Ray of Light ~コミュ障ぼっち女子高生と恋愛スキルゼロの寡黙な天然イケメン社長~

Pink Diamond

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璃音編 初めての熱い夜

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そしてこの後、わずか2分で玲の家に到着した璃音は

静かに車を降りてすぐ……

「………」

今日も元気に開口一番かいこういちばん、無言で車を降りてきて

そして無愛想な璃音のもとへと来てくれた パーカー姿の可愛い玲は、

ピンク色のトートバッグを肩に掛けた状態で、いつもの様にペコペコと頭を下げながら、


「こっ、こっ、こんばんは、璃音さん」

と恥ずかしそうに小さな声で挨拶をしてくれたけど、

*****

(んん?もしかして風呂に入って化粧を落としたのか?
なる程なる程、やっぱり玲はスッピンの顔が一番可愛いな、フフフッ…)


とは絶対に言えない超絶無言イケメンの璃音はこの瞬間

あまりにも可愛らしい純粋な玲の姿に一発KOされたので

一気に胸の奥がザワザワと騒ぎ始めた事は今さら言うまでもないが


そんな事よりも とにかく今は

一刻も早く愛しい女を自宅に連れて帰りたいから

「じゃあ そろそろ行こうか玲…」この時は普通に声が出せたのに

このあと璃音は、このタイミングで何故か突然、唐突に!


「荷物は~それだけか?
可愛いピンクの~鞄~じゃなくて女のバックだな~」


なんと!玲と互角に渡り合えるレベルの華麗なコミュ障が発現したので


「じゃあ今日は…えっと俺が…この車を~運転するから
お前はその~、よ、よ、よかったら~助手席に乗ってくれるかい?」


こうなった以上はもう……

至上最高のデートはこれにて全て終了なのかと思ったが

やはり聡明で冷静で……

そして唸る程の財産を持った璃音は決してタダでは転ばない男だから!


「ちゃんとシートベルトを…えっと閉めろよ玲」

「あっ、はい、わかりました」


こうしてなんとか冷静を装って、

スッピンの可愛らしい玲を車に乗せた後すぐに

シーンとしたムードをごまかす為に、小さな音でカーラジオを付けながら……


「あの璃音さん、今から何処どこに行くんですか?」

「俺のマンションだ……」

「でも、こんな時間にお邪魔していいの?」

「大丈夫だ。明日は夕方まで仕事は入っていないから……」


…って感じの無難な会話をしていたけれど

明日の仕事のくだりはもちろん、全部が真っ赤な嘘だから


(まぁ明日は朝一で来客の予定が入っているが
今夜は俺と玲の記念すべき特別な夜だからな……
急で悪いが明日の朝の仕事は全て、副社長の彰に対応してもらおう!)

と心の中で明日の予定を全て彰に丸投げした璃音は安堵の表情で

ガチガチに緊張しているロボットみたいな玲を連れて自宅マンションに帰ってきたが

*****

超高級マンションの最上階全てが自宅の敷地である

キンキラキンのペントハウスに玲を連れてきた璃音はあまりにも嬉しくて

「ここが~俺の…マ、マ、マンションだ……
そんなに緊張しなくていいから早くこのスリッパを履けよ玲、
今から一緒に~あっちのリビングで、うまい水でも飲もうじゃないか」

なんて意味不明な事を引きつった笑顔で呟きながらも

まずは第一関門である、広いリビングに玲を案内できたけど、


今どき珍しい観音開かんのんびらきのド派手なドアを開けた瞬間、

ドキドキしすぎた璃音のヤバい緊張は、

今世紀最大級の危険なレベルに達していたので……


「えーと……これが~一応ソファーだ……。
それで~、あの絵は…ル、ル、ルノワールだ。
じゃあ、そろそろ…俺と一緒に…えっと…み、み、水を飲むかい?」


まるで玲が乗り移ったかの様な

ハイレベルのコミュ障スキルを発動させたのに、

こんな最悪の状況下じょうきょうかでも

常に強運を持っている璃音は間一髪かんいっぱつ

「はい、頂きます」と下を向いて返事をした玲に

自分の緊張している姿を全く見られなかったから


「じゃあこのソファーに座れよ玲、
水はペットボトルのままでいいか?」

こうして徐々に冷静さを取り戻してきたけれど

そんな事よりも………


「あっ!こっ、このお水…すごく…美味しい…ですよね」

と答えてくれた玲の右手が、小さく震え続けていたので


(…玲?お前もしかして……
俺の事が怖いのか?だから…こんなに震えているのか?)

この瞬間、やっと玲の気持ちが分かった璃音は

カタカタと震える玲の身体を優しく抱きしめながら……


「なぁ玲…怖くないから俺を見てくれないか?」

…って感じの完璧な王子様になりきっていたのに

ずっと下を向いてる大人しい玲の様子を見ていたら、

やたらと胸が苦しくなって

ものすごく身体が熱くなってきて


そして ふと気が付けば……

あっと言う間に王子モードを抜け出して、

いつものエロい激モテ社長の璃音にサッサと戻っていたので

このあと璃音はゆっくりと

まだ少し震えている玲をソファーに押し倒しながら……

俺は、お前が…欲しい…と小さな声で自分の本音を呟いた後


「あの、えっと璃音さ…あっ!」

やや強引に玲の唇を奪って、このままの勢いで

遂に初めての熱い夜を玲と二人で過ごせる事になったけど


冷静に考えてみれば玲は未経験の処女だから

下着姿になった涙目の玲を今からお姫様抱っこして

寝室のベッドに運ぼうとしている璃音は僅かな罪悪感を感じたが


「なぁ玲…俺は一生、お前一人を愛し続けるから
今から俺の寝室で、俺の事を受け入れてくれるかい?」

やっと愛しの玲を抱く事が許された今の璃音に、後悔の念は全くなかったから

*****

こうして初めての熱い夜が終わる頃

完全に意識を飛ばしてスヤスヤと眠る玲の隣で

ゆっくりと身体を横たえた璃音は穏やかな表情で


(今日はお前が初めてだったから優しくしたけど……
この次はもうちょっと楽しませてもらってもいいよな?)

なんて事を考えていたけれど

このあと5分も経たないうちに……

窓辺のカーテンから淡い光が射し込んできて

そしてキラキラと輝く眩しい朝日が昇り始めた事に気が付いたので


(なんだ、もうそんな時間になっていたのか……
楽しい時間は、あっと言う間に過ぎていくんだな、フフフッ。
じゃあ玲を起こす時間になるまで少しだけ、俺も目を瞑っていようか)

なんて幸せな独り言を心の中で呟きながら

朝日が昇る夜明けのベッドでゆっくり静かに目を閉じて

初めて感じた甘いトキメキに何度も胸を震わせていたけれど


(なるほど…これが胸キュンと言うものなのか?)

先程からずっと胸の奥がホワホワしている恋愛初心者の璃音は今まさに

人生初の貴重な胸キュンを体験できたから、

ロマンティックな胸の締め付けを感じる度にキュンキュンと

まるで恋する中学生の様な甘い感動に包まれていた事は、もちろん今さら言うまでもない。
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