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ナルアポッドの族長たち

手荒い歓迎

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「おかえりなさいませ、アウラ姉様ねえさままた・・無断むだんさと留守るすにしましたね?」
「いや、イエラよ……これには理由りゆうがあってじゃな」
 アウラの案内あんないでツギビキぞくさといた途端とたん、アウラとおな桃色ももいろかみをした長身ちょうしん女性じょせい出迎でむかえられた。
政務せいむとどこおっています。勿論もちろん最優先さいゆうせんでお戻りくださいますよね?」
 口調くちょう丁寧ていねいだが、有無うむわさぬ威圧感いあつかんかくしもしないところをると、相当そうとうにご立腹りっぷくのようだ。
勿論もちろんじゃ! ……まぁ、すこ野暮用やぼようませたのちかうからっておれ」
「……こえていなかったのでしょうか?」
 その言葉ことばともに、どこからともなくゴゴゴという地響じひびきがる。
「あぁ、これは完全かんぜんあたまにきてるでござるなぁ」
 いかりの対象たいしょう自分じぶんじゃないので灯花とうか他人事ひとごとのようにのほほんとしている。
「……何度なんどその言葉ことばだまされたことか。ウオラ、エアラ。折檻せっかん時間じかんです」
 女性……イエラさんの足元あしもと地面じめんれ、そこからたかさ五メートルほど巨大きょだい土人形つちにんぎょうあらわれた。
「ば、馬鹿者ばかもの!? 客人きゃくじんまえぞ!」
 アウラの抗議こうぎむなしく、すでにイエラさんの姿すがたい。
「ユウ! たすけてほしいのじゃ!」
 たすけをもとめるアウラのこえをよそに、土人形がうでげる。
速身シフ!」
 危険きけん察知さっちしたぼく自分じぶん灯花とうか聖法イズナ使つかい、アウラをかかえてそのから退いた。
 ボコン
 アウラがいた場所ばしょに土人形のうでろされる。
 地面じめんたったつちうでくだるも、みるみるうちにもともどっていく。
「どうしたらいいんだこれ……」
 土人形から距離きょりりアウラをろす。
強度きょうど自体じたいよわそうでござるが、再生さいせい能力のうりょくがあるのは厄介やっかいでござるなぁ……」
 灯花とうかうでまわしてかたらす。
土人形アレ魔法まほううごいておる。まず、術者じゅつしゃをどうにかせねば……」
「アウラも魔法を使つかえるのでござるか?」
当然とうぜんわらわふくよん姉妹しまい土魔法つちまほう得意とくいなのじゃが……」
 会話かいわ最中さいちゅうにもつちかたまりんでくる。
正直しょうじきわらわにはアレにたいする有効打ゆうこうだいのじゃ」
「あの土人形をつくってたたかわせるとかどうでごさる?」
無理むりじゃ。いもうとたちが三人でちからわせたものにかなおおきさなどとてもとても……」
 ためいきをつくアウラ。
中位水流魔法ノマ・スアル!」
 つちみずくずそうと魔法まほうってみたが、たった部分ぶぶんどろっぽくなっただけでかたちたい した変化へんかい。
 (ぼく魔法まほうこわしたとしてもすぐもともどっちゃうのか……)
「せめて術者じゅつしゃ位置いちが分かれば……」
 灯花とうか無闇むやみむのは無駄むだだとさとったのか、なにいかかんがえている。
「ユウおにいさま」
 背後はいごからふくすそをチョイチョイとられる。
「アルネリアちゃん? どうしたの?」
「サーラおねえさまとアルなら、そのひとたちがどこにいるかわかるからおつだいしたいなって」
 そうえば、二人は法力マナかんちからっているんだった。
「サーラさん……」
「はい。ただいま全員ぜんいんつけえました」
 ぼくがおねがいするまえに、サーラさんは仕事しごとえていた。
「トウカさん、位置いちつたえますので確保かくほしてください」
了解りょうかいでござるっ!」
 そこからはあっというだった。
確保かくほー!」
 まずはうえかくれていた一人を発見はっけん
 灯花とうかがってつかまえ、そのままぼくわたしてきたので風魔法かぜまほういきおいをやわらげつつキャッチ。
逮捕たいほー!」
 二人目はくさむらにカモフラージュしたふくかくれていたところをアウラが土魔法つちまほう拘束こうそく
 そしてのこるは先程さきほど女性じょせい……。
掘削くっさくー!」
 ボゴッ
「っ!?」
 イエラさんはさっきれた地面じめんなか身体からだちいさくしてかくひそんでいた。
 ピンポイントでつけられたことにおどろいたのか、ほぼ無抵抗むていこうつかまる。
「くっ……! まさかこんな手練てだれをお姉様ねえさまれてくるとは……!」
風魔法かぜまほう使つかひとなんてはじめてました~」
「ぜったいにつからないとおもってたのにぃ……」
みなすまぬ。政務せいむよりも優先ゆうせんすべき用事ようじがあるのじゃ」
 そうってアウラはイエラさんのまえぼくす。
「このものを"神問答しんもんどう"にれていかねばならぬ」
「……アウラ姉様ねえさまがそうするだけの理由りゆうがあるのですね?」
「うむ」
 一瞬いっしゅん、イエラさんはぼくかおなにかを言いたそうにしていたが、すぐにアウラのほうへと視線しせんもどした。
承知しょうちいたしました。それでは、皆様みなさまこちらへ」
 拘束こうそくかれたイエラさんの案内あんないで、僕達ぼくたちさとなかへとはいっていった。
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