うちの猫は液体です

秋葉夕雲

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第三章

第3話 アレルギー

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 その後も蛇を飼う際のいくつかの注意を聞き、診察は終了した。
「は、初めて知った……ククニって気性が荒い蛇だったんだね……」
「いやはや悲しいものですな。吾輩が人々からそのように思われているなど……」
「本来グリーンボア……いえ、エメラルドツリーボアは熱帯雨林に生息する蛇で初心者に飼育は難しいとされています。もちろん、ギフテッドの場合は苦労がずいぶん軽減されます」
「ずいぶんなんてもんじゃないわよ。革命的よ」
 異能の力、ギフトを操るギフテッドは基本的に人と会話できる。そのうえ、人間と同等、あるいはそれ以上の知性がある。
 つまり何らかの不満があれば自分から注文を付けてくれる。
 これが本当にありがたい。特に蛇のように表情がなく、基本的に群れない動物の場合、限られた情報……例えば皮膚の状態、鳴き声、排便などから判断するしかない。
 しかしギフテッドなら。
『おや、申し訳ありません。吾輩、どうやらお腹の調子が悪いようですな』
 などと会話できるし、本来なら気性の洗い動物でも知性によってそれらを制御してくれるだろう。
 動物の知識はあるがペットを飼った経験はなかった五月はそれらの苦労を経験しておらず、いまひとつ実感を持てていないことが五月と葵の温度差に繋がっていた。
「ひ、ひとまず、なんていうか……これからククニを飼う覚悟みたいなものはできた気がします……」
「それなら連れてきたかいがあるわね。……ところで、今日のお昼どうする?」
 本来ならもう少し早い時間に診察が終わる予定だったため、もう正午を過ぎているこの時間では戻ってから料理するのは遅すぎる。
「外食でよろしいのではないでしょうか。幸い、アポロ達の食べるものも持ってきています」
「意外と準備いいわよね、あんた……」
「で、でも皆本先輩。あたし、アレルギーが……」
 真子は重度のアレルギー体質であり、かなり食事に制限がある。我が家の厨房を取り仕切る葵もこれにはかなり手を焼いており、真子は居候に近い身でありながらそんな苦労をかけている葵に申し訳なく思っていた。
 だからこそ、今も俯いて葵の目を直視できないのだ。
 しかしそんな真子に対して葵はどこか呆れているような、深刻ではない悩みをどう打ち明けるか決めかねているような表情だった。
「あー……真子。それはいいって言うか……うーん。まあいいわ。ここらで食べられそうな場所探してくるからちょっと待ってて」
 そう言って葵は病院の出口に向かった。
 院内で電話をするわけにはいかないからだ。
 比較的多くの動物病院がそうであるように、待合室からは外の様子が見えるガラス張りになっており、まだ院内に入れていないペットと飼い主に混じって葵がどこかに連絡を取っている様子が五月たちには見えたのだった。
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