愚者の狂想曲☆

ポニョ

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1章

愚者の狂想曲 10 金色の妖精 エルフのリーゼロッテ

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美しく透き通るような声で、話しかけてきた女性が、此方に近づいて来た。

月明かりと、篝火が折り重なった、なんとも言えない綺麗な光の中、姿を表した女性に目を奪われる。



光り輝く金髪の綺麗な髪を春風になびかせ、白雪の様な白く柔らかそうな肌を、上品なワンピースで隠し、月の女神と見紛う美しい顔立ちに、華奢だが豊満さを感じさせるスタイル。その美しい金色の髪と同じ色の透き通るような瞳が、此方に向けられている。春風に揺れる髪から、長く尖った綺麗な耳が見えた。



「エ…エルフの女神…?」

思わず小声で呟いた俺。そんな俺の声に、にこやかに微笑むエルフの女性。



「リーゼロッテ殿!こ…こんな所で、何をなさっておられるのですか?」

少し慌てたように言うハーラルト。その言葉を聞いた、リーゼロッテと呼ばれたエルフの女性は、涼やかに微笑みながら



「いえ…何やら声が聞こえたので、来てみましたの。すると、ハーラルト様が、そちらの行商人様を取り調べしていたみたいなので…ご忠告をと思いまして」

「こ…この…わ…私に…ちゅ…忠告…ですか?い…いかような事でしょう?」

リーゼロッテの言葉を聞いて、明らかに不服そうな感じを、顔に表すハーラルト



「いえ…何でもそちらの行商人様は、この村の村長アロイス様が、対応する事になっていると聞きましたが?」

「その様ですが、小奴らが、野盗や我が主人に危害を加える者では無いと言う、証明にはなりませんな。それに、取り調べなら、村の長より、私達軍属の方が適しているでしょうしな!」

ニヤっと哂いながら、リーゼロッテに言うハーラルトは、見下したように言う。しかし、そんな言葉に微笑みながらリーゼロッテは話を続ける。



「ええそうでしょう。取り調べなら、栄えある、モンランベール伯爵家、ラウテッツァ紫彩騎士団、第5番隊、隊長のハーラルト様の方がきっと適任でしょうし、ハーラルト様直々にお調べになられましたら、この方達の素性や目的も、お解りになられる事でしょう」

そう言ってニコっと微笑むリーゼロッテ



「そうです!解って頂ければ良いのです!なに…私も何も小奴らが、野盗や暗殺者だとは決めつけていません。それを証明する為に、直々に取り調べをしようと言うのです。騎士団は誇り高く、慈悲深くなければいけません。私もそう思って行動しているのですよ。小奴らの身の潔白を証明させてやる為にもです」

これ以上無い様な、卑しい哂いを浮かべながら、ハーラルトは言う



「ええそうでしょう。私もそう思いますが…ですが…」

「なんですか!言いたい事は言って頂いて結構です!」

もうすぐ手に入るマルガという美少女の獲物を目の前にして、余計な話をするリーゼロッテを、鬱陶しそうに言うハーラルト。リーゼロッテはそれにも微笑みながら、話を続ける。



「村や町の長は、その土地を収める領主が選任されている事は、ご存知だと思います」

「…ええ。知っていますとも。むしろ知らぬ方が、おかしいですな!」

吐き捨てる様に、イライラしながら言うハーラルト



「では…選任された長は、選任された村や街に限り、領主の代理権を持つこ事もご存知ですよね?」

「無論だ!そんな事は初歩の初歩だ!それが…どうしたというのですか!?」

苛立ちが限界に近づいているハーラルトは、声高に言う。



「では…そちらの行商人様は、先程言った通り、アロイス村長様が対応する事になっていますね?と、言う事は、この行商人様は、アロイス村長の管理下に有るという事になりますね?」

「そうだ!だが、この村は小さく、村長も軍属では無い為に、この私が直々に調べたほうが適任であろうと、言う事なのですよ!この村の為にもなりますしな!」

「そうです。アロイス村長は軍属ではありませんから、判断に困るでしょう。つまり…判断出来無い…。そういう時はどうなると思いますか?」

にこやかにそう言うリーゼロッテに、目をきつくしながら



「…何が言いたいのですか?リーゼロッテ殿…」

静かだが、重みのある声で言うハーラルト



「…選任された長が判断出来無い事は、選任した者が対応する事になります。つまり…アロイス村長を選任した、この土地の領主である、バルテルミー侯爵家当主様に、判断して貰うしか無いのです。しかし、アロイス村長は、判断出来無くても、そちらの行商人様を、アロイス村長の管理下に置くと宣言してしまっています。アロイス村長は、代理権を持つこの村の長。アロイス村長が言った事は、そのままバルテルミー侯爵家当主の言葉となります。つまり、そちらの行商人様は、バルテルミー侯爵家当主管理下の人物になります」

そこまで話を聞いたハーラルトは、だんだん自体が飲み込めてきた様だった。



「そちらの行商人様が、どういう人物かの判断はしかねる為に、領主の判断になりますが、代理権の発動により、そちらの行商人はアロイス村長の管理下…バルテルミー侯爵家当主管理下の人物。そう宣言してしまっている以上は取り消せません。良くも悪くもですけれども。判断出来無い事と、代理権の発動は別の事ですからね」

そう説明してニコッと微笑み、話を続けるリーゼロッテ。ハーラルトは黙って聞いていた。



「つまり、今回の事は簡単に言うと、バルテルミー侯爵家当主管理下の人物を、モンランベール伯爵家、ラウテッツァ紫彩騎士団に、調べさせて欲しいと言う事になります。そうなると、必要になる事があります…そう…この行商人様を調べるには…バルテルミー侯爵家当主の許可が必要になるのです。アロイス村長は判断出来かねる状態ですからね。もし…許可も取らずに無断で取り調べをしてしまったら…どうなる事でしょう…しかも此処は、モンランベール伯爵家領でなく、バルテルミー侯爵家領…」

その言葉を聞いて、ハーラルトの血の気が引いていく。



貴族というのは、誇りと名誉を重んじる。それ故に貴族なのだ。

無断でそんな事をしたら、バルテルミー侯爵家は誇りと名誉を傷つけられたとして、報復に出るだろう。

モンランベール伯爵家は、非礼を働いてしまった事実から逃げれないので、謝罪する事になる。

当然、モンランベール伯爵家は誰かに責任を取らせる…それはハーラルトにだ。

お互い膨大な権力を持つ六貴族同士。その責任を取らされるとなれば、この世のものとは思えぬ地獄を味わう事になるであろう。



「い…いや…わ…私は…別に…」

その事を想像したのか、顔を蒼白にさせるハーラルト。その顔を見て涼やかに微笑むリーゼロッテ



「ええ解っていますとも。ハーラルト様はこの村の為、主であるアロイージオ様の為に、取り調べしようとしていた事は解っていますわ。ですが…今からその許可を取るとなると…一度アロイージオ様にご相談してもよろしいですか?」

「いや!アロイージオ様には、私がご相談しておきましょう!」

慌てながら、即答するハーラルト。



「そうですか。ではお願いします。ですがハーラルト様も、責務で取り調べまでなさろうとしたのに、残念ですね。…そうですわ!良い事を思いつきましたわ!」

「ど…どんな事ですか?」

「この村にいる間、私がこの行商人様方を、監視いたしますわ。私は客分ですから、モンランベール伯爵家様にはご迷惑をお掛けしませんし、何か有ればアロイージオ様とハーラルト様に、報告させて頂きます。幸い、私の宿泊している家と、同じみたいなので」

