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無愛想な玲と饒舌な璃音
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そして2人の乗った銀色のバイクが
謎のスタジオに向かって遥か彼方に消えた頃、
(まぁ確かに今の私はメッチャお腹が空いているから、
このタイミングで照り焼き味のサンドイッチを貰った事は嬉しいけど……
でも どうして二年生の蓮が、昼休みに起きた出来事を知っているの?)
と素朴な疑問が浮かんだ玲は
コンビニのレジ袋を膝の上に置いた後で……
今日もキラキラと輝くオレンジ色の夕焼け空に照らされながら
*****
(でも冷静な気持ちで今回の騒ぎを考えてみると、
あんなに沢山の生徒達が倉庫に押しかけてきた以上は、
そりゃあ勿論あっと言う間に噂が流れても不思議じゃないよね?
だって私が中3の頃に、蓮と血が繋がっていない噂が広まった時も
今日みたいに突然いきなり、蓮の追っかけ的な親衛隊が現れて……
そもそもアンタみたいなブスが蓮の姉とか絶対に有りえないじゃん!
…て言うかぁ、まったく血が繋がっていない他人のアンタがぁ、
どうしてアメリカ人の蓮と一緒に暮らしているの?
黙ってないでサッサと返事をしろよブス!…って感じで結構ネチネチとイジメられたもん……)
こうして久しぶりにツラい過去を思い出したので
少し複雑な気持ちで蓮に貰った照り焼きサンドを食べていたけれど
そんな事よりも次の瞬間、ポケットの中でブルブルと……
滅多に鳴らない携帯電話にいきなり誰かの着信が入ったので
(えっ?またママなの?
もうアルバイトは絶対に嫌だからね!)
とイライラしながら紅茶をひと口飲んだ玲は
今どき珍しい折りたたみ式の携帯電話を5秒ぐらい放置してから憂鬱な気持ちで電話を開いたのに
小さな待ち受け画面に表示されている番号は、
まだ登録をしていない龍崎璃音の電話番号だったから、
(えっとこの番号は璃音さんの電話番号だけど
この着信は…正直どうしたらいいのかなぁ……
やっぱ蓮のアドバイスに従って、彼の事は綺麗サッパリ忘れた方がいいのかな)
と光の速さでヘタれながら
ほんの一瞬、この着信を無視しようかと思ったが、
でも本当は、彼からの電話が嬉しくて
そして銀次とアンコの話を知ったあの日からは、
毎日ずーっと璃音の事がメッチャ心配だったので……
思わずこの勢いで通話ボタンを押したコミュ障の玲は
勇気を出して、「はい、もしもし……」と喋ってみたけれど
*****
この後わずか1秒で……
「玲か?」と話す璃音の声を聞いただけで
あっという間に玲の瞳は涙が溢れ出したから
「もう学校は終わったのか?」
と優しい声の璃音に向かって返事が出来ない泣き虫の玲は……
(どうしよう、今この状態で無理に声を出したら、
戦隊ヒーローに出てくる怪人みたいな声になるから
しばらくの間は何も話す事が出来ないよ~……)
と密かに焦りながらも蚊が鳴く様に小さな声で、
「……はぃ……」
と無愛想な一言を呟く事しか出来なかったのに
そんな玲と電話で繋がる今日の璃音はどう言う訳か、
「そうか…ところで玲……
さっき彰から聞いたんだが、来週は体育祭なのか?」
て感じでやたらと饒舌で優しかったから……
そんな璃音のせいで、未だに涙が止まらない玲は
またまた再び「…はぃ…」としか言えなくて、
しかもこの後この勢いで、なぜかいきなり唐突に、
「そうか、じゃあ体育祭の当日は……
午後から時間を作ってお前の競技を見に行ってやるから頑張れよ?」
と変な方向に話が曲がっても
「……ぅぇぇ??」
と更に変な日本語を話す事しか出来なくて
「じゃあ今夜もお前のメールを楽しみに待ってる。また夜な?」
「……ぁぃ……」
こうして無愛想な返事を連発するしかない玲は
けっきょく何も出来ないままで、このまま電話を切ったから、
本来であれば今すぐに報告をしなければならない、
明後日の体育祭を体調不良で欠席する件を
饒舌で優しい璃音に向かって告げる事が出来なかったのだ。
謎のスタジオに向かって遥か彼方に消えた頃、
(まぁ確かに今の私はメッチャお腹が空いているから、
このタイミングで照り焼き味のサンドイッチを貰った事は嬉しいけど……
でも どうして二年生の蓮が、昼休みに起きた出来事を知っているの?)
