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外の世界へ(瑠side)
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「陽向くん、おはよう。起きて朝ごはんを食べようか」
「瑠くんおはよ!」
陽向くんをあの部屋から連れ出して1週間が経った。
俺は今ホテルを転々としながら陽向くんと過ごしている。
陽向くんは最初こそ警戒していたものの「臣がお出かけしておいでって言ってたよ」と言うと逆に心配になるくらいあっさりとその言葉を信じた。
そして、水族館やタワーなどいろんなところに連れて行くたび豊かな表情を見せてくれる。
陽向くんと1週間過ごすうちに、俺は陽向くんに対して何か愛情のようなものを抱くようになった。
陽向くんのことが可愛くて仕方ない。守ってあげないとって思う。
そして明日、明日は臣がイギリスに発つ日だ。この1週間いつ臣に見つかるかと常に気を張りながら過ごしていたが、流石の臣も多忙すぎるが故に俺たちを見つけることはできなかったようだ。
もし後1日陽向くんのことを守りきればきっとこの不安から解放される。
「瑠くん、今日はどこに連れて行ってくれるの?」
「ごめんね今日は1日ここで過ごそうか」
もし今日外に出て捕まれば元も子もない。
「なんで?お外行きたいよ」
「ごめんね。明日はお出かけしよ!そうだ、お花がいっぱいのところでピクニックとかどうかな?」
「ピクニック?」
「お外でご飯食べたりするんだよ」
「楽しそう!約束だよ!絶対!」
「うん約束」
陽向くんは満面の笑みでそう言った。
その夜、俺は陽向くんを抱きしめて眠りについた。
午前1時を回った頃部屋の施錠が解除される音が聞こえた。
寝ぼけていた俺は気のせいかと思ったが陽向くんの「臣くん、、、」と呼ぶ声で一気に冷や汗が止まらなくなった。
振り返ると部屋の入り口には予想通り臣が立っている。
「臣くん、、、」
「陽向、迎えにきたよ。こっちにおいで」
臣がそう言って手を広げると陽向くんは俺の腕の中でモゾモゾと動きそちらへ向かおうとする。
「陽向くんダメだよ。あっちにいっちゃダメ」
「瑠、陽向を返せ。まったく、1週間も放置したのはやはり間違えだったか」
「何を言ってるんだ。渡したら陽向くんをまた閉じ込めるつもりなんだろ」
「それは俺の自由だ。陽向は俺のものなんだから。」
「陽向くんはものじゃない!」
「うるさいな」
臣はおもむろに俺の前へ歩いてくると顔を近づけ、その瞬間首元に針を指す痛みを感じた。
「何をした⁈」
「お前は邪魔だ」
それから1分も経たずに俺の視界は歪みやがて真っ暗になった。
暗闇の中で最後に聞こえたのは「瑠くんどうしたの?」という不安そうな陽向くんの声。
結局守れなかった。陽向くんごめん
「瑠くんおはよ!」
陽向くんをあの部屋から連れ出して1週間が経った。
俺は今ホテルを転々としながら陽向くんと過ごしている。
陽向くんは最初こそ警戒していたものの「臣がお出かけしておいでって言ってたよ」と言うと逆に心配になるくらいあっさりとその言葉を信じた。
そして、水族館やタワーなどいろんなところに連れて行くたび豊かな表情を見せてくれる。
陽向くんと1週間過ごすうちに、俺は陽向くんに対して何か愛情のようなものを抱くようになった。
陽向くんのことが可愛くて仕方ない。守ってあげないとって思う。
そして明日、明日は臣がイギリスに発つ日だ。この1週間いつ臣に見つかるかと常に気を張りながら過ごしていたが、流石の臣も多忙すぎるが故に俺たちを見つけることはできなかったようだ。
もし後1日陽向くんのことを守りきればきっとこの不安から解放される。
「瑠くん、今日はどこに連れて行ってくれるの?」
「ごめんね今日は1日ここで過ごそうか」
もし今日外に出て捕まれば元も子もない。
「なんで?お外行きたいよ」
「ごめんね。明日はお出かけしよ!そうだ、お花がいっぱいのところでピクニックとかどうかな?」
「ピクニック?」
「お外でご飯食べたりするんだよ」
「楽しそう!約束だよ!絶対!」
「うん約束」
陽向くんは満面の笑みでそう言った。
その夜、俺は陽向くんを抱きしめて眠りについた。
午前1時を回った頃部屋の施錠が解除される音が聞こえた。
寝ぼけていた俺は気のせいかと思ったが陽向くんの「臣くん、、、」と呼ぶ声で一気に冷や汗が止まらなくなった。
振り返ると部屋の入り口には予想通り臣が立っている。
「臣くん、、、」
「陽向、迎えにきたよ。こっちにおいで」
臣がそう言って手を広げると陽向くんは俺の腕の中でモゾモゾと動きそちらへ向かおうとする。
「陽向くんダメだよ。あっちにいっちゃダメ」
「瑠、陽向を返せ。まったく、1週間も放置したのはやはり間違えだったか」
「何を言ってるんだ。渡したら陽向くんをまた閉じ込めるつもりなんだろ」
「それは俺の自由だ。陽向は俺のものなんだから。」
「陽向くんはものじゃない!」
「うるさいな」
臣はおもむろに俺の前へ歩いてくると顔を近づけ、その瞬間首元に針を指す痛みを感じた。
「何をした⁈」
「お前は邪魔だ」
それから1分も経たずに俺の視界は歪みやがて真っ暗になった。
暗闇の中で最後に聞こえたのは「瑠くんどうしたの?」という不安そうな陽向くんの声。
結局守れなかった。陽向くんごめん
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