返るリア。顔は既に赤く、明らかに緊張している。スカートの丈を気にしながら立っているその姿は、普段の勢いのある彼女とは別人のようだった。
「大丈夫、今来たとこ♪じゃないわ、約束の時間の1時間前だぞ」
時計を確認しながら苦笑いを浮かべるノクス。
「遅刻するなよ。って言ったでしょ」
リアは顔を逸らしながら強がる。実は2時間前から来て待っていたが、それは絶対に言えない。
「言ったが・・・15分前行動でいいじゃないか…」
「いやいやいや待たせたら悪いし!」
本音は、ノクスを待たせるなんて絶対に嫌だった。でもそれを素直に言えないのが、今の自分の限界だった。
「そ…そうか?」
リアの気遣いに少し驚く。意外な一面を見た気持ちになった。
「お、お兄の普段着初めて見たよ、なんか、か、かっこいいね」
恥ずかしそうに上目遣いで見つめるリア。本当にそう思っていて、見とれていた。
「…事務仕事中のジャケットから紋章無くしたようなもんだが…」
照れて首をかきながら答える。自分の服装は適当だと思っているが、リアの反応が嬉しくないわけではなかった。
「そんなことないよ!似合ってるよ!」
必死にフォローするリア。本気で褒めていて、ノクスの反応を見て嬉しそうだった。
ノクスは照れながら、今度はリアの恰好を確認した。
(グヘヘ…どうだ、この限界まで上げたミニスカを…)
内心でドヤ顔のリア。自信満々だが、表面的には恥ずかしそうな振りをしている。
「リアさん」
真面目な顔で呼びかけるノクス。
「な、なんでしゅかっ!?」
急に敬語で呼ばれて動揺。褒められると思って期待していた。
「スカート上げすぎです。やめなさい、みっともない」
兄らしい冷静な指摘。純粋に心配していた。
「…ぐはっ!!」
期待が裏切られて絶望。「みっともない」の一言にダメージ大だった。
「あと、上着は?寒くないのか?その恰好」
気遣いの言葉。でも相変わらず鈍感だった。
リアはスカートを直しながら唸りながら答えた。
「ぐぬぬ…いや、さすがにデートに軍服の上着はねぇわ。と思って」
不満そうにスカートの丈を戻しながら。実は寒いが我慢していた。
「別に普通の上着でいいやん」
「孤児院でもらったボロスカーフしかないからヤダ」
貧乏な現実を素直に打ち明ける。ちょっと拗ねた口調だった。
自身の恰好を指摘されたことに不貞腐れてるリアを見て、ノクスは自然に提案した。
「なら、買いに行くか―」
自然な優しさ。お兄ちゃんらしい提案だった。
「!?デートは!?」
目を丸くして驚くリア。デートが中止になると思って焦った。
「こういうのもデートだろぉー」
軽い調子で言うノクス。悪気は全くなく、むしろ楽しそうだった。
「…あんまお金もってねぇんですわ」
恥ずかしそうに俯くリア。お金がないことを言うのは辛かった。
「…いや、別に奢るからいいよ、ほれ行くぞー妹よー」
当然のように言うノクス。「妹よー」は軽いノリで、深い意味はなかった。
街の商店街(10時頃)
王都の商店街は活気のある朝の買い物風景で賑わっていた。ノクスとリアが並んで歩く姿は、周囲からは仲の良い兄妹に見えた。リアは恥ずかしそうにノクスの後をついていく。
「ここにしよう」
ノクスが立ち止まったのは、小さな服屋の前だった。店頭には可愛らしいカーディガンやブラウスが並んでいる。
店内で、ノクスがリアに似合いそうな薄手のベージュのカーディガンを選んだ。
「こ、こんな可愛いの…いいの?」
リアは恐る恐る袖を通してみる。鏡に映った自分が、いつもより女性らしく見えて嬉しかった。
「寒そうだったから。風邪ひかれても困るし」
ノクスのさりげない優しさに、リアの胸は温かくなった。
「仲良しなカップルですね」
店員さんの何気ない一言に、二人とも慌てて「違います!」と否定した。
商店街を歩きながら、ノクスがふと思い出した。
「朝ごはんは、ちゃんと食べてきましたかー?」
気遣いの質問。年上らしい面倒見の良さが出ていた。
「…食べてない」
俯きながら小声で答えるリア。緊張していて食事どころではなかった。
「寝坊か?」
単純に理由を推測するノクス。
「んなわけあるかっ」
慌てて否定。プライドが許さなかった。実は緊張で食べられなかったとは言えない。
「…なら、昼飯前に軽く食べておくか」
自然な提案。心配していた。
可愛らしいカフェで、ノクスがストロベリーパフェをリアに手渡した。
「ほれ」
何気なく差し出す。見た目も可愛いパフェに、リアの目が輝いた。
「あ、あ、あ、ありがとう」
受け取る手が震えている。パフェの可愛さに目を輝かせるが、ノクスの優しさの方が嬉しかった。
「素直でよろしい」
軽く微笑むノクス。リアが素直に感謝するのが珍しくて面白かった。
パフェを食べながら「甘い…美味しい…」と呟くリア。ノクスを見つめながら「こんなに優しくしてもらって…」と幸せすぎて泣きそうになった。
噴水広場での会話(11時頃)
中央広場のベンチに座る二人。お昼前の穏やかな時間で、鳩が飛び交い、子供たちが遊んでいる平和な風景が広がっていた。
「たまにはこういうのもいいかもなぁ」
ベンチに座りながら空を見上げるノクス。意外とリラックスしていて、普段の忙しさから解放された気分だった。
「…いいの?さっきから」
申し訳なさそうな表情で、膝の上で手をもじもじさせるリア。
「何が?」
きょとんとした顔のノクス。
「いや…さっきから全奢りされてるんですけど…」
気にしている様子のリア。上着もパフェも全部ノクス持ちだった。
「そういうもんだろ、デートなんて」
当然のように言うノクス。悪気は全くなかった。
「いやいやいやいやいや、普通割り勘だよ、誰だよその古い価値観教えたやつ」
現代的な感覚で反論するリア。でも内心は嬉しかった。
「ルクスっていう整備員」
あっさり情報源を明かすノクス。
(ナイスだ!ルクスさん!)