そう言って指をさすリーゼロッテ。その先には、エイルマーの居る家を指していた。



「宜しいですか?ハーラルト様」

「…解りました。そう致しましょう。お願いいたしますリーゼロッテ殿」

そう力なく言うハーラルトに、ニコっと微笑むリーゼロッテは



「では、早速、監視を開始し、宿泊先に戻らせて貰いますね。失礼しますハーラルト様。良き夢を」

「…ええ、良き夢を…リーゼロッテ殿…」

そう言って微笑むリーゼロッテに、脱力しながら言うハーラルト。



「では行きましょうか行商人様方」

そう言って、俺とマルガの手を引っ張って、エイルマーの待つ家に向かうリーゼロッテ。

俺は戸惑いながら引っ張られていく。ふと視線に気がついて振り向くと、ハーラルトが口惜しそうに俺とマルガを見ていた。

こうして俺とマルガは、リーゼロッテによって、窮地を救われたのだった。











「えっと…リーゼロッテさん?」

俺とマルガを引っ張って歩いているリーゼロッテは歩みを止める



「はい?どうかされましたか?行商人様」

此方に振り返り、ニコっと微笑むリーゼロッテ。その可愛さにドキっとする。



「え…えっと、先程は有難うございます。助かりました」

「いえ。私は一般的な事を言っただけですので、お気になさらないで下さい。私が監視するという名目で一緒にいますから、恐らくもう何事も無いとは思いますが、私達がこの村にいている間は、行動には注意して下さいね」

「ええ、そうする事にします」

俺の返答に微笑みながら頷くリーゼロッテ。



「そういえば、まだ自己紹介をしていませんでした。僕は葵 空といいます。こっちは僕の奴隷で、マルガです」

「ご主人様の一級奴隷をさせて貰ってますマルガです!よろしくです!」

マルガは元気にそう言うと、ペコリと可愛い頭を下げる。



「2人共よろしくね。……マルガさんは、葵さんの一級奴隷なんですか…。マルガさん、一級奴隷になると言う事は、どんな気持ちになるのですか?」

リーゼロッテは静かにそう言うと、マルガを見つめていた。突然言われたマルガは、う~んと可愛い口に人差し指を当てて、



「私はご主人様の一級奴隷になれて、とても幸せです!ご主人様は、一杯優しくしてくれますから!」

マルガは満面の笑みでリーゼロッテにそう告げる。マルガの尻尾は楽しげに揺れていた。

マルガちゃん…その気持ちは嬉しいけど、そんなにはっきり言われると、オラ恥ずかしいよ…

そんなマルガの言葉に、意外そうな目で俺を見つめるリーゼロッテ。そして、一瞬足元に視線を落とし、



「そうですか…。あら!私ったら…。変な事聞いてごめんなさいね。さあゲイツさんの家に行きましょう。エイルマーさんも待っていますし」

俺とマルガは、リーゼロッテの後についていく。そして一件の家の前に来た所で、エイルマーが近寄ってきた



「葵さん!大丈夫でしたか?心配しましたよ!」

「心配かけてすいませんエイルマーさん。此方のリーゼロッテさんのお陰で、何事も無く済みました」

「そうですか!それは良かった!さあ!中に入りましょう。葵さんの事は話をしてありますので」

エイルマーの案内でゲイツの家に入っていく。その家は村長ほどではないが、なかなか立派な家であった。

家の中には、夫婦とその子供らしき少年が、俺達を見て微笑んでいた



「どうもこんばんわ。私はゲイツと言います。此方は妻のメアリー。そして息子のマルコです」

「こんばんわ。妻のメアリーです。よろしくおねがいしますね」

「こんばんわ!マルコです!よろしく兄ちゃん!」

俺とマルガもゲイツ家族に挨拶をする。なかなかフレンドリーで、優しそうな家族だ。此れならゆっくり宿泊できるだろう。



「今夕食の準備をしていますので、葵さん方もリーゼロッテさんも、部屋でおくつろぎ下さい。用意が出来ましたら、呼びに行かせて貰いますので。マルコ。葵さん達を部屋までご案内して」

ハ~イ!と元気良く返事をするマルコ。俺とマルガはマルコについていく。その部屋は、リーゼロッテの部屋の隣らしい。マルコに部屋の中に案内されて入ると、こじんまりした部屋であるが、ゆっくりと出来る部屋の作りをしていた。俺は案内してくれたマルコに、



「マルコ。これを渡しておくよ」

俺はアイテムバッグから、お金の入った袋を取り出し、マルコに銀貨10枚を渡す。マルコはそれを見て、目を丸くしていた



「今日から3日位泊めて貰う事になるから、宿代だって言って、ゲイツさんに渡してくれるかな?」

「でも…3日でこんなに貰って良いの?」

「うん。その代り、お願いがあるんだ。食事の事なんだけど、イケンジリの村で取れる、美味しい物を沢山食べさせて欲しいんだ。お願い出来るかな?」

「解ったよ葵兄ちゃん!任せといて!」

そう元気良く言うと、マルコはピュ~っと走って部屋から出て行った。



「これで、イケンジリの村の特産品を、一杯食べる事が出来るよマルガ。約束してたからね。イケンジリの村に着いたら、一杯美味しい物を食べさせて上げるって。」

その言葉を聞いたマルガは、目を輝かせて



「ありがとうございます!ご主人様!私嬉しいです!」

そう言ってギュっと抱きついてくるマルガを、優しく抱き返す。マルガの優しく甘い香りが俺を包み、華奢だが柔らかく暖かいその体に、安らぎを感じる。そして、ハーラルトとの事を思い出して



「本当に、リーゼロッテさんには感謝しないといけないね…」

「はい…でも何故、私に聴取しようとしたのでしょうか…ご主人様の方が詳しく色々話せると思うのですが…」

そう言ってマルガは、う~んと考えて、可愛い首を傾げていた。



そうか…どういう事か解ってなかったんだ。…聴取に行かせなくて本当に良かった。

マルガの事だ。俺の命を奪うとか言われて脅されたら、俺の為に体を差し出していただろう。

そして、汚されたマルガは自ら…考えただけで、悪寒が体中に走る。

しかし、今回はリーゼロッテさんのお陰で事無きを得たけど、美少女のマルガに目をつける輩は多い。此れからの事も有るし、きちんと話をしておこう。

俺はハーラルトが、マルガにしようとしていた事を説明した。マルガはそれを聞いて、困惑していた。



「マルガはとっても可愛いから、そういう事を考えて、狙う輩が多いんだ」

「…ご主人様に可愛いと言って貰えるのは嬉しいのですが、私はご主人様の言う様に…そんなに良いのでしょうか?」

マルガは手鏡を出して、自分の顔を見だした。そして、う~んと唸っていた。



マルガちゃん…ひょっとして…自分が滅多にいないクラスの美少女だって解ってない!?