と素朴な疑問が浮かんだ玲は
コンビニのレジ袋を膝の上に置いた後で……
今日もキラキラと輝くオレンジ色の夕焼け空に照らされながら
*****
(でも冷静な気持ちで今回の騒ぎを考えてみると、
あんなに沢山の生徒達が倉庫に押しかけてきた以上は、
そりゃあ勿論あっと言う間に噂が流れても不思議じゃないよね?
だって私が中3の頃に、蓮と血が繋がっていない噂が広まった時も
今日みたいに突然いきなり、蓮の追っかけ的な親衛隊が現れて……
そもそもアンタみたいなブスが蓮の姉とか絶対に有りえないじゃん!
…て言うかぁ、まったく血が繋がっていない他人のアンタがぁ、
どうしてアメリカ人の蓮と一緒に暮らしているの?
黙ってないでサッサと返事をしろよブス!…って感じで結構ネチネチとイジメられたもん……)
こうして久しぶりにツラい過去を思い出したので
少し複雑な気持ちで蓮に貰った照り焼きサンドを食べていたけれど
そんな事よりも次の瞬間、ポケットの中でブルブルと……
滅多に鳴らない携帯電話にいきなり誰かの着信が入ったので
(えっ?またママなの?
もうアルバイトは絶対に嫌だからね!)
とイライラしながら紅茶をひと口飲んだ玲は
今どき珍しい折りたたみ式の携帯電話を5秒ぐらい放置してから憂鬱な気持ちで電話を開いたのに
小さな待ち受け画面に表示されている番号は、
まだ登録をしていない龍崎璃音の電話番号だったから、
(えっとこの番号は璃音さんの電話番号だけど
この着信は…正直どうしたらいいのかなぁ……
やっぱ蓮のアドバイスに従って、彼の事は綺麗サッパリ忘れた方がいいのかな)
と光の速さでヘタれながら
ほんの一瞬、この着信を無視しようかと思ったが、
でも本当は、彼からの電話が嬉しくて
そして銀次とアンコの話を知ったあの日からは、
毎日ずーっと璃音の事がメッチャ心配だったので……
思わずこの勢いで通話ボタンを押したコミュ障の玲は
勇気を出して、「はい、もしもし……」と喋ってみたけれど
*****
この後わずか1秒で……
「玲か?」と話す璃音の声を聞いただけで
あっという間に玲の瞳は涙が溢れ出したから
「もう学校は終わったのか?」
と優しい声の璃音に向かって返事が出来ない泣き虫の玲は……
(どうしよう、今この状態で無理に声を出したら、
戦隊ヒーローに出てくる怪人みたいな声になるから
しばらくの間は何も話す事が出来ないよ~……)
と密かに焦りながらも蚊が鳴く様に小さな声で、
「……はぃ……」
と無愛想な一言を呟く事しか出来なかったのに
そんな玲と電話で繋がる今日の璃音はどう言う訳か、
「そうか…ところで玲……
さっき彰から聞いたんだが、来週は体育祭なのか?」
て感じでやたらと饒舌で優しかったから……
そんな璃音のせいで、未だに涙が止まらない玲は
またまた再び「…はぃ…」としか言えなくて、
しかもこの後この勢いで、なぜかいきなり唐突に、
「そうか、じゃあ体育祭の当日は……
午後から時間を作ってお前の競技を見に行ってやるから頑張れよ?」
と変な方向に話が曲がっても
「……ぅぇぇ??」
と更に変な日本語を話す事しか出来なくて
「じゃあ今夜もお前のメールを楽しみに待ってる。また夜な?」
「……ぁぃ……」
こうして無愛想な返事を連発するしかない玲は
けっきょく何も出来ないままで、このまま電話を切ったから、
本来であれば今すぐに報告をしなければならない、
明後日の体育祭を体調不良で欠席する件を
饒舌で優しい璃音に向かって告げる事が出来なかったのだ。
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