心の中で整備員に感謝するリア。古い価値観に感謝していた。
「まぁ、気にしなくていいよ、お金使う機会がない寂しいお兄ちゃんだから」
自嘲気味に笑うノクス。普段の孤独な生活が垣間見えた。
「…」
ノクスの言葉に胸が痛むリア。急に黙り込んだ。
「なんだなんだ黙り込んで」
リアの様子を心配するノクス。
「それって、あたしたちの式のために貯めてるの?」
期待に満ちた目で見つめるリア。完全に勘違いしていた。
「…」
突拍子もない話になり、ノクスの意識が亜空間に飛んで行った。固まって何も言えない。
「ノクスも…そういうことを考えてたんだね」
顔を真っ赤にして照れるリア。勝手に納得していた。
「ないないない、そもそもお前が会いに来るなんて思ってなかったし」
慌てて手をバタバタ振るノクス。必死に否定していた。
「はぁー?あんなに手紙毎月束で送ってたのにぃー?」
不満そうな顔のリア。手紙のことを持ち出した。
「いや、途中からお前、1通になったじゃないか」
事実を指摘するノクス。
「あれは、乙女心がわからんノクスが悪い」
拗ねた口調のリア。実は反応が薄いから諦めかけていた。
「なんだよそれぇ…」
困惑した顔のノクス。
「全く…それより、お昼は流石にあたしが奢るぜっ!」
立ち上がって意気込むリア。対等でいたい気持ちだった。
「いや、変な遠慮しなくていいから」
優しく制止するノクス。
「ぐぬぬっ…!そんなとこでお兄ちゃん力出さんでも…」
悔しそうに唸るリア。でも嬉しそうでもあった。
「いつでも、僕はキミのお兄ちゃんでありたい」
真面目な顔で言うノクス。本心からの言葉だった。
「その前に旦那でもある」
即座に返すリア。恥ずかしがりながらも主張した。
「やめろその設定急に出すのは」
慌てて否定するノクス。でも完全に嫌がってはいなかった。
(11時半頃)
その時、後ろから馴染みのある声がかかった。
「お二人さーん、お熱いねぇ。デートかい?」
いつものからかい口調で、ニヤニヤしながら近づいてくるフィナ。偶然通りかかって面白そうな場面を発見していた。
「はい、デートです」
何の躊躇もなく即答するリア。目が完全に座っていて、フィナを警戒しつつも堂々と宣言した。
「そういうのは、堂々と言うんじゃないリア」
落ち着いた口調で注意するノクス。完全否定ではなく「言い方」の問題として処理する大人な対応だった。
「あら~、照れちゃって~♪ ノクスくんったら可愛い」
楽しそうに笑うフィナ。ノクスの反応を面白がっていた。
「…またこの女が…」
低い声で呟くリア。警戒モード全開で、フィナへの敵意を隠そうともしなかった。完全に邪魔者扱いだった。
「フィナさん、からかわないでください」
困ったような笑顔のノクス。でも本気で嫌がってはいなかった。
「でも本当に仲良さそうで何よりじゃない~。お幸せに~♪」
手をひらひらと振って去っていくフィナ。最後まで茶化していた。
「あの女…なんなのよぉ…」
不機嫌そうに呟くリア。フィナが去った方向を睨んでいた。
「上司ですよ、上司」
苦笑いで説明するノクス。
「上司にしては馴れ馴れしくない?」
疑いの目のリア。
「あの人はああいう人なんです」
諦めたような口調で、フィナの性格をよく知っているノクスだった。
昼食への移動(12時頃)
フィナとの騒動が収まった後、ノクスが時計を確認した。
「そろそろお昼にするか。どこか食べたい店はある?」
「ノクスが決めてよ...あたし、こういうお店よくわからないし...」
恥ずかしそうに俯くリア。実はおしゃれなレストランに憧れがあるが、一人で入ったことがなかった。
「なら、知ってる店があるよ。落ち着いてて美味しいから」
以前一人で入ったことがある、雰囲気の良い小さなレストラン。カップル客も多い店だが、ノクスはそこまで意識していなかった。
「ここだよ」
ノクスが立ち止まったのは、蔦の絡まる古いレンガ造りの建物の前だった。小さな看板には「Osteria Luna」と、流れるような文字が刻まれている。扉からは、ガーリックとトマトの香ばしい香りが漂ってきた。
「わあ...」
リアは思わず感嘆の声を漏らした。こぢんまりとした店構えだが、窓辺に飾られた花々や、暖かみのある照明が、とても上品で居心地の良さそうな雰囲気を醸し出している。
扉を開けると、カランカランと小さな鈴の音が響いた。店内は薄暗く、キャンドルの灯りがテーブルを優しく照らしている。平日の昼時とあって客足はまばらだが、窓際の席には若いカップルらしき二人組が、楽しそうに会話を弾ませていた。
「いらっしゃいませ。お二人でお食事ですか?」
年配の女性ウェイトレスが、慣れた様子で案内してくれる。その笑顔は温かく、まるで家族を迎え入れるような親しみやすさがあった。
「はい、二人で」
ノクスが答える間、リアは周囲をきょろきょろと見回していた。壁には古いワインボトルや、古の風景画が飾られている。どこを見ても絵になる光景で、まるで映画の中にいるような気分だった。
(こんな素敵なお店...ノクスは一人でも来てるのかな...)
案内されたのは、窓際の小さなテーブルだった。向かい合わせに座ると、ノクスとの距離はほんの数十センチ。テーブルの上に置かれたキャンドルが、二人の間で静かに揺らめいている。
「パスタが美味しいよ。何にする?」
ノクスが差し出したメニューを受け取りながら、リアは内心で冷や汗をかいていた。古語の料理名がずらりと並び、値段を見るとどれも孤児院での食費の何日分にもなる。
「え、えーっと...」
一番安そうなサラダを探していると、ノクスが軽やかな声で口を開いた。
「迷ってるな。じゃあ、おすすめを頼もう」
そう言って、近くを通りかかったウェイトレスに手を上げる。
「カルボナーラとボロネーゼを、お願いします。それと、パンも」
「承知いたしました。お飲み物はいかがなさいますか?」
「水で大丈夫です」
自然に注文を済ませるノクスを見て、リアは胸の奥が温かくなった。値段を気にして決められずにいる自分の気持ちを、言葉にしなくても察してくれたのだ。
(ノクスって...本当に優しいな...)
「ありがとう」
小さく呟いた言葉に、ノクスはきょとんとした顔を向けた。
「え?何が?」
「...なんでもない」
リアは慌てて首を振る。素直に感謝の気持ちを表現するのは、まだ少し恥ずかしかった。
「お待たせいたしました」
運ばれてきたカルボナーラは、クリーミーなソースが麺に絡み、上にはたっぷりの粉チーズと黒胡椒がかけられていた。湯気と共に立ち上る香りに、リアの胃袋が音を立てそうになる。
「わあ...美味しそう...」
目を輝かせて見つめるリアを微笑ましく思いながら、ノクスは自分のボロネーゼにフォークを刺した。
「フォークに巻き付けて...こうやって」
慣れた手つきでパスタを一口サイズに巻き取ってみせる。しかし、リアがおそるおそるフォークを動かしてみると、うまく巻けずにパスタがほどけてしまった。
「難しそう...」
困ったような表情を浮かべるリアを見て、ノクスは自然に手を差し伸べた。
「最初は難しいよな。ほら」
自分のフォークで手本となるように綺麗にパスタを巻き取ると、それをリアの方に差し出した。まるで「あーん」をするような格好になってしまったことに、本人は全く気づいていない。
「え、ええええ!?」
リアの顔が一瞬で真っ赤に染まった。心臓が胸から飛び出しそうなほど激しく打っている。
(これって...間接キス?!ノクスのフォークで...あーんしてもらうの?!)
隣のテーブルでは、若い女性が「あら、仲良しね」と微笑んでいる。ウェイトレスも遠くから見守るような優しい眼差しを向けていた。完全にカップルの甘いやり取りとして認識されてしまっている。
「どうした?早く食べないと伸びちゃうよ」
ノクスは全く状況を理解していない。単純に食べ方を教えているだけの認識で、リアの動揺にも気づかずにいる。
(どうしよう...でも、断るのも変だし...)
リアは決死の覚悟で口を開けた。
「あ、あ、ありがとう...」
恥ずかしさで死にそうになりながらも、ノクスのフォークから直接パスタを口に含む。クリーミーなソースとベーコンの旨味が口の中に広がったが、味よりもノクスとの間接キスの事実に頭がいっぱいだった。
(ノクスのフォーク...間接キス...うわああああ!)
「美味しい...」
小さな声で呟きながら、リアの心臓は今にも破裂しそうだった。
「良かった、気に入ってもらえて」
ノクスの満足そうな笑顔を見て、リアの胸は更に高鳴る。間接キスについては全く意識していない様子のノクスが、逆に愛おしくて仕方がなかった。
その後も、リアが上手く食べられずにいると、ノクスは時々「こうやって」と手本を見せてくれる。そのたびにリアの心臓は跳ね上がり、周囲からは完全に恋人同士として見られていた。
食事を終えると、ノクスが自然にデザートメニューを手に取った。
「ティラミス、一つで良いよね?二人で分けよう」
経済的配慮も込めた提案だったが、リアにとっては再びの試練となった。
運ばれてきたティラミスには、スプーンが一つしか付いていない。
「恋人同士だから一つで大丈夫ですよね♪」
ウェイトレスの何気ない一言に、リアは再び顔を真っ赤にした。
「え、え、え...」
またしても間接キス状況。今度はスプーンの共有だった。
「あ、すみません、もう一つスプーンを...」
ノクスがウェイトレスを呼ぼうとすると、リアは慌てて制止した。
「だ、大丈夫!あたし、そんなに甘いもの食べないから!」
実は甘いもの大好きだが、間接キスの誘惑に負けそうで怖かった。
結果的に、ノクスが一人でティラミスを食べることになったのだが...
「一口だけ...」
リアの小さな呟きに、ノクスは迷わずスプーンを差し出した。同じスプーンでマスカルポーネの甘さを味わいながら、リアは幸せすぎて気絶しそうになった。
「美味しかった?」
「うん...すごく...」
食事の味は半分も覚えていないが、今日一番幸せな時間だった。
「今度はリアの好きな店にも行ってみたいな」
ノクスの何気ない一言に、リアの心臓が大きく跳ねた。
(次回...次回デートの約束...!)
「!!!」
表面的には冷静を装おうとするが、内心は大興奮だった。
会計時、ノクスが自然に支払いを済ませる。
「ありがとう」
リアの素直なお礼に、店員さんが「お幸せに」と笑顔で声をかけた。二人とも慌てて否定しそびれ、結局そのまま店を後にすることになった。
(12時半頃)
外に出ると、午後の陽射しが二人を優しく包んでいた。リアの頬はまだほんのりと赤く、充実した昼食の余韻に浸っていた。
王都の商店街から住宅街への移行地域を歩く二人。穏やかな日差しと心地よい風に包まれて、平和な午後のひとときを過ごしていた。
フィナとの遭遇で少し動揺したものの、ノクスが自分をフォローしてくれたことで機嫌が良いリア。
「最高の午前中だった!」
内心大興奮で、ノクスの横を歩きながら、ときどき横目でチラチラ見ている。足取りも軽やか、鼻歌まじりだった。
一方のノクスも「思ったより楽しかったな」と感じている。リアの嬉しそうな様子を見て、悪い気はしていない。でも相変わらず恋愛感情については鈍感で、街の様子を眺めながらリラックスして歩いていた。
商店街から少し離れた、車両通行の多い通りに差し掛かる。リアは完全に浮かれていて、周囲への注意が散漫になっていた。ノクスは何気なく街の建物や看板を見回している。
(1時頃)
昼食後、二人が街を歩いている時、フィナとの遭遇で少し浮かれ気味になったリアが、周りをよく見ずに歩いていると...
