自称女神にドラゴン転生させられちまったよ

湯島

文字の大きさ
2 / 4

孤児の仇討ち

しおりを挟む
孤児仲間のローリンが殺されちまった。クソッタレっ、誰がこんなひでえ真似をしやがったんだっ。
ローリンの奴は……ああ、ローリンの奴は惨たらしい殺され方をした。

両目を抉り取られた上に首を絞められ……余りにも惨たらしすぎる。

ローリンの身体からは犯人と思しき奴の精液が残っていたが、捜査はされずじまいだった。
所詮は孤児ってことか。世の中そんなもんだよな。はは、お笑い草だ。

ミッキーは大泣きしていた。大粒の涙を零して。あいつは特にローリンと親しかったから。

俺も泣いた。ローリンは良い奴だったから。ローリンは俺に自分の食い扶持を半分分けてくれた。
乾いてざらついたパンと萎びた林檎──それでも俺には忘れられない味だった。

俺はローリンの仇を取らなきゃならない。そうしないと頭がイカレちまいそうだったからな。

ローリンに一体の罪があったってんだ?

たかが八歳のガキがなんでこんな酷い殺され方をしなくちゃいけないんだ?
そんな道理はどこにもないんだよっ!あるって言うなら俺に見せてみろっ!

……現場にはローリンの眼球は残されちゃいなかった。変態野郎はどうやらコレクターのようだな。
俺は孤児仲間に声をかけ、聞き込み調査を開始した。




目星をつけた奴の部屋。

狭い部屋だ。湿気が篭っているせいか、カビ臭い。

おまけに何だかベタベタと壁に新聞紙の切り抜きが貼り付けてある。
俺は新聞を見た。共通点はどれも殺人事件に関するものだ。

軋み上げる板、俺は忍び足で棚のほうへと近づいた。そして棚を開く。

俺は何とも言えない気分になった。胸糞悪い。

棚に置かれた瓶の中には、アルコール漬けの眼球がプカプカと浮かんでいた。
ああ、ローリン……お前の眼球は一体どれなんだ。

もしもどれかわかるのなら、お前の遺体に眼球を返してやれるのに……。

だが、これで犯人がどいつかわかった。ローリン、お前の仇を取ってやれそうだ。

俺は全てを元通りにし、自分の痕跡を消すと部屋を出た。




捕食者を罠に掛けたいなら、まずは新鮮な生き餌を用意することだ。

点在する薄い闇と濃い闇が裏通りを分かつ。

ひび割れた壁に背を預け、俺は男娼のフリをする。声を掛けてくるガキ好きの男達。

いや、正しくはガキのケツが好きな男達か。俺は男色家どもを追い払った。

お目当ての相手じゃないからな。

とにかく、奴はこの裏通りで男娼を買い漁っている。
今夜も獲物を探してここらの通りを流しているはずだ。

それから二時間後、奴が現れた。三十路のハゲ野郎──レドの奴が。
俺は奴の傍らに擦り寄ると百ジャッドでどう?と持ちかけた。

二つ返事でOKするレド、だけど、こいつには金を払うつもりはサラサラないだろうよ。

俺だって別にこいつの金なんか欲しくない。
俺が欲しいのはこの変態野郎の命と悲鳴だからな。せいぜい惨めに命乞いをして見せてくれ。

そうすりゃ、殺されたローリンだって少しは溜飲が下がるはずだ。

暗がりへとレドを連れ込む。袋小路のほうへと。

そして、奴はすぐさま俺の首を絞めあげにかかった。俺は走らせたナイフでレドの右手首を切り裂いてやった。
袋小路に轟くレドの悲鳴。

飛び出してきたミッキーとジェイクがレドの太股に何度もナイフを突き立てる。

「良くもローリンを殺しやがったなっ、このカマ掘り野郎がっっ」
ジェイクが叫んだ。叫びながらナイフで抉る。ジェイクはローリンの相方だ。二人はいつも一緒だった。

そうだとも。愛するふたりはいつも一緒だった。身を寄せ合って、二人は生きてきたんだから。
ジェイクの叫びが慟哭から嗚咽へと変わっていく。

そんなジェイクに俺もミッキーも涙をこぼした。俺達は泣き叫んだ。
泣き叫びながらレドをナイフで切り裂いていった。

「た、助けて……頼む……自首するから……」
半死半生になったレドの哀願──ミッキーがランプオイルを奴の体に振りかける。

「ふざけんじゃねえぞ、このクソったれ野郎……」
そして点火。頭から背中まで燃え上がるレド、慌てふためきながら地面に転がって火を消そうとする。

そこに追い打ちをかけるようにミッキーが再びオイルを撒いた。
火達磨になりながら喚くレド、それもいつしか小さくなっていく。

レドは死んだ。ローリンの仇は討った。そして俺達には、一抹の寂しさだけが残った。

俺は神が嫌いだ。こんな世の中にローリンを産み、そして無残に命を奪った神が嫌いだ。

とにかく何もかも忘れたかった。それから俺達は住処に戻るとニコルの酒を浴びるように飲んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~

Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。 三男。継承権は遠い。期待もされない。 ——最高じゃないか。 「今度こそ、のんびり生きよう」 兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。 静かに暮らすつもりだった。 だが、彼には「構造把握」という能力があった。 物事の問題点が、図解のように見える力。 井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。 作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。 気づけば——領地が勝手に発展していた。 「俺ののんびりライフ、どこ行った……」 これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。

処理中です...