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来訪と堕天使
スキルとスライム
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契約を完了したから、次は情報収集だな。
メイは単語的な喋り方だが、それなりに知性は高いと見て間違いないだろう。
「メイ、幾つか質問したいんだが、いいか?」
「質問? 大丈夫」
「よし、なら、まずは一つ目。この世界は『地球』っていうのか?」
「『地球』? 違う。世界、『アルライト』、名前」
メイは俺の質問に首を横に振って否定し、この世界の名前を教えてくれる。
今更ここは異世界なのか? と思って、聞いたわけじゃない。
目の前でヘルハウンドとメイが実際に戦ったのだから、それは疑いもないことだ。
だが、この世界の名前がわからないというのも困るので、聞いてみただけだ。
「じゃあ、次だ。近くに町か何か……人がいるところを知らないか?」
「知らない。私、森、あまり、出ない」
「なるほど……。人の気配は?」
「冒険者、たまに。他、ない」
となると、この近くに村とかがあるわけではなさそうだな。
後、ファンタジーと言えば、やっぱりアレだよな……種族。
「この世界には人間と魔物以外にもいるのか?」
「いる。エルフ、ドワーフ、獣人、魔族。人間、合わせて、五つ。魔族、獣人族、更に、分岐、する」
「えっと、つまりはこの世界には人間とエルフ、ドワーフに獣人、魔族がいて、魔族と獣人は更に色んな種族がいると?」
「そう。私、一応、魔族、入る」
「人間の姿だからか……?」
「そう」
ということは魔族は魔物が人の姿になったのをそう呼ぶんだろうか。
可能性ではありそうだが、悪魔とかがそう呼ばれてる可能性もある。
とりあえず、魔物が人間の姿になれる様になると、魔族の一括りに入るのはわかった。
だが、アレだな。
「やっぱり、会話が少し不便だな……」
「不便……。だから、人間、心臓、欲しい」
「いや、ダメだからな? 俺以外襲えばいいっていうわけじゃないからな?」
「ム~……」
俺が注意すると、頬を膨らませて、如何にも不機嫌ですと言う感じを醸し出す。
可愛らしく思うが、ダメなものはダメだ。
山賊や盗賊はこの世界でどういう扱いになっているんだろうか?
魔物と同じで討伐対象にも入っていたりするのだろうか?
それを確認するためにも、まずは人のいるところを探さないといけないな。
その前にメイの力を確認しておきたいな。
「メイ、お前はキメラっていうけど、どんなことができるんだ?」
「色々」
「色々言われても……。どんな?」
「色々、できる。力、食ってきた!」
「力を食ってきた?」
言っている意味がよくわからないな。
力を食ってきた、ということはどういうことなのか?
思えば、ヘルハウンドのことを食ってたが……まさか。
「なぁ、お前はさっき倒したヘルハウンドの力を使えるのか?」
「使える。心臓、食った。力、取り込んだ」
そういうと、メイの口から炎が漏れ出してきているのが見える。
恐らく、取り込んだのはヘルハウンドの炎の力。
だが、心臓を食って力を取り込む……キメラにそういう力はなかったはずだが。
ヘルプ、こういう時出てこないのか!
【個体名:メイにユニークスキルを感知。スキル名:|魂喰い】
来たよ、ヘルプさん!
俺は嬉しく思うと同時にユニークスキルという言葉に反応する。
ユニークスキル……ということは、個人で持つ特殊なスキルのことか?
どうやら、そのソウルイーターとやらが、心臓を食って力を得るのに関係があるらしい。
ヘルプさん、詳細をくれ! 詳細を!
【|魂喰い:魂が宿るという心臓、もしくはコアを捕食することにより、その生き物が持つ性質、力を取り込むことが可能。この能力がある場合、アンデットを燃やすか、浄化せずとも殺すことが可能となる。不死者も可能】
なんかやばい能力だぁぁぁぁ!?