マルガは長い間、自分の姿を見ないで生活してきた。劣悪な環境で6年も汚く、男の奴隷と見間違える位に。俺に買われてから、やっと女の子らしく、手鏡で自分の顔を見てオシャレも出来る様になった。今はそれが楽しくてしかたがなくて、他の人と比べてどうとか考えていないのかも知れない。



「マルガはリーゼロッテさんを見てどう思う?」

「リーゼロッテさんは凄い美人さんです!あんなに綺麗な人は初めて見ました!」

「他の人から見たら、マルガもリーゼロッテさんと同じ位美人で可愛いんだよ」

マルガはその言葉を聞いて、顔を真赤にして、手鏡で自分の顔を何度も見ながら、アワアワしていた。

俺は決してお世辞を言っているのでは無い。確かにリーゼロッテは超がつく美少女だけど、マルガもそれに勝るとも劣らない、超がつく美少女だ。この二人に差はない。好みの問題であろう。



「ほ…本当ですか?…ご主人様から見て、私はリーゼロッテさんみたいに…可愛く見えますか?」

「うん…見えるよ。マルガは本当に美人さんで可愛いよ」

その言葉に耳まで真っ赤にして、嬉しそうな顔を向けるマルガの尻尾は、ブンブン振られていた。



「だから…何かされない為にも、常にそういう事をされるかも知れないと、注意して欲しいんだ」

俺の言葉に、コクっと静かに頷くマルガ。



「ハーラルトみたいに、権力を傘に言う事を聞かそうとする奴も居る。…たとえ、俺の命を奪うと言われても…絶対に体を差し出すなんて事しないでね」

「で…ですが!ご主人様の命が掛かっているなら…」

その言葉を指で塞ぐ。マルガはうううと唸って俺を見ている。



「その気持ちは嬉しいけど…絶対にダメ。これは『命令』だから…逆らう事は許さないからね?」

その言葉を聞いて、瞳を激しく揺らしているマルガを、ギュっと抱きしめる。



「マルガの事大好きなんだ…約束だからね」

「ご主人様…私も大好きです!」

マルガはギュっと抱きついてきて、俺の唇に吸い付くようなキスをする。マルガの暖かく柔らかい舌が、俺の口の中を堪能するように動く。俺もマルガの舌を優しく味わい、舌を絡める。

その時、バンっと勢い良く扉が開いた



「葵兄ちゃん!夕食の準備が出来たよ!」

そこにはマルコとリーゼロッテの姿があった。俺とマルガは、キスをしながら横目でそれを確認する。



「バタン…」

静かに扉はしまった。俺とマルガは、ササっと離れる。マルガは恥ずかしそうに俯いていた。扉の外から声が聞こえる



「リーゼロッテ姉ちゃん!葵兄ちゃんとマルガ姉ちゃんがキスしてたよ!凄いね!」

「仲の良い2人はそう言う事をするものなのです。それより、部屋に入る時は、ちゃんとノックしないとダメでしょ?」

「そうだね、オイラ何時もの癖で…まだ、葵兄ちゃんとマルガ姉ちゃんキスしてるかな?」

いやいや。流石にもうやめてるよ!それに、声まる聞こえですから!エッチなキスを少年に見せつけて、欲情する様な趣味は、まだありません!…先の事は解らないけど…エロくてごめんね!



「そう言う時の為に、扉をノックするのでしょう?」

「あっそっか…」

「コンコン…」

「はい…どうぞ…」

再度開かれる扉。



「あ…葵兄ちゃん…ゆ…夕食の準備できたから!し…下で待ってるね!」

顔を真赤にして、ピュ~っと走り去ったマルコ。リーゼロッテは涼やかに微笑んでいた。



「2人は仲が宜しいのですね」

「ええ…まあ…」

俺が苦笑いをすると、クスっと笑うリーゼロッテ。マルガは顔を赤くして軽く俯いていた。

そんな気まずい3人は、特に会話も無く食卓に向かう。そして、食卓についた時に、マルガは声を上げる。



「うわあ~。凄いです~」

マルガは目をキラキラ輝かせて嬉しそうに言う。テーブルの上には、此れでもかと言う程の、イケンジリの村で採れる美味しそうな料理が並んでいた。その美味しそうな匂いに、俺もマルガも思わず微笑み合っていた。



「これは凄いご馳走ですね。熊と鹿の肉を焼いた物に、山菜の入ったシチューに、パイの包み焼き…他の料理も、この村で取れる美味しい物ばかりですね」

リーゼロッテが少し驚きながら言うと



「ええ!葵さんから宿代として結構な額を頂きましたので!ご希望に答えようと思いまして、妻が腕を奮って作りました!」

ニコニコ笑いながら、ゲイツが言うと、微笑む妻のメアリー。



「ささ!冷めない内に食べて下さい!」

「ええそうさせて頂きます!」

俺達はテーブルの席につき、食事を始める。



「頂きます!!」

チャキーンとフォークとナイフを構えたマルガは、怒涛の勢いで料理に襲いかかる。まるで両手が分身する勢いだ。



「ごしゅじんしゃま~。ものすごくおいひいれす~」

マルガは頬に一杯料理を頬張っている。まるで、リスが頬袋に食物を溜め込んでいる様になっていた。

その様子に、皆が笑っている。マルガも恥ずかしそうに照れていた。



「そんなに美味しそうに食べて貰ったら、嬉しいですね。作った甲斐がありましたわ」

「この村は小さな村だが、山と森に囲まれていて、山の幸が豊富だからな!食物の美味しさなら、そんじょそこらの村や町には負けねえさ!」

そう言って笑うゲイツ夫妻。俺もその料理に舌鼓を打つ。そんな俺とリーゼロッテの視線が合う



「そう言えば、リーゼロッテさんは、どれ位この村に滞在するんですか?」

「本当は、もう出発する予定だったのですが、アロイージオ様がこの村を気に入ってしまいましてね。出発は、明後日になると思います。葵さんはどれ位滞在なさるのですか?」

「一応3日位を予定してます。まあ~明日のアロイス村長との行商の話次第ですけどね」

その話に、興味津々なマルコが食いついた。



「葵兄ちゃん!オイラに行商の話を聞かせてよ!」

「マルコは行商に興味があるの?」

「うん!オイラはエドモンさんや、葵兄ちゃんみたいな行商人になりたいんだ!」

元気一杯に、目を輝かせて、興奮気味にマルコは言う。そんなマルコにゲイツが軽く溜め息を吐いて、



「またお前はそんな事を言って。お前はまだ11歳だぞ?せめて成人になる15歳になった時に、きちんと考えたらいいじゃないか」

「成人の15歳になってからじゃ遅いよ!早い人じゃ10歳から弟子入りして、15歳で師匠の元で行商を始める人もいるんだ!オイラもそうなるんだ!」

「まあまあ、あなたもマルコも落ち着いて。マルコもその話は、何度もしたでしょう?せめて成人になる15歳になってから、また話し合いましょう」

「嫌だ!オイラは絶対に行商人になるんだ!15歳なんか待たない!諦めさせようとしても、無駄なんだからね!」

そう叫んで、テーブルから立ち、ピュ~っと二階に走り去ったマルコ。その姿にゲイツ夫妻は溜め息を吐く。



「いや…お見苦しい所を、お見せしまして申し訳ありませんね」

申し訳なさそうにゲイツが言って、頭を摩っている。俺は苦笑いしながら



「いえいえい。子供の頃は、騎士や冒険者、行商人などの旅や冒険、強い者に憧れるものですよ」

「…まあ、アイツの気持ちも解らないのでは無いのですがね。この村の若者も、マルコの様に何人か出て行ってしまう者も居ます。しかしその大半は、便りが無く帰って来なかったり、結局お金を稼げなくても、安定が一番だと帰って来て、村で農耕や狩りなどをして暮らすものが殆どです。確かに、見聞を広めると言う事は大切だとは思うのですが…親としては…ね…」

そう言ってなんとも言えない様な、表情を浮かべるゲイツ。



一攫千金を夢見て、冒険者や行商人になる者は多い。しかしその大半はゲイツの言う通り、魔物や野盗、野獣等に襲われて、死んでしまったり、体に後遺症が残って引退したり等、多々ある事である。なので、冒険者や行商人は、入れ替わりが激しい。その中でやっていける者は、ほんの一握り。それでも、お金の稼げる冒険者や行商人を目指す人は多いのである。ハイリスク、ハイリターンは、人間の欲望を刺激するのであろう。



