愚者の狂想曲☆

ポニョ

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2章

愚者の狂想曲 36 追憶の亜種族3人娘 (ステラ、ミーア、シノン視点の物語です)

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「ほらほらどうしたね!さっさと私に奉仕しないか!」

体重100kgはあろうかと言う、ふくよかすぎる化粧の濃い50台の女性。

この傲慢な女性こそが、私達の主人。私達の神…

割りと大きな商会を自らの力で起こし、ここまで上り詰めた商才のある人物。



私と同じ亜種族である、ワーキャットのハーフであるミーアと、ワーラビットのハーフであるシノン。そして、純血のワーウルフである私、ステラ。

私達3人は今、傲慢な醜き女神の奉仕をさせられています。



「ほら!もっとしっかりとお舐め!私を早くイカせないと、また朝食抜きにするよ!」

鞭を片手に私達に奉仕をさせる傲慢な醜き女神は、私達を鞭で打ちながら私達の奉仕で絶頂を迎える。

そして、その醜い身体を、私達に綺麗にさせて、自分の寝室に帰っていく。

私達は部屋の片付けをして、自分達の部屋に帰り、身体を綺麗にして眠りにつく。

これが、私達の日常であり、私達の世界…





私、ミーア、シノンは、それぞれ小さい時に、人攫いに攫われ、奴隷商に売られた者達です。

しかし、幸いな事に、私達は普通の者よりも見目が良かった為、一級奴隷として売られる事になりました。

この世界の奴隷法で決まっている、二級奴隷や三級奴隷と言った、最低より酷い生活をしている者達よりは、随分とマシと言える生活なのかも知れません。

でも、人権を認められている一級奴隷でも、主人の前では絶対服従。

主人の『命令』には、どんな理不尽な事でも、応えなければいけません。

それが奴隷に身を窶した者の宿命なのです…



私は10歳の時に、傲慢な醜き女神に買われてここに来ました。

しかし、買われたのは私だけではなく、私と同じ亜種族の血を引く2人も一緒でした。

それが、ミーアとシノンだったのです。ミーアが7歳、シノンが9歳。

歳も近い事もあり、私達はすぐに親しくなりました。



私達は、まず、この館のメイド長から、色んな知識を学ばされました。

文字に数字、一般教養から、様々な法律…

そして、1番大切な、主人に対する、生活を補佐する為の家事スキル…最後は…主人に対する夜の奉仕の仕方…



館のメイド長から、奴隷の事を、嫌というほど教育された私達は、日々淡々と主人の役に立つ為の教育を受けていきます。

そして、一級奴隷として教育を受けて、1年が経とうとした頃でした。メイド長が部屋に来て、私達に告げます。



「お前達は今日の夜から、我らが主人であるデボラ様に、夜のご奉仕を始めて貰います。今までに学んだ事を、ご主人様に披露して、喜んで貰えるのです。感謝しなさい」

「「「はい!有難う御座います!ドリー様!」」」

メイド長のドリーに声を揃えて返事をして、綺麗に深々とお辞儀をすると、フムと頷いて部屋を出ていくドリー。



「…ステラ姉姉…ついに私達も…主人様に奉仕させられるのですね…」

「…シノンきちんと出来るか心配なのです~」

ミーアとシノンが、心配そうな声を出します。私は2人の頭を優しく撫でながら



「大丈夫よミーア、シノン。きちんと覚えた事を奉仕すれば良いだけよ。私達はその為に一杯勉強してきたのですもの。きっと…うまくいくわ」

私のその言葉に、安堵の表情を見せるミーアにシノン。



私もこの時は、怖かったのですが、1番年上である私は、彼女達を不安にさせる訳にはいかなかったのです。

引っ込み思案のミーアに、少し人に依存してしまいがちな、大人しい性格のシノン。

私の事を慕って、頼ってくるミーアにシノンの事を、私も実の妹の様に感じていたのです。



『私が…この子達の為に…しっかりしないと…』

私は心の中でそう呟きながら、ミーアとシノンの手を握ります。

その手を優しく握り返してくれる、ミーアとシノンの暖かさが、私を怖さから遠のかせてくれます。



そして、いよいよ…主人であるデボラ様に初めて、夜の奉仕をする時がやって来ました。

私、ミーア、シノンがデボラ様の部屋の中に挨拶をして入って行くと、シースルーの寝衣に身を包んだ、デボラ様が居ました。

デボラ様は私達を見て、卑しい笑いをその顔に浮かべると、楽しそうに私達を手招きする。



「フフフよく来たね。今日からお前達には、夜の奉仕をして貰うからね。しっかり奉仕をするんだよ!」

「「「はい!デボラ様!」」」

声を揃えて返事をする私達を見て、ニヤッと微笑むデボラ様は、私達に奉仕をさせていく。



「どうしたね!もっと舐めるんだよ!さっさとおし!」

そう言って、ミーアの顔を自分の股間に押さえつけるデボラ様。ミーアは必死にデボラ様の秘所に奉仕をして行く。



デボラ様は女性で有るにも関わらず、男性には興味が無い様で、女性に奉仕をさせる事で快感を得ると言う性癖の持ち主でした。

別にそれをどうとは、私達は思っていません。私達は主人に絶対服従の、一級奴隷なのですから…



「ほら!ステラにシノンも私に奉仕するんだよ!」

そう言って、私とシノンにも同時に奉仕をさせるデボラ様。

私達3人は必死にデボラ様に奉仕をして行く。

しかし、その奉仕を気に入らなかったデボラ様は、イラッとした感じで、私達を弾き飛ばします。

私達は床に倒れこみ、少し震えながら、デボラ様を見ると、その顔は何かに取り憑かれたかの様な表情をしていました。



「まどろっこしい奉仕だね!…そうか、お前達はまだ処女だったね…それじゃ満足な奉仕は出来ないね。…フフフ良い事を思いついたよ…」

そう言って立ち上がったデボラ様は、机の引き出しから、幾つかの短い木の棒と小瓶を取り出します。

それを持ったデボラ様が私達に近づき、イヤラシク微笑みます。



「これで、お前達を女にしてやるわ!さあ…こっちにくるんだよ!」

そう言って、シノンの腕を掴み、シノンを押さえつけます。

床で四つん這いの体制で押さえつけられたシノンは、デボラ様に小瓶の液体を秘所に塗られます。

それに冷たそうにしているシノンの表情が、次の瞬間一変します。



「きゃはううううう!!!」

悲鳴に近い声を上げたシノン。

それはデボラ様が、短い木の棒をシノンの初めての秘所に、一気に捩じ込んだからです。



「あははは!これでお前も一人前の女だね!ホレホレ!この棒は、気持ち良いだろう?」

笑いながらデボラ様は、シノンの秘所を木の棒で犯していきます。

何度も無理やり出し入れている木の棒で、シノンの秘所は真っ赤になり、破瓜の血を流していました。

その痛みに、泣きながら許しを請うステラの声を聞いて、恍惚の表情をしているデボラ様。

私はその表情を見て、



『あ…悪魔…』

そう心の中で呟いてしまいました。

その間にも、木の棒で犯されているシノンは、次第にぐったりとして、声を出さなくなって来ました。

それを見てつまらなさそうな顔をするデボラ様は、シノンを投げ捨てると、私の身体を同じ様に押さえつけます。



「次はお前だよステラ!女にしてあげるよ!」

そう言って私の秘所に、冷たい液体を塗り、一気に私の秘所に、木の棒を捩じ込みます。



「はううううう!!!」

情けなく声を上げてしまう私。

その余りの痛さに、声を出さずにはいられませんでした。

体中に広がるその痛みは、今迄感じた事のない激しい痛みで、私は無意識にデボラ様から逃げ出そうと、力を入れますが、体重100kgはあろうかと言う巨漢のデボラ様の前では、赤子も同然。私は抑えこまれたまま、激しく木の棒で犯されていきます。



どれ位犯されていたかは解りませんが、気が遠くなるのを感じた所で、私は床に投げ捨てられて、開放されました。

微かに意識のある私は、デボラ様を見ると、1番歳下のミーアが、私やシノンと同じ事をされていました。



激しい痛みに泣き叫ぶミーアを、嬉々として木の棒で犯していくデボラ様。

ミーアはその激しい攻めに耐え切れなくなって、すぐにグタっとしてしまいます。

それを見てつまらなさそうなデボラ様は、ミーアも床に投げ捨てます。

私は床を這いながらミーアの傍に行き、ミーアを抱え上げます。シノンも傍に寄ってきて、私にギュッと抱きつきます。

震えながらデボラ様を見ている私達を見て、イヤラシイ微笑みを浮かべるデボラ様は



「これでお前達は女になった。明日からは十分な奉仕が出来るだろうさ!…この私がお前達の初めての相手をしてやったんだ!礼くらい言ったらどうなんだい!」

「…はい…有難う御座います…デボラ様…」

かろうじて声の出せた私の言葉を聞いて、フンと鼻で言うデボラ様は、



「…まあいいさ。部屋の片付けをきちんとしておくんだよ!」

吐き捨てる様に言うデボラ様に返事をすると、何事もなかったかの様に部屋を出ていかれました。



「ス…ステラ姉姉…きょ…今日の…奉仕は…終わった…の?」

ぐったりとして意識朦朧としているミーアが、微かに声を出し私に問いかけます。



「…大丈夫よミーア。今日の奉仕は終わったわ…」

「…そうなんだ…良かった…」

涙ぐみながら安堵の表情をするミーアは、そのまま意識を失ってしまいます。

一番歳下の、まだ10歳にも達していないミーアの秘所からは、私とシノン同様、破瓜の血が流れ出ていました。

その傍らには、私達の処女を奪った、男性の性器を模したあの木の棒が放置されています。

私達の破瓜の血で赤く光る、その無機質な木の棒を見てシノンが



「…ステラ姉様…私達…ずっと…このままで…生きていかないと…ダメなの…?…私…嫌…こんなのなら…死んだ方がましだよ…」

私にしがみつきながら、微かに震えながら、嗚咽しているシノン。

その絶望に染まった泣き声が、陵辱の間に響いています。



「…シノンそんな事を言ってはダメ。私達よりもっと酷い扱いを受けている、二級奴隷や三級奴隷もいるのよ?…私達は夜の奉仕さえ我慢すれば、普通の人と同じ生活をして、生きて行く事が出来る。だから…私達は一級奴隷として、生き抜いていくの…それが私達の世界で…私達の闘いなの…」

