8 / 10
第壱章 屋上に
屋上に潜む霊
しおりを挟む
東貴は花やその付近を見渡す。
菊の花が7本、たんぽぽが1輪一箇所に集まっている。ここで誰かが亡くなってしまったのだろうか。
花には夕日が差し込んでおり、辺りはオレンジ色になっている。おそらく夕方の時間帯なのだろう。
菊は大人が買ってきて置いたものに見えるが、たんぽぽは生えているものを摘んで持ってきたように見える。
東貴は豪に確認する。
「地上に菊の花7本とたんぽぽが1輪あるんだけど、覚えてる?」
豪は頭を抱える。そして、思い出したように答える。
「菊の花が何本あったかまでは覚えてないけど、名前忘れちゃった人から何か話を聞いて、家に帰る前にたんぽぽを摘んで、そこに置いた気がする。」
豪の記憶は途切れ途切れになっている。これもこの空間のせいなのか。そもそもここから出るのに必要な情報なのかもわからない。
他には何か情報がないか東貴が地上を見ていると、突然見えていた花が消えていく。
「え、花が消えていく」
全ての花が消え、オレンジ色が包んでいた辺りが明るくなっていく。時間帯が朝に変わっていっている。東貴は見落としがないか辺りを見回すが、花が消えて時間帯が朝に変わったこと以外は変わらなかった。
時間帯が変わってから数十秒経つと、3人組の女子高生が歩いて来た。なにやらこちらを気にしており、3人のうちの1人がこちらを指差している。
真木にもかろうじて見えているようだった。
「ねえ!!!」
下を見る東貴と真木にフェンスの向こうの明日香が声をかける。
東貴と真木は明日香を見ると、2人の左の方を指差している。そこには女性のサイズのローファーが置いてある。さっきまでは絶対に無かったはずだった。更に隣には裸足の女子高生が地面の方を見ながら立っている。色白で黒髪ロングだが、なぜか顔が見えない。
これは豪気絶するんじゃ…?4人は同時に思った。しかし、豪はその女子高生を見ても気絶していなかった。豪も気絶しない自分に驚いていた。
その女子高生は地面を見て恐怖したのか、回れ右して戻ろうとした。
しかしその時だった。女子高生の目の前に謎の腕が急に現れ、その女子高生を思い切り押し出した。
急な出来事にみんなが固まる。
女子高生は成すすべなく背中から落ちそうになる。
足が離れる一瞬前に女子高生は東貴の方を向いた。
東貴はその女子高生の顔が見えていないが、目があった気がした。
「た…け………さ…」
東貴が何かを感じ取った瞬間、東貴以外の時間が止まった。
「えっ、何が起きてるんだ…?」
東貴は困惑する。他4人が固まっていて、全く動かない。落ちそうになっている女子高生も足が離れて空中にいるが、止まっている。
「超常現象すぎてついていけないぞ…」
そう言いながらも東貴は迷うことなく落ちそうになる女子高生に手を伸ばした。
しかし、背中から落ちそうになっている人の腕を掴むのは難しかった。
申し訳なさもあるが、仕方なく東貴は片方の足を自分も一緒に落ちないように自分の方へ体重をかけながら両手で掴んだ。
菊の花が7本、たんぽぽが1輪一箇所に集まっている。ここで誰かが亡くなってしまったのだろうか。
花には夕日が差し込んでおり、辺りはオレンジ色になっている。おそらく夕方の時間帯なのだろう。
菊は大人が買ってきて置いたものに見えるが、たんぽぽは生えているものを摘んで持ってきたように見える。
東貴は豪に確認する。
「地上に菊の花7本とたんぽぽが1輪あるんだけど、覚えてる?」
豪は頭を抱える。そして、思い出したように答える。
「菊の花が何本あったかまでは覚えてないけど、名前忘れちゃった人から何か話を聞いて、家に帰る前にたんぽぽを摘んで、そこに置いた気がする。」
豪の記憶は途切れ途切れになっている。これもこの空間のせいなのか。そもそもここから出るのに必要な情報なのかもわからない。
他には何か情報がないか東貴が地上を見ていると、突然見えていた花が消えていく。
「え、花が消えていく」
全ての花が消え、オレンジ色が包んでいた辺りが明るくなっていく。時間帯が朝に変わっていっている。東貴は見落としがないか辺りを見回すが、花が消えて時間帯が朝に変わったこと以外は変わらなかった。
時間帯が変わってから数十秒経つと、3人組の女子高生が歩いて来た。なにやらこちらを気にしており、3人のうちの1人がこちらを指差している。
真木にもかろうじて見えているようだった。
「ねえ!!!」
下を見る東貴と真木にフェンスの向こうの明日香が声をかける。
東貴と真木は明日香を見ると、2人の左の方を指差している。そこには女性のサイズのローファーが置いてある。さっきまでは絶対に無かったはずだった。更に隣には裸足の女子高生が地面の方を見ながら立っている。色白で黒髪ロングだが、なぜか顔が見えない。
これは豪気絶するんじゃ…?4人は同時に思った。しかし、豪はその女子高生を見ても気絶していなかった。豪も気絶しない自分に驚いていた。
その女子高生は地面を見て恐怖したのか、回れ右して戻ろうとした。
しかしその時だった。女子高生の目の前に謎の腕が急に現れ、その女子高生を思い切り押し出した。
急な出来事にみんなが固まる。
女子高生は成すすべなく背中から落ちそうになる。
足が離れる一瞬前に女子高生は東貴の方を向いた。
東貴はその女子高生の顔が見えていないが、目があった気がした。
「た…け………さ…」
東貴が何かを感じ取った瞬間、東貴以外の時間が止まった。
「えっ、何が起きてるんだ…?」
東貴は困惑する。他4人が固まっていて、全く動かない。落ちそうになっている女子高生も足が離れて空中にいるが、止まっている。
「超常現象すぎてついていけないぞ…」
そう言いながらも東貴は迷うことなく落ちそうになる女子高生に手を伸ばした。
しかし、背中から落ちそうになっている人の腕を掴むのは難しかった。
申し訳なさもあるが、仕方なく東貴は片方の足を自分も一緒に落ちないように自分の方へ体重をかけながら両手で掴んだ。
0
あなたにおすすめの小説
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/27:『ことしのえと』の章を追加。2026/1/3の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/26:『はつゆめ』の章を追加。2026/1/2の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/25:『がんじつのおおあめ』の章を追加。2026/1/1の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/24:『おおみそか』の章を追加。2025/12/31の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/23:『みこし』の章を追加。2025/12/30の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/22:『かれんだー』の章を追加。2025/12/29の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/21:『おつきさまがみている』の章を追加。2025/12/28の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる