Ray of Light ~コミュ障ぼっち女子高生と恋愛スキルゼロの寡黙な天然イケメン社長~

Pink Diamond

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彰編 彰と璃音 後編

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ちなみに円行寺彰は中学生の頃からロックバンドをやっていて、

インディーズでは全国的にも有名なボーカリストなので

将来はプロのミュージシャンになろうと当たり前に思っていたけれど

高校の時に龍崎グループの御曹司である璃音と親友になった事で、

芸能界の根本的なシステムとレコード会社の経営状態などを詳しく知った為に

プロのミュージシャンになる夢をあっさりと捨てたのだ。

しかしプロの夢を捨てた彰は少しも落ち込んでいなかった、

なぜならプロになる事と引き換えにあらたな夢が出来たからだ。

そして その新たな夢とは何かと言うと、

ズバリ!インディーズレコード会社の設立だった。

*****

「なぁ璃音、会社ってどうやって作ればいいんだ?
インディーズレベルでいいから、小さくてもいいから……
真面目に音楽をやっている奴らの登竜門を作りたいんだ」

「ほぉ?インディーズ専門のレコード会社を作りたいのか。
じゃあ事務的な事は俺が協力してやるから お前が思う様にやってみろ」

こうして彰は今まで稼いだギャラの貯金から

2千万を出して株式会社オブシディアンを設立し、

僅か2年の間に億単位の利益を生み出す事に成功したので

これで取り敢えず自分の将来は安心できると思っていたのに

無事に大学を卒業する数ヶ月前に璃音から、

「なぁ彰、オブシディアンの経営に関しては口出ししない事を約束をするから
大学を卒業したら副社長候補として龍崎コーポレーションに来てくれないか?」

と夢の様なヘッドハンティングをされたので

もちろん彰は即座にこの話を受けようと思ったが

でも聡明で勘が鋭い彰はこの時に……


(いや、ちょっと待てよ?冷静に考えてみれば
いきなり副社長候補はいくらなんでも待遇が良すぎるだろ?)

と素朴な疑問が湧いてきて、

しかも龍崎財閥とは縁もゆかりもない自分が何故いきなり、

大企業である璃音の会社に誘われたのか、その明確な理由が全く理解できなかったので

「お前の気持ちは嬉しく思うけど、ロックをやっている長髪の俺に
お堅い龍崎グループの副社長が務まるとは思えないよね~、フフフッ」

こうして今回の話は やんわりと断る事にしたけれど

次の瞬間、璃音は彰の前に立ちながら

「いや、務まると思うから誘ったんだよ彰。
なぜならお前がオブシディアンを立ち上げた時に俺は内心、
長年ロックバンドをやっている派手な彰に地味な会社の経営なんて
きっと出来ないだろうと思ったんだ。でも昔から女以上に美しい容姿でスター性があり、
聡明で明るくて社交的なお前の経営戦術は、俺が思う以上に斬新的で素晴らしかったから、
俺と真逆の性質を持つお前の存在が、今後の龍崎グループに必要不可欠だと判断したんだよ俺は」

と璃音は初めて、彰の事を真面目に語ってくれたので

このあと彰は喜んで璃音の誘いを受けたけれど、龍崎グループに入社する為の条件として、

自分が作った株式会社オブシディアンは、龍崎の傘下には入らない事を璃音に約束させたから

つまり彰は龍崎コーポレーションの副社長とは別に

レコード会社オブシディアンの代表取締役社長の顔も持っているのだが

そちらの経営は少数精鋭の信頼できる部下達に任せているので

今の彰にとってのオブシディアンは殆ど趣味の領域であり

現在の彰の本業が龍崎コーポレーションの副社長業務である事は今さら言うまでもない。

*****

こうしてめでたく璃音の会社に入社した彰はその後

公私共に充実した毎日を過ごしているけれど……

大企業である龍崎グループに入社して1年も経たないうちに分かった事は

龍崎璃音と言う男を決して本気で怒らせてはいけないと言う事だった。


なぜなら本気で璃音を怒らせると……

そいつの会社はいきなり株が大暴落して銀行は確実に冷たくなって、

ありとあらゆる取引が、ある日突然停止する事になるからだ。

なので まともな神経の持ち主ならば、誰も璃音を相手に争う事はしないのだが、

しかしごくごくまれに、

冷酷な璃音の怖さを全く知らない岡田紗耶香の様な馬鹿女が存在するので

だから龍崎グループの副社長である彰は常に『緊張感のある毎日』を送らなければならないのだ。
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