角の向こうから勢いよく現れた荷馬車。御者は荷物の確認に気を取られて前方不注意だった。リアは完全に気づいていない、ノクスの話を聞きながらふらふら歩いている。
「あ、危ない!」
周囲の声が響く中、ノクスが一瞬で状況を把握した。
「危ない!」
迷いなく体が動く。軍人としての反射神経が発動した。
ノクスが反射的にリアを抱き寄せ、馬車を避ける。左腕でリアの腰を抱え、右手で彼女の頭を庇う。自分の体でリアを完全に守る形だった。
馬車は二人の前を勢いよく通り過ぎていく。御者は「すまない!」と叫びながら去っていった。
「ノ、ノノノノ、ノックスくん」
突然の出来事に頭が真っ白になるリア。ノクスの胸に顔が埋まっている状態で、心臓が爆発しそうなほど高鳴っている。手がノクスの服を掴んでいた。
(やっと...やっと抱きしめられた...これが夢じゃなければ...)
ノクスの温もりと匂いを感じている。腕の中の安心感に包まれて「このまま時間が止まればいいのに」と思っていた。
(こんなに守られてる感じ...初めて...)
孤児院時代を思い返す。ノクスだけが自分を守ってくれる特別な存在だと再確認していた。
ノクスの腕がリアの腰に回っている。リアの顔はノクスの胸の位置。二人とも立ったまま密着している状態で、周囲の通行人が「大丈夫ですか?」と心配そうに見ていた。
しかし、ノクスは全く別のことを考えていた。
「危ないな、あの馬車…どこのだ?」
リアを抱きしめたまま、去っていく馬車を目で追う。馬車の後部に描かれた商会の紋章を確認しようとしている。職業病というか、軍人としての習性が発動していた。
「事故の責任所在を確認しなければ」という実務的思考。馬車の大きさ、荷物の種類、御者の服装を観察している。「あれは確か…○○商会の馬車だな」「後で報告書を書く必要があるかもしれない」完全に仕事モードだった。
「あ、すまん。ちゃんと左右見ないとダメだぞー、お兄ちゃん心配しちゃった☆」
急に我に返って、リアから手を離す。いつもの軽い調子に戻り、「☆」付きの軽いノリ。純粋に交通安全を心配していて、抱擁の意味については全く考えていなかった。
「街中は危険だから気をつけて」「今度からは僕の後ろを歩いて」という提案。完全に保護者目線だった。
(…こっっっのクソ朴念仁!!!!)
せっかくの抱擁シーンが台無し。「お兄ちゃん心配しちゃった☆」に全てを持っていかれる。恋愛的な意味が全くないことを悟って、内心で激怒していたが、表面には出さなかった。
複雑な感情が入り混じっていた。怒り:せっかくのチャンスを無駄にされた。嬉しさ:それでも守ってもらえた事実。諦め:ノクスの鈍感さに対する諦念。愛しさ:そんなノクスも愛おしい。
せっかくの抱擁シーンを、「お兄ちゃん心配しちゃった☆」の一言で台無しにされたリアは、内心で激怒していた。しかし、表面上はノクスを睨み上げるだけに留まる。
「…わかったよ」
不機嫌そうな口調。でも完全に怒っているわけではない。むしろ呆れている。「このノクスめ…」という愛憎混じった気持ちだった。
(まあ…守ってもらえたのは事実だし…)
(こういうノクスだからこそ好きになったんだし…)
(でも、もうちょっと空気読んでよ…)
心の中で整理していた。
―――第26話(デート後半)へ続く
東の窓から差し込む朝日が、質素な軍の個室を淡いオレンジ色に染めていた。しかし、その部屋の住人は一睡もできずにベッドの上で悶々としていた。
「やっべ…緊張してあんま寝れなかった…」
リアは布団を頭まで被りながら、昨夜から何度目かの呟きを漏らした。枕元の時計は午前6時を指している。約束の時間まではまだ4時間もあるというのに、心臓は既に全力疾走を始めていた。
「あたしも変わるとは、セグリットで言ったが、まさかお兄も変わってくるとは思わなんだ…」
昨日の夕方、中庭でのノクスとのやり取りを思い出す。いつもなら強引に押し切ろうとする自分が、恥ずかしくて素直に「デートしたい」と言えなかった。そして、そんな自分を優しくからかいながらも、最終的には「明日はデートだな」と言ってくれたノクス。
(あのとき、ノクスの顔...なんか、いつもと違ってた...)
布団から顔を出すと、鏡に映った自分の髪がとんでもないことになっていた。一晩中寝返りを打っていたせいで、まるで爆発したような有様だ。
「うわあああ!やばい!」
慌てて起き上がり、洗面台に向かう。冷たい水で顔を洗いながら、今日一日のことを考えると胸がきゅっと締め付けられた。
(今日は絶対に失敗できない...ノクスに可愛いって思ってもらうんだ...!)
そそくさと準備を始めようとして、リアは最大の問題に直面した。
「…可愛い服って持ってないんだよなぁ…」
クローゼットを開けると、軍服と孤児院時代の古い服、そして数着の質素なシャツとズボンがあるだけだった。おしゃれな服を買う余裕なんて、孤児院から出たばかりの自分にはない。
「ああいうの高いし…どーしよ」
仕方なく、比較的キレイめな白いシャツ(唯一まともな私服)を手に取る。鏡に当ててみると、確かに清楚で上品だが...
