Ray of Light ~コミュ障ぼっち女子高生と恋愛スキルゼロの寡黙な天然イケメン社長~

Pink Diamond

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涼子の家

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そして可愛いキャストの彼女と一緒に龍崎ビルを出た玲は……

このあと二人で歓楽街のバスに乗り込み、さっそく涼子の家を訪ねてみたが

*****

「あ~っ!これは無人っぽいなぁ……」

「そうですね~、郵便受けが大変な事になってますもんね」


この残念な状況から察するに

涼子の家は現在無人の状態である可能性がとても高い為


(玄関ポストが新聞だらけって事はつまり、
涼子さんは長い間この家には帰っていない訳だから
じゃあ彼女は今どこに居るの?お婆ちゃんの家とか~…じゃないよね多分…)

思わず玲はお子様的な推理を始めていたけれど、そんな玲の目の前で……


…ピーンポーン!

「ママ~?ハルカですけど~……」


ピンポン、ピンポン、ピンポーーン!!

「涼子ママ~!ハルカの給料払ってよぉ~!
給料未払いでトンズラとかシャレにならないじゃん!
マジでこんなの勘弁してよー!今月ハルカのクレカ払いは18万だからぁ、
もしもママが給料をくれなかったらぁ、今日から毎日ラーメン生活になっちゃうんだよぉ?」


ここに来て初めて名前が判明したハルカが半泣きで

玄関のインターホンに向かって給料を払えと大きな声で叫んでいたから


(まぁ私は一日でクビになったバイトだから被害は少なかったけど
たくさん稼いだホステスさんにお給料を払わないのは駄目ですよね~)

とは言えないヘタレの玲は

心で密かにハルカの事を可哀想だと思っていたのに

次の瞬間、何を血迷ったのか!

なんとハルカは家の庭から大きな石を持ってきて


「もう頭に来た!給料貰えないなら金目かねめの物を取る!」

じゃあ行っくよ ~と声高らかに泥棒宣言をした直後、

ビックリしている玲の目の前で!

まるでドッジボールの投球とうきゅうみたいに大きな石を家の窓に投げつけて

ガッシャーーン!と割れた大きな窓から鍵をはずしてサッサと家に侵入したので


あまりにも大胆なハルカの行動を唖然と見ていたコミュ障の玲は

そりゃぁ勿論ひとりでカチカチとフリーズしたのに、そんな玲の目の前で

家の中から此方こちらに向かってニッコリ微笑む強者つわもののハルカは明るい声で

「イェ~イ!楽勝~、大勝利ーー!
ほらほらメンバーさんも何か取りなよ、早い者勝ちだよ~?」

なんてノリノリの笑顔でリビングの中へと玲を誘った後すぐに、

さっそく大きなキャビネットの中をゴソゴソと物色ぶっしょくし始めたから……


(えっと これって やっぱ、その~……
一応 立派な犯罪行為だから、今すぐ彼女を止めた方がいいのかな?)

ほんの一瞬、玲は正義に目覚めたけれど……

冷静に考えてみれば今の自分は涼子の身辺を調査したくて この家に来た訳だから

あえてハルカの行動をサラッと無視した玲は今から調査を始める為に

埃だらけの階段をがって2階の部屋のドアを開ける事にしたのだが

金色のドアノブをカチャッと回して扉を開けた瞬間に、ヘタレの玲が見たものは……!


(うわぁーー!……何これーー???)

広い部屋の床やら壁やらベッドの中に

大量の写真がばら撒かれているヤバい光景だったので


(どうして2階の部屋だけが、こんなにめちゃくちゃ荒れているの?)

勿論この部屋が気になった玲はそのまま部屋に入ったが、

足の踏み場もない位に埋め尽くされた写真の数々をよーく見てみると……!


(これって璃音さん…だよね?
これも…これも…って事はまさか全部?)

なんと!全ての写真に璃音がバッチリ写っていたから

*****

まさにメンヘラを絵に書いた様に荒れまくった部屋の中で

涼子と璃音が腕を組んでいる写真を一枚手に持った玲は……

あまりのショックにすべもない状態で呆然と立ち尽くしていたけれど

次の瞬間、いきなりハルカが部屋の中に入ってきて


「ちょっ!何これぇ~?」

写真だらけの床の上に体育座りでしゃがみ込みながら


「へぇ~。やっぱりこう言う事かぁ……
涼子ママは何年も前からずーっと龍崎社長の事が
メッチャ好きだったんだね~。全然相手にされてなかったのに~…」

かっこいいスーツ姿が印象的な

今よりも若い璃音の写真をじっと見ながらポツリと独り言を呟いたので


「好きな人の写真を…どうしてこんな……」

思わず玲も小さな声で自分の本音を話したが……

そんな玲の暗い言葉を聞いたハルカは天性てんせいの明るさで


「ん~…ハルカの予想だとぉ~ 、こないだ店で龍崎社長が襲われたからぁ。
お前どうしてニャルソックしてないんだよー!…って感じで責任を取らされてぇ、
それで一気にフラれたっぽいと思うよ~?そんでぇ…お店も取られて今頃は~、  
新しい恋を見つける為に、ヘソクリを持ってハワイとグアムで豪遊しているんだよきっとー!  」


なんだかとっても幸せな……

絶対に有り得ないカオスな予想を立ててくれたので

このあと急に『お後が宜しい感じ』になったスパイの玲は、やたらと明るいムードの中で


(今日はハルカさんが一緒だから、これ以上の詳しい調査はもう無理だよね~)

なんて事を心の中で呟きながら、

未だに給料を払えと喋り続けるハルカと一緒に涼子の家を後にして

そして二人で再びバスに乗り込んで、もうすっかり暗くなった夜の歓楽街に戻ったが……


「じゃあ私は今からお爺ちゃんの家でラーメンを食べるからぁ、
メンバーさんとはここでお別れしようと思うけどぉ…えっと今日は~、
私と一緒にママのお家で暴れてくれてありがとね~バイバイキーン!」

「あっ、はい、じゃなくて えっと。
こちらこそ、ありがとうございまいました」


こうして無事にハルカと別れた玲はこのあと桜ヶ丘に帰る為

いつもの様に歓楽街の駅を目指してサッサと足早に歩いていたのに、

まさかこの後この日の夜が、一生忘れられない特別な夜になるなんて

この時の玲は勿論なんにも気付いていなかった。
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