「…僕もその中の一人なんで、なんとも言えませんが、親御さんとしては複雑な気持ちになりますよね」

「葵さんはまだ成人して間もない様なお歳に見えますが、言う事はしっかりしていますな!流石は、その歳で行商をなさっている方と言う訳ですかな」

「ハハハ。お世辞としても嬉しいです。僕も勉強中でなんで、大きな事は言えないんですけどね」

そう言って苦笑いする俺に、一同は笑っていた。



「湿っぽい話は此処までにして、残りの料理も食べて下さい。残してしまっては勿体無いですからな!」

「そうですね。こんな美味しい料理を残してしまったら、バチが当たりますね」

そんな事を言って笑い合いながら、食事を進めるのであった。











夕食を食べ終わった俺とマルガは、部屋に戻って来た。俺がテーブルに着くと、マルガは貰ってきてくれた紅茶を入れてくれる。それを椅子に座りながら、マルガと一緒に飲む。



「本当に夕食は美味しかったですねご主人様!私…いっぱい食べ過ぎちゃって、お腹が張っちゃってます。この紅茶もそうですが、イケンジリの村の食物は美味しいですね!」

マルガは幸せそうに言うと、毛並みの良い尻尾を嬉しそうに振っていた。



「だね。俺も美味しくて一杯食べちゃって、マルガと一緒でお腹が張ってるよ」

苦笑いする俺を見て、アハハと笑うマルガ。

本当にマルガは良く食べていた。多分俺よりもパクパクいっちゃってたもんね。こんな華奢な体の何処に入るのか不思議だ。そして、こんだけ食べているのに、一向に太る気配もないし…。これが噂の育ち盛りと、言う奴なのかな?

そんな事を考えながらマルガを見ていたら



「ク~ク~」

マルガの膝の上で伸びながら抱かれている、甘えん坊の子狐のルナが、変な鳴き声を上げる



「もう…ルナったら…ルナも食べ過ぎたみたいで、お腹が痛いって言ってます」

そう言いながら、ルナを撫でて笑っているマルガ。

そう言えば、テーブルの下で、別の木の皿に料理を入れて貰ってたっけ。白銀キツネは雑食みたいで何でも食べる。あの料理が余程美味しかったのか、パクパク食べていた様な気がする。

ペットは飼い主に似るって言ってたけど、どうやら本当の様だ。白銀キツネのルナも良く食べる。狐コンビ?がお腹を張らしているのが可笑しくて、プっと吹いてしまうと、



「…何か…変な事を…思ってませんか?ご主人様…」

マルガがジ~~っと俺を見ている。その膝に抱かれている、白銀キツネのルナもジ~~っと俺を見ていた。



『本当によく似ている!やばい…笑ってしまいそうだ!』

必死で体を震わせながら、なんとか笑うのを我慢した。マルガは可愛いほっぺたをプクっと膨らませて、若干拗ね気味に俺を見ていた。

あ…ちょこっと拗ねちゃった?拗ねてる所も可愛いんだけど!

ちょっと、このまま見ていたい所だったけど、マルガに機嫌を直して貰おう!



「そうだ!マルガに良いモノを見せてあげるよ!」

その言葉に、マルガの可愛い耳とがピクっと反応する



「何ですか?ご主人様!」

好奇心旺盛なマルガは、その言葉に目を輝かせる。

フフフ…可愛いキツネちゃんが、大きな釣り針に掛かりましたね!このまま、釣り上げてくれよう!

俺はアイテムバッグからパソコンを取り出し、テーブルの上に置く。そのテーブルをベッドまで持って来て、俺とマルガはベッドに座る。マルガの膝の上には、モソモソと白銀キツネのルナが、眠たそうに抱かれていた。



「ご主人様…此れは確か…パソコンとか言う魔法の箱ですよね?また、お仕事されるのですか?」

「ううん違うよ。今日はね…このパソコンの色々出来る所の一面を見せてあげるよ」

そう言って、パソコンを立ち上げる。聞きなれた音がしてパソコンが立ち上がる。そして、見慣れた画面が見えてくる。



「何時見ても、パソコンと言うのは不思議な箱ですね~」

「今日はね、もっとビックリさせてあげるよ!」

俺は画面にショートカットしているアイコンをクリックする。インターネットに繋がって、ページが表示される。その画面を見たマルガの眼の色が変わる。



「ご主人様!コレ何ですか!可愛い女の子やら…何かで出来た…大きそうなモノが動いています!」

マルガの瞳はソレに釘付けになっていた。余りの食いつき様に、こっちの釣竿が折れちゃいそう!



俺がマルガに見せているのは、アニメが視聴出来るサイトだ。有料サイトではあるが、俺の銀行口座には、まだ3000万円弱残っている。ネットで支払えるので問題無し!このサイトはほとんどのアニメが見れるので、結構人気があるサイトなのである。ちなみに、マルガの言った大きいのは、ロボットアニメのロボット。またそれは説明してあげるからね!マルガちゃん!

マルガの驚き様に十分満足した俺は、更にサイトの画面を切り替える。

フフフ…マルガちゃんもっと驚かせてあげるからね!盛大に釣り上げてあげよう!

切り替わった画面を見たマルガの瞳は見開かれる。



「皆さんこんにちわ~♪」

パソコンの画面に、アニメの少女が出て来て、元気にそう告げると



「こ…こんにちわです!」

マルガはびっくりして、慌てて正座をしながら、画面に出て来たアニメの少女に、ペコリと可愛い頭を下げ、挨拶をし返す。膝に抱かれていた、白銀キツネのルナが、何事かと起きていた。

パソコンの画面に、正座して挨拶をする美少女に、必死で笑いを堪えながら様子を見ていると、



「マジカル美少女キュアプリム!はっじまるよ~ん♪」

「ご主人様!何か始まるみたいですよ!?」

アニメの少女のその声に、俺の袖をクイクイと引っ張りながら、パソコンの画面と俺の顔を、行ったり来たりしながら見ているマルガ。そんな盛大に釣り針に掛かってくれるマルガに



「ほら、パソコンの画面を見て」

「わああ…」

俺の言葉に画面を見たマルガは声を上げる。アニメのオープニングが始まったのだ。アニメの少女が動き、軽快な主題歌が、それを臨場感有るものに変えていく。

マルガは、アニメの少女に釘付けになり、主題歌の音楽に合わせながら軽く鼻歌を歌い、体を軽く左右に揺らしていた。



「ご主人様…凄いです…綺麗な音楽や歌…。それに可愛い女の子が、パソコンの中で動いています~」

パソコンの画面に瞳を丸くしながら言うマルガ。



「歌が終わったら、劇みたいなものが始まるよ」

「ほ…本当ですか!?」

その言葉の後に、主題歌が終わり、本編が始まった。

俺がマルガに見せているのは、大体小学生が見る、マジカル美少女キュアプリムと言う、魔法少女が悪と闘いながら、成長していくお話だ。

キャラの可愛さと、見やすいストーリーで、日本では中々の人気で、グッズ等も沢山販売されていた。

俺は興味が無い分野だけど、マルガには此れ位で丁度良いと思って見せたが、かなり気に入ってくれたみたいだ。

本編が始まると、食い入る様にアニメを見ている。アニメの少女と同じ様に、一喜一憂のリアクションをしているのが面白い。

時折キャっとか、プリムちゃん頑張って!とか、叫ぶマルガを、ニマニマしながら見ている俺と、その都度ピクピクと眠りから起こされている、白銀キツネのルナ。

そんな感じでマルガを見ていると、エンディングの歌が流れだして、アニメは終わった。



「ご主人様!!この劇、凄く面白かったです!!!」

「良かったね。ま~劇というかアニメって言うんだけね」

「アニメ…というのですか?しかし…不思議です~。このパソコンと言う箱の中で、プリムちゃんがあんなに元気に動き回るのですから」

そう言って、パソコンをあちこちから見て、う~んと腕組みしながら不思議そうに画面を見るマルガ



「あれは書いた絵が動いている様に、見えて居るんだけどね」

「あれが絵なのですか!?…本当にご主人様の居た世界は凄い所だったんですね~」

マルガは感嘆しながらパソコンを見ている。



「次の話も有るけど見る?」

「ハイ!是非見たいですご主人様!」

嬉しそうに瞳を輝かせるマルガ。尻尾は回転して飛んで行くんじゃないの?と言った感じだ。

次の話を用意して上げると、またベッドの上で正座して、パソコンの画面を見ている。



「皆さんこんにちわ~♪」

「ハイ!こんにちわですプリムちゃん!」

そう言って、微笑みながら可愛い頭を、ペコリと下げて挨拶をするマルガ。

…毎回挨拶するつもりなのマルガちゃん?ちょっと可愛いすぎるんだけど!



結局、マルガは4話を連続で見て、今は5話目に入っている。

白銀キツネのルナは、マルガが大きなリアクションをするので、驚いて寝れなさそうだったので、俺の膝の上で寝かせてあげている。

しかし、マルガもお腹が一杯だったのと、興奮し過ぎで疲れたのか、首をコクコクとして、眠気と格闘していた。すると我慢出来無くなって、コテっと俺に持たれて眠ってしまった。



『疲れて寝ちゃったよマルガちゃん!明日はまた5話から見せてあげるからね!』

そんな可愛いマルガを、ベッドにそっと寝かしてあげる。ついでにルナもマルガの隣に寝かせる。

狐コンビ?がムニャムニャ言って、気持ち良さそうな寝息を立てているのに、ニマニマしていると、羊皮紙で張られた窓の外に、人影が見えた。



この家には、珍しくベランダみたいな物がある。この部屋からもそこに出れる扉が付いている。

俺は狐コンビを起こさない様に、静かに扉まで行き、ベランダに出た。

そこには、この世界独特の土星の様にリングの付いた青い月の優しい光の下、美しい金髪の美少女が、夜空を見ていた。その美少女が俺に気がついて、此方をに振り向く。



「あら…美少女との楽しい時間は終わりましたの?」

リーゼロッテはそう言って、悪戯っぽく微笑む。リーゼロッテの小悪魔的な微笑にドキドキしていたのと、俺とマルガの事を見ていたのかな?と、疑問に思ったのが顔に出てしまっていたのか、リーゼロッテはクスクスと口に手を当てて、面白そうに笑う。



「あれだけ楽しそうなマルガさんの声が聞こえたら、見なくてもすぐに解りますよ」

「アハハ。騒がしくしてすいません」

苦笑いしながら言うと、リーゼロッテは微笑み、軽く首を横に振り



「いいのですよ。聞いてるこっちも楽しくなる様な…マルガさんの幸せそうな顔が浮かぶ様な…そんな声でしたもの」

優しい微笑を俺に向けてくれるリーゼロッテ。その顔に、再度見蕩れてしまう。



ムウウ…本当に美少女だ。本当にマルガと勝るとも劣らない。マルガは幼女系の美少女だけど、リーゼロッテはファッションモデル系の美少女だね。身長も165㎝位ありそうだし、胸も豊満で、大人っぽいし…

エルフは、美形が多いって聞いた事があるけど、みんなリーゼロッテの様に超美形揃いなのだろうか?

俺がそんな事を考えていたら、リーゼロッテはクスっと笑い



「そんなに見つめられたら、恥ずかしいですわ。私の顔に何かついてますか?」

どうやら俺はリーゼロッテの顔をずっと見つめていたらしい。思わず気恥ずかしくなる



「あ…すいません。リーゼロッテさんが、余りにも綺麗だったもので…つい…」

「あら…葵さんも、意外とお口がお上手なのですね」

少し驚きながら、リーゼロッテは言う。



ううう…意外って言われた!まあ…俺は、不細工でも男前でも無い、特徴のない、没個性の見た目ですからね!上品な口説き文句も言えませんしね!…でもね!エロイ事なら、そんじょそこらの奴には負けない自信があるのですよ!どうだ!アハハハハ!……あれ…何故だろう…涙が止まらないや…ガク…

そんな感じで俺が苦笑いしていると、少し夜空を眺めながらリーゼロッテが



「でも…いいですねマルガさんは…とても幸せそう…。葵さんにとっても大事にされて…優しくされて…。羨ましいですわ」

そう言いながら儚げに微笑むリーゼロッテ。女神の様な美少女の儚げな姿に、心を囚われそうになる。



「マルガが幸せかどうかは、マルガにしか解らない事なんで、俺にはなんとも言えませんが、リーゼロッテさんはとびきりの美人さんなんだし、今迄男達から、沢山求愛されて来たでしょう?美人のリーゼロッテさんに声をかける位の男達なら、男としての自信に満ち溢れている人も多いでしょうし、羨ましいって事は無いのでは?リーゼロッテさんなら凄い幸せを手に入れられそうですが…」

俺は素直な気持ちをリーゼロッテに話すと、より一層儚げな顔をして、



「…葵さん。見えている物が…思っている事や、考えている事が全てでは無いのですよ?」

そう言って優しく微笑むリーゼロッテに、どういう事なのか聞こうとした時、リーゼロッテが俺に近づいて来た。リーゼロッテの甘い匂いにクラっとくる。



「葵さん…一つ聞かせてもらっても良いですか?」

「ふえ?な…何でしょう?」

リーゼロッテにドキドキしていた俺は、情けない声を上げてしまった。オラ恥ずかしい…穴があったら、入れたい!…もとい、入りたい…

そんな俺に、リーゼロッテは少し真剣な眼で



「マルガさんに、ハーラルト様が、取調べをしようとした時に…葵さん…私が止めに入らなければ…貴方は、どうなさろうとしていたのですか?」

そう言って、流し目で俺を見るリーゼロッテ。その瞳の色は、何か確信めいた光に包まれている。



「…もし、リーゼロッテさんの助けがなければ、俺は…ハーラルト様を殺していたと思います」

俺の真っ直ぐな言葉に、若干瞳をピクっと反応させていたが、すぐにリーゼロッテが、



「…やはりそうですか…。幾らマルガさんを守る為とは言え、ハーラルト様を殺してしまうと、モンランベール伯爵家、ラウテッツァ紫彩騎士団、第5番隊の40人近くを相手にする事にもなったはず。失礼ですが、葵さんに勝てる相手では無いと思います。それでも…マルガさんを守る為に、ハーラルト様の提案を断るつもりだったのですか?」

少し瞳のきつくなったリーゼロッテに



「ええ、そのつもりでした。まあ…戦って僕一人ならまだしも、マルガを守りながらは無理だとは思っていたので、逃げる事に専念しようとは思ってましたけどね。ハーラルト様の提案は、全く受ける気はありませんでしたね」