「ぐぁぁぁぁ!!色っぽさがねぇぇぇ!!!」
ベッドに飛び込んで悶える。
「こんなのデートに来て行ったら笑われるぅぅぅぅ」
枕を抱きしめながら「どうしよう、どうしよう」と呟いていると、ふとあることを思いついた。
「仕方ない…スカートで誤魔化すか…」
軍服のスカートを思い切り短く上げてみる。鏡で横からチェックして「う、うん…これなら…」と頬を赤らめる。
「なるべくミニに捲し上げればお兄も男だから、そっちに目が行くだろ…」
顔を真っ赤にしながら「こ、これで勝負や!」と決意を固めた。
ノクスの部屋(同時刻)
一方、ノクスの個室では全く対照的な朝が始まっていた。几帳面な性格通り、既に起床と洗面を済ませ、軽い朝食も摂り終えている。
「なんか昨日のノリで僕から言わせてしまったのが後悔で仕方ない…」
歯磨きをしながら鏡の中の自分に話しかける。表情は困惑しているように見えるが、どこか穏やかでもあった。
(どうした…僕の中のお兄ちゃん…)
完全に嫌がっているわけではない、ということを自分でも薄々感じている。リアの健気な変化や、昨日の素直な一面を見て、少しずつ心境に変化が生まれていた。
「とりあえず、普段着でいっかぁ…」
クローゼットから黒いジャケットと白のタートルネックを取り出す。事務仕事用のジャケットから軍の紋章を外したもので、シンプルだが上品な印象だ。
「これで十分だろう」
淡々と着替えながら、ふとリアの反応を想像してしまう。
「リアのやつ、なんでデートなのに、普段着なの?!もうちょっと気合入れてこいやぁぁぁぁぁ!!とか言ってきそうで怖い」
過去のリアの反応を思い出してげんなりする。でも慣れた様子で「まぁ、いいか」と肩をすくめた。
時計を確認すると8時半。待ち合わせは10時なので、まだ時間に余裕がある。
「ちょっと早めに待ち合わせ場所の噴水前に行くかなぁ…」
本屋で事務仕事用の資料でも見てから待つつもりで、一時間前到着を目指して部屋を出た。
「待たせると怖いし」
そんな呟きからも、リアへの気遣いが感じられた。
噴水前の待ち合わせ場所(9時頃)
王都中央広場の噴水前は、朝の買い物客がちらほらと行き交う、のんびりとした雰囲気に包まれていた。爽やかな風が吹き、噴水の水音が心地よく響いている。
「まだ誰もいないよな」
ノクスは本屋に寄る前に噴水前を通りかかった。約束の1時間前なので、さすがにリアはまだ来ていないだろうと思いながら歩いていると...
「…リア?」
驚いた声を上げた。まさかもう来ているとは思わなかった。
「お、おぉぉお、お待たせ」
慌てた様子で振り返るリア。顔は既に赤く、明らかに緊張している。スカートの丈を気にしながら立っているその姿は、普段の勢いのある彼女とは別人のようだった。
「大丈夫、今来たとこ♪じゃないわ、約束の時間の1時間前だぞ」
時計を確認しながら苦笑いを浮かべるノクス。
「遅刻するなよ。って言ったでしょ」
リアは顔を逸らしながら強がる。実は2時間前から来て待っていたが、それは絶対に言えない。
「言ったが・・・15分前行動でいいじゃないか…」
「いやいやいや待たせたら悪いし!」
本音は、ノクスを待たせるなんて絶対に嫌だった。でもそれを素直に言えないのが、今の自分の限界だった。
「そ…そうか?」
リアの気遣いに少し驚く。意外な一面を見た気持ちになった。
「お、お兄の普段着初めて見たよ、なんか、か、かっこいいね」
恥ずかしそうに上目遣いで見つめるリア。本当にそう思っていて、見とれていた。
「…事務仕事中のジャケットから紋章無くしたようなもんだが…」
照れて首をかきながら答える。自分の服装は適当だと思っているが、リアの反応が嬉しくないわけではなかった。
「そんなことないよ!似合ってるよ!」
必死にフォローするリア。本気で褒めていて、ノクスの反応を見て嬉しそうだった。
ノクスは照れながら、今度はリアの恰好を確認した。
(グヘヘ…どうだ、この限界まで上げたミニスカを…)
内心でドヤ顔のリア。自信満々だが、表面的には恥ずかしそうな振りをしている。
「リアさん」
真面目な顔で呼びかけるノクス。
「な、なんでしゅかっ!?」
急に敬語で呼ばれて動揺。褒められると思って期待していた。
「スカート上げすぎです。やめなさい、みっともない」
兄らしい冷静な指摘。純粋に心配していた。
「…ぐはっ!!」
期待が裏切られて絶望。「みっともない」の一言にダメージ大だった。
「あと、上着は?寒くないのか?その恰好」
気遣いの言葉。でも相変わらず鈍感だった。
リアはスカートを直しながら唸りながら答えた。
「ぐぬぬ…いや、さすがにデートに軍服の上着はねぇわ。と思って」
不満そうにスカートの丈を戻しながら。実は寒いが我慢していた。
「別に普通の上着でいいやん」
「孤児院でもらったボロスカーフしかないからヤダ」
貧乏な現実を素直に打ち明ける。ちょっと拗ねた口調だった。
自身の恰好を指摘されたことに不貞腐れてるリアを見て、ノクスは自然に提案した。
「なら、買いに行くか―」
自然な優しさ。お兄ちゃんらしい提案だった。
「!?デートは!?」
目を丸くして驚くリア。デートが中止になると思って焦った。
「こういうのもデートだろぉー」
軽い調子で言うノクス。悪気は全くなく、むしろ楽しそうだった。
「…あんまお金もってねぇんですわ」
恥ずかしそうに俯くリア。お金がないことを言うのは辛かった。
「…いや、別に奢るからいいよ、ほれ行くぞー妹よー」
当然のように言うノクス。「妹よー」は軽いノリで、深い意味はなかった。
街の商店街(10時頃)
王都の商店街は活気のある朝の買い物風景で賑わっていた。ノクスとリアが並んで歩く姿は、周囲からは仲の良い兄妹に見えた。リアは恥ずかしそうにノクスの後をついていく。
「ここにしよう」
ノクスが立ち止まったのは、小さな服屋の前だった。店頭には可愛らしいカーディガンやブラウスが並んでいる。
店内で、ノクスがリアに似合いそうな薄手のベージュのカーディガンを選んだ。
「こ、こんな可愛いの…いいの?」