私自身に言い聞かせる様にシノンに言う私に、しがみつく様に抱き、泣いているシノン。



『この子達と一緒に…生き抜いてみせる…必ず…』

私はミーアとシノンを胸に抱きながら、心の中でそう誓うのでした。













月日が立つのは早いもので、私は15歳になりました。シノンも14歳、一番歳下のミーアも12歳で、もうすぐ成人を迎えます。

私達はデボラ様の一級奴隷として、日々精進する日々を送っていました。

色んな知識を吸収し、私達はいつの間にかデボラ様の片腕として、その力を認めて貰える様になり、沢山の重要な商談を任せられる迄に至っていました。

そう…処女を奪われた日に誓った通り、私達は一級奴隷として生き抜いていました。



どこまで続くのか解らない、私達の小さな闘いの事を思うと、心が締め付けられますが、それでも、立ち向かう事を辞めてしまえば、全てが終わってしまう…

私を頼りにしてくれている、ミーアとシノンの為にも、私がしっかりしないと…

それを胸に、私は前に進んでいました。



そんなある日の事、私達に大きな出来事が起こります。

それは、私達の主人であるデボラ様の商会が、何者かによって乗っ取りにあってしまったのです。

私達もデボラ様の片腕として、商会の仕事に携わっていましたが、その者は、デボラ様や私達が気付かない様な、絶妙な駆け引きで、デボラ様の全てを奪っていったのです。

そう…その人物こそが、ヒュアキントス様だったのです。



私達の主人であるデボラ様は、ドリオース商組合と言う中堅の商組合に属していました。

しかし、ヒュアキントス様の父上様が統括理事をされている大手の商組合、ド・ヴィルバン商組合に目をつけられ、ドリオース商組合の稼ぎ頭であったデボラ様を失脚させる為に、ヒュアキントス様が画策されたらしいのです。

一瞬にして全てを奪われ、項垂れているデボラ様を横目に、目の覚める様な、美少年が私達の眼の前に来ます。



美しい光り輝く様な金髪に、透き通る様な金色の瞳、色白の肌に、少しつり目の知性を感じさせる甘い顔立ち。薄い唇は上品に閉じられ、年の頃は20代前半、身長180cm位のスラリとした、その佇まいは気品に満ちていました。

その美青年はニヤッと口元を上げて笑うと、



「…このデボラの財産は、全て僕の物になった。デボラの一級奴隷である君達の所有権も、当然僕の物だ。…お前達の事は良く理解している。お前達はなかなか見目も良いし、仕事も出来る。奴隷商に売らずに、僕の傍で仕事を手伝って貰う。解ったな?」

その言葉に返事をする私達を見て、フンと鼻でいうヒュアキントス様。

私達はヒュアキントス様が用意していた馬車で連れられて、ヒュアキントス様の住まわれている館まで連れて行かれます。



「私達…どうなってしまうのでしょうステラ姉姉…」

「シノンも心配です…ステラ姉様…」

不安そうに言うミーアとシノンの手を握る私は、



「…大丈夫よミーア、シノン。私達は出来る事をするだけよ。今までも…そうやってきたでしょう?」

私の言葉に静かに頷くミーアにシノン。

こうして私達の主人は、デボラ様からヒュアキントス様に変わったのでした。













「ほらどうしたシノン!もっと尻を振って奉仕しないか!」

「はい!ヒュアキントス様!」

主人であるヒュアキントス様の股間に、お尻を擦り付けて奉仕をしているシノン。

その足元には、満足した奉仕を出来なかったミーアが、ムチで打たれて蹲っています。



「ええい!まどろっこしい!」

そう言って右手に持たれていた短鞭でシノンを打つヒュアキントス様。



「ステラ!お前が最後まで僕に奉仕するんだ!満足した奉仕が出来なければ…どうなるか解っているな?」

キツイ目で私を睨むヒュアキントス様に、返事をして奉仕をする私。

私の奉仕に満足されたヒュアキントス様は、私の中に精を放たれます。

そして奉仕の終わった私を床に投げ捨てるヒュアキントス様。



「…お前達は仕事は出来るが…夜の奉仕は3人で一人前だな。…これからきっちりと僕が仕込んでやる。解ったか?」

「「「はい!ヒュアキントス様!」」」

声を揃えて返事をする私達を見て、フンと鼻でいうヒュアキントス様は部屋から出ていかれます。



ヒュアキントス様は、私達、いえ、女性の事を、好いてはいらっしゃいません。

どうやらいつも一緒に居られる、男性のアポローン様のみ愛していらっしゃる様でした。

私達に夜の奉仕をさせるのは、10日の内に、1回か2回。

アポローン様と交う事の出来ない時に、私達に夜の奉仕をさせる様です。



毎日夜の奉仕をさせられていたデボラ様の時に比べると、奉仕の回数は減りましたが、デボラ様以上に私達の苦しみながらの奉仕を所望されるヒュアキントス様への奉仕は、私達の心を荒ませていきます。

そんな私達は、今迄一級奴隷として生き抜いてきたその誇りのみを頼りに、日々を生きていた様に思います。



そして、ヒュアキントス様の一級奴隷になって約1年が経とうとした時でした。

ヒュアキントス様の色々な仕事を手伝っていた私達の元に、珍しく嬉しそうなヒュアキントス様が姿を表します。



「フフフ。ついに大きな好機を得た。これで…僕も…」

そう口ずさんで楽しそうなヒュアキントス様は、私達に説明をしてくれます。

その内容は、このフィンラルディア王国の第三王女、ルチア王女様の専任商人に、ヒュアキントス様が推薦されたとの事でした。

しかし、もう一人の候補者が居て、その内のどちらかが選ばれるとの事らしいのですが、ヒュアキントス様はご自分が選ばれる事に、何かの算段があるらしく、その表情は全てを手に入れたかの様な感じでした。



事実、物事は全て、ヒュアキントス様の思惑通りに運んで行きました。

その手伝いをさせられている私達でさえ、ヒュアキントス様の指示に感嘆させられてしまう程でした。

全て仕組まれた、ルチア王女の専任商人選定戦…

少しの情報も得られないであろうルチア王女は、きっと何も用意が出来なかった事でしょう。

当然、この抜け出せない罠の中に飛び込んでくる、もう一人の候補者も…



ヒュアキントス様の指示の下、全ての準備が整いました。

そして、いよいよ選定戦の事がアウロラ女王陛下の下、アウロラ女王陛下の専属商人であるアルバラード様より、選定戦の事が両者に伝えられる日になりました。

私達はヒュアキントス様と一緒にヴァレンティーノ宮殿に向かいます。

ヒュアキントス様のシンボルである鋼鉄馬車を操りながら、ヴァレンティーノ宮殿に到着すると、2台のみすぼらしい荷馬車が止まっていました。



その余りにも、このヴァレンティーノ宮殿に似つかわしくない2台の荷馬車が、何故ここにいるのか気になりましたが、それ以上に気になる事がありました。

黒髪に黒い瞳の行商人らしき少年の連れている、一級奴隷の容姿の素晴らしい事…

まるでどこかの女神や妖精の様な、美しい一級奴隷を2人も連れていたのです。



それを見たヒュアキントス様の瞳の色が変わります。

この表情をされたヒュアキントス様は、何かを欲した時。

それはきっと、あの女神の様な一級奴隷を自分の物にしたいと思われたのだとすぐに解る表情でした。



「…ステラ。あの者達の素性を調べろ。…僕はあの一級奴隷達が気に入った。あの様な一級奴隷は…僕にこそふさわしい…そうだろ?」

ヒュアキントス様の言葉に頷くと、フフと笑ってヴァレンティーノ宮殿に入って行かれるヒュアキントス様の後について、私達も入っていきます。



そして、ヒュアキントス様が王宮の大待合室で座られている時でした。

例の女神の様な一級奴隷を連れた、黒髪に黒い瞳の行商人の少年が、私達と割りと近い所に座りました。それを発見したヒュアキントス様が、嬉しそうにその黒髪に黒い瞳の行商人の少年の一行のもとに向かわれます。私達も当然、その後を付いていきます。



「君達もこの宮殿に用があるのかい?見た所商人の様だけど、何かの取引かい?」

「ええまあ…そんな所ですかね…」

黒髪に黒い瞳の行商人の少年と他愛のない挨拶を交わすヒュアキントス様。



「君は素晴らしい一級奴隷をお持ちだね。その美貌…なかなかお目に掛かれるものではないね」

「あら…お上手ですわね。でも、貴方のお持ちの一級奴隷さん達も、美しいと思いますが?」

月の女神の様なエルフの一級奴隷の言葉に、若干浮ついてしまった私達。

それに少しの気恥ずかしさを感じながらヒュアキントス様の話を聞いていきます。



「まあ…僕の奴隷だからね。でも…君の一級奴隷には、見劣りしてしまう…そこで相談なんだが、君の持っている亜種の一級奴隷とエルフの一級奴隷を売ってくれないか?そうだね…金貨600枚出そう。どうかな?」

「この一級奴隷達を売る気は無いんですよ。申し訳ないですが…」

即答に近い黒髪に黒い瞳の行商人の少年の言葉に、私は内心驚いていました。

実際、この黒髪に黒い瞳の行商人の少年には大金だと感じたからです。

それなのに…即答で断るなんて…

しかし、ヒュアキントス様も諦める気は無い様で、



「なら、金貨700枚に、この3人の一級奴隷も付けるよ。価値的には金貨1000枚近くになると思うけどどうだい?僕は別に処女じゃなくても構わないんだ。僕が調教しなおせば良い事だしね。それに、君の持っている一級奴隷は、僕にこそ似合うと思うんだ。この条件で売ってくれないかな?」