まぁ、名前の通り魂を食らうわけだし、不老不死だろうと、アンデットだろうと殺してしまうだろうけど!
だが、コレでメイが心臓にこだわっているのかわかった。
力を取り込めると気付いたからこそ、その行為を行う。
ということは人の心臓を食ったことにより、単語的だが喋れる様になったのか?
まぁ、相手が盗賊だったみたいだけど……大丈夫だろうか。
「ヘルプ、段々仕事してきたな……」
最初の時よりは俺の問いに答えてくれる様になってきている。
とりあえず、今後の目標を決めないとな。
「よし、メイ。まずは人がいる場所を目指そう。その間にモンスターと遭遇したら、テイムできそうならテイムする!」
「無理、食べる」
「あぁ、うん。無理な奴は倒してくれてもいいけど、少しくらいは待ってくれな?」
懐き度上げる前はやめてほしい。
やっぱり育てるなら、一から育ててみたいよな。
卵とか拾えたら嬉しいんだけどな。
メイは別に育て甲斐がないというわけではないが、ある程度成長した魔物をゲットした様なもんだしな。
とりあえず、懐き度が下がらない様に、頑張らないとな。
思えば、メイに襲われたあの時……咄嗟にきび団子をポケットから取り出せたけど、あんなの持ち歩いてたか?
それにパーカーのポケットに入るほどの大きさには見えなかったが……もしかして、『魔物使い』以外にも、何か貰ってる?
こういう風に困った時はヘルプさんだよな!
【久遠 裕司。こちらへ来る際に授けられたスキル。ユニークスキル:魔物使い、魔物へのお菓子。エクストラスキル:次元倉庫】
「仕事してるよ、ヘルプさん! さっすが! っていうより、アイテムボックス! まさか、あの時きび団子をポケットから取り出せたのは、アイテムボックスに繋がってたから? リアル四次元ポケットだよ」
あの猫型ロボットの様なことができるわけか……凄い道具は入ってないけど。
それときび団子があった理由……このモンスタースイーツっていうのが関係してそうだな。
あの時メイがきび団子に反応したのは、このモンスタースイーツとやらで生まれたきび団子だからか?
使用方法をヘルプさん、プリーズ!
【魔物へのお菓子:魔物の好感度を上げるお菓子を作成可能となる。通常のご飯やお菓子よりも懐き度は高く上がる。ただし、そのためには材料と魔力が必要となる。魔力だけの場合、きび団子が作成される】
「なるほど、あの時、咄嗟に取り出したからきび団子が……。つまり、あの時に俺はちょっと魔力を使ったってことか」
つうか、なんできび団子?
【保持者の記憶を探った際、このきび団子で従えるイメージが強いため、そうなった】
「あぁ! 桃太郎とか、どこぞの猫型ロボットのイメージが強すぎたせいかァァァァァ!」
結果、基本はきび団子になったというわけですね!
ちなみにレシピとかあったりするのだろうか?
「レシピオープン」
さり気なく呟いてみると、モンスター一覧と同じ様なものが頭に思い浮かぶ。
レシピ一覧
なし
「だろうと思ったよ!」
何を確認しようもなしが基本だと考えておこう。
この世界に来たばかりだから仕方ないとは言え、少しくらいレシピ入れておいてくれてもいいんじゃないかな。
レシピを手に入れる方法は誰かから料理を教えてもらうか、だろうか。
俺があれこれ考えていると、誰かが服の裾を引っ張っているのに気付き、そちらへと視線を向ける。
「独り言、多い。大丈夫?」
「あ、あぁ、すまん。ちょっとしたことでな」
どうやら、心配させてしまった様だ。
頭を優しく撫でてやると、メイはそれを微笑んで受け入れてくれる。
人の姿をしていても、なんだろうな。
魔物だなんだという前に、動物を撫でている気分だ。
「それじゃ、行くとするか」
「うん……。待つ」
俺が歩き出そうとすると、服を掴まれて、止められてしまう。
それに驚きながら振り返ると、メイが真剣そうな表情で頭からうさ耳を生やして、辺りを見渡している。
耳まで変えることができるのかよ、スゲェな。
辺りを見渡し、近くの草むらが揺れ始める。
まさか、何かが近づいてくるのに反応して、その音を拾うためにウサギの耳を?