リアは恐る恐る袖を通してみる。鏡に映った自分が、いつもより女性らしく見えて嬉しかった。
「寒そうだったから。風邪ひかれても困るし」
ノクスのさりげない優しさに、リアの胸は温かくなった。
「仲良しなカップルですね」
店員さんの何気ない一言に、二人とも慌てて「違います!」と否定した。
商店街を歩きながら、ノクスがふと思い出した。
「朝ごはんは、ちゃんと食べてきましたかー?」
気遣いの質問。年上らしい面倒見の良さが出ていた。
「…食べてない」
俯きながら小声で答えるリア。緊張していて食事どころではなかった。
「寝坊か?」
単純に理由を推測するノクス。
「んなわけあるかっ」
慌てて否定。プライドが許さなかった。実は緊張で食べられなかったとは言えない。
「…なら、昼飯前に軽く食べておくか」
自然な提案。心配していた。
可愛らしいカフェで、ノクスがストロベリーパフェをリアに手渡した。
「ほれ」
何気なく差し出す。見た目も可愛いパフェに、リアの目が輝いた。
「あ、あ、あ、ありがとう」
受け取る手が震えている。パフェの可愛さに目を輝かせるが、ノクスの優しさの方が嬉しかった。
「素直でよろしい」
軽く微笑むノクス。リアが素直に感謝するのが珍しくて面白かった。
パフェを食べながら「甘い…美味しい…」と呟くリア。ノクスを見つめながら「こんなに優しくしてもらって…」と幸せすぎて泣きそうになった。
噴水広場での会話(11時頃)
中央広場のベンチに座る二人。お昼前の穏やかな時間で、鳩が飛び交い、子供たちが遊んでいる平和な風景が広がっていた。
「たまにはこういうのもいいかもなぁ」
ベンチに座りながら空を見上げるノクス。意外とリラックスしていて、普段の忙しさから解放された気分だった。
「…いいの?さっきから」
申し訳なさそうな表情で、膝の上で手をもじもじさせるリア。
「何が?」
きょとんとした顔のノクス。
「いや…さっきから全奢りされてるんですけど…」
気にしている様子のリア。上着もパフェも全部ノクス持ちだった。
「そういうもんだろ、デートなんて」
当然のように言うノクス。悪気は全くなかった。
「いやいやいやいやいや、普通割り勘だよ、誰だよその古い価値観教えたやつ」
現代的な感覚で反論するリア。でも内心は嬉しかった。
「ルクスっていう整備員」
あっさり情報源を明かすノクス。
(ナイスだ!ルクスさん!)
心の中で整備員に感謝するリア。古い価値観に感謝していた。
「まぁ、気にしなくていいよ、お金使う機会がない寂しいお兄ちゃんだから」
自嘲気味に笑うノクス。普段の孤独な生活が垣間見えた。
「…」
ノクスの言葉に胸が痛むリア。急に黙り込んだ。
「なんだなんだ黙り込んで」
リアの様子を心配するノクス。
「それって、あたしたちの式のために貯めてるの?」
期待に満ちた目で見つめるリア。完全に勘違いしていた。
「…」
突拍子もない話になり、ノクスの意識が亜空間に飛んで行った。固まって何も言えない。
「ノクスも…そういうことを考えてたんだね」
顔を真っ赤にして照れるリア。勝手に納得していた。
「ないないない、そもそもお前が会いに来るなんて思ってなかったし」
慌てて手をバタバタ振るノクス。必死に否定していた。
「はぁー?あんなに手紙毎月束で送ってたのにぃー?」
不満そうな顔のリア。手紙のことを持ち出した。
「いや、途中からお前、1通になったじゃないか」
事実を指摘するノクス。
「あれは、乙女心がわからんノクスが悪い」
拗ねた口調のリア。実は反応が薄いから諦めかけていた。
「なんだよそれぇ…」
困惑した顔のノクス。
「全く…それより、お昼は流石にあたしが奢るぜっ!」
立ち上がって意気込むリア。対等でいたい気持ちだった。
「いや、変な遠慮しなくていいから」
優しく制止するノクス。
「ぐぬぬっ…!そんなとこでお兄ちゃん力出さんでも…」
悔しそうに唸るリア。でも嬉しそうでもあった。
「いつでも、僕はキミのお兄ちゃんでありたい」
真面目な顔で言うノクス。本心からの言葉だった。
「その前に旦那でもある」
即座に返すリア。恥ずかしがりながらも主張した。
「やめろその設定急に出すのは」
慌てて否定するノクス。でも完全に嫌がってはいなかった。
(11時半頃)
その時、後ろから馴染みのある声がかかった。
「お二人さーん、お熱いねぇ。デートかい?」
いつものからかい口調で、ニヤニヤしながら近づいてくるフィナ。偶然通りかかって面白そうな場面を発見していた。
「はい、デートです」
何の躊躇もなく即答するリア。目が完全に座っていて、フィナを警戒しつつも堂々と宣言した。
「そういうのは、堂々と言うんじゃないリア」
落ち着いた口調で注意するノクス。完全否定ではなく「言い方」の問題として処理する大人な対応だった。
「あら~、照れちゃって~♪ ノクスくんったら可愛い」
楽しそうに笑うフィナ。ノクスの反応を面白がっていた。
「…またこの女が…」
低い声で呟くリア。警戒モード全開で、フィナへの敵意を隠そうともしなかった。完全に邪魔者扱いだった。
「フィナさん、からかわないでください」
困ったような笑顔のノクス。でも本気で嫌がってはいなかった。
「でも本当に仲良さそうで何よりじゃない~。お幸せに~♪」
手をひらひらと振って去っていくフィナ。最後まで茶化していた。
「あの女…なんなのよぉ…」
不機嫌そうに呟くリア。フィナが去った方向を睨んでいた。
「上司ですよ、上司」
苦笑いで説明するノクス。
「上司にしては馴れ馴れしくない?」
疑いの目のリア。
「あの人はああいう人なんです」
諦めたような口調で、フィナの性格をよく知っているノクスだった。
昼食への移動(12時頃)
フィナとの騒動が収まった後、ノクスが時計を確認した。
「そろそろお昼にするか。どこか食べたい店はある?」
「ノクスが決めてよ...あたし、こういうお店よくわからないし...」
恥ずかしそうに俯くリア。実はおしゃれなレストランに憧れがあるが、一人で入ったことがなかった。