「すいませんが…それでもダメですね。この一級奴隷のマルガとリーゼロッテは、幾らお金を積まれても、手放す気はありません。申し訳ないですが」

それでも、即答に近い黒髪に黒い瞳の行商人の少年の言葉に、私達は勿論の事、ヒュアキントス様ですらあっけにとられていました。



その時、ヒュアキントス様に飲み物を持ってくる様に言われていたシノンが帰って来ました。

そして、飲み物をヒュアキントス様に手渡そうとした時に、誤って床に落としてしまいました。

その失態に、みるみる表情の変わるヒュアキントス様



「す…すいません!ヒュアキントス様!すぐに、別の物をお持ちします!」

シノンの顔は蒼白になっていました。

ヒュアキントス様はシノンに近づくと、シノンに平手打ちをします。

それと同時に、私やミーアにも同じ様に平手打ちをします。その痛さと衝撃に、私達は床に蹲ってしまいました。



「…こんな所で私に恥をかかせるとは…お前達は帰ったらお仕置きだ。覚悟しておけ!」

その言葉に、私達は恐怖を感じます。

私達はそうそうミスはしませんが、それでもミスを犯す時はあります。

その時の…ヒュアキントス様の仕置は苛烈で…その事を思うと、身震いがします。

その中で、黒髪に黒い瞳の行商人の少年に、案内役が近寄ってきます。



「す…すいませんが、僕たちは行かせて貰いますね」

「見苦しい所を見せたね。奴隷の話は、諦めないよ?また次回話をしよう。君の名前は?」

「僕は葵 空です」

「僕はヒュアキントスだ。用が終わったらよろしく」

苦笑いをしながら立ち去っていく、葵と名乗った少年を見ているヒュアキントス様。

そんな私達の元にも案内役がやって来ました。



「…行くぞお前達!」

ヒュアキントス様の言葉に恐怖を感じながら、その後を付いていきます。

先程の失態で気の立っているヒュアキントス様は、私達を別室で待機させて、何やらアポローン様とお話をされている様でした。



「ごめんなさい…ステラ姉様…ミーアちゃん…」

水を床に落としたシノンが、塞ぎ込みながら私とミーアに言います。



「いいのですよシノン姉姉。仕方のない事…なのです」

「そうよシノン。ミーアの言う通りよ。失敗は誰にだって有るわ」

「でも…私のせいで…ステラ姉様やミーアちゃんにまで迷惑が…」

「私達はいつも一緒でしょ?そんな事…気にしないでいいのよ?」

そう言ってシノンを抱きしめると、少し涙ぐんでいるシノン。ミーアも微笑みながら頷いていた。



確かに、あの様な失態をした私達を、ヒュアキントス様はきつく躾けられるでしょう。

私達は…ヒュアキントス様の一級奴隷…逆らう事は出来ません…

それでも生きる為には…避けれない事…



暫く別室で待っていると、侍女が私達を呼びに来ました。

どうやらヒュアキントス様が、アウロラ女王陛下の前に行かれる様でした。

案内役に付いて行くと、大きな扉の前で待たされます。

すると、別の侍女が、私達を扉の中に案内します。

そこは豪華な大広間で、真赤な綺麗な刺繍のされた絨毯が敷かれ、その奥に、黄金の玉座がありました。

そして、そこで意外な再会が有りました。

そう、先程の葵と名乗った行商人の少年がいたのです。

その葵少年の一行を見たヒュアキントス様は全てを悟られたのでしょう。

ニヤッと微笑むヒュアキントス様。その顔は、何かを考えられた時の顔でした。



案の定、予定されていた選定戦に加え、葵少年の一級奴隷達を賭けの対象にしてしまいました。

全ての話の出来上がっているこの場で、葵少年が何か出来るはずがないのは解っていましたが、ワーフォックスの一級奴隷の少女の為に、そこまで怒る理由が、この時は私達には解りませんでした。

こうして、選定戦は始まったのでした。











ここは選定戦の舞台になるバイエルント国。

私達は今アッシジの町で1番大きい商会に滞在しています。

このバイエルントに来る為に乗ってきた高速魔法船の船上で、ヒュアキントス様と葵少年の話の中で、私達の事を傷つけない様に取り決めがされたので、私達は別室で待機する様にヒュアキントス様から仰せつかっているのでした。



「…あの…葵と言う行商人の少年は、この選定戦で負けてしまうのですよね?ステラ姉姉…」

ベッドに座り、足をブラブラさせながら、寂しそうに言うミーア。

ミーアは高速魔法船の船上で、葵少年に罰を受けるのを助けて貰っている。

優しく引っ込み思案のミーアは、その事をずっと思っていたのを私は知っていました。



「そうね…この選定戦は全てヒュアキントス様の手の上での出来事。全て仕組まれた事なのは知ってるでしょ?…どんなにあの少年が頑張っても…利益の一番高い商品を全て押さえているヒュアキントス様には勝てないでしょうね」

私の言葉に伏目がちに頷くミーア。



「でも…あの葵さんの一級奴隷の2人は…とても幸せそうでしたね。…私達も…葵さんの一級奴隷になったら…優しくして貰えるのでしょうか?」

「きっと優しくしてくれると思いますよシノン姉姉!私…葵さんの瞳に見つめられましたけど…とても優しい瞳をされてました!」

引っ込み思案のミーアが珍しく自分の意見をはっきり言うのに少し驚きましたが、私は宥める様にミーアとシノンに言います。



「…でも、その様な事は、ありえないのも解ってるでしょミーアにシノン?私達の主人はヒュアキントス様であって、あの葵少年ではないわ」

私の言葉にシュンとしているミーアとシノン。

私も酷い事を言っているのは解ってますが、変に夢を見て、後からくるヒュアキントス様の躾に耐えられなくなってしまうのが怖かったのです。



そんなバイエルントでの滞在期間も過ぎ、フィンラルディア王国に帰る時がやって来ました。

葵少年一行は、アッシジの町での取引を諦め、この周辺で取引を考えた事は聞かされていましたが、帰りの荷馬車には女性が5人…

この時は葵少年が何を取引したのか解りませんでした。



そして、フィンラルディア王国に戻り、王都ラーゼンシュルトのヴァレンティーノ宮殿に戻って来た私達と葵少年の一行は、アウロラ女王陛下の前で、仕入れた商品の報告を、アルバラード様にします。

当然、金貨100枚で最高の利益の上がる黒鉄を仕入れているヒュアキントス様は、意気揚々とアルバラード様に報告します。

元々、全て仕組まれているこの選定戦で、ヒュアキントス様に勝てる事などありえない事なのです。



しかし…私達の予想は大きく外れてしまいます。

葵少年は、バイエルント国の自国金貨を純金で作り関税を逃れ、アウロラ女王陛下の前に堂々と差し出したのです。金の関税は高く設定されています。その利益は莫大。

まさかの事態に、流石のヒュアキントス様も為す術はなく、選定戦の勝敗は、葵少年に上がります。

あのデボラ様すら及ばなかった、天才的商才を持つと自他共に認めるヒュアキントス様を破るこの少年の事が、私達は信じられないでいました。



選定戦が終わり、私達はヴァレンティーノ宮殿の客室で、今夜は宿泊させて貰う事になりました。

その客室で、呆然としながら紅茶を飲んでいるミーアとシノン。



「…葵さん…勝ってしまわれましたね…」

「ですね…シノン姉姉…葵さん…勝ちましたね…」

紅茶を飲みながら、ぼそぼそと呟く様に言うミーアにシノン。



「ダメよミーアにシノン。きちんと葵様と呼ばないと。今の私達のご主人様は、葵様なのですから」

私の呆れながらの言葉に、あからさまに表情を明るくするミーアにシノン。



「そ…そうでした!私達の…ご主人様は葵様なのでしたね!ステラ姉姉!」

「そうなんです~ミーアちゃん!」

嬉しそうに言うミーアとシノン。



「喜びすぎよミーアにシノン。…確かに、葵様は優しいのかも知れないわ。でも…それはあの女神の様な美しさを持つ、マルガ様とリーゼロッテ様のみかもしれない。私達が葵様に気に入って貰えるかどうかは…別の話よ…」

私の言葉を聞いたミーアは、バッと椅子から立ち上がり、私とシノンの手を引っ張って、どこかに連れて行こうとします。



「ミ…ミーア!私達をどこに連れて行こうとしているの?」

困惑している私とシノンに、瞳を輝かせているミーアは



「湯浴み場ですよ!葵様に気に入って貰える様に…身体を隅々まで綺麗にするのです!」

引っ込み思案のミーアは、たまに凄い行動力を見せる事がある。

それはきっと、優しくして貰った葵様に対して、何かお返しがしたいと思っているのだと、直感で解りました。



「解ったわミーア。主人である葵様に喜んで貰えそうな事を準備するのは、一級奴隷としての勤めでもあるものね。侍女さん達にお願いしてみましょう」

私の言葉に嬉しそうな顔をするミーア。シノンもどこか嬉しそうにしていました。



…その湯浴み場で、ミーアに隅々まで洗われる事になるとは思ってもみませんでしたけど…

…侍女さん達から、あの場所に塗る傷薬を貰うのは、今まで生きてきた中で、1番恥ずかしかったかも知れません…









翌日、新しい主人である葵様の住まわれる場所に帰る事になりました。

そこはグリモワール学院内にある、大きな風格のある宿舎でした。

どう言った経緯で、このグリモワール学院の宿舎一棟を借りれる事になったのかは解りませんでした。

恐らくルチア王女様との話し合いでと言う事は感じていました。



ヒュアキントス様から届いていた鋼鉄馬車の説明をして、宿舎に入ります。

宿舎の散策も終わり、部屋決めも終了した時に、葵様からとんでも無い事を言われます。

それは、私達を奴隷から解放してくれると言うのです。

その言葉を聞いた私達は、思わず舞い上がってしまいます。

今迄夢に見てきた、奴隷からの解放が、目の前に迫っているのです。喜ばずに入られませんでした。

その中で、ミーアは、弱々しく手を上げ、食事の交渉を私達にさせて欲しいと、葵様に言っていました。

きっと、葵様の為に、何か役に立ちたかったのでしょう。

葵様に優しく頭を撫でられているミーアの顔は、幸せそうでした。

今思えば、ミーアは最初から葵様に惹かれて居たのかも知れません。



私達は部屋決めで決めた部屋でゆっくりとしています。

紅茶を飲みながら、ゆったりとしている中で、ミーアが口を開きます



「やっぱり…葵様は優しかった。私達を奴隷から開放しても良いなんて…」

「そうですねミーアちゃん。シノンもそう思います」

ミーアとシノンは、自分の身に降り掛かった幸運に、信じられないと言った感じで喜び合っています。



「確かに葵様は優しい方でした。でも、解放はまだ少し先の事。あの葵様の事ですから、話を途中で変えたりはしないでしょう。ですから…私達はその間、葵様の一級奴隷として、葵様に喜んで貰える様に、行動しましょう」

「そうですねステラ姉姉!少しでも葵様に何かお返ししたいですものね!」

「シノンもステラ姉様の考えに賛成なのです~。開放されるまで一級奴隷として、葵様に一生懸命お仕えしたいです」

嬉しそうに言うミーアとシノン。



「じゃあ明日から、葵様への奉仕を初めましょう」

私の言葉に、嬉しそうに微笑みながら頷くミーアにシノン。



「では、葵様に…気に入って貰える奉仕が出来る様に…湯浴み場に行きましょう!ステラ姉姉!シノン姉姉!」

嬉しそうに言うミーアに、若干顔を引き攣らせる、私とシノン。

またミーアに隅々まで洗われてしまう…

その事を一瞬で理解した私とシノンは、侍女に貰った傷薬を持って、湯浴み場に向かうのでした。









翌日、朝刻の1の刻(午前6時)の鐘の音が鳴る前に目を覚ます私達3人は、それぞれ準備をして、部屋を出ます。

まず、会議室の1つを食堂に変更した部屋の清掃を始めます。

葵様に寛いで貰える様に、丁寧に掃除をして、他の皆さんの分の椅子をきちんと並べます。

そして、昨日交渉をした、料理長の所に、皆さんの分の食事を取りに行きます。

料理が冷めないように、かまどに火を起こし、その上にシチューの入った鍋をかけます。

全ての用意をして、少しゆっくりとしていると、徐々に皆さんが食堂に集まって来ました。



レリアさんにエマさん、そしてマルコさんが、私達の用意した朝食を食べ始めます。

程なくして、葵様とマルガ様、リーゼロッテ様が食堂に姿を表しました。

笑顔で挨拶を交わす、ミーアとシノンをよそに、私の心は何故か曇っていました。



『何故…一級奴隷であるはずのマルガ様やリーゼロッテ様は…朝の準備もしないのかしら…』

そう疑問に思いながらも、皆さんの朝食を配ります。

それをお礼を言って受け取る3人に少し戸惑いながらも、料理長との交渉の件を報告し、葵様から一緒に買い物に行くと言われ、準備を整えて、宿舎を後にしました。



「いや~やっぱり、王都ラーゼンシュルトは大きな町だよね~」

「そうですね葵様。流石はフィンラルディア王国の王都と言った所でしょう」

王都ラーゼンシュルトの街を歩く私達に、隣に歩く様に命令されます。



葵様は本当に優しい…

その微笑みを見ていると、どこか癒される感じがします。

しかも、心遣いも良く、衣料店では私達の必要な物は、何を買っても良いといってくれた上に、手鏡や櫛まで買ってくれます。

その上、私達の買ってきた買い物の荷物まで、面倒を見てくれたりします。

その時ふと、朝の準備をしなかったマルガ様とリーゼロッテ様の事を思いだしました。



『葵様は奴隷に優しすぎる…きっとマルガ様やリーゼロッテ様も、葵様の優しさに慣れてしまって、本来の一級奴隷としての役目を見失われて居るに違いない…私達も注意しないと…』

私は葵様に喜んで貰える奉仕が出来る様に、一級奴隷の本分を忘れない様に心がける事にしました。

そんな中葵様は、休憩と言われ、私達に蜂蜜パンと果実ジュースを買ってくれました。

それを幸せそうに食べている、ミーアとシノン。



「…葵様、余りミーアとシノンを、甘やかさないで下さい。私達はあくまでも葵様の一級奴隷であり、葵様にお仕えする奴隷なのです。ですから…」

私の言葉にハッとしているミーアとシノンは少しシュンとしていました。



「まあ…ステラの言う事は尤もだけど…俺は君達に、そんな事を特に望んでいないんだよね。君達は少し先で奴隷から解放するつもりでいるしね。普通に接してくれた方が良いんだけど?」

「…葵様が、私達の事を気にしてくださっているのは、重々理解しています。本当に有難く思っています。ですが…それは私達が…特に葵様が私達の事を、お気に召されていないだけの事なのではありませんか?つまり…居ても居なくても…同じと言う事…なのではありませんか?」

思わず本音が出てしまいます。

本当に手放したくない物は、手元に置いておきたいもの…

言い換えれば、私達は必要とされていない。…何故かその事に、私は苛立ってしまっていたのです。

少し困惑して考えていた葵様は、苦笑いしながら



「まあ…ステラの言いたい事は解ったよ。でもステラ、ミーア、シノンに興味が無い訳じゃないよ?君達は美少女で可愛いし、男ならどうかしたくなると思うよ。でも、今の俺はソレを望んでいない。君達が優秀である事も解ってるよ。だから…君達は、君達の幸せを考えて欲しいんだ。解った?」

葵様の優しさに触れたミーアとシノンは嬉しそうな顔をしていましたが、私の心のなかのモヤモヤは、何故か膨らんでいくのでした。



宿舎に戻って来た私達は、葵様の会議に参加させて貰いました。

リーゼロッテ様の提案された商品がどの様な物なのかは解りませんでした。

わら半紙、鉛筆、算盤…

数多くの取引に関わってきた私達でさえ知らない商品…

それを知っているリーゼロッテ様は、やはりエルフの博識の持ち主なのでしょう。



その間にも会議はどんどん進んでいき、私達が何も発言しないままに、私達は宿舎の清掃掛かりと言う事で話が終わろうとしていました。

私は若干の焦りを感じ、葵様に発言します。



「葵様。宿舎の管理は解りましたが…私達には他にも出来る事が有ります。他の事も一級奴隷として、お手伝いをしたいのですが?」

そう、優しい葵様の為に、私達はもっとお役に立ちたい。

宿舎の清掃など誰にも出来る事。私達は曲がりなりにも、一級奴隷として厳しい教育を受けてきました。

それを葵様の為に使いたい…

しかし、葵様から帰ってきた言葉は、



「うん、今はその気持だけ貰っておくよ。ステラ達には、また別の事をして貰うから」

苦笑いをしながら言う葵様。

それは明らかに私達の力を必要としていない言葉でした。その言葉に私は思わず唇を噛み締めてしまいます。



『葵様に…私達の気持ちを解って欲しい…一体どうすれば…』

その様な事を考えていた時に、ふとある事を思いつきました。



『そう…葵様に信用されている、マルガ様とリーゼロッテ様を観察すれば…葵様の役に立つ方法が見つかるかも…』

そう思った私は、マルガ様とリーゼロッテ様を観察し始めます。

葵様にどの様な奉仕をされるのか…

期待しながらマルガ様とリーゼロッテ様を観察しますが、私の予想とはかなり違うものでした。



マルガ様は奉仕するより、おねだりの方が多く感じられ、リーゼロッテ様は気がきくのですが、特にそれ以上の事はしていない様でした。

それはまるで…恋人と一緒にいるかの様な光景でした。

葵様もそれに何も言わない所か、それをニコニコしながら喜んでいる様に見えました。

私はそれを見て、心の底から、何かが湧き上がって来ました。



『…葵様は、マルガ様とリーゼロッテ様の美しさだけに囚われているんだわ…。それに加え、マルガ様やリーゼロッテ様は、葵様の優しさにつけこんで…一級奴隷である事を忘れている…』

私は我慢できなくなり、葵様がトイレに行った隙に、マルガ様とリーゼロッテ様を、別の会議室に呼び出しました。私と一緒についてきた、ミーアとシノンは困惑した表情を浮かべています。



「…私とマルガさんに話とは…どの様な事なのでしょうかステラさん?」

涼やかに微笑む、月の女神と見紛うエルフのリーゼロッテ様の美貌に、私の心は更に掻き立てられます。



「マルガ様やリーゼロッテ様は…葵様が優しい事を良い事に、好き放題、やり過ぎなのではありませんか?」

私のキツイ言葉に、ミーアとシノンは更に戸惑っています。



「シノン姉姉…それは言い過ぎ…」

「言い過ぎじゃないわミーア!少し黙ってて!」

いつもと違うキツイ剣幕の私に、ミーアはそれ以上何も言いませんでした。



「私達は一級奴隷なのですよ?マルガ様にリーゼロッテ様。…その事はお解りですよね?」

私の言葉に、何かを感じたのか、リーゼロッテ様は優しい微笑みを湛えながら



「…そうですね。私達は葵さんの一級奴隷ですね。それで…ステラさんは私とマルガさんにどうして欲しいのですか?」

「もっと葵様に尽くしてあげて下さい!一級奴隷として!…私が言うのもどうかと思いますが、葵様はお優しい方です。その優しさにつけ込むなんて最低です!一級奴隷としての誇りはないのですか!」

私のきつい言葉に、マルガ様はシュンとされていましたが、リーゼロッテ様はクスクスと笑い、優しい微笑みを私に向けていました。

私はその微笑みが、見下された様に感じられ、怒りが押さえられませんでした。



「…解りました。マルガ様、リーゼロッテ様、勝負をしましょう」

「勝負?それは何なのでしょう?」

「それはどちらが葵様の一級奴隷としてふさわしいかです!どちらが、葵様の役に立ち、葵様に認められるか…そしてどちらを選んで貰えるかの勝負です!」

私の言葉を聞いた他の皆は、驚いていましたが、その中でリーゼロッテ様は、優しい微笑みを崩さぬまま私に言います



「…そんな勝負、成り立たない可能性の方が高いですが…」

「それは…どういう事ですかリーゼロッテ様?」

「そうですね…それは…葵さんだから?かしら?」

楽しそうに言うリーゼロッテ様の訳の解らない言葉に、私の苛立ちは更に膨らみます。



「と…兎に角、私達が勝ちましたら、マルガ様とリーゼロッテ様には一級奴隷として、葵様に今以上、奉仕をして貰う事を約束して貰います!…私達が負けましたら、ここから出ていきます。それで良いですねマルガ様、リーゼロッテ様?」

キツイ剣幕の私の言葉に、初めて少し顔を真剣にしたリーゼロッテ様は暫し考えると、再度優しい微笑みを私に向けます。



「…解りました。ステラさんがそうしたいのなら、それでかまいませんわ」

「リーゼロッテさん!でも…」

「大丈夫ですよマルガさん。何も心配しなくても」

マルガ様がアワアワしながらリーゼロッテ様に何か言おうとしたのを、優しくとめるリーゼロッテ様。



「ではそれで!今日から湯浴み場では、私達が葵様に奉仕させて貰います!マルガ様とリーゼロッテ様は、寝所で夜の奉仕をして下さい!」

「解りましたわステラさん」

まだ優しい微笑みを私に向けているリーゼロッテ様に、苛立ちを隠せない私は



「では、宜しくお願いします!マルガ様!リーゼロッテ様!行くわよ!ミーア、シノン!」

そう吐き捨てる様に言った私は、ミーアとシノンの手を引っ張って、自分たちの部屋に帰ろうとした時、後ろからリーゼロッテ様の声がかかります



「余り無理をしないでくださいねステラさん。きっと、ミイラ取りがミイラになるのだと思いますが…」

「みいら?なんですかそれは?」

「そうですね…葵さんは優しいと言う事でしょうか?」

どこか楽しげで、訳の解らないリーゼロッテ様の言葉に、私はカチンと来ましたが、何も言わずに部屋に帰って行きました。

部屋に帰ってきた私は、ベッドにドカッと座ります。



「本当に一級奴隷として最低だわ!マルガ様にリーゼロッテ様は!」

怒りの収まらない私は、思わずそう言ってしまいます。



「ステラ姉姉の気持は解りますけど…あの女神と妖精の様な美貌を持ったマルガ様とリーゼロッテ様に勝負だなんて…」

「そうですよステラ姉様~。それに…負ければ…ここから出ていくなんて…」

そう言ってシュンとしているミーアにシノン。



「大丈夫よミーアにシノン。確かにマルガ様やリーゼロッテ様は、女神や妖精の様な、素晴らしい美貌の持ち主だけど、私達は一級奴隷として、厳しい教育を受けてきているわ!そんな私達が、負けるはずないわ!きっと葵様に解って貰える!私達は…今迄、一級奴隷として生きてきた誇りが有るわ!そうでしょう?ミーア、シノン」

「そうですね!ステラ姉姉!」

「そうなのです~!シノンも一杯頑張ってきましたのです~!」

私の言葉に賛同してくれるミーアとシノンの頭を優し撫でると、いつもの微笑みを向けてくれるミーアとシノン。



「では、湯浴み場の奉仕の為に、今から湯浴み場に身体を洗いに行きましょう!」

私とシノンの手を引っ張るミーア。

私とシノンは顔を見合わせて、若干顔を引き攣らせる。

また…ミーアに隅々まで…洗われる…

私は残り少ない、侍女から貰った傷薬を握りしめ、ミーアとシノンと一緒に、湯浴み場に向かうのでした。











夜になり、いよいよ葵様に湯浴み場で奉仕する時がやって来ました。

さきに湯浴み場で身体を洗い合った(主にミーアに洗われました)私達は、さきに一人で湯浴み場にいる葵様の元に向かいます。



暖かい湯気に包まれた湯浴み場に入って行くと、一人で湯船に浸かっている葵様が、私達を見て驚かれています。



「あれ!?何故ここにステラ、ミーア、シノンが居るの?ここは俺達専用の湯浴み場のはずだけど…あ!ひょっとして俺、女湯の方に間違えて入っちゃった!?」

「…いいえ、ここは葵様方専用の湯浴み場で、間違いは御座いません。私達がここに入って来たのです」

私の言葉に動揺を隠せない葵様。



「はえ!?自分たちの意志で、この湯浴み場に来たの?…そんなにこっちの湯浴み場に入りたいなら、言ってくれれば良かったのに…言ってくれれば、時間をずらして入ったよ?と…とりあえず、俺は上がるから、ゆっくりしていくといいよ」

苦笑いしながら出て行こうとする葵様を、ミーアとシノンが両腕を掴んで止めます。



「え?どうしたのミーアにシノン。何故俺を止めるの?それに君達は…裸だし、俺に見られたら恥ずかしいでしょ?」

「私達は、葵様の一級奴隷です。今夜は私達が湯浴み場で葵様にご奉仕させて頂きます。これは、マルガ様やリーゼロッテ様の許可も得ました」

私の言葉に、少し何かを考えていた葵様は、少しキツイ目をされて私達を見ます。



「…俺は君達に、夜の奉仕や湯浴み場での奉仕なんか、命令してないけど?」

葵様の少しキツイ言葉に、ミーアとシノンは少し身体をピクンとさせていましたが、ここで引くわけには行きません。私達はマルガ様やリーゼロッテ様に勝負を挑んでいるのですから。



「はい、ご命令は受けては居ませんが、夜のご奉仕や湯浴み場でのご奉仕は、ご命令など受けずとも、一級奴隷なら進んで行わなければならない事。つまり当たり前の事なのです葵様」

ミーアとシノンは、湯浴み場の床に敷かれた、柔らかい布の上に、葵様を座らせます。



「私達は葵様の一級奴隷。この宿舎の清掃だけしているのであれば、二級奴隷や三級奴隷にも出来る事。私達は一級奴隷なのです。葵様に私達の価値を知って貰いたいのです」

「だからこんな真似してるって言うの?ミーアとシノンもそれでいいの?」

ミーアとシノンは恥ずかしそうに頷いています。それも当然、私達は葵様のお役に…ご奉仕がしたいのですから。



「その2人も私の話を納得しています。そして、私達も、一級奴隷としてこれまで生きてきた誇りも有ります。それを葵様に…認めて貰います」

「そんな誇りなんかの為に…自らの身体を差し出すと言うの?もっと、自分の体は大切にした方が良いと思うけど?」

「私達は…そうやって生きてきたのです…それを…今更変える事など…出来ません…」

「…俺も男だよ?君達みたいな美少女にこんな事されて…我慢出来ないかも知れないよ?」

「構いません…それが私達が…望んだ事なのですから…ではご奉仕させて頂きますね葵様…」

私の言葉を最後に、葵様に奉仕を始める、ミーアとシノン。

私も葵様に気持ちよくなって貰う為に、一生懸命奉仕を始めます。

しかし、初めは気持ち良さそうにしていた葵様は、突然寂しそうな顔をします。

その理由を聞いてみると、



「君達がしている奉仕は、君達がヒュアキントスにしていた奉仕だろ?それを考えたら…なんかつまらなくなってさ」

「…ほかの男に調教された私達では…永遠に…葵様にご奉仕で喜んで頂ける事は出来ないと言う事なのですか?」

私は目の前が真っ暗になってしまいました。ミーアとシノンも同じだったでしょう。



「ううん。そんな事は無いよ。…俺が今回だけ…調教しなおしてあげる…もう…今夜は許して上げないから覚悟してね」

葵様が艶めかしくそう言うと、私達にキスをしていってくれます。

今までの主人は、私達の身体には口をつけようとはしなかったので、その優しく甘いキスに、私達の心と体は、どんどんほぐされていきます。



『キスが…こんなにも気持ちの良いものだったなんて…』

私達は4人でキスをし合いながら、その甘い快楽に、どんどんはまっていきます。



「3人とも可愛いよ。もっと気持の良い事を仕込んであげるから…お尻を俺の顔の前につき出して、四つん這いになるんだ」

葵様の言われるままに、お尻を葵様に向けます。

私達の恥ずかしい所を全て葵様に見られている恥ずかしさから、思わずモジモジしてしまいます。

そんな私達に、葵様は口で丁寧に愛撫をしてくれます。

私達の膣口やクリトリス、お尻の穴に至るまで、全てを舌と口で味わわれる葵様。

私やミーア、シノンは、その気持ち良さと、主人に舐めて貰っている、嬉しさと恥ずかしさ、申し訳なさが心のなかで入り乱れ、快感がどんどん高まっていきます。



「葵様!私…気持ち良いです!こんなの始めてです~!!」

「私もです葵様!葵様の指使いが優しくて…気持良くて…なんだか…心が暖かくなります~」

ミーアとシノンが甘い吐息混じりの声を上げます。



「ステラも…気持ち良い?それとも俺の口と舌の愛撫じゃ不満かな?」

「いえ!その様な事はありません!葵様に愛撫して貰って…とても…気持が良いです…」

本音でした。こんなに気持ち良く、心の暖まる事など味わった事はありませんでした。

私達は葵様の愛撫に、快感が我慢出来なくなってしまいます。



「「「うはあああああああああんん!!!!」」」

声を揃えて絶頂を迎える、私、ミーアシノン。

初めて感じる絶頂の快感は、私達の体の全てを痺れさせる様に、私達を包みました。



「どうだったステラ、ミーア、シノン?初めて感じた…絶頂の気分は?」

「こんなに…気持ちの良い事だとは…お…思ってもみませんでした…有難う…御座います…葵様」

ミーアが幸せそうな顔で、肩で息をしながら言います。



「そうなんだ。それは嬉しいね。じゃ~もっとその体に仕込んであげる…」

「にゃはああああああん!!!」

ミーアが甘い猫の様な声を上げます。

葵様がミーアを後ろから犯しているのです。

ミーアは甘い吐息を辺りにまき散らしながら、葵様に犯して貰っている事を、喜んでいました。



今までの主人の奉仕は、只の苦痛でしか無く、何も感じないどころか、痛いだけでした。

しかし、葵様に犯されているミーアの表情は、幸せの絶頂にいるかの様に見え、その初めて見る艶かしいミーアの顔を見ていると、私の下腹部はどんどん熱くなっていくのが解ります。



ミーアは葵様に犯され絶頂を迎えます。

その気持ち良さそうな顔と言ったら…

同じ様に、葵様に犯されるシノンも、その快楽に身を委ね、幸せそうな顔で葵様に犯され絶頂を迎えはてていきます。

そして、葵様は、ミーアとシノンを犯したモノを私の眼の前に持ってきます。

私はそれを口に含み、味わいます。

ミーアの愛液と、シノンの愛液、葵様の精液が交じり合ったその味は、私をどんどん高めていきます。



「ステラ…俺の精子は美味しい?」

「はい…葵様の精子は…とても美味しいです…」

「じゃ…ステラにも味わわせてあげる」

そういった葵様は、私を上に乗せて、騎乗位で私を犯していきます。



「クウウウウウん!!!」

思わず声が出てしまいます。

葵様のモノが私を犯すたびに、物凄い快楽と幸福感が、私の身体を突き抜けていきます。

私は我慢できずに、もっと葵様を求めてしまいます。



「ステラ…そんなに腰を振っちゃって…いつもとは随分と違うね?」

その言葉に、恥ずかしくなった私は、体中が熱くなります。

余りの気持ち良さと幸福感に、私は自ら腰を振り、葵様のモノを味わってしまっていた様なのです。



「ステラ…解ってると思うけど…イク時はきちんと言う事…そして…おねだりしないとイカせて上げないよ?」

「ですが…主人様におねだりなど…」

私の言葉を聞いた葵様は、悪戯っぽい表情をされると、私を犯すのを止められます。



「ステラ…可愛くおねだり出来たら…すぐに可愛がってあげるけど…どうする?」

ニコニコと微笑む、悪戯っぽい葵様。



『…もっとして欲しい…もっと葵様に…犯して欲しい…』

心の底からの声でした。



「葵様…どうかその立派なモノで…私を最後まで犯してイカせて下さい。お願いします…」

喉から絞り出すかの様な私の言葉に、艶かしい表情をする葵様は、



「そんなに可愛くおねだりするなら…一杯イカせてあげる!」

葵様が力一杯私を犯します。その快楽に我慢できなくなった私は、たちまち絶頂を迎えます



「葵様イカせて頂きます!葵様のモノでイキます!葵様…葵様ー!!!!!」

恥ずかしくも我慢できなくなった私は、大きな声を上げて絶頂を迎えます。

その快楽といったら…この世の全てが幸福に包まれるかの様な感じでした。



「3人共ゆっくりとこの湯浴み場を使うといいよ。俺は少し湯に浸かってから部屋に戻るから。…余りそこで寝てると、夏とは言え風邪を引いちゃうから気を付けてね」

私達をゆっくりと寝かせて、優しく頭を撫で、慈しむ様なキスを3人にしてくれる葵様は、湯船に浸かって湯浴み場を後にします。

私達は絶頂の余韻が収まるまで布の上で寝て、それから湯浴み場で身体を綺麗にしてから、部屋に戻って来ました。

そして、ミーアの入れてくれた紅茶を飲みながら、それぞれのベッドにボーッとなって腰をかけていました。暫く静寂が続きましたが、ミーアがそれを破ります。



「凄かった…です…」

ボソッと呟く様に言ったミーア。その言葉に全てが詰まっていると、私とシノンは感じていました。



「そうなのです~!葵様に犯して貰ったら…物凄く気持ち良くて…幸せで…嬉しくて…」

「そうですシノン姉姉!もう…幸せすぎて…堪らなかったのです!」

嬉しそうにはしゃいでいるミーアとシノン。

本当にその通りでした。それ以外何もありません。

あんなにも…凄くて、気持よくて、心が暖まるなんて…



「…これじゃ…どちらが奉仕されたか解らないわね…」

呆れる様に言った私の言葉に、アハハと笑うミーアとシノン。



「では、これはどうでしょう?会議で一応、売り出す物は決まってしまってますが、私達も何か提案してみたらどうでしょうか?」

シノンがニコッと微笑みながら言う言葉に、私とミーアの瞳が輝きます。



「それは良い案だわシノン!ミーア!羊皮紙とペンを用意してくれる?」

「はい!ステラ姉姉!」

私達は今まで経験してきた取引の経験を活かせる様な提案をする為に、葵様の役に立てる提案をする為に、夜遅くまで蝋燭の灯を照らし続けるのでした。











今日は晩餐会に来ています。

以前、ヒュアキントス様のお供で、定例晩餐会に来たことのある私達は、お役に立てる事を喜んでいました。

葵様の交友の広さにも驚きながら、晩餐会で葵様のお手伝いが出来ないか、ずっとお側で見ていましたが、私達に出来る事は特になく、晩餐会も終わってしまいます。

晩餐会前に手渡した、私達が考えた、売り出す商品を書いた羊皮紙も、どうやら葵様の気には止まらなかった様で、私達はどうしたものかと、考え込んでいました。



そんな中で、晩餐会の終わった翌日、当面の収入を考えられている葵様は、冒険者ギルドのお仕事を受けられる様になりました。

300年間発見されていなかった、ラフィアスの廻廊の秘宝の発見者が葵様達だった事に再度驚きながら、私達は明日の湖水浴の準備に取り掛かります。

買い物には私達の他に、あのリーゼロッテ様も一緒です。



「リーゼロッテ様、本日は貴重な時間をさいて頂きすいません」

私は普通に言ったつもりだったのですが、どうやらその口調は無意識にきつかったのか、ミーアとシノンが若干困惑していました。

そんなミーアとシノンを楽しげに見て微笑んでいるリーゼロッテ様は



「いえいえお気になさらずに。私達は既に仲間。葵さんの一級奴隷なのですから、仲良くしましょう?」

優しく微笑まれるリーゼロッテ様の顔を見て、私は何かが沸き立ってきます。



「…それから、湯浴み場での葵さんに対しての奉仕はどうでしたか?この間はずいぶんと気持ち良さそうでしたけど?」

リーゼロッテ様がニコニコしながら私達に言います



「凄く良かったです~!」

「シノンも同じなのです~!」

「あら、それは良かったですね。ミーアさんにシノンさん」

嬉しそうに言うミーアとシノンの頭を優しく撫でながら、優しい微笑みをミーアとシノンに向けているリーゼロッテ様。

そんな嬉しそうなミーアとシノンに、私は軽く咳払いをすると、苦笑いをしているミーアにシノン。



「確かに、葵様に犯されるのは、気持良くて、心が暖まりました。でも、葵様も、私達の事を、喜んでいただけて居ると思います。マルガ様やリーゼロッテ様はどうなのでしょうか?葵様に満足して貰えているのでしょうか?」

私のキツイ言葉にも、表情を崩さないリーゼロッテ様は



「さあ…それはどうでしょう?マルガさんと私の事は、葵さんにしか解らない事ですからね。私とマルガさんは、葵さんに犯されて幸せですが」

悪びれる事無く言うリーゼロッテ様に、再度カチンときましたが、私は何事もない様な感じで



「…そうですね、では買い物を続けましょう」

それだけを伝えて、淡々と明日の湖水浴の準備を整えていくのでした。



翌日、まさに真夏にふさわしい晴天でした。

湖水浴にはもってこいの日なのでしょうが、泳げない私は少し憂鬱でした。

皆さんの準備もでき、荷馬車に揺られて、私がお教えしたロープノール大湖の泳ぎやすい場所に到着します。

皆さん楽しそうに泳ぐ準備を初めますが、私の不安が消える事はありませんでした。

マルガ様のラジオタイソウ?と言う準備運動をして、神聖な儀式?『ヤッホー』も終わった様で、いよいよ泳ぐ時が来ました。

皆が泳ぎに行く中、一人取り残された私を見つけた葵様が、



「ステラどうしたの?ステラも行かないの?」

「あ…いえ…私は…」

私は戸惑いながら言うと、私の手を引っ張る葵様



「ほら!泳ぎに行こう!行くよ!」

「ちょ…あ…葵様!!ま…待って下さい…あ!!!!」

私は浮き輪をつけていて、慣れない事と、水の中に入る不安感から、足がもつれてしまい、勢い良くロープノール大湖に飛び込んでしまいます。



「わわわわわわ!!!アブブブ!お…溺れる…アプププ…あ…葵様…た…たすけ…」

私は驚きの余り、溺れてしまいます。無意識に葵様に助けを求め、それにすぐ応えて、私を助けてくれる葵様。

私は必死に葵様にしがみついてしまいます。



「だ…大丈夫ステラ!?」

「ブハ…ハアハア…はい…なんとか大丈夫です葵様…」

苦しかったけど、葵様に助けて貰えた嬉しさもあった事は秘密にしたいです…



「ステラ、ここは1m位の深さしか無いから、足がつくよ?ゆっくり立ってみて」

「は…はい…葵様…」

「ね?大丈夫でしょ?」

「そ…そうですね…葵様…」

ロープノール大湖に立った私は、思わず安堵してしまいます。



「ステラ姉ちゃんって、もしかして、泳げないの?」

マルコ様が核心を突く事を言われます。勿論悪気は無いのは解っていますが、葵様に知られてしまった事に、恥ずかしさと申し訳無さが、私の心のなかでグルグルになっていました。



「じゃ~さ~葵お兄ちゃんに、およぐのおしえてもらったら~?そしたら、およげるようになるよ~ステラお姉ちゃん~」

エマ様の提案で、私達は葵様に泳ぎを教えて貰う事になりました。



水が怖くないミーアやシノンはすぐに葵様の言われる事を出来る様になりますが、水の怖い私は、何故か顔を水につけると、バタ足が出来無くなってしまいます。

そんな中で、マルガ様とエマ様は、ルナ様に教えて貰った、ジェット犬かき?なる泳ぎ方で、物凄い早さで泳いでいます。



「皆さん凄いですね…」

私は自分が情けなくなって、俯いてしまいますが、葵様は私に優しく言ってくれます



「ス…ステラが気にする事は無いよ?俺達は俺達の練習をしよう?」

その言葉が私の心をポアッと暖かくしてくれます。



「はい…有難う…御座います…葵様…」

優しく微笑む葵様の顔を見ると、なんだか直視できなくなります。



「うん!とりあえず…ステラは…その浮き輪を取っちゃおうか」

「ええ!?う…浮き輪をですか!?」

葵様の言葉に思わず身体が強張ってしまいます。



「俺が思うに、ステラは運動神経は問題ないと思うんだ。でも、小さい時に川で溺れた経験から、水の中が怖いと言う思いが強くなって、それが、本来出せるはずの運動神経を邪魔しちゃってるだけだと思うんだよね。だから、泳ぎ方より先に、水への恐怖さえ無くなったら、ミーアやシノンの様に、すぐに泳げる様になると思うんだよね。だから…頑張ろう?」

優しく宥める様に言ってくれる葵様の言葉で、私も覚悟を決めます



「じゃ~ゆっくりと両手を引くから…無理しなくて良いからね?」

「はい…有難う御座います…葵様…」

優しい葵様にドキドキしながら、私は必死に泳ぐ練習をします。

何度も失敗する私に、何度も励ましてくれる優しい葵様。

私は葵様の気持に応える為に、必死で練習をします。それでも失敗してしまう私は、なんだか悲しくなって来ました。



「すいません葵様…」

申し訳なさすぎる私は、心の底から謝罪します。

そんな私の頭を優しく撫でてくれる葵様は、



「いいよ気にしないで。俺はずっとステラの両手を握って離さないから…安心して良いよ?溺れそうになっても、俺がすぐに助けるから…ステラは…何も心配しなくて良いんだよ?」

真夏の太陽に混じって聞こえてきたその言葉は、私の心の隅々まで照らす様に染み入ってきました。

私は思わず葵様に抱きついてしまいます。葵様の暖かい体温が、私を優しく暖めてくれます。



「私…頑張ります!だから…葵様…もう少し…私に力を貸して貰えますか?」

「勿論!俺の力なんかで良ければ!」

その葵様の笑顔の眩しいこと…

私は全てを忘れて、葵様に手を引かれながら、必死にバタ足をします。



「そう!良い感じだよステラ!次は顔を上げて、息継ぎ練習だよ!」

私は返事をして、葵様の言われるがままに、必死に息継ぎをします。

葵様に握られている手が、私に何かの力をくれている感じがします。

そして、ついに私は息継ぎも出来る様になりました。



「やったねステラ!出来てたよ!良かったね!」

「はい!有難う御座います!葵様!」

葵様に出来る所をやっと見せれた私は、思わず微笑んでしまいます。



「もうかなり出来る様になったねステラ!じゃ~最後に1人でバタ足をしてみようか!」

「わ…私一人でですか!?…で…出来るでしょうか…」

葵様の言葉に不安になる私。



「大丈夫、俺がここで待ってるから。ステラに何かありそうなら、すぐに助けに行くから…だから…やってみよう?」

「…葵様が…待っていてくれるんですか?…私を?」

こんな私を待っていてくれる…

その言葉を聞いた私は、もう何も迷う事はありませんでした。



「解りました!私は葵様に向かって進みます!見ててくださいね!葵様!」

私は少し離れた所から、必死に葵様の元に向かいます。

途中で怖くなって、立ってしまおうと何度も思いましたが、葵様の元に行きたい私は、無我夢中で泳ぎ続けます。そしてついに、私の手と葵様の手が重なります。



「私やりました!葵様!泳ぐ事が出来ました!」

「うん!泳げたね!よく頑張ったねステラ!おめでとう!」

私は余りにも嬉しくて、葵様に抱きついてしまっていました。

そんな私をギュッと抱いてくれる葵様。その暖かさと、優しい瞳に、私の心は囚われてしまいます。



「ステラ姉姉おめでとうです~!」

「ステラ姉さんおめでとうですの!」

「ありがとうね…ミーアにシノン。私嬉しいわ…」

ミーアとシノンも私を抱きしめてくれます。

その時、ふと周りの視界がひらけます。

楽しく遊ぶ、マルガ様やエマ様、それを楽しそうに見ている、幸せそうなリーゼロッテさまとレリア様。気持ち良さそうに泳ぐルナ様も…

そこには、今迄私達が夢に見ていた、何の偽りもない、幸せな光景が広がっていました。



そして、大切なミーアとシノン。それに、優しい葵様に抱かれている私。

一級奴隷である私達に、幸せが広がっているのを感じて、私はギュッと葵様を抱きしめ葵様を見ると、私の唇に葵様が吸い付かれます。

葵様の舌が、私の口の中を味わっています。私はその幸福感に、必死で葵様に舌を絡め、縋り付く様に葵様を求めてしまいます。

すると、葵様の立派なモノが大きくなっていました。

私達はそれに気がついて、優しく触ります。



「これ以上されたら…止めれ無くなっちゃうよ?」

「…良いですよ…私達は葵様の…一級奴隷なのですから…」

その話を聞いた葵様は、アイテムバッグから浮き輪を取り出し、



「ちょっと泳ぎの練習で、沖の方に行ってくるから、皆で遊んでてね~」

そう他の方に言って、私に浮き輪をつけて、ミーアとシノンを浮き輪につかまらせ、どんどん沖に連れてゆかれるのでした。











「葵様…この様な沖に来て…ここで練習ですか?」

かなり沖に来たのを感じたミーアが、葵様に問うと、ミーアの口に吸い付く葵様。

ミーアの口の中を蹂躙している、艶かしい葵様を見ていると、私までして欲しくなります。



「ごめん…ステラ、ミーア、シノンの可愛さに…もう…我慢が出来ないんだ…」

「うにゃはははああああ!」

水面で後ろから葵様に犯されるミーアは、甘い吐息を辺りに撒き散らします。

激しく犯される勢いで水面が揺れ、反射した光がキラキラと、艶かしいミーアを輝かせていました。



「見て…ステラにシノン…ミーア…気持ち良さそうでしょ?」

「はい葵様…ミーア…とても気持ち良さそうです…」

「ミーアいいな…私も葵様に…犯して欲しい…」

シノンの犯して欲しいの言葉に、嬉しそうな葵様は、シノンの胸に吸い付きながら、ミーアを後ろから犯しています。その幸せそうで、気持ち良さそうなミーアとシノンの表情に、私も我慢が出来なくなっていました。



「ステラ…ミーアとシノン可愛いでしょ?」

「はい…とっても…気持ち良さそうで…可愛いです…」

「ステラ…ステラにキスして欲しい…良い?」

「…はい…葵様が…望むのであれば…」

本当は…私が葵様にして欲しいだけ…

私は葵様とキスをしながら、必死に股間を葵様の足に擦りつけ、葵様の足で気持ち良くなってしまいます。



「ミーアイッちゃいます!!…イク…イキます葵様!にゃはああああああん!!」

葵様に犯されてたミーアが絶頂を迎えます。



「じゃ~次はシノンね…シノンを犯したい…いい?」

「はい…シノンを犯して下さい!」

シノンも葵様に犯され、甘い吐息を辺りに撒き散らします。



「ステラ…可愛いシノンに…キスをしてあげて…」

「はい…葵様…」

私にキスをされるシノンは、恥ずかしそうに私の舌を迎えるように口を開けます。

私とシノンがキスをしているのを、艶かしい表情で見ている葵様は、一緒にキスをしてくれます。

3人でキスをしながら、葵様の唾液を飲ませて貰い、またキスをする…

シノンは私と葵様の愛撫に、瞬く間に絶頂を迎えます。



「葵様!シノンも…イキたいです!シノンも…シノンも…」

「解ったよシノン!可愛くおねだり出来たから…一杯イカせてあげるよ!」

その言葉で、葵様におねだりするシノンは、私に胸を愛撫され、葵様に後ろから犯され、あっという間に絶頂を迎えます。クテッとなったシノンは、浮き輪にしがみつきながら、ロープノール大湖の水面に浮かびながら、絶頂の余韻に浸っていました。



「ステラ…可愛いステラを…犯したい…一杯…ね…」

待ち望んだその言葉に、顔が熱くなります。

静かに頷くと、葵様は正面から私を抱きしめ、私の両足を広げて、そのまま私の膣にモノをねじ込まれます。



「うはんんんんん!!!」

自然と声が出てしまう私。

頭の芯まで響く様な快楽が、私の身体を支配します。

葵様は私の体中を舌で愛撫してくれます。その気持ち良さに、私の膣や子宮が喜んで居るのが解ります。



「ステラ…可愛いよ…この綺麗なロープノール大湖に住む、人魚みたいだよ」

葵様の言葉に顔が真っ赤になります。

私は嬉しさの余り、葵様を欲してしまい、自ら腰を振り、葵様を求めてしまいます。



「葵様!私を…葵様のモノで…イカせてください!葵様のモノで…私はイキたいのです!」

「可愛くおねだりが言える様になったねステラ。嬉しいよ。一杯イカせて上げる!最後は4人でキスしながらイキたい。ミーア、シノンもおいで…」

我慢出来ない私のおねだりに、4人でキスをしながら、わたしを犯してくれる葵様。

その気持ち良さにもう我慢出来ない私は、瞬く間に絶頂を迎えます。



「葵しゃま…ヒキます…ヒィク…うはあああああんん!」

葵様に顔を押さえつけられ、ミーアやシノン、葵様にイク顔を見られながら、絶頂を迎えます。

その快感に私は得も言えぬ幸福感に包まれていました。



「ステラ、ミーア、シノン…とっても可愛かったよ。ありがとね3人共」

そう言って優しくキスをしてくれる葵様。

真夏のロープノール大湖の水面はキラキラ美しく、私はまさに幸せの中に居るのが実感出来ました。

すると…何故か自然と涙が流れでてしまいました。

それを見た葵様は、困惑しながら私を見ます。



「え!?どうしたのステラ!?も…もしかして…俺に犯されるのが…嫌だった?」

「いえ…違います葵様。私は…今の状況が嬉しくて…悲しいだけなのです」

そう…私は…嬉しい…葵様に色々して貰って…

でも…葵様は私達を認めてはくれなかった…それが悲しい…



「え…それは…どういう事なの?」

「私は…こんな幸せで、楽しい事があるなんて、今迄思っても見なかったのです。私は…いえ、私達は…小さい頃から一級奴隷でした。だから…こんなに満ち足りたり、楽しい事、安らげる事など…無いと思っていたのです」

私の言葉に、ミーアもシノンも頷いている。



「でも…私達は葵様に会えた。葵様はとても優しく私達にしてくれた。でも、私は…それが信じられなくて、リーゼロッテ様とマルガ様が羨ましかったから…リーゼロッテ様とマルガ様に、酷い事を言ってしまっただけでなく、2人様に勝負を挑んだのです」