そして、ガサガサ、としばらく草むらが揺れた後、何かが飛び出してきて、俺目掛けて突撃してくる。
「危ない!」
「ぐべぇ!?」
メイは助けるつもりで突き飛ばしたのだろうが、その手の勢いがまた強く、しかも鳩尾……!
俺は地面を転がってから、腹を抑えて身悶える。
「ぐぉぉぉぉ……! 腹が……! 腹がぁ……!」
「ユージ、魔物。だけど、心配、すぎた」
えっと、心配し過ぎたって言いたいのか?
魔物相手に警戒するのは必要だろうけど、そこまで心配する必要がない魔物って。
そこにいたのはゼリーの様にプルプルと揺れ、水色の液体の体を持つ丸い生き物……!
「す、スライムだ……!」
初期に仲間にするのでも定番なスライムじゃないですか!
まぁ、遭遇する前にキメラのメイやヘルハウンドとかやばい奴に遭遇したけど。
でも、スライムか……。
【魔物名:スライム。敵意、殺意はなし。食欲を向けられてるため、テイムできません。懐き度も0です】
魔物が出てきたら、自然と現れるのかな、ヘルプさん。
魔物名しか言わないからどういった生態かはわからないけど、もし、俺の知っている通りのスライムなら、雑食のハズ。
何だろうとあの体で包み込み、溶かして捕食してしまうハズだ。
それに作品によってはゴブリンより厄介なこともあり、あの液体の体には打撃や斬撃が効かないなんてのも、たまにある。
果たして、このスライムはどうなのか。
とりあえず、きび団子を使って、食欲をどうにかしないと。
「あ~ん」
「って、待て待てェ!」
少し目を離した隙にメイがスライムを食べようとしていた。
気を抜いたら、本当に何をしでかすかわからないな、この子!?
俺の静止の言葉を聞いてか、不満そうに俺を見てくる。
「何?」
「いや、テイムさせてって約束だよね!? なんで食べようとしてるの!?」
「無理、言った」
「無理、食べるって、我慢できないって意味だったの!?」
解釈間違えちゃったよ、俺!
というより、ヘルハウンド食べた時はもうお腹いっぱい言ってたよな!?
「お腹いっぱいだったんじゃないのか!?」
「スライム、別腹」
「甘い物は別腹みたいな発言だな!」
「だから、食べる」
「ダメだから!」
目をキラキラと輝かせているメイに叫びながら、ため息をつく。
魔物へのお菓子に魔力を回して、きび団子をもう一つ作成し、ポケットに手を入れて、次元倉庫に接続して、取り出す。
俺が取り出したきび団子に反応し、スライムを手放すメイ。
「これやるから、少し待っていてくれないか?」
「わかった!」
俺が差し出すと、奪い取る様に受け取って、袋を開けて食べ始める。
今の内にスライムと交渉を開始しようではないか。
俺はきび団子を取り出し、しゃがんでスライムに近づく。
スライムは俺に近づいてきたのに気付いたのか、プルプルと揺れて反応してみせる。
目はないからわからないのだが、きび団子を見ている気がする。
俺の予想が正しければ、魔物へのお菓子で作った物に気を惹かれやすく、こちらを襲ってくることはなくなるはずだ。
現に、俺を襲おうとしていたメイはきび団子に反応したわけだし。
一つきび団子を取り出し、掌に乗せて差し出してみる。
すると、スライムは恐る恐るこちらに近づいてきてから、きび団子に触れて、取り込む。
「食べた!」
まぁ、液体の体を持つスライムなので、溶かしていく瞬間も見えているのだが。
スライムに味覚があるのかは謎だが、おいしかったのか、嬉しそうにプルプルと揺れている気がする。
そのまま一つ、また一つと与えていき、スライムはきび団子を嬉しそうにどんどん取り込んでいく。
その途中で、スライムを軽く撫でてみたのだが、プルプルした手触りとひんやりとした感触に気持ちよさを覚えたのは言うまでもない。
「コレで全部だな」
一袋分与えたスライムは何やら、嬉しそうに動き回っている。
気のせいだろうか、さっきよりも元気そうに動き回っている様に見えるのだが。
「!」
「ん?」
スライムがピョンピョン! と連続で飛び跳ね始め、何かを訴えてきている。
【スライムから向けられる食欲がなくなり、懐き度が上がりました。テイムが可能になりました】
あ、なるほど。
これは懐いているっていうか、仲間にしてほしそうにしているっていう感じのなのね。
テイマーとして、これはテイムしなければな!