「なら、知ってる店があるよ。落ち着いてて美味しいから」
以前一人で入ったことがある、雰囲気の良い小さなレストラン。カップル客も多い店だが、ノクスはそこまで意識していなかった。
「ここだよ」
ノクスが立ち止まったのは、蔦の絡まる古いレンガ造りの建物の前だった。小さな看板には「Osteria Luna」と、流れるような文字が刻まれている。扉からは、ガーリックとトマトの香ばしい香りが漂ってきた。
「わあ...」
リアは思わず感嘆の声を漏らした。こぢんまりとした店構えだが、窓辺に飾られた花々や、暖かみのある照明が、とても上品で居心地の良さそうな雰囲気を醸し出している。
扉を開けると、カランカランと小さな鈴の音が響いた。店内は薄暗く、キャンドルの灯りがテーブルを優しく照らしている。平日の昼時とあって客足はまばらだが、窓際の席には若いカップルらしき二人組が、楽しそうに会話を弾ませていた。
「いらっしゃいませ。お二人でお食事ですか?」
年配の女性ウェイトレスが、慣れた様子で案内してくれる。その笑顔は温かく、まるで家族を迎え入れるような親しみやすさがあった。
「はい、二人で」
ノクスが答える間、リアは周囲をきょろきょろと見回していた。壁には古いワインボトルや、古の風景画が飾られている。どこを見ても絵になる光景で、まるで映画の中にいるような気分だった。
(こんな素敵なお店...ノクスは一人でも来てるのかな...)
案内されたのは、窓際の小さなテーブルだった。向かい合わせに座ると、ノクスとの距離はほんの数十センチ。テーブルの上に置かれたキャンドルが、二人の間で静かに揺らめいている。
「パスタが美味しいよ。何にする?」
ノクスが差し出したメニューを受け取りながら、リアは内心で冷や汗をかいていた。古語の料理名がずらりと並び、値段を見るとどれも孤児院での食費の何日分にもなる。
「え、えーっと...」
一番安そうなサラダを探していると、ノクスが軽やかな声で口を開いた。
「迷ってるな。じゃあ、おすすめを頼もう」
そう言って、近くを通りかかったウェイトレスに手を上げる。
「カルボナーラとボロネーゼを、お願いします。それと、パンも」
「承知いたしました。お飲み物はいかがなさいますか?」
「水で大丈夫です」
自然に注文を済ませるノクスを見て、リアは胸の奥が温かくなった。値段を気にして決められずにいる自分の気持ちを、言葉にしなくても察してくれたのだ。
(ノクスって...本当に優しいな...)
「ありがとう」
小さく呟いた言葉に、ノクスはきょとんとした顔を向けた。
「え?何が?」
「...なんでもない」
リアは慌てて首を振る。素直に感謝の気持ちを表現するのは、まだ少し恥ずかしかった。
「お待たせいたしました」
運ばれてきたカルボナーラは、クリーミーなソースが麺に絡み、上にはたっぷりの粉チーズと黒胡椒がかけられていた。湯気と共に立ち上る香りに、リアの胃袋が音を立てそうになる。
「わあ...美味しそう...」
目を輝かせて見つめるリアを微笑ましく思いながら、ノクスは自分のボロネーゼにフォークを刺した。
「フォークに巻き付けて...こうやって」
慣れた手つきでパスタを一口サイズに巻き取ってみせる。しかし、リアがおそるおそるフォークを動かしてみると、うまく巻けずにパスタがほどけてしまった。
「難しそう...」
困ったような表情を浮かべるリアを見て、ノクスは自然に手を差し伸べた。
「最初は難しいよな。ほら」
自分のフォークで手本となるように綺麗にパスタを巻き取ると、それをリアの方に差し出した。まるで「あーん」をするような格好になってしまったことに、本人は全く気づいていない。
「え、ええええ!?」
リアの顔が一瞬で真っ赤に染まった。心臓が胸から飛び出しそうなほど激しく打っている。
(これって...間接キス?!ノクスのフォークで...あーんしてもらうの?!)
隣のテーブルでは、若い女性が「あら、仲良しね」と微笑んでいる。ウェイトレスも遠くから見守るような優しい眼差しを向けていた。完全にカップルの甘いやり取りとして認識されてしまっている。
「どうした?早く食べないと伸びちゃうよ」
ノクスは全く状況を理解していない。単純に食べ方を教えているだけの認識で、リアの動揺にも気づかずにいる。
(どうしよう...でも、断るのも変だし...)
リアは決死の覚悟で口を開けた。
「あ、あ、ありがとう...」
恥ずかしさで死にそうになりながらも、ノクスのフォークから直接パスタを口に含む。クリーミーなソースとベーコンの旨味が口の中に広がったが、味よりもノクスとの間接キスの事実に頭がいっぱいだった。
(ノクスのフォーク...間接キス...うわああああ!)
「美味しい...」
小さな声で呟きながら、リアの心臓は今にも破裂しそうだった。
「良かった、気に入ってもらえて」
ノクスの満足そうな笑顔を見て、リアの胸は更に高鳴る。間接キスについては全く意識していない様子のノクスが、逆に愛おしくて仕方がなかった。
その後も、リアが上手く食べられずにいると、ノクスは時々「こうやって」と手本を見せてくれる。そのたびにリアの心臓は跳ね上がり、周囲からは完全に恋人同士として見られていた。
食事を終えると、ノクスが自然にデザートメニューを手に取った。
「ティラミス、一つで良いよね?二人で分けよう」
経済的配慮も込めた提案だったが、リアにとっては再びの試練となった。
運ばれてきたティラミスには、スプーンが一つしか付いていない。
「恋人同士だから一つで大丈夫ですよね♪」
ウェイトレスの何気ない一言に、リアは再び顔を真っ赤にした。
「え、え、え...」
またしても間接キス状況。今度はスプーンの共有だった。
「あ、すみません、もう一つスプーンを...」
ノクスがウェイトレスを呼ぼうとすると、リアは慌てて制止した。
「だ、大丈夫!あたし、そんなに甘いもの食べないから!」
実は甘いもの大好きだが、間接キスの誘惑に負けそうで怖かった。
結果的に、ノクスが一人でティラミスを食べることになったのだが...
