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愚か者の失恋(アルビレオ)
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ペルラと過ごす昼休憩は、数日に一度だけ。
俺にとって、なによりも貴重な癒しの時間だ。
それを今日は邪魔されて終わった。よりにもよって、手を握り合ったその時に。あろうことかルイス隊長に。
俺は後ろ髪引かれながら、重い足取りで物資保管庫へ向かう。保管庫前にはすでに第三部隊の面々が集まっており、各々で作業を始めているようだった。
「ルイス隊長、申し訳ありません。遅くなりました」
「いや、アルビレオは時間通りだ。俺達が早く来すぎたんだよ。物資の在庫確認なんてさっさと終わらせたいだろ?」
「まあ、そうですが……もうずいぶん進んでますね」
「我が第三部隊は優秀だからな! お前も含めてな」
さりげなく俺のことも褒めつつ、ルイス隊長は白い歯を輝かせ、ニカッと笑う。
相変わらず顔が良い。裏のない笑顔が眩しい。
誰からも愛されるルイス隊長――俺とは大違いだ。
(本当に、選ばれし人間とはこういう人のことをいうのだろうな)
隊長は俺を治癒室まで呼びに来たあと、先に物資保管庫へ向かっていた。
みんなでやれば早いとは言っていたが、おそらく一人きりで大まかな作業にとりかかっていたのではないだろうか。積み上げられた物資には、我々が作業しやすいようにあらかじめ印が付けられてあった。
こういう人なのだ。
そんなルイス隊長は、先程からずっと作業をしながら俺の近くをうろうろしている。
正直うっとうしいが、気持ちは分かる。聞きたいのだろう、俺が第二治癒室でなにをしていたのかを。
「アルビレオ。さっきは悪かったな、お楽しみの邪魔をして」
「……邪魔をしたご自覚はあるのですね」
「そう怒るなよ。もしかしてあの子がアルビレオの失恋相手か」
「そうです。でも、ルイス隊長は余計なこと考えないでくださいね。頼みますよ」
「なんでそんなこと言うんだよ。手も握って、良い雰囲気だったじゃないか。もっとグイグイ行けばいいのに」
(簡単に言ってくれるよな……)
ルイス隊長は俺の失恋をとても心配している。
それもそのはず、失恋直後は食事が喉を通らないほど落ち込んだのだ。恋敵であるルイス隊長とは、話もできなくなっていたくらいだった。
そんな俺に、事情を知らないルイス隊長はあれこれ世話を焼いてくれていた。俺から避けられていても、めげずに話しかけ続けてくれた。何も受けつけない俺の身体を気遣って、無理矢理でも食事に連れ出そうとしてくれた。
ルイス隊長は本当に……そういう人なのだ。どうしても俺はこの人を憎むことができない。
たとえ、失恋がこの人のせいであったとしても。
「……彼女には、好きな男がいるのです。俺はその気持ちを応援したいから、何もできません」
「健気だなあ、お前」
「彼女に嫌われたくないだけですよ」
「そういうもんなのか……?」
(そういうものなのです、ルイス隊長。太陽のように人を惹きつけるあなたには一生分からないかもしれませんが)
心の中で、我ながらどうしようもない嫌味をつぶやく。けれど、このくらいの嫌味なら許されるだろう。失恋なんかに縁の無いルイス隊長には、この気持ちを分かってもらえるはずもないのだから。
俺が失恋したのは、あの嵐の日のことだった。
雨に打たれながら、脇目も振らずルイス隊長に向かうペルラを見て、やっと自分の愚かさに気付いたのだ。
ふわりとした髪色に白い肌、目立ちはしないが可憐に佇む、淡い小花のような人。
窓辺に立つあの子が見つめていたのは、俺じゃなかった。いつも俺の隣で笑っていた、ルイス隊長を見ていたのだ。
自惚れていた。ずっと、遠く離れたあの場所から俺を見てくれていたのだと、勘違いした挙句に思い上がっていた。
彼女は泥だらけになりながらも全身全霊で魔力を使い、ただひたすらルイス隊長だけを見つめていた。俺のことなど、一瞥もせず。
そもそも認識すらされていなかった。
彼女にとって、大勢いる騎士の一人――ルイス隊長以外の誰か。どうやら俺はそんな存在であったらしい。ルイス隊長を助けるためだけに姿を現した彼女は、俺も含めたその他大勢の騎士達に、名も告げず去っていく。
今も、その後ろ姿は目に焼き付いている。
俺の勘違いは粉々に打ち砕かれ、浮かれて舞い上がっていた恋心はその時グシャグシャに潰れてしまったのだった。
俺は毎日、自分の愚かさを憎み、ルイス隊長を妬んだ。
