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2章
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しおりを挟むもうぬるくなってしまったドリンクを片手に、どうしたものか、と考えていた。
私と皇子の婚約はお互いの親同士にメリットがあるからこそ結ばれた。
だから簡単には破棄は出来ない。
それはきっと皇子もわかっているはず。
カリナも皇子も親に刃向かえる立場ではない。
今の私は皇子と何としても結婚したいというほどの気持ちはない。
でもカリナはどうだろう?
あんな忠告をされてまだ結婚したいと言うのだろうか。
たしかに小説で見た皇子はなんでも出来て、優しくてとてもできた人だ。
その中にも幼少期からの闇があって、その闇が私とカリナと似た所があっただけに、カリナを捨てた時とてもショックだった。
まるで私もいつかカリナと同じようなことになってしまうのでは無いかと恐怖した。
私は皇子に対して希望を持っていたのだと思う。
この人ならカリナの事を分かってくれると。
でも皇子は違う場所で愛を見つけてしまったのだ。
本当にひとりぼっちになったカリナに見向きもせずに。
貴方のことを分かってあげられるのはカリナと私だけだと言うように私は傷ついたのだ。
きっと私はカリナと同じように皇子に執着しているのかもしれない。
やっぱりカリナと話がしたいな。
と、ふと思った。
こんな時間に踊り場へ行っても、向こうも夜だからきっと現れるはずない、
そう思いながらも足は中央棟の方へ向かっていた。
重い扉を開けると、電気がついていなくとも月明かりで十分に照らされた階段を上がり窓の前にやってきた。
すると
「やっときた.....」
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