Sオナ! ~SランクDNAの精子だけど、今回どう見てもオ○ニーです~○~○

巻き爪たろう

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幕間~○2

婆や(キヨ子)の過去 その2

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 馴れ馴れしくも私の肩に手を置いてきたそいつは、紛れもない男の精子だった。

「君がここの指揮官だね? 初めまして。俺は精子のアレックス!」

 黒髪でムカつくほど目が二重のそいつがそう言うと、またしても私の間合いに堂々と立ち入り、今度は私の顔の周りをクンクンと嗅ぎ始めたのだ。
 そして、唇と唇が重なってしまいそうな距離でそいつは、

「君、卵子じゃないね? 匂いで分かる。でもいい匂いだね!」

 そう言い放ってきた。
 恥ずかしくも顔が真っ赤になった私は、そいつの顔に平手打ちをしようとしたがあっさり避けられてしまった。

「ごめんごめん。でも1つお願いがあるんだ。あのゴリラたちを撤退させてほしいんだ」

 そんな願いを聞き入れるはずがなかった。
 いや、聞き入れたところで白血球ゴリラたちが私の指示に従うとは思えなかった。
 私はまるで聞こえていないかのようなフリをし、続けざまに拳をブンブンと数発打ち込んだ。が、またしても全て避けられてしまった。
 まるで風のようにゆらゆらと避けるそいつは、私の戦型とまるで異なり、やりにくい相手だった。

「もう! ゆらゆらと腹の立つ奴だ!」
「だからごめんって。でも君とは戦いたくないんだ」
「何故だ!」
「君には魔法のセンスがある。今も使えるんだろうけど、君の本当の実力はそんなもんじゃない。もっと深い宇宙へいけるはずだ。そこへ俺が導いてあげる」

 敵の指揮官である私に対して、こいつが何を言っているのか全く理解できなかった。
 だがそいつは続けた。

「うーんそうだな。あっ! あの山! あの山の頂上で今日の夜待ってる」

 そう言って指さした先は、子宮城を取り囲む山の一角だった。

「な!? 何を言ってるんだお前は! バカか! 行くわけないだろうが!」
「君が来るまで待つよ。君の魔法は未完成だ。じゃ、今日はもう帰るよ。あのゴリラたちが君の言うことを聞かないことも分かったし」
「な、なぜそれを……」
「このとりでに君は一人だ。普通は戦況報告や観察係がいるだろ? あのゴリラたちは君を一人残して飛び出して行っちゃったんじゃないの?」

 見破られていた。悔しいがぐうの音も出なかった。

「じゃ、今日の夜、あの山の頂上で」

 そいつがそう言うと体をフワッと宙に浮かせ、再び私の元へ近づき、またしても匂いを嗅いだのだ。

「君、本当に良い匂いだね」

 耳元でそうつぶやいた瞬間、一瞬で上空まで上昇し、白血球ゴリラと精子たちが争う戦場へと戻って行った。私は心臓が飛び出しそうなほど脈拍が上がり、その場で膝をついてしまった。

(く、悔しい! 悔しい! そして胸が…… 苦しい……)

 そう思った瞬間、

ビュォォオオオオオオオオオ!

 戦場から凄まじい風の音が鳴った。
 私は急いで立ち上がり戦場を確認した。そこには巨大な竜巻が3本も発生しており、白血球ゴリラたちがその竜巻に飲まれ方々へ飛ばされていた。

「あ、あれも魔法なのか……」

 見たことがない魔法を目の当たりしている一方、精子たちはあいつが言った通り撤退を始めていた。
 残った白血球ゴリラたちも恐れおののき、この砦へ向かって撤退しているのを確認した。

 文字通り、私の初陣は完敗だった。

◇◆◇

 子宮城に戻った私は、子宮こみや子宮しきゅう公爵への戦況報告書を作成し、提出を行った。
 が…… あの精子、アレックスとやらと私の接触については記述しなかった。

「ふむ。そんなに強い精子がいたのか?」
「はっ! 見たこともない魔法も2種、確認がとれております」
「そいつはSランクDNAの精子なのか?」
「はっ! 申し訳ございませんが、今日の戦況では分かりかねます」

 口頭報告も終了した私は兵の宿舎に戻り、自室のベッドへドサッとへたり込んだ。
 枕のシワを指でなぞりながら、今日の出来事を思い出していた――

『君がここの指揮官だね? 初めまして。俺は精子のアレックス』
『君、本当に良い匂いだね』

 悔しいが、頭の中はアレックスのことで一杯だった。

(クソッ! クソッ! なんなんだあいつ!)

『あの山の頂上で今日の夜待ってる――』

 寝返りを打ち、部屋の膣鳩時計ちつばとどけいを眺める。時刻は夜中の2時をまわったところだった。

(まさかな……)

“待っているはずがない”

 そう思うようにし、私はベッドで休むことにした。
 明日も精子たちが襲ってくるかもしれない。しっかりと体を休めなくてはならないのだ。

「…………」
「…………………」
「…………………………」
「…………………………だぁああああ! んもう! なんなのよあいつ!! 1回だけ! 1回だけ見に行ってやる!」

 そう言って私はもう一度シャワーを浴び、アレックスが指さした山の頂へと向かった。
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