「なぁ、お前。よかったら、俺たちと一緒に来ないか? 新しい友達として」
「!」
スライムはさっきより高く飛び跳ねる。
これは了解と受け取っていいんだよな。
なら、名前を決めないといけないよな。
「そうだな……お前の名前は『スイム』。今日からお前はスイムだ!」
「!」
名前を決めたと同時にあの時と同じ魔法陣が展開され、スイムの体の一部分に紋章が浮かび上がる。
俺の手の甲にできていた紋章は光を放ち、契約が完了したのだと知らせてくれる。
【契約完了しました。魔物名:スライム、個体名:スイム。登録完了しました】
スライムを仲間にできたぜ……!
俺は早速スイムを抱き上げて、頭に乗せる。
おぉ……頭にひんやりとしていて、プルプルしたものが乗っていて、気持ちいい。
メイへと視線を向けると、満足そうな顔で座っている姿が目に入る。
「おいしかった……」
「満足してくれて何よりだよ」
「ユージのくれる、コレ、おいしい、よ」
「そういってくれると嬉しい……ん?」
気のせいか、メイの喋り方に違和感を感じたんだが。
詰まりながらも、言葉をうまく発してる様な。
「また、欲しい、な」
いや、気のせいじゃない!?
どういうことだ……きび団子をあげたから?
いや、だが……彼女のスキル『魂喰い』は心臓やコアを食べることで性質やスキルを手に入れることが可能な能力。
俺のスキルで作ったきび団子で言葉が少し上達するとは……待てよ?
「魔物へのお菓子は俺の魔力を流すことで作り出す魔物へのお菓子だ。魔力っていえば、生命力と密接したものっていうのがファンタジー作品にあったりする。魔力がないのに、魔法を使えば生命力を使うっていうのもあるくらいだし……」
もし、それが本当なら、魂と密接と言えるのは生命力。
そして、生命力と密接となる魔力……その魔力を食ったことによって、魂喰いが働いて、言語力を少しながらも習得したのか?