そう…今思えば…なにもしないと勝手に思い込みたかったのかもしれない…

見えない所で、マルガ様やリーゼロッテ様も、葵様に奉仕していたのは解っていたはずなのに…

本当は、葵様に認めて貰えて、ご寵愛されている2人が羨ましかっただけ…



「マルガとリーゼロッテに勝負?…それはどんな勝負なの?」

「それは…どちらが、葵様の役に立ち、葵様に認められるか…そしてどちらを選んで貰えるかの勝負です」

私の言葉を聞いた葵様は、何か少し考えていました。



「しかし結果は…リーゼロッテ様が言われた通りになりました。私達は葵様に満足した事を提案出来ず、認められず…私達のおねだりばかり…葵様は聞いてくれて…それが申し訳なくて…情けなくて…」

そう…私達は…何も役に立てなかった。でも…葵様は私達のおねだりはなんでも聞いてくれた。



「…因みに…リーゼロッテにはなんて言われたの?」

「…言えません…」

「へ!?何故?」

「…私にも女の意地と言うものがあります…」



『ミイラ取りがミイラになる…この言葉の意味は解りませんが、きっと言ってしまえば、葵様には意味が解る様な気がします。だから…言えません…』



「…じゃ~その事はもう聞かないけど、何故そんな勝負を…。君達は暫くしたら、俺が開放して自由にしてあげるって、言ってたのに」

「…それが私達には…いえ…私だけ…許せなかった。何もせずに、与えられるだけなんて…私は…自分自身が許せなかったのです。たとえ…自由が遠のいたとしても…私は自分の力で…それを勝ち取りたかった」

そう…優しい葵様に、一級奴隷としての私達を認めて貰いたかった…

それで自由が遠のくのであれば…それでも構わなかった…

私達の事を…もっと知って欲しかった…



「ごめんねステラ。そんなつもりは無かったんだ。只純粋に…君達の事を思って…」

「いいのです。今は葵様の事が…良く解りますから…すごく近くに…」

今はよく解ります…葵様の言う事も…



「…なにか吹っ切れました。葵様にすべてを話して…明日、ここを出て行こうと思います。勝負に負けたら出ていくと、リーゼロッテ様とマルガ様に約束しましたので。葵様…お世話になりました…そしてありがとうございました」

私が葵様に別れのキスをすると、同じ様にミーアとシノンも葵様にキスをしています。



「…初めて人を好きになったのかも知れません。…それが葵様で良かった…」

「私も…葵様が…」

「シノンもです…」

そう…本当はこの言葉が言いたかったのだと思いました。

一級奴隷の私なんかがおこがましいですが…

マルガ様やリーゼロッテ様の様に、扱って欲しかった…それが全て…

私は全てを葵様に打ち明けられた事で、心が軽くなっていると、葵様が私達を抱きしめます。



「嫌だ…嫌になった。君達を手離したく無くなった。可愛い君達をずっと…好きでいたい。俺だけの物にしたい。だから…最後に…もう一度…俺にチャンスをくれないか?

その言葉に、私の体の全てが攫われそうになります。きっとミーアやシノンも同じ気持だったでしょう。

こんな…役に立っていない私達を…マルガ様やリーゼロッテ様の様に…好きと…

静かに頷く私達に葵様は



「君達もマルガやリーゼロッテの様に選ばせてあげる。…君達には2つの道を選ばせてあげる。二つの道というのは、このまま俺の奴隷として、永遠に俺に服従するか、奴隷から解放されて自由に生きるかだ。自分の意思で俺に永遠の服従を誓うのか、自由を選ぶのか。奴隷から解放されて自由を選ぶなら、多少のお金も持たせてあげる」

静かに見つめる葵様。その黒い瞳に吸い込まれそうになります。



「俺の物になったら、もう解放はしてあげない。俺だけの物にして、俺以外には触れさせないし、心も開かせない。全て…俺だけの物にしたい…多分…ううん、好きになったと思う…ステラ、ミーア、シノンの事が」

その言葉に、喜びが沸き上がってきます。初めて聞く、私達を必要…いえ…離したくないと言う…その気持…

それがこんなにも嬉しいなんて…

しかし、私達は、マルガ様とリーゼロッテ様に約束してしまっています。



「私達の気持は…決まっていますが…リーゼロッテ様とマルガ様が…どう言うか」

「それは心配しなくても良いんじゃないかな?」

「え…ですが…勝負は…」

「大丈夫…それは引き分けだから…」

そう言って説明を始めてくれる葵様。

確かに、勝敗のカギを握る、私達の主人である葵様なら、どうとでも出来る話。

その時リーゼロッテ様の言葉を思いだします。



『…そんな勝負、成り立たない可能性の方が高いですが…』

『そうですね…それは…葵さんだから?かしら?』

リーゼロッテ様のこの言葉は、きっと全て見通した言葉だったのでしょう。

完敗です…悔しいですけど…



「そういえば…リーゼロッテ様がその様な事…言われてましたね…」

「やっぱり…なんて言ってたの?」

「言えません~女だけの秘密です!」

絶対に言いませんから!…特に…葵様には言いたくない…知って欲しくない…

私の顔を見て、笑っている、ミーアとシノンを見ると、気まずそうに苦笑いをしていました。



「…じゃあ、もう一度聞くね…君達には…」

「「「私達は、葵様の物です!葵様に全てを捧げます!好きです葵様!」」」

当然の答えです。

私達にはもう…何も迷いはありません。



「え…あ…」

「最後位は…葵様に勝ちたいのです。これも女の意地なのですよ葵様?」

私達の笑顔の言葉に、苦笑いをしている葵様。

照れているのも意外と可愛かったりして…



「じゃ~とりあえず、皆の所に戻ろうか!冷やしておいた、果実ジュースや果物、蜂蜜パンが丁度良い頃合いになってるだろうしさ!」

「私は~果実ジュースと果物が食べたいです葵様!」

「シノンは~果実ジュースと蜂蜜パンが良いです~!」

ミーアとシノンが嬉しそうに言います。



「私は全部食べたいですわ葵様!」

「あ~!それはずるいです~ステラ姉姉~!」

「そうなのです~シノンも食べたいです~ステラ姉様~」

拗ねるように言うミーアとシノン。私と葵様は、顔を見合わせて微笑み合います。



「よし!じゃ~皆で全部食べよう!それにまだまだ湖水浴は始まったばかりだしね!一杯遊ぶよ!ステラ、ミーア、シノン!」

「「「ハイ!葵様!一杯遊びます!」」」

私達は声を揃えて返事をします。

そして、覚えたてのバタ足で、岸まで戻ってきた私は、リーゼロッテ様の元に向かいます。

私に気がついたリーゼロッテ様は、いつもの優しい微笑みを私に向けてくれます。

私もその微笑みに負けじと、最高の微笑みで返します。



「あら…笑顔が素敵ですわねステラさん。何か良い事でも有りましたか?」

「ええ!ありました!最高に幸せな気持です!」

その言葉を聞いたリーゼロッテ様は、少し考え、そして、いつもの優しい微笑みを向けてくれます。



「…そうですか。それは良かったですねステラさん」

「…はい。…それから、リーゼロッテ様…申し訳ありませんでした」

私はそう言って、深々と頭を下げる。

酷い事を言った…

あの葵様の事、きっとマルガ様やリーゼロッテ様にも、人に言えぬ様な事があったに違いない。

それなのに…



「私は…」

リーゼロッテ様に気持ちをお話しようとすると、私の唇に、そっと優しく人差し指を置かれるリーゼロッテ様



「…何も言わなくて…良いのですよステラさん。…これから同じ一級奴隷として仲良くやって行きましょう」

全てを見通した様な、金色の透き通る様な美しい瞳は、優しさに満たされていました。

それを見て私は、全てを悟るには時間がかかりませんでした。



『…ああ…やっぱり敵わないな…悔しいけど…完敗です…リーゼロッテ様…』

心の中でそう呟きましたが、声には出しませんでした。私も女なのです。



「解りました。でも…これだけは言わせて下さい」

「はい?なんですか?」

少し首を傾げるリーゼロッテ様。

私は、リーゼロッテ様の近くにより、耳元で囁きます



「…ロープノール大湖の水面で、葵様に犯して貰いました。水面はキラキラ輝いていて、とても美しく、その水平線に吸い込まれそうになりました。澄み渡る青空も気持ち良くて…最高でした」

ニコニコしながら言う私の言葉に、始めて眉をピクッとさせるリーゼロッテ様。



「しかも、葵様に『ステラ…可愛いよ…この綺麗なロープノール大湖に住む、人魚みたいだよ』と、言っていただきました。もう…最高です。リーゼロッテ様も葵様におねだりしてみてはどうですか?」

私のニコニコした言葉を聞いて、あっけにとられていたリーゼロッテ様は、フフフと笑うと楽しそうに私を見て、



「はい、是非そうさせて貰いますわステラさん」

「ええ!そうしてください!」

自信満々の私と楽しそうなリーゼロッテ様は、微笑み合っていました。

当然、その後葵様が、マルガ様とリーゼロッテ様を連れて、ロープノール大湖の沖に行かれたのは言うまでもありません。



「おーい!リーゼロッテにステラー!良い感じに果実ジュースや果物が冷えてるよ!蜂蜜パンも冷えててなんか良い感じになってるから、早くこっちに来て、一緒に食べよう!」

葵様が手を振りながら、私とリーゼロッテ様を呼ばれます。



「行きましょうかリーゼロッテ様」

「そうですわねステラさん」

私はリーゼロッテ様の手を引いて、葵様の元に向かいます。



季節は真夏。

焼ける様な強い日差しは、私達の何かを焼いてしまったのかも知れません。

始めての湖水浴はまだ始まったばかり。

一杯葵様に…おねだりしてみようかな…

その様な事を考えながら、幸せな時間を皆で過ごせる事に、私は喜びを感じていました。

途中でミーアやシノンも合流して、皆で手を繋ぎます。



『この幸せが続くなら、私はなんだって出来る…私は…いえ…私達は…』



そんな事を思っている私は、皆に混じって微笑んでいました。
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