迷い無くそう言う俺に、リーゼロッテは更に瞳をきつくして



「…まあ運良く逃げ切れたとしましょう。しかし、その後はモンランベール伯爵家だけが敵になる訳ではありません。モンランベール伯爵家は、大国フィンラルディア王国の大貴族、六貴族の中の一つ。今度はフィンラルディア王国自体が敵になっていたでしょう。そうなればどんな事になるか、容易に想像出来る事ですよね?それでも…マルガさんを守る為に…そうしたと…言うのですか?」

リーゼロッテは少し口元に笑みを浮かべて、俺に言う。



「そうです…たとえそうなろうとも、ハーラルト様の提案は受けません。マルガを渡す気にもなりませんね」

「…そんなの只の自暴自棄。無謀や無茶を通り越して、只の自殺行為ですわ…只一夜…マルガさんと貴方が、我慢すれば良い事でしょうに…そんな事…愚者の行為ですよ?」

リーゼロッテは呆れながら俺にそう言い、軽く溜め息を吐く。



「それでも…自暴自棄でも…例え愚者の行為でも、僕はそうしていました。…僕はマルガが汚されてしまったら、好きでいられる自信はありません。恐らく捨ててしまうでしょう。マルガにもこの話は言っていて、マルガも汚されてしまったら、自ら命を断つとまで言ってくれるんですよ」

俺の話を静かに聞いているリーゼロッテ。



「あそこで、ハーラルト様の提案を受けていたら、マルガは汚され、自ら命を断っていたでしょう。…そんな事…許さない。マルガは僕だけ物なんです。ハーラルト様の好きにはさせません」

「ですが!!!」

俺の話を聞いて、反論しようとしたリーゼロッテの唇に、優しく人差し指を添え、口を塞ぐ。



「勿論リーゼロッテさんの言う通り、きっとひどい目に合う確率の方が高いでしょう。と言うか、そっちの方が現実でしょうね。でもねリーゼロッテさん…それでも…例え…大国フィンラルディアを相手にしようとも、魔国が相手であろうとも、全世界の人が敵に回ったとしても、俺とマルガがそう望むなら、俺は気にしません。全部相手にします。俺は…大好きなマルガを守る為なら、世界中の人を喜んで殺します。大好きなマルガを守る為なら…どんな犠牲も厭いません。この体の動く限り…どんな手を使っても…大好きなマルガを守る為ならね」

そう言って微笑むと、静かに話を聞いていたリーゼロッテの瞳は、激しく揺れていた。



「まあ…結局はリーゼロッテさんに助けて貰ったお陰で、そう言う愚者と呼ばれる行動を取らなくて済んだのですがね」

そう言って苦笑いする俺を見て、フっと笑い、土星のような青い月をを見上げてリーゼロッテは



「…本当に…羨ましい…」

リーゼロッテは極小さい声でそう囁く。



「何か言いました?リーゼロッテさん?」

聞き取れなかった俺はリーゼロッテにそう言うと、少し背伸びをした様な、悪戯っぽい笑みを向けて



「いいえ!何も言ってませんわ~。…それより…そんな事を私に言って、良かったのですか?私は仮にも貴方を監視する様に、許可を貰った者なんですよ?こんな事を…ハーラルト様や、アロイージオ様にご報告したら…貴方はどうなってしまうのでしょうね?そんな事は考えなかったのですか?」

リーゼロッテはニヤっと微笑みながら言う。



「いいえ。リーゼロッテさんはそんな事しませんね」

「あら…何故そう思うの?」

リーゼロッテは悪戯そうな微笑で、顔を近づけてきた。リーゼロッテの吐息が俺の顔にかかる様に感じる。魅惑的に映るリーゼロッテに、早くなってしまった鼓動を何とか鎮めさせ、



「そ…それは、きっとリーゼロッテさんは、俺がしようとしていた事を気がついていた上で、助けてくれたと思ったからです。それに、今こうして、気さくに話してくれているでしょう?それは、今は敵意がないと言う事。先の事は解りませんし、どういった思惑が有るのかは解りませんが…それに…一番の理由は…」

「一番の理由は?」

リーゼロッテが可愛く首を傾げる。その凶悪な可愛さに、思わず負けそうになっちゃうYO!



「リーゼロッテさんが優しい人だからです。貴女はそんな事はしない」

「…断言しますわね。その根拠は何処から来るのかしら?」

「根拠はありません…そう心から思うからです」

「つまり…勘と言うわけですか?」

「ええ!勘です!」

自信たっぷりにそう言う俺に、プっと吹き出して笑うリーゼロッテ。



「勘だなんて、もっと理論の有る理由は無いのですか?」

面白そうに笑うリーゼロッテ。



「でも何故か信じれると思う勘なんですよ。だから大丈夫ですよ」

そう言って優しく微笑むと、リーゼロッテの瞳が、再度揺れた。

そして、キュっと俺の胸を掴み、微かに震えている。さっき迄、女神のような気品に満ちあふれていた美少女が、覇気も無くなり、小さくなってしまったかの様に感じる。そして下から見上げ、俺を見るリーゼロッテの金色の透き通る様な瞳は、何時かのマルガの様に、何かに縋り付くような瞳をしていた。



「葵さん…私…実は…」

そうリーゼロッテが言いかけた時に、後ろの扉がガチャっと開かれた。それに振り返る俺とリーゼロッテ



「ご主人様やっぱり此処でしたか。起きたらご主人様が居なくて…。そしたら、此処からご主人様の声が聞こえたもので…」

マルガが寂しそうな顔で言う。その胸には、白銀キツネのルナを抱かえていた。ルナはまだ眠っているのか、まるで人形の様に、手足がプランプランしていた。



「ゴメンねマルガ。心配かけちゃって」

「いえ…もう見つけちゃいましたし」

そう言ってニコっと微笑むマルガ。むうう…可愛い…

そしてマルガは俺の隣にいるリーゼロッテを発見して、



「あ!リーゼロッテさん!こんばんわです!」

マルガは笑顔で元気良くリーゼロッテに言うと



「はい、こんばんわですマルガさん」

いつの間にか俺から離れた所に居るリーゼロッテが微笑みながら言う。その様子は何時もと変わらない感じであった。



「さて、可愛いキツネさんが葵さんを迎えに来た事ですし、お邪魔虫は退散いたしますわね。葵さんとのお喋り楽しかったですわ」

そう言って、自分の部屋の扉に向かうリーゼロッテ



「あ…あの!リーゼロッテさん!」

思わず呼び止めてしまった。さっきリーゼロッテが、何を言いたかったのかが、凄く気になったからだ。そんな、俺の声にリーゼロッテは振り向き



「葵さん…おやすみなさい。…良き夢を…」

そう言って涼やかに微笑むリーゼロッテ。その微笑みは、まるで空気の層で遮断されたかの様な…何かの見えない膜が有って近づけない様な感じがした。



「リーゼロッテさんも…良き夢を…」

リーゼロッテの二の句を告げさせない雰囲気に、結局此れしか言えなかった。俺の言葉に、儚げに微笑むリーゼロッテの背中は、何故か寂しそうに見えた。そんな、困惑している俺を不思議に思ったマルガは



「ご主人様どうかされましたか?何か心配事でもおありですか?」

マルガは心配そうに俺を見つめる。そんなマルガの頭を優しく撫でながら



「ううん、何もないよ。さあ、俺達も部屋に帰ろうか」

「ハイ!ご主人様!」

俺の前を嬉しそうに、尻尾を揺らしながら歩くマルガの後を、俺は歩く。

しかし俺は、リーゼロッテの消えた扉を、何故か見つめてしまうのだった。











部屋の中に戻って来た、俺とマルガ。そして、マルガの胸の中でプランプランしている寝ているルナ。俺は部屋の中に入って、若干の肌寒さに、ブルっと身を震わす。美少女のリーゼロッテと話をして、若干緊張していたのが、解れたのかも知れない。夜も更けて来た事なので、寝る準備をする。