「コレ、私の、お気に入り。また、ちょうだい、ね?」
「お、おう」
いや、まだコレで確信するのは早いかもしれない。
また今度ちょうだいと言っているのだから、次に渡した時に変化を確かめるとしよう。
とりあえず、スイムの紹介だけでもしておかないとな。
「メイ、新しい友達のスイムだ。間違っても食べようとするなよ?」
「わかった、よ。新しい、友達、は。私も、嬉しい、から」
「それならよかった」
どうやら、メイは友達は食べない、という主義は持っているらしい。
まぁ、俺と出会う前に別のテイマーに友達を連れていかれたそうだし、友達と行動する意思はあるとみていいだろう。
俺とメイは新たな仲間、スライムのスイムを連れて、森の中を歩き出した。
メイは単語的な喋り方だが、それなりに知性は高いと見て間違いないだろう。
「メイ、幾つか質問したいんだが、いいか?」
「質問? 大丈夫」
「よし、なら、まずは一つ目。この世界は『地球』っていうのか?」
「『地球』? 違う。世界、『アルライト』、名前」
メイは俺の質問に首を横に振って否定し、この世界の名前を教えてくれる。
今更ここは異世界なのか? と思って、聞いたわけじゃない。
目の前でヘルハウンドとメイが実際に戦ったのだから、それは疑いもないことだ。
だが、この世界の名前がわからないというのも困るので、聞いてみただけだ。
「じゃあ、次だ。近くに町か何か……人がいるところを知らないか?」
「知らない。私、森、あまり、出ない」
「なるほど……。人の気配は?」
「冒険者、たまに。他、ない」
となると、この近くに村とかがあるわけではなさそうだな。
後、ファンタジーと言えば、やっぱりアレだよな……種族。
「この世界には人間と魔物以外にもいるのか?」
「いる。エルフ、ドワーフ、獣人、魔族。人間、合わせて、五つ。魔族、獣人族、更に、分岐、する」
「えっと、つまりはこの世界には人間とエルフ、ドワーフに獣人、魔族がいて、魔族と獣人は更に色んな種族がいると?」
「そう。私、一応、魔族、入る」
「人間の姿だからか……?」
「そう」
ということは魔族は魔物が人の姿になったのをそう呼ぶんだろうか。
可能性ではありそうだが、悪魔とかがそう呼ばれてる可能性もある。
とりあえず、魔物が人間の姿になれる様になると、魔族の一括りに入るのはわかった。
だが、アレだな。
「やっぱり、会話が少し不便だな……」
「不便……。だから、人間、心臓、欲しい」
「いや、ダメだからな? 俺以外襲えばいいっていうわけじゃないからな?」
「ム~……」
俺が注意すると、頬を膨らませて、如何にも不機嫌ですと言う感じを醸し出す。
可愛らしく思うが、ダメなものはダメだ。
山賊や盗賊はこの世界でどういう扱いになっているんだろうか?
魔物と同じで討伐対象にも入っていたりするのだろうか?
それを確認するためにも、まずは人のいるところを探さないといけないな。
その前にメイの力を確認しておきたいな。
「メイ、お前はキメラっていうけど、どんなことができるんだ?」
「色々」
「色々言われても……。どんな?」
「色々、できる。力、食ってきた!」
「力を食ってきた?」
言っている意味がよくわからないな。
力を食ってきた、ということはどういうことなのか?
思えば、ヘルハウンドのことを食ってたが……まさか。
「なぁ、お前はさっき倒したヘルハウンドの力を使えるのか?」
「使える。心臓、食った。力、取り込んだ」
そういうと、メイの口から炎が漏れ出してきているのが見える。
恐らく、取り込んだのはヘルハウンドの炎の力。
だが、心臓を食って力を取り込む……キメラにそういう力はなかったはずだが。
ヘルプ、こういう時出てこないのか!
【個体名:メイにユニークスキルを感知。スキル名:|魂喰い】
来たよ、ヘルプさん!
俺は嬉しく思うと同時にユニークスキルという言葉に反応する。
ユニークスキル……ということは、個人で持つ特殊なスキルのことか?
どうやら、そのソウルイーターとやらが、心臓を食って力を得るのに関係があるらしい。
ヘルプさん、詳細をくれ! 詳細を!
【|魂喰い:魂が宿るという心臓、もしくはコアを捕食することにより、その生き物が持つ性質、力を取り込むことが可能。この能力がある場合、アンデットを燃やすか、浄化せずとも殺すことが可能となる。不死者も可能】
なんかやばい能力だぁぁぁぁ!?
まぁ、名前の通り魂を食らうわけだし、不老不死だろうと、アンデットだろうと殺してしまうだろうけど!
