学園七不思議〜7人の幽霊と5人の研究会員〜

シロロ

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第壱章 屋上に

屋上に潜む霊

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東貴は花やその付近を見渡す。

菊の花が7本、たんぽぽが1輪一箇所に集まっている。ここで誰かが亡くなってしまったのだろうか。

花には夕日が差し込んでおり、辺りはオレンジ色になっている。おそらく夕方の時間帯なのだろう。

菊は大人が買ってきて置いたものに見えるが、たんぽぽは生えているものを摘んで持ってきたように見える。

東貴は豪に確認する。

「地上に菊の花7本とたんぽぽが1輪あるんだけど、覚えてる?」

豪は頭を抱える。そして、思い出したように答える。

「菊の花が何本あったかまでは覚えてないけど、名前忘れちゃった人から何か話を聞いて、家に帰る前にたんぽぽを摘んで、そこに置いた気がする。」

豪の記憶は途切れ途切れになっている。これもこの空間のせいなのか。そもそもここから出るのに必要な情報なのかもわからない。

他には何か情報がないか東貴が地上を見ていると、突然見えていた花が消えていく。

「え、花が消えていく」

全ての花が消え、オレンジ色が包んでいた辺りが明るくなっていく。時間帯が朝に変わっていっている。東貴は見落としがないか辺りを見回すが、花が消えて時間帯が朝に変わったこと以外は変わらなかった。

時間帯が変わってから数十秒経つと、3人組の女子高生が歩いて来た。なにやらこちらを気にしており、3人のうちの1人がこちらを指差している。

真木にもかろうじて見えているようだった。

「ねえ!!!」

下を見る東貴と真木にフェンスの向こうの明日香が声をかける。

東貴と真木は明日香を見ると、2人の左の方を指差している。そこには女性のサイズのローファーが置いてある。さっきまでは絶対に無かったはずだった。更に隣には裸足の女子高生が地面の方を見ながら立っている。色白で黒髪ロングだが、なぜか顔が見えない。

これは豪気絶するんじゃ…?4人は同時に思った。しかし、豪はその女子高生を見ても気絶していなかった。豪も気絶しない自分に驚いていた。

その女子高生は地面を見て恐怖したのか、回れ右して戻ろうとした。

しかしその時だった。女子高生の目の前に謎の腕が急に現れ、その女子高生を思い切り押し出した。

急な出来事にみんなが固まる。

女子高生は成すすべなく背中から落ちそうになる。

足が離れる一瞬前に女子高生は東貴の方を向いた。

東貴はその女子高生の顔が見えていないが、目があった気がした。

「た…け………さ…」

東貴が何かを感じ取った瞬間、東貴以外の時間が止まった。

「えっ、何が起きてるんだ…?」

東貴は困惑する。他4人が固まっていて、全く動かない。落ちそうになっている女子高生も足が離れて空中にいるが、止まっている。

「超常現象すぎてついていけないぞ…」

そう言いながらも東貴は迷うことなく落ちそうになる女子高生に手を伸ばした。

しかし、背中から落ちそうになっている人の腕を掴むのは難しかった。

申し訳なさもあるが、仕方なく東貴は片方の足を自分も一緒に落ちないように自分の方へ体重をかけながら両手で掴んだ。
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