「マルガ。もうすぐ寝るから、寝衣に着替えたら、体を拭く準備をしてくれる?」

「ハイ!ご主人様!少々お待ち下さい!」

元気にそう言うマルガの顔は、嬉しそうに若干赤くなっている。

俺とマルガの間では、『体を拭く』と言う事は、つまり、『エッチな事をするよ』と言う、合図みたいなものになってしまっている。



当初は、当然そのままの意味だった。ただ体を拭くだけの行為。でも、あんな可愛い美少女のマルガと、体を拭いたり、拭かれたりすると、普通の状態で居れる方がどうかしてると思う。

拭き合っている最中に前戯が始まり、お互い盛り上がって、すぐにエッチな事になってしまう。

ある意味、自然な流れだと思うんだよね。

マルガは石鹸水の入った桶と、体を拭くタオルの様な布を用意し終わって、俺の後ろで着替えだした



「スルスルスル…」

マルガが服を脱いで、着替える音がする。寝衣に着替えているのであろう。俺はその着替えている所は見ない。そして、マルガも着替え終えて、準備が整う迄、俺に声を掛け様とはしない。

それは何故かと言うと、マルガが着ている寝衣は、ラングリーの町の衣料商の店主のモリスから買った特別品なのだ。



どんな寝衣かと言うと、例を1つ上げれば、まず胸は隠されていない。全部見えていたり、シースルーのスケスケであったりしている。下のパンツも、マルガの可愛い割れ目の部分に切れ目が入っていて、脱がさすにマルガの秘所を堪能出来る様になっている。

つまり、マルガに買ってあげた寝衣はすべて…愛玩用の性奴隷専用のエッチな寝衣なのである。

寝衣は何時もマルガが選んで着ている。俺はそれを楽しみに待っているのだ。だから、マルガから声が掛る迄は見ないのである。まあ…楽しみにしているのは、俺だけじゃないんだけどね。



「ご主人様…お待たせしました。準備が整いました…」

マルガの声が背中からする。俺はゆっくりと振り返り、マルガをその瞳の中に映し、歓喜に浸る。

今日のマルガの着ている寝衣は、黒のシースルーでスケスケの可愛いフリルの付いた、前開きの胸の所に、レースのリボンで止められた可愛いベビードールの上に、それとお揃いの黒のシースルーでスケスケの可愛いフリルとリボンの付いた、秘所からお尻の穴まで切れ目の入った、オープンショーツタイプのパンツだ。華奢で細い綺麗な足には、太ももの根本までの網タイツを履き、首には俺の奴隷の証である、赤い豪華な革のチョーカーと形見のルビーの宝石…美少女のマルガに非常に良く似合っている。



「マルガ…今日も可愛いよ…」

そう言って微笑むと、マルガは顔を赤くさせて嬉しそうに微笑む。マルガの毛並みの良い金色の尻尾は嬉しそうにフワフワしている。



恐らくマルガも、俺のこの言葉が聞きたくて、用意が出来る迄は俺に声を掛けないのだと思う。

両手で石鹸水の入った桶と布を、俺の足元まで持って来て、布を石鹸水に浸すマルガ。

その光景に、可愛く着飾ったマルガを蹂躙出来る事の喜びから、俺のモノは既に大きくなって、脈打っている。マルガが、布を絞っている時に、出しっぱなしになっているパソコンが目に入った。

今日は久々のベッドでの行為であるし、可愛く艶やかに着飾ったマルガを、目一杯堪能したい。

そんな事を考えて、以前に『ある事』をしたのを思い出し、それを利用する事にした。



「マルガちょっと待ってくれる?」

そう言って、パソコンの乗ったテーブルを、再度ベッドの傍まで持って来る。そして、フォルダーを開き、準備を整えた。此れからのマルガの反応が楽しみで、思わず口がニヤッとしてしまう。

マルガは、テーブルに載せられたパソコンを見て



「ご主人様…またプリムちゃんを見せてくれるのですか?」

マルガは、プリムちゃんは見たいけど、俺とのエッチな時間も無くしたくないと言った、複雑な表情で俺を見る。



「ううん…もっと良いもの見せてあげるよ…さあ、此方においで…体を拭いてあげるから」

「はい…ご主人様…マルガの体を隅々まで拭いて下さい…」

そう言って、顔を赤くして恥ずかしそうに、俺に体を預けるマルガ。俺はマルガの後ろから抱く様に傍まで連れて来ると、パソコンの画面が見える様に座らせる。そして、クリックを押す。



「さあマルガ…パソコンの画面を見てみて…」

俺の言葉にマルガの視線は、パソコンの画面に向かう。そして、マルガは驚きの表情をする。



『ご主人様…私はこういう事をするのが…初めてでして…ご主人様にきちんとご奉仕できないかも知れません。…きっとご主人様に喜んで頂けるご奉仕が出来る様に頑張りますので、私に失望なさらないでくださいませ…』

そこには、俺とマルガが映って喋っていた。



「こ…此れは…ご主人様!どういう事ですか?」

「此れはね…マルガの始めてを奪った時に、録画…つまり映像として記憶させた物なんだよ」

「そういえば、あの時ご主人様が何かしていましたけど…これを?」

「うん…マルガの初めてを奪った所を、残しておきたかったからさ」



そう、俺がマルガの初めてを奪った時に、色々セッティングしていたのは此れだ。

俺は、マルガの初めてを奪う時に、録画機能付きデジカメで、ハメ撮りしていたって事なのです。

此方に持ってこれた、パソコンやデジカメは全て魔法具、マジックアイテムに変化してて、能力も何故か上がっている。なので、画像もかなり鮮明で、音声も非常に綺麗だった。

そのパソコンの画面を見て、耳まで真っ赤にしているマルガ。



「どう…思い出す?マルガの初めてを奪った時の事…」

そう言いながら、マルガの体を優しく拭いていく。マルガは何時もより、身を悶えさせている。



「…んっはあ…」

甘い吐息を吐くマルガ。俺は次々マルガの体を愛撫しながら拭いていく。



『ほらマルガ…。マルガの大切な所はこんなになってるんだよ?』

『とっても…気持よくて…恥ずかしいです…』

パソコンの中の俺とマルガは愛撫しあっている。それを見ているマルガの目は艶かしい色に染まっていた。



「あんな事言っちゃってるねマルガ…あの時も気持ち良かった?…今はどうかな?」

「…あっ…あん…」

そう言いながらマルガの可愛いピンク色の乳首を、軽く捻ると、甘い吐息混じりの声を上げるマルガ。

俺はマルガの反応を楽しみながら、マルガを拭いていく。



『さあマルガ…その可愛い口で、俺のモノに奉仕するんだ…』

『解りました…ご主人様…』

画面の中で、俺のモノを咥えている姿を、見ているマルガ



「マルガの可愛い口に…俺のモノが刺さってるみたいだね…あの時の俺のモノは美味しかった?」

マルガの体を拭きながら、左手の指を、マルガの可愛い口の中に入れる



「はい…ご主人様のアソコはとっても美味しかったです…」

そう言って、体を拭かれて居る快感に身を悶えさせながら、俺の指を舌で舐め回すマルガ。

吸ったり、舌でペロペロと舐めたり、まるで俺のモノを愛撫する様に舐めるマルガ。

マルガの体を拭き終わったので、今度は俺の体を拭いて貰う。当然、俺の体を拭かせながら、マルガの瞳は、パソコンの画面に向けさせる。画面を見ながら俺を拭くマルガは、俺の硬く大きくなって脈打っている俺のモノに手をかける。