彼女はルイス隊長によってどうせすぐ見つかる。あんなに可愛らしい人だ、命の恩人となれば、ルイス隊長も彼女へ心惹かれるに決まっている。そうなれば彼女は報われ、ルイス隊長と相思相愛だ。
それが彼女のためなのに、どうか彼女がルイス隊長に見つからなければいいと――醜い嫉妬でおかしくなった俺は、本気で神にそう願った。
けれど、その嫉妬混じりの怨念はマルグリットの登場で一変する。
マルグリット・フェメニー。第一治癒室は何度か利用したため、彼女のことは知っていた。大して仕事をしない割に、治癒師の華として君臨する女だ。
城内でのポジションというものは、王族に近付けば近付くほど、能力よりその身分が重んじられる。
マルグリットは良家フェメニー伯爵家の御令嬢。ペルラと同じ治癒師といえど、第一治癒室と第二治癒室では扱いに雲泥の差があるわけで――マルグリットはその環境に甘んじていた。
そんなマルグリットによってペルラの行いが踏みにじられたことは、到底納得できるものではなかった。なのにルイス隊長はまんまと信じ込んでしまっている。
(そんなこと、あっていいのか?)
マルグリットの嘘も、マルグリットを信じるルイス隊長も、自分の醜い嫉妬心さえも、俺はすべて許せなくなった。
だから俺は決めたのだ。ペルラの心を守るために、出来ることはすべてやろうと。
「……ルイス隊長こそ、どうなのですか。あのマルグリットとかいう治癒師とは」
「ああ。マルグリットとは上手くいってる……と思う」
「思う?」
「俺から『恋人になって欲しい』と頼み込んだ関係だからな。まだ相思相愛、とは言えないかもしれない」
「ルイス隊長でもそんなことあるのですか!?」
「当たり前だ。俺をなんだと思ってる?」
意外だった。このルイス隊長を前にして、マルグリットはまだ心を許していないということだろうか。
てっきり、マルグリットの方がルイス隊長を狙っていたのだと思っていたのに。でなければ何故、ペルラにすり替わって自分がルイス隊長を助けたなんて、そのような嘘をつく必要がある?
「あちらにその気がないのなら、やめておいたらどうですか。あんな人にルイス隊長は勿体ないですよ。一体どこがそんなにお好きなのですか」
「あんな人とか言うな! 俺には分かるんだ、マルグリットの素晴らしさが」
「ですから、どこがどう素晴らしいのですか。俺には何も分かりません」
何度か、負傷した仲間を第一治癒室に連れて行ったことがある。
第一治癒室はまるでサロンのように絢爛豪華で、中では着飾った治癒師が数人、優雅に茶を飲みながらくつろいでいた。
血が出ている我々が入った途端、あの治癒師達は汚いものを見るような目で眉をひそめ、渋々治癒魔法を施した。マルグリットは、そんな奴等の一人だ。
そんな女のことを、ルイス隊長みたいな人がどうして――
「あの時、額から流れ込んできた魔力は、普段の彼女から想像出来ないほど暖かく優しかった。マルグリットの内側にはあんなにも豊かな優しさがあるのかと思ったら、彼女のことが頭から離れなくて」
「え……? ルイス隊長、意識を失っていたのではなかったのですか」
「無事を強く願う魔力は、意識が無くとも伝わってきたよ。俺はあのおかげで意識を取り戻すことができた。マルグリットのおかげだ」
(そんな……)
それでは、ルイス隊長が惹かれたのは――
『ルイス様が本当のことを知ったら、きっと落胆されるでしょう。私は、がっかりされたくないのです』
どうか真実は隠してほしいと、懇願するペルラの姿を思い出す。どうしてもマルグリットの家柄や容姿に引け目を感じるというのなら、俺としても黙っておくしかないと思った。
けれど、これでは話が違ってくる。
(本当のことを知っても、がっかりするはずがない。ルイス隊長が惹かれているのは、あの時感じた治癒魔法の素晴らしさであって――)
それは、ペルラの真心そのもの。
マルグリットのものではない。
「すまない、惚気けてしまったな」
「い、いえ」
「アルビレオも頑張れよ。俺は応援してるからな!」
(……俺はこのまま、ペルラのことを黙っていていいのだろうか)
もし、俺が真実を告げたなら、ルイス隊長はどうするだろうか。マルグリットのことはどうなる。
そして、ペルラはどんな風に思うだろう――
ペルラのために……と思う心に、迷いが生じる。
俺は作業に戻っていくルイス隊長に、言い表せぬ罪悪感を覚えた。
俺にとって、なによりも貴重な癒しの時間だ。
それを今日は邪魔されて終わった。よりにもよって、手を握り合ったその時に。あろうことかルイス隊長に。