だが、コレでメイが心臓にこだわっているのかわかった。
力を取り込めると気付いたからこそ、その行為を行う。
ということは人の心臓を食ったことにより、単語的だが喋れる様になったのか?
まぁ、相手が盗賊だったみたいだけど……大丈夫だろうか。
「ヘルプ、段々仕事してきたな……」
最初の時よりは俺の問いに答えてくれる様になってきている。
とりあえず、今後の目標を決めないとな。
「よし、メイ。まずは人がいる場所を目指そう。その間にモンスターと遭遇したら、テイムできそうならテイムする!」
「無理、食べる」
「あぁ、うん。無理な奴は倒してくれてもいいけど、少しくらいは待ってくれな?」
懐き度上げる前はやめてほしい。
やっぱり育てるなら、一から育ててみたいよな。
卵とか拾えたら嬉しいんだけどな。
メイは別に育て甲斐がないというわけではないが、ある程度成長した魔物をゲットした様なもんだしな。
とりあえず、懐き度が下がらない様に、頑張らないとな。
思えば、メイに襲われたあの時……咄嗟にきび団子をポケットから取り出せたけど、あんなの持ち歩いてたか?
それにパーカーのポケットに入るほどの大きさには見えなかったが……もしかして、『魔物使い』以外にも、何か貰ってる?
こういう風に困った時はヘルプさんだよな!
【久遠 裕司。こちらへ来る際に授けられたスキル。ユニークスキル:魔物使い、魔物へのお菓子。エクストラスキル:次元倉庫】
「仕事してるよ、ヘルプさん! さっすが! っていうより、アイテムボックス! まさか、あの時きび団子をポケットから取り出せたのは、アイテムボックスに繋がってたから? リアル四次元ポケットだよ」
あの猫型ロボットの様なことができるわけか……凄い道具は入ってないけど。
それときび団子があった理由……このモンスタースイーツっていうのが関係してそうだな。
あの時メイがきび団子に反応したのは、このモンスタースイーツとやらで生まれたきび団子だからか?
使用方法をヘルプさん、プリーズ!
【魔物へのお菓子:魔物の好感度を上げるお菓子を作成可能となる。通常のご飯やお菓子よりも懐き度は高く上がる。ただし、そのためには材料と魔力が必要となる。魔力だけの場合、きび団子が作成される】
「なるほど、あの時、咄嗟に取り出したからきび団子が……。つまり、あの時に俺はちょっと魔力を使ったってことか」
つうか、なんできび団子?
【保持者の記憶を探った際、このきび団子で従えるイメージが強いため、そうなった】
「あぁ! 桃太郎とか、どこぞの猫型ロボットのイメージが強すぎたせいかァァァァァ!」
結果、基本はきび団子になったというわけですね!
ちなみにレシピとかあったりするのだろうか?
「レシピオープン」
さり気なく呟いてみると、モンスター一覧と同じ様なものが頭に思い浮かぶ。
レシピ一覧
なし
「だろうと思ったよ!」
何を確認しようもなしが基本だと考えておこう。
この世界に来たばかりだから仕方ないとは言え、少しくらいレシピ入れておいてくれてもいいんじゃないかな。
レシピを手に入れる方法は誰かから料理を教えてもらうか、だろうか。
俺があれこれ考えていると、誰かが服の裾を引っ張っているのに気付き、そちらへと視線を向ける。
「独り言、多い。大丈夫?」
「あ、あぁ、すまん。ちょっとしたことでな」
どうやら、心配させてしまった様だ。
頭を優しく撫でてやると、メイはそれを微笑んで受け入れてくれる。
人の姿をしていても、なんだろうな。
魔物だなんだという前に、動物を撫でている気分だ。
「それじゃ、行くとするか」
「うん……。待つ」
俺が歩き出そうとすると、服を掴まれて、止められてしまう。
それに驚きながら振り返ると、メイが真剣そうな表情で頭からうさ耳を生やして、辺りを見渡している。
耳まで変えることができるのかよ、スゲェな。
辺りを見渡し、近くの草むらが揺れ始める。
まさか、何かが近づいてくるのに反応して、その音を拾うためにウサギの耳を?