「ご主人様…ご主人様の此処を…お口で味わっても宜しいでしょうか?」

マルガは綺麗なライトグリーンの瞳をトロンとさせながら、俺におねだりをする。



「いいよ…但し…パソコンの画面を見ながら、俺のモノを味わうんだ。マルガの可愛い秘所は、今日は自分で触っちゃダメだからね?」

俺の言葉に、身悶えながら、俺のモノを口に咥えて舐めるマルガ。マルガの暖かい口の中や、柔らかい舌が、俺のモノを刺激する



「マルガ…マルガの口の中…気持ち良いよ…」

「ありがとうございますご主人様…私嬉しいです…」

そう言って、俺のモノを更に愛撫するマルガ。玉や裏スジの方まで、丹念に舌や口で舐め回している。



『マルガ…マルガの処女膜舌で舐めてあげるね…』

『は…はい…ありがとうご…ざいます…』

俺がマルガの秘所に口をつけ、処女膜を味わっている場面が映り出されている。



「あの時の…マルガの処女膜の味は、美味しかったよ。今も覚えてる」

そう言って、俺のモノを咥えるマルガの頭を優しく撫でると、目を潤ませて、嬉しそうな表情をするマルガ。



「そろそろ…マルガの処女を奪う場面が来るね…。あの時のマルガの顔は可愛かった…一生に一度の顔…」

その言葉にマルガは、俺のモノから口を離し、キュっと可愛く柔らかな小さな手で、俺のモノを掴み



「ご主人様!もう…私…もう…ご主人様のが…」

喉の奥から搾り出したような、艶めかしい声でそう言って、俺を見つめるマルガ。俺はマルガを目の前に立たせる。マルガの可愛い秘所から溢れでた愛液が、両太ももにまるで宝石の様に、キラキラ光りながら流れでて垂れていた。



「今日はマルガの可愛い秘所を、一度も触ってないのに、もうこんなにしちゃったの?マルガはヤラシイね。初めての時の場面を見て…興奮しちゃった?」

俺の言葉に、恥ずかしそうに身悶え、顔を更に赤くするマルガ。更にマルガの秘所から愛液が流れ出す



「じゃあマルガ…いつもの様におねだりして」

「ご主人様…ご主人様のモノで、私のココを一杯犯してください…ご主人様ので満たして下さい」

そう言って、可愛いピンク色の秘所を両手で広げるマルガ。マルガの可愛い膣口は、パクパクと俺のモノを咥えたそうに、開いたり閉じたりしている。膣口から出ている愛液が、俺の性欲を増加する。



「きちんと言えたね。ご褒美に、マルガの可愛い膣に、一杯入れて犯してあげるね」

そう言って、マルガを抱きかかえ、胡座を書いて座っている俺の上に、背中を向けさせ、背面座位の様に座らせる。勿論、パソコンの画面をマルガに見せる為だ。



『マルガお前の処女を奪うからね…。優しくはしない…全力で犯すからね…一生に一度の…マルガの処女の喪失している時の顔を存分に見たいから…さあ…おねだりしてごらん…』

いよいよマルガの初めてを奪う所に来た



「ほら…もうすぐだよ…マルガの初めてを奪う所が来るよ…」

そう言って、俺のモノを、マルガの可愛い膣口につける。マルガは、身悶えながらモジモジしている。



『ご主人様…マルガの処女を捧げます…存分に奪って下さい…』

『ああ…解った…』

画面の中の俺のモノが、いよいよ処女だったマルガの秘所に入る。それと同時に、俺も一気にマルガの可愛い膣に、奥まで挿入する。



『「イッ…は…んっうん…」』

パソコンの中のマルガと、俺に背面座位で犯されているマルガは、同時に艶かしい声を上げる。マルガの可愛い膣は、俺のモノを喜ぶように、キュキュと絞めつけてきた。甘い吐息混じりに、身を悶えさせ、更に愛液を泉のように滴らせるマルガ。辺りに甘い吐息をまき散らしていた。



「マルガの膣気持ち良いよ…ヌレヌレで…暖かくて…キュっとして…全て吸われそうだよ…」

「ご主人様!私も気持ち良いです!ご…ご主人様のが…私を犯して幸せです!」

「じゃ~今日は…子宮の奥まで犯してあげるよ!」

そう言い放った俺は、ぐりっとモノをマルガの奥に突き刺す。コンコンとマルガの子宮口に当たり、マルガの子宮を開かせ、子宮の中を犯していく。マルガはまるで池の鯉の様に、口をパクパクさせていた。余りの快感に、言葉にならない様であった。どんどん溢れてくるマルガの愛液が暖かく俺を満たしていく。激しくマルガの体を上下させると、マルガは、艶かしい声を出し、更に甘い吐息を撒き散らす。

そんなマルガは、焦らし過ぎたのと、子宮の奥を犯されているのとで、一気に高ぶって来たのであろう。体が小刻みに震えだした。



「ご…ご主人様…私…もう…私…」

イクのを必死で我慢しているマルガ。そんな可愛いマルガに



「いいよ…一杯イカせてあげる…さあ…おねだりしてご覧!」

「ご主人様!私の子宮をもっと犯して、イカせて下さい!子宮をご主人様の精液で汚して下さい!お願いします!」

「良く言えたね…じゃ~イカせてあげる!」

俺は左手で乳首をギュっと摘み、右手で、可愛く膨らんだクリトリスをキュっと摘み、一気に激しくマルガの体を上下に揺さぶり犯す。マルガの体は、快感に押し流されそうで限界に来ていた。



「ご主人様!イキます!イカせて頂きますう!あああ!…っんはああああああああ!!!」

マルガは大きな吐息を吐き、大きく体を仰け反らせて絶頂を迎えた。それと同時に、俺はマルガの子宮に直接精液を染みこませる。マルガの膣はキュンキュンと俺のモノから、精液を吸い取っていた。

俺の体を激しい快楽が突き抜ける。



「ご…ごしゅじんしゃまの…精液が…私の子宮に染み入ってきます。暖かいです…」

マルガは放心状態になりながら、時折体をピクっと痙攣させて、快楽の余韻に浸っていた。



「マルガ…今日も可愛くて…気持良かったよ…好きだよマルガ…」

「私も…ご主人様が大好きです…今日も一杯犯して、精液を注いでくれてありがとうございます…」

そう言って、俺の方に振り向き、キスをしてくるマルガ。マルガの暖かく、柔らかい舌を十分に堪能し、マルガに俺の唾を流し込み飲ませると、嬉しそうに喉をコクコクと鳴らしながら飲んでいる。

そんなマルガに再度、性欲が復活するのが解る。マルガの膣の中でムクムクと大きくなる俺のモノ。



「マルガ…今日はまだ…寝かせないからね…」

そう言って今度は抱き合う様に、正面座位の格好で向かい合う。ギュっとマルガを抱きしめると、同じ様に抱き返してくるマルガ。



「はい…一杯マルガを犯して下さい…私はご主人様だけの…奴隷なのですから…」

満面の微笑を俺に向け、キスをしてくるマルガ。マルガの舌が俺の口の中を味わっている。

俺はマルガの全てを蹂躙し、味わう為に、マルガを犯していく。マルガの幸せそうな瞳は、歓喜に染まっていた。

俺とマルガは、気持ちを確かめ合う様に、何度も求め合い、与え合って、眠りに着くのであった。
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