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恵のオーナー 後編
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そしてこの後……
この店に居る全ての人達が彰の正面を見ている完全な死角の中で、
背中にナイフを隠し持ったルナがゆっくりと席から立ち上がり、
明らかに放心状態の眼差しで彰の背中を見つめながら……
次の瞬間、両手でナイフを握りしめ、そしてそのままの勢いで
キラリと光るナイフの刃先を彰の背中に向けたので
*****
(えっとこの人、かなりヤバいよ。
だってあの目は完全に自我を失った人の目だから
きっと今のルナさんは、ここで自分が何をしているのかが
ぜんぜん分かっていないんだよ多分、可哀想に……)
こうして心の中で優しいヒーローのセリフを呟く恵はルナの名誉を守る為、
彰に抱きしめられたままの窮屈な状態で、彰の背中に回した自分の手を使い、
ルナの両手を軽~くバシッ!と叩いた後すぐに
急いで彰の腕をすり抜けながら
「あの~彰さん?えっとこの店はそのぉ、
一夫多妻のフルーツ帝国なんでしょうか?」
とアホな質問をかましてルナの行為をごまかしてみたけれど……
広い7番テーブルの客席に落ちたナイフの存在を消す事までは出来なかったので
黒い革張りのソファーの上でキラリと光るナイフを見つけた彰はこの瞬間
氷の様な冷たい瞳でルナの顔を見つめながら
「おや?こんな所にナイフを置いたルナちゃんは
このナイフで俺の恋人に何をするつもりだったのかな?
おいジョニー、今すぐ危険なこの女を俺の店から摘まみ出せ!」
「わかったよ彰、じゃなくて、
え~っと、かしこまりましたオーナー様~……」
こうして恵の質問をスルーして
このタイミングでチーフの事をジョニーと呼んだ彰は勿論
この場でルナを退場させた後すぐに
「もう大丈夫だよ恵さん、お前の事は必ず俺が守るから……」
と優しい声で恵に向かって声を掛けながら
つい先ほど恵に命を救われた事など全く気付いていない状態で、
恵と一緒に7番テーブルを離れたが
*****
彰と恵が居なくなった7番テーブルは……
「待ってよチーフ、今まで誰にも言わなかったけど、
実は私、本当はオーナーの恋人なの。最近はお互いが忙しいから
あまり逢っていないけど、でも去年の秋は何度も逢っていたのよ?本当よチーフ」
「あのさぁ…本当は人前でこんな事を言いたくはないけど、
俺もルナちゃんみたいに危ない女は彰の店に居ない方がいいと思うんだよね?
まぁアンタが心の中で彰の事を彼氏だと思うのはアンタの勝手だけど……
でも本気でオブシディアンの彰を自分の男にしたいなら
ナイフじゃなくて実力で勝負をすれば良かったんだよルナちゃん。
とは言ってもまぁ、きみレベルの女がどんなに頑張っても、俺達の彰は落とせないと思うけどね~」
て感じの悲しい会話を手短に済ませたチーフがルナの手を引いて
そしてそのまま二人で歩いてホールの中からサッサと姿を消したので
この二人が居なくなった瞬間に、
Clubベルサイユはいつもの活気を取り戻していたけれど……
*****
そんな事よりも、一方その頃の恵は何をしていたのかと言うと、
けっこう強引な感じでスタスタと歩く彰に手を引かれながらホールを出た後、
そのままの勢いで店の事務所に連れていかれて
そして来客用のソファーで彰と向かい合って座った後すぐに
「あのね?きみに今すぐ分かって欲しい事は……
俺が既婚者ではない事と、俺が飽きる迄の間ではなくて、
このさき一生、ずっとお前と二人で仲良く暮らしていく為に、
近い将来お前と結婚をする迄は、俺の恋人になってほしいって事なんだよ恵さん」
て感じの突然すぎる恋人宣言&プロポーズをされていたのだが
そもそも昨日出逢ったばかりの彰と偶然この店で再会をして
そしていきなり結婚を前提とした愛の告白をされても恵は困るから……
こんな時にどうすれば良いのかがサッパリわからない恵は下を向いた状態で
「えっと彰さんの気持ちはよく分かったけど、
でも彰さんとは昨日出逢ったばかりだから、いきなり結婚とか言われても
正直ぜんぜんピンとこないし、ハッキリ言ってそう言うのって困るんですよね~」
と素直な気持ちを伝えたのに、そんな恵の返事を聞いた彰はこの後
なぜか突然ニコニコと微笑みながら
「まぁ確かに俺達は昨日出逢ったばかりだから
いきなり俺にプロポーズをされた恵さんが困るのは当然ですよね?
少し焦り過ぎたのかな俺は……じゃあ恵さん?もう仕事に戻っていいよ?
でも貴女には今からホステスとして、俺の席に付いてもらいますけどね、フフフッ……」
と妖艶な笑顔で恵をホステスとして指名をしたので……
なんだか納得できない恵は、ついついこのままの勢いで
「えっと彰さんはそのぉ……
Clubベルサイユのオーナーさんなのに、社長がお客さんになってもいいの?」
と思わず彰に向かって質問をしたけれど
次の瞬間、さらに怪しい笑顔の彰は美しい瞳を輝かせながら
「えぇ、勿論なってもいいんですよ?俺の可愛い恵さん」
と返事をした後すぐに、一人でサッサと事務所を後にしたので
本日2度目の指名を受けたアホの恵は心の中で
(だからホステスって何?スイカとメロンを早食いしながら
麦茶をガブ飲みする女子の事?それともメロン農家の回し者?)