そして、ガサガサ、としばらく草むらが揺れた後、何かが飛び出してきて、俺目掛けて突撃してくる。
「危ない!」
「ぐべぇ!?」
メイは助けるつもりで突き飛ばしたのだろうが、その手の勢いがまた強く、しかも鳩尾……!
俺は地面を転がってから、腹を抑えて身悶える。
「ぐぉぉぉぉ……! 腹が……! 腹がぁ……!」
「ユージ、魔物。だけど、心配、すぎた」
えっと、心配し過ぎたって言いたいのか?
魔物相手に警戒するのは必要だろうけど、そこまで心配する必要がない魔物って。
そこにいたのはゼリーの様にプルプルと揺れ、水色の液体の体を持つ丸い生き物……!
「す、スライムだ……!」
初期に仲間にするのでも定番なスライムじゃないですか!
まぁ、遭遇する前にキメラのメイやヘルハウンドとかやばい奴に遭遇したけど。
でも、スライムか……。
【魔物名:スライム。敵意、殺意はなし。食欲を向けられてるため、テイムできません。懐き度も0です】
魔物が出てきたら、自然と現れるのかな、ヘルプさん。
魔物名しか言わないからどういった生態かはわからないけど、もし、俺の知っている通りのスライムなら、雑食のハズ。
何だろうとあの体で包み込み、溶かして捕食してしまうハズだ。
それに作品によってはゴブリンより厄介なこともあり、あの液体の体には打撃や斬撃が効かないなんてのも、たまにある。
果たして、このスライムはどうなのか。
とりあえず、きび団子を使って、食欲をどうにかしないと。
「あ~ん」
「って、待て待てェ!」
少し目を離した隙にメイがスライムを食べようとしていた。
気を抜いたら、本当に何をしでかすかわからないな、この子!?
俺の静止の言葉を聞いてか、不満そうに俺を見てくる。
「何?」
「いや、テイムさせてって約束だよね!? なんで食べようとしてるの!?」
「無理、言った」
「無理、食べるって、我慢できないって意味だったの!?」
解釈間違えちゃったよ、俺!
というより、ヘルハウンド食べた時はもうお腹いっぱい言ってたよな!?
「お腹いっぱいだったんじゃないのか!?」
「スライム、別腹」
「甘い物は別腹みたいな発言だな!」
「だから、食べる」
「ダメだから!」
目をキラキラと輝かせているメイに叫びながら、ため息をつく。
魔物へのお菓子に魔力を回して、きび団子をもう一つ作成し、ポケットに手を入れて、次元倉庫に接続して、取り出す。
俺が取り出したきび団子に反応し、スライムを手放すメイ。
「これやるから、少し待っていてくれないか?」
「わかった!」
俺が差し出すと、奪い取る様に受け取って、袋を開けて食べ始める。
今の内にスライムと交渉を開始しようではないか。
俺はきび団子を取り出し、しゃがんでスライムに近づく。
スライムは俺に近づいてきたのに気付いたのか、プルプルと揺れて反応してみせる。
目はないからわからないのだが、きび団子を見ている気がする。
俺の予想が正しければ、魔物へのお菓子で作った物に気を惹かれやすく、こちらを襲ってくることはなくなるはずだ。
現に、俺を襲おうとしていたメイはきび団子に反応したわけだし。
一つきび団子を取り出し、掌に乗せて差し出してみる。
すると、スライムは恐る恐るこちらに近づいてきてから、きび団子に触れて、取り込む。
「食べた!」
まぁ、液体の体を持つスライムなので、溶かしていく瞬間も見えているのだが。
スライムに味覚があるのかは謎だが、おいしかったのか、嬉しそうにプルプルと揺れている気がする。
そのまま一つ、また一つと与えていき、スライムはきび団子を嬉しそうにどんどん取り込んでいく。
その途中で、スライムを軽く撫でてみたのだが、プルプルした手触りとひんやりとした感触に気持ちよさを覚えたのは言うまでもない。
「コレで全部だな」
一袋分与えたスライムは何やら、嬉しそうに動き回っている。
気のせいだろうか、さっきよりも元気そうに動き回っている様に見えるのだが。
「!」
「ん?」
スライムがピョンピョン! と連続で飛び跳ね始め、何かを訴えてきている。
【スライムから向けられる食欲がなくなり、懐き度が上がりました。テイムが可能になりました】
あ、なるほど。
これは懐いているっていうか、仲間にしてほしそうにしているっていう感じのなのね。
テイマーとして、これはテイムしなければな!
