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第9話 缶詰を開ける
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「缶詰があったんだ。」
「へー。」
「カンヅメってなにー?」
「食べ物が保存されている入れ物さ。」
男はそういうと、缶詰を開けようとする。
しかし、開けることができない。
「あれ、取っ手がないぞ?」
男は困惑したように缶詰を眺める。プルトップを探しているのだ。だが、ダリア王国にプルトップが付いた缶詰は流通していない。そもそも、男が想像できるような缶詰は存在しない。この缶詰は魔法によって生み出された炎で溶接された、魔法文明の技術の結晶なのだ。
魔法技術によって作られた専用の缶切りがないと開けられないようになっていて、そのせいで結界によって魔法が使用できない王都では一部の例外を除いて缶詰を開けることができない。
缶詰の溶接に使われている魔法の炎は、缶詰メーカーと缶切りメーカーが互いに儲けられるように手を組んで開発したもので、完成までに二百年は掛かっている。
完成から十年後、ダリア王国商法典第千二十条にて、魔法が掛けられていない缶詰の流通が禁止されるようになった。当時の宰相ユリイシャが缶詰王トミンクと同郷の幼馴染で、政治的な盟友であったのが理由だろう。
「おーい、魔法で開けられるか?」
「なんか魔法使えない。」
「さっきも言った気がするー。」
男は缶詰をしばらく眺めていたが、諦めて明かりを探す作業に戻った。
「せめて缶切りがあれば・・・」
あっても変わらない。
「ん?これは、もしやドア?」
(開けて大丈夫だろうか・・・)
「ええい、ままよ。」
ドアを開く。光が差し込む。港町特有の潮の香りが、男の鼻腔を刺激する。
「海・・・?」
「あっ!海だー!」
「本物初めて見たー!」
「わーい!」
ダンジョンコアたちも、初めての海に感動しているようだ。
「ここは、町なのか?」
周囲を見渡しながら男はつぶやく。
ふと、一人の老人が目に入った。黒く焼けた肌に、土で汚れた作業着。しわくちゃになった紙を睨めつけるように見ている。
「誰だ?人、だよな?」
(ようやく俺と同じ人間に会うことができた・・・)
男はダンジョンマスターであって、種としての人間ではない。生物学的な機能は人間をベースとしているので似通っている面があるが、魔術的な機能はアリとキリギリスぐらいには離れている。
「すいませーん、あのー、ここってどこなんでしょうかー。」
男はにこやかに、老人の方へ歩み寄る。
老人は男が向かってきたことに気が付くと、魔法を唱え始めた。
『炎よ、立つが良い。すべてをささげし我が右腕が、闇を断つだろう。』
独唱が長い。おそらく、魔法が得意ではないのだろう。
「おーい、なんかいいましたー?」
男はのんきに歩いている。
『ファイヤー』
老人が独唱を終えると、淡い火が揺らめくようにして男の方へと向かっていった。
「な、なんだこれ?!」
男はよける。
「ちぃ、こんなところに人が居やがるとは。見られたからには返すわけにはいかねえ。ここで消えてもらう。」
おそらく無理だろう。男によけられる程度の魔法しか使えないのだ。男は圧倒できたとしても、ダンジョンコアに勝つことは到底無理だろう。
「いきなり、魔法を撃ってくるなんてひどい!」
「あまり、驚かないんだな・・・なめやがって。」
いや、おかしい。ここは王都の結界の中だぞ。なぜ魔法が使えている。まさか・・・
「へー。」
「カンヅメってなにー?」
「食べ物が保存されている入れ物さ。」
男はそういうと、缶詰を開けようとする。
しかし、開けることができない。
「あれ、取っ手がないぞ?」
男は困惑したように缶詰を眺める。プルトップを探しているのだ。だが、ダリア王国にプルトップが付いた缶詰は流通していない。そもそも、男が想像できるような缶詰は存在しない。この缶詰は魔法によって生み出された炎で溶接された、魔法文明の技術の結晶なのだ。
魔法技術によって作られた専用の缶切りがないと開けられないようになっていて、そのせいで結界によって魔法が使用できない王都では一部の例外を除いて缶詰を開けることができない。
缶詰の溶接に使われている魔法の炎は、缶詰メーカーと缶切りメーカーが互いに儲けられるように手を組んで開発したもので、完成までに二百年は掛かっている。
完成から十年後、ダリア王国商法典第千二十条にて、魔法が掛けられていない缶詰の流通が禁止されるようになった。当時の宰相ユリイシャが缶詰王トミンクと同郷の幼馴染で、政治的な盟友であったのが理由だろう。
「おーい、魔法で開けられるか?」
「なんか魔法使えない。」
「さっきも言った気がするー。」
男は缶詰をしばらく眺めていたが、諦めて明かりを探す作業に戻った。
「せめて缶切りがあれば・・・」
あっても変わらない。
「ん?これは、もしやドア?」
(開けて大丈夫だろうか・・・)
「ええい、ままよ。」
ドアを開く。光が差し込む。港町特有の潮の香りが、男の鼻腔を刺激する。
「海・・・?」
「あっ!海だー!」
「本物初めて見たー!」
「わーい!」
ダンジョンコアたちも、初めての海に感動しているようだ。
「ここは、町なのか?」
周囲を見渡しながら男はつぶやく。
ふと、一人の老人が目に入った。黒く焼けた肌に、土で汚れた作業着。しわくちゃになった紙を睨めつけるように見ている。
「誰だ?人、だよな?」
(ようやく俺と同じ人間に会うことができた・・・)
男はダンジョンマスターであって、種としての人間ではない。生物学的な機能は人間をベースとしているので似通っている面があるが、魔術的な機能はアリとキリギリスぐらいには離れている。
「すいませーん、あのー、ここってどこなんでしょうかー。」
男はにこやかに、老人の方へ歩み寄る。
老人は男が向かってきたことに気が付くと、魔法を唱え始めた。
『炎よ、立つが良い。すべてをささげし我が右腕が、闇を断つだろう。』
独唱が長い。おそらく、魔法が得意ではないのだろう。
「おーい、なんかいいましたー?」
男はのんきに歩いている。
『ファイヤー』
老人が独唱を終えると、淡い火が揺らめくようにして男の方へと向かっていった。
「な、なんだこれ?!」
男はよける。
「ちぃ、こんなところに人が居やがるとは。見られたからには返すわけにはいかねえ。ここで消えてもらう。」
おそらく無理だろう。男によけられる程度の魔法しか使えないのだ。男は圧倒できたとしても、ダンジョンコアに勝つことは到底無理だろう。
「いきなり、魔法を撃ってくるなんてひどい!」
「あまり、驚かないんだな・・・なめやがって。」
いや、おかしい。ここは王都の結界の中だぞ。なぜ魔法が使えている。まさか・・・
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