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第四章 天命
第四十四話 ここから先へ
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擬態の魔人を倒したエタはすぐに第六階層に戻った。
湖畔の野営地は少し騒がしかった。
擬態の魔人が掟を使ったので轟音と閃光がまき散らされたから……というだけではないようだった。
トエラーは先ほどの憔悴した様子が嘘のように目をぎらつかせていた。
「話は聞いている。エタリッツ君。君は魔人と戦っていたようだね」
「はい。ですがあの魔人はもうすでにいません」
「そうか。ありがとう。これで私の覚悟も決まった」
「それはつまり……」
「ああ。この塔を攻略しよう。もう話はついている」
トエラーの背後にはやはり彼と同様に闘志がみなぎった冒険者や傭兵が控えていた。
どうやらトエラーが説得していたようだ。おそらく、永遠の掟と天命の粘土板についても説明したのだろう。
「君はこの迷宮を攻略するあてはついているのだろう?」
こうやって部下(正確にはエタは彼の部下ではないが)に丸投げするのもある意味優秀な上司と言えるかもしれない。
「もちろんです。そうですね……まず、この塔に入る前に話した大工の人たちですが彼らには……」
そうしてエタは自分の裏道の攻略方法を語った。
その結果。
誰もが絶句していた。エタの攻略方法は誰にとっても予想外だったらしい。
「しかしそれでは……もしやここまで進んできた意味はないのでは……?」
「いえ……むしろこの階層だからこそできることがあります」
ちらりと五階層に戻る扉を見る。
あれを上手く活用すれば裏道の成功率を上げられるはずだ。
そしてそこから待ちわびていた人も来た。
「こほ……どうやら間に合ったかな?」
「はい。素晴らしい時に来てくださいました。カロッサさん」
エタが話題にした大工たちはエタから任された仕事に必死で取り組んでいた。
「ああくそ! あの小僧! 人をこき使ってくれやがって!」
「でも親方! なんだか楽しそうですよ!」
徒弟と師は汗まみれながらも笑顔だ。
彼らは家を建てているわけでも塔を砕いているわけでもない。
穴を掘っているのだ。
この塔に入る前、彼らとエタはこのような会話をした。
「塔の外壁は砕けそうですか?」
エタが率直に尋ね、大工は落胆しながら答えた。
「ダメだ。刃が通りすらしねえ。何百年かかってもこの塔は崩せねえだろうな」
大工と名乗っているが、石切り場に顔を出すこともある彼は馬鹿正直に登るより塔ごと崩してしまえと大笑して仕事にとりかかったが、神々の英知は彼の想像を超えていた。
「では、この塔の基礎の様子はわかりますか?」
基礎とは家の土台である。これは現代から古代に至るまで存在し続けている。
「ん? まあそりゃわかるぜ。俺の掟に『地面の中を探る掟』があるからな」
「なるべく早く地面の様子を探っていただけませんか? 必要ならお金を出します」
大工はエタの顔をじろじろと見ていたが、やがて頷いた。
「何か事情があるんだな? 金なんていらねえ。すぐやってやる」
そうして地面を調べ……驚くべき事実が判明した。
「これだけ高い建物だからな。地面に柱でも打ち込んでんのかと思ったが……この塔はほとんど地面に乗ってるだけだ。よく安定してるもんだ」
まさしく神の御業だな、と呟いた。
「なるほど……では、この塔の均衡を崩せますか?」
「そりゃあ……基礎が盤石じゃねえなら……おい、お前さんまさか……」
「はい。この塔は崩せません。登り切れるかも怪しい。ですので……地面を掘って……横倒しにします」
湖畔の野営地は少し騒がしかった。
擬態の魔人が掟を使ったので轟音と閃光がまき散らされたから……というだけではないようだった。
トエラーは先ほどの憔悴した様子が嘘のように目をぎらつかせていた。
「話は聞いている。エタリッツ君。君は魔人と戦っていたようだね」
「はい。ですがあの魔人はもうすでにいません」
「そうか。ありがとう。これで私の覚悟も決まった」
「それはつまり……」
「ああ。この塔を攻略しよう。もう話はついている」
トエラーの背後にはやはり彼と同様に闘志がみなぎった冒険者や傭兵が控えていた。
どうやらトエラーが説得していたようだ。おそらく、永遠の掟と天命の粘土板についても説明したのだろう。
「君はこの迷宮を攻略するあてはついているのだろう?」
こうやって部下(正確にはエタは彼の部下ではないが)に丸投げするのもある意味優秀な上司と言えるかもしれない。
「もちろんです。そうですね……まず、この塔に入る前に話した大工の人たちですが彼らには……」
そうしてエタは自分の裏道の攻略方法を語った。
その結果。
誰もが絶句していた。エタの攻略方法は誰にとっても予想外だったらしい。
「しかしそれでは……もしやここまで進んできた意味はないのでは……?」
「いえ……むしろこの階層だからこそできることがあります」
ちらりと五階層に戻る扉を見る。
あれを上手く活用すれば裏道の成功率を上げられるはずだ。
そしてそこから待ちわびていた人も来た。
「こほ……どうやら間に合ったかな?」
「はい。素晴らしい時に来てくださいました。カロッサさん」
エタが話題にした大工たちはエタから任された仕事に必死で取り組んでいた。
「ああくそ! あの小僧! 人をこき使ってくれやがって!」
「でも親方! なんだか楽しそうですよ!」
徒弟と師は汗まみれながらも笑顔だ。
彼らは家を建てているわけでも塔を砕いているわけでもない。
穴を掘っているのだ。
この塔に入る前、彼らとエタはこのような会話をした。
「塔の外壁は砕けそうですか?」
エタが率直に尋ね、大工は落胆しながら答えた。
「ダメだ。刃が通りすらしねえ。何百年かかってもこの塔は崩せねえだろうな」
大工と名乗っているが、石切り場に顔を出すこともある彼は馬鹿正直に登るより塔ごと崩してしまえと大笑して仕事にとりかかったが、神々の英知は彼の想像を超えていた。
「では、この塔の基礎の様子はわかりますか?」
基礎とは家の土台である。これは現代から古代に至るまで存在し続けている。
「ん? まあそりゃわかるぜ。俺の掟に『地面の中を探る掟』があるからな」
「なるべく早く地面の様子を探っていただけませんか? 必要ならお金を出します」
大工はエタの顔をじろじろと見ていたが、やがて頷いた。
「何か事情があるんだな? 金なんていらねえ。すぐやってやる」
そうして地面を調べ……驚くべき事実が判明した。
「これだけ高い建物だからな。地面に柱でも打ち込んでんのかと思ったが……この塔はほとんど地面に乗ってるだけだ。よく安定してるもんだ」
まさしく神の御業だな、と呟いた。
「なるほど……では、この塔の均衡を崩せますか?」
「そりゃあ……基礎が盤石じゃねえなら……おい、お前さんまさか……」
「はい。この塔は崩せません。登り切れるかも怪しい。ですので……地面を掘って……横倒しにします」
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