と今日も元気に冴え渡る残念な頭でトンデモナイ推理をしていたが、
このあと彰の席に付いた自分に何が起こるのかは全く予想出来なかった。
この店に居る全ての人達が彰の正面を見ている完全な死角の中で、
背中にナイフを隠し持ったルナがゆっくりと席から立ち上がり、
明らかに放心状態の眼差しで彰の背中を見つめながら……
次の瞬間、両手でナイフを握りしめ、そしてそのままの勢いで
キラリと光るナイフの刃先を彰の背中に向けたので
*****
(えっとこの人、かなりヤバいよ。
だってあの目は完全に自我を失った人の目だから
きっと今のルナさんは、ここで自分が何をしているのかが
ぜんぜん分かっていないんだよ多分、可哀想に……)
こうして心の中で優しいヒーローのセリフを呟く恵はルナの名誉を守る為、
彰に抱きしめられたままの窮屈な状態で、彰の背中に回した自分の手を使い、
ルナの両手を軽~くバシッ!と叩いた後すぐに
急いで彰の腕をすり抜けながら
「あの~彰さん?えっとこの店はそのぉ、
一夫多妻のフルーツ帝国なんでしょうか?」
とアホな質問をかましてルナの行為をごまかしてみたけれど……
広い7番テーブルの客席に落ちたナイフの存在を消す事までは出来なかったので
黒い革張りのソファーの上でキラリと光るナイフを見つけた彰はこの瞬間
氷の様な冷たい瞳でルナの顔を見つめながら
「おや?こんな所にナイフを置いたルナちゃんは
このナイフで俺の恋人に何をするつもりだったのかな?
おいジョニー、今すぐ危険なこの女を俺の店から摘まみ出せ!」
「わかったよ彰、じゃなくて、
え~っと、かしこまりましたオーナー様~……」
こうして恵の質問をスルーして
このタイミングでチーフの事をジョニーと呼んだ彰は勿論
この場でルナを退場させた後すぐに
「もう大丈夫だよ恵さん、お前の事は必ず俺が守るから……」
と優しい声で恵に向かって声を掛けながら
つい先ほど恵に命を救われた事など全く気付いていない状態で、
恵と一緒に7番テーブルを離れたが
*****
彰と恵が居なくなった7番テーブルは……
「待ってよチーフ、今まで誰にも言わなかったけど、
実は私、本当はオーナーの恋人なの。最近はお互いが忙しいから
あまり逢っていないけど、でも去年の秋は何度も逢っていたのよ?本当よチーフ」
「あのさぁ…本当は人前でこんな事を言いたくはないけど、
俺もルナちゃんみたいに危ない女は彰の店に居ない方がいいと思うんだよね?
まぁアンタが心の中で彰の事を彼氏だと思うのはアンタの勝手だけど……
でも本気でオブシディアンの彰を自分の男にしたいなら
ナイフじゃなくて実力で勝負をすれば良かったんだよルナちゃん。
とは言ってもまぁ、きみレベルの女がどんなに頑張っても、俺達の彰は落とせないと思うけどね~」
て感じの悲しい会話を手短に済ませたチーフがルナの手を引いて
そしてそのまま二人で歩いてホールの中からサッサと姿を消したので
この二人が居なくなった瞬間に、
Clubベルサイユはいつもの活気を取り戻していたけれど……
*****
そんな事よりも、一方その頃の恵は何をしていたのかと言うと、
けっこう強引な感じでスタスタと歩く彰に手を引かれながらホールを出た後、
そのままの勢いで店の事務所に連れていかれて
そして来客用のソファーで彰と向かい合って座った後すぐに
「あのね?きみに今すぐ分かって欲しい事は……
俺が既婚者ではない事と、俺が飽きる迄の間ではなくて、
このさき一生、ずっとお前と二人で仲良く暮らしていく為に、
近い将来お前と結婚をする迄は、俺の恋人になってほしいって事なんだよ恵さん」
て感じの突然すぎる恋人宣言&プロポーズをされていたのだが
そもそも昨日出逢ったばかりの彰と偶然この店で再会をして
そしていきなり結婚を前提とした愛の告白をされても恵は困るから……
こんな時にどうすれば良いのかがサッパリわからない恵は下を向いた状態で
「えっと彰さんの気持ちはよく分かったけど、
でも彰さんとは昨日出逢ったばかりだから、いきなり結婚とか言われても
正直ぜんぜんピンとこないし、ハッキリ言ってそう言うのって困るんですよね~」
と素直な気持ちを伝えたのに、そんな恵の返事を聞いた彰はこの後
なぜか突然ニコニコと微笑みながら
「まぁ確かに俺達は昨日出逢ったばかりだから
いきなり俺にプロポーズをされた恵さんが困るのは当然ですよね?
少し焦り過ぎたのかな俺は……じゃあ恵さん?もう仕事に戻っていいよ?
でも貴女には今からホステスとして、俺の席に付いてもらいますけどね、フフフッ……」
と妖艶な笑顔で恵をホステスとして指名をしたので……
なんだか納得できない恵は、ついついこのままの勢いで
「えっと彰さんはそのぉ……
Clubベルサイユのオーナーさんなのに、社長がお客さんになってもいいの?」
と思わず彰に向かって質問をしたけれど
次の瞬間、さらに怪しい笑顔の彰は美しい瞳を輝かせながら
「えぇ、勿論なってもいいんですよ?俺の可愛い恵さん」
と返事をした後すぐに、一人でサッサと事務所を後にしたので
本日2度目の指名を受けたアホの恵は心の中で
(だからホステスって何?スイカとメロンを早食いしながら
麦茶をガブ飲みする女子の事?それともメロン農家の回し者?)
と今日も元気に冴え渡る残念な頭でトンデモナイ推理をしていたが、
このあと彰の席に付いた自分に何が起こるのかは全く予想出来なかった。
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