俺は後ろ髪引かれながら、重い足取りで物資保管庫へ向かう。保管庫前にはすでに第三部隊の面々が集まっており、各々で作業を始めているようだった。
「ルイス隊長、申し訳ありません。遅くなりました」
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こういう人なのだ。
そんなルイス隊長は、先程からずっと作業をしながら俺の近くをうろうろしている。
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「アルビレオ。さっきは悪かったな、お楽しみの邪魔をして」
「……邪魔をしたご自覚はあるのですね」
「そう怒るなよ。もしかしてあの子がアルビレオの失恋相手か」
「そうです。でも、ルイス隊長は余計なこと考えないでくださいね。頼みますよ」
「なんでそんなこと言うんだよ。手も握って、良い雰囲気だったじゃないか。もっとグイグイ行けばいいのに」
(簡単に言ってくれるよな……)
ルイス隊長は俺の失恋をとても心配している。
それもそのはず、失恋直後は食事が喉を通らないほど落ち込んだのだ。恋敵であるルイス隊長とは、話もできなくなっていたくらいだった。
そんな俺に、事情を知らないルイス隊長はあれこれ世話を焼いてくれていた。俺から避けられていても、めげずに話しかけ続けてくれた。何も受けつけない俺の身体を気遣って、無理矢理でも食事に連れ出そうとしてくれた。
ルイス隊長は本当に……そういう人なのだ。どうしても俺はこの人を憎むことができない。
たとえ、失恋がこの人のせいであったとしても。
「……彼女には、好きな男がいるのです。俺はその気持ちを応援したいから、何もできません」
「健気だなあ、お前」
「彼女に嫌われたくないだけですよ」
「そういうもんなのか……?」
(そういうものなのです、ルイス隊長。太陽のように人を惹きつけるあなたには一生分からないかもしれませんが)
心の中で、我ながらどうしようもない嫌味をつぶやく。けれど、このくらいの嫌味なら許されるだろう。失恋なんかに縁の無いルイス隊長には、この気持ちを分かってもらえるはずもないのだから。
俺が失恋したのは、あの嵐の日のことだった。
雨に打たれながら、脇目も振らずルイス隊長に向かうペルラを見て、やっと自分の愚かさに気付いたのだ。
ふわりとした髪色に白い肌、目立ちはしないが可憐に佇む、淡い小花のような人。
窓辺に立つあの子が見つめていたのは、俺じゃなかった。いつも俺の隣で笑っていた、ルイス隊長を見ていたのだ。
自惚れていた。ずっと、遠く離れたあの場所から俺を見てくれていたのだと、勘違いした挙句に思い上がっていた。
彼女は泥だらけになりながらも全身全霊で魔力を使い、ただひたすらルイス隊長だけを見つめていた。俺のことなど、一瞥もせず。
そもそも認識すらされていなかった。
彼女にとって、大勢いる騎士の一人――ルイス隊長以外の誰か。どうやら俺はそんな存在であったらしい。ルイス隊長を助けるためだけに姿を現した彼女は、俺も含めたその他大勢の騎士達に、名も告げず去っていく。
今も、その後ろ姿は目に焼き付いている。
俺の勘違いは粉々に打ち砕かれ、浮かれて舞い上がっていた恋心はその時グシャグシャに潰れてしまったのだった。
俺は毎日、自分の愚かさを憎み、ルイス隊長を妬んだ。
彼女はルイス隊長によってどうせすぐ見つかる。あんなに可愛らしい人だ、命の恩人となれば、ルイス隊長も彼女へ心惹かれるに決まっている。そうなれば彼女は報われ、ルイス隊長と相思相愛だ。
それが彼女のためなのに、どうか彼女がルイス隊長に見つからなければいいと――醜い嫉妬でおかしくなった俺は、本気で神にそう願った。
けれど、その嫉妬混じりの怨念はマルグリットの登場で一変する。
マルグリット・フェメニー。第一治癒室は何度か利用したため、彼女のことは知っていた。大して仕事をしない割に、治癒師の華として君臨する女だ。
城内でのポジションというものは、王族に近付けば近付くほど、能力よりその身分が重んじられる。
マルグリットは良家フェメニー伯爵家の御令嬢。ペルラと同じ治癒師といえど、第一治癒室と第二治癒室では扱いに雲泥の差があるわけで――マルグリットはその環境に甘んじていた。
そんなマルグリットによってペルラの行いが踏みにじられたことは、到底納得できるものではなかった。なのにルイス隊長はまんまと信じ込んでしまっている。
(そんなこと、あっていいのか?)