「一口だけ...」
リアの小さな呟きに、ノクスは迷わずスプーンを差し出した。同じスプーンでマスカルポーネの甘さを味わいながら、リアは幸せすぎて気絶しそうになった。
「美味しかった?」
「うん...すごく...」
食事の味は半分も覚えていないが、今日一番幸せな時間だった。
「今度はリアの好きな店にも行ってみたいな」
ノクスの何気ない一言に、リアの心臓が大きく跳ねた。
(次回...次回デートの約束...!)
「!!!」
表面的には冷静を装おうとするが、内心は大興奮だった。
会計時、ノクスが自然に支払いを済ませる。
「ありがとう」
リアの素直なお礼に、店員さんが「お幸せに」と笑顔で声をかけた。二人とも慌てて否定しそびれ、結局そのまま店を後にすることになった。
(12時半頃)
外に出ると、午後の陽射しが二人を優しく包んでいた。リアの頬はまだほんのりと赤く、充実した昼食の余韻に浸っていた。
王都の商店街から住宅街への移行地域を歩く二人。穏やかな日差しと心地よい風に包まれて、平和な午後のひとときを過ごしていた。
フィナとの遭遇で少し動揺したものの、ノクスが自分をフォローしてくれたことで機嫌が良いリア。
「最高の午前中だった!」
内心大興奮で、ノクスの横を歩きながら、ときどき横目でチラチラ見ている。足取りも軽やか、鼻歌まじりだった。
一方のノクスも「思ったより楽しかったな」と感じている。リアの嬉しそうな様子を見て、悪い気はしていない。でも相変わらず恋愛感情については鈍感で、街の様子を眺めながらリラックスして歩いていた。
商店街から少し離れた、車両通行の多い通りに差し掛かる。リアは完全に浮かれていて、周囲への注意が散漫になっていた。ノクスは何気なく街の建物や看板を見回している。
(1時頃)
昼食後、二人が街を歩いている時、フィナとの遭遇で少し浮かれ気味になったリアが、周りをよく見ずに歩いていると...
角の向こうから勢いよく現れた荷馬車。御者は荷物の確認に気を取られて前方不注意だった。リアは完全に気づいていない、ノクスの話を聞きながらふらふら歩いている。
「あ、危ない!」
周囲の声が響く中、ノクスが一瞬で状況を把握した。
「危ない!」
迷いなく体が動く。軍人としての反射神経が発動した。
ノクスが反射的にリアを抱き寄せ、馬車を避ける。左腕でリアの腰を抱え、右手で彼女の頭を庇う。自分の体でリアを完全に守る形だった。
馬車は二人の前を勢いよく通り過ぎていく。御者は「すまない!」と叫びながら去っていった。
「ノ、ノノノノ、ノックスくん」
突然の出来事に頭が真っ白になるリア。ノクスの胸に顔が埋まっている状態で、心臓が爆発しそうなほど高鳴っている。手がノクスの服を掴んでいた。
(やっと...やっと抱きしめられた...これが夢じゃなければ...)
ノクスの温もりと匂いを感じている。腕の中の安心感に包まれて「このまま時間が止まればいいのに」と思っていた。
(こんなに守られてる感じ...初めて...)
孤児院時代を思い返す。ノクスだけが自分を守ってくれる特別な存在だと再確認していた。
ノクスの腕がリアの腰に回っている。リアの顔はノクスの胸の位置。二人とも立ったまま密着している状態で、周囲の通行人が「大丈夫ですか?」と心配そうに見ていた。
しかし、ノクスは全く別のことを考えていた。
「危ないな、あの馬車…どこのだ?」
リアを抱きしめたまま、去っていく馬車を目で追う。馬車の後部に描かれた商会の紋章を確認しようとしている。職業病というか、軍人としての習性が発動していた。
「事故の責任所在を確認しなければ」という実務的思考。馬車の大きさ、荷物の種類、御者の服装を観察している。「あれは確か…○○商会の馬車だな」「後で報告書を書く必要があるかもしれない」完全に仕事モードだった。
「あ、すまん。ちゃんと左右見ないとダメだぞー、お兄ちゃん心配しちゃった☆」
急に我に返って、リアから手を離す。いつもの軽い調子に戻り、「☆」付きの軽いノリ。純粋に交通安全を心配していて、抱擁の意味については全く考えていなかった。
「街中は危険だから気をつけて」「今度からは僕の後ろを歩いて」という提案。完全に保護者目線だった。
(…こっっっのクソ朴念仁!!!!)
せっかくの抱擁シーンが台無し。「お兄ちゃん心配しちゃった☆」に全てを持っていかれる。恋愛的な意味が全くないことを悟って、内心で激怒していたが、表面には出さなかった。
複雑な感情が入り混じっていた。怒り:せっかくのチャンスを無駄にされた。嬉しさ:それでも守ってもらえた事実。諦め:ノクスの鈍感さに対する諦念。愛しさ:そんなノクスも愛おしい。
せっかくの抱擁シーンを、「お兄ちゃん心配しちゃった☆」の一言で台無しにされたリアは、内心で激怒していた。しかし、表面上はノクスを睨み上げるだけに留まる。
「…わかったよ」
不機嫌そうな口調。でも完全に怒っているわけではない。むしろ呆れている。「このノクスめ…」という愛憎混じった気持ちだった。
(まあ…守ってもらえたのは事実だし…)
(こういうノクスだからこそ好きになったんだし…)
(でも、もうちょっと空気読んでよ…)
心の中で整理していた。
―――第26話(デート後半)へ続く
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