「なぁ、お前。よかったら、俺たちと一緒に来ないか? 新しい友達として」
「!」
スライムはさっきより高く飛び跳ねる。
これは了解と受け取っていいんだよな。
なら、名前を決めないといけないよな。
「そうだな……お前の名前は『スイム』。今日からお前はスイムだ!」
「!」
名前を決めたと同時にあの時と同じ魔法陣が展開され、スイムの体の一部分に紋章が浮かび上がる。
俺の手の甲にできていた紋章は光を放ち、契約が完了したのだと知らせてくれる。
【契約完了しました。魔物名:スライム、個体名:スイム。登録完了しました】
スライムを仲間にできたぜ……!
俺は早速スイムを抱き上げて、頭に乗せる。
おぉ……頭にひんやりとしていて、プルプルしたものが乗っていて、気持ちいい。
メイへと視線を向けると、満足そうな顔で座っている姿が目に入る。
「おいしかった……」
「満足してくれて何よりだよ」
「ユージのくれる、コレ、おいしい、よ」
「そういってくれると嬉しい……ん?」
気のせいか、メイの喋り方に違和感を感じたんだが。
詰まりながらも、言葉をうまく発してる様な。
「また、欲しい、な」
いや、気のせいじゃない!?
どういうことだ……きび団子をあげたから?
いや、だが……彼女のスキル『魂喰い』は心臓やコアを食べることで性質やスキルを手に入れることが可能な能力。
俺のスキルで作ったきび団子で言葉が少し上達するとは……待てよ?
「魔物へのお菓子は俺の魔力を流すことで作り出す魔物へのお菓子だ。魔力っていえば、生命力と密接したものっていうのがファンタジー作品にあったりする。魔力がないのに、魔法を使えば生命力を使うっていうのもあるくらいだし……」
もし、それが本当なら、魂と密接と言えるのは生命力。
そして、生命力と密接となる魔力……その魔力を食ったことによって、魂喰いが働いて、言語力を少しながらも習得したのか?
「コレ、私の、お気に入り。また、ちょうだい、ね?」
「お、おう」
いや、まだコレで確信するのは早いかもしれない。
また今度ちょうだいと言っているのだから、次に渡した時に変化を確かめるとしよう。
とりあえず、スイムの紹介だけでもしておかないとな。
「メイ、新しい友達のスイムだ。間違っても食べようとするなよ?」
「わかった、よ。新しい、友達、は。私も、嬉しい、から」
「それならよかった」
どうやら、メイは友達は食べない、という主義は持っているらしい。
まぁ、俺と出会う前に別のテイマーに友達を連れていかれたそうだし、友達と行動する意思はあるとみていいだろう。
俺とメイは新たな仲間、スライムのスイムを連れて、森の中を歩き出した。
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死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
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はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
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現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
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【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
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世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
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40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
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部長に傷つけられ続けた私
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13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
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異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
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机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
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転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
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ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
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