マルグリットの嘘も、マルグリットを信じるルイス隊長も、自分の醜い嫉妬心さえも、俺はすべて許せなくなった。
だから俺は決めたのだ。ペルラの心を守るために、出来ることはすべてやろうと。
「……ルイス隊長こそ、どうなのですか。あのマルグリットとかいう治癒師とは」
「ああ。マルグリットとは上手くいってる……と思う」
「思う?」
「俺から『恋人になって欲しい』と頼み込んだ関係だからな。まだ相思相愛、とは言えないかもしれない」
「ルイス隊長でもそんなことあるのですか!?」
「当たり前だ。俺をなんだと思ってる?」
意外だった。このルイス隊長を前にして、マルグリットはまだ心を許していないということだろうか。
てっきり、マルグリットの方がルイス隊長を狙っていたのだと思っていたのに。でなければ何故、ペルラにすり替わって自分がルイス隊長を助けたなんて、そのような嘘をつく必要がある?
「あちらにその気がないのなら、やめておいたらどうですか。あんな人にルイス隊長は勿体ないですよ。一体どこがそんなにお好きなのですか」
「あんな人とか言うな! 俺には分かるんだ、マルグリットの素晴らしさが」
「ですから、どこがどう素晴らしいのですか。俺には何も分かりません」
何度か、負傷した仲間を第一治癒室に連れて行ったことがある。
第一治癒室はまるでサロンのように絢爛豪華で、中では着飾った治癒師が数人、優雅に茶を飲みながらくつろいでいた。
血が出ている我々が入った途端、あの治癒師達は汚いものを見るような目で眉をひそめ、渋々治癒魔法を施した。マルグリットは、そんな奴等の一人だ。
そんな女のことを、ルイス隊長みたいな人がどうして――
「あの時、額から流れ込んできた魔力は、普段の彼女から想像出来ないほど暖かく優しかった。マルグリットの内側にはあんなにも豊かな優しさがあるのかと思ったら、彼女のことが頭から離れなくて」
「え……? ルイス隊長、意識を失っていたのではなかったのですか」
「無事を強く願う魔力は、意識が無くとも伝わってきたよ。俺はあのおかげで意識を取り戻すことができた。マルグリットのおかげだ」
(そんな……)
それでは、ルイス隊長が惹かれたのは――
『ルイス様が本当のことを知ったら、きっと落胆されるでしょう。私は、がっかりされたくないのです』
どうか真実は隠してほしいと、懇願するペルラの姿を思い出す。どうしてもマルグリットの家柄や容姿に引け目を感じるというのなら、俺としても黙っておくしかないと思った。
けれど、これでは話が違ってくる。
(本当のことを知っても、がっかりするはずがない。ルイス隊長が惹かれているのは、あの時感じた治癒魔法の素晴らしさであって――)
それは、ペルラの真心そのもの。
マルグリットのものではない。
「すまない、惚気けてしまったな」
「い、いえ」
「アルビレオも頑張れよ。俺は応援してるからな!」
(……俺はこのまま、ペルラのことを黙っていていいのだろうか)
もし、俺が真実を告げたなら、ルイス隊長はどうするだろうか。マルグリットのことはどうなる。
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