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勅命
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日の出からほどなくして、カトレアはジャックを伴い、アイリス村を発った。
街道沿いにはまだ憲兵がうろついており、苦渋の決断として、厩舎にジャックの馬を残し徒歩で進むこととなった。
シスル村までは徒歩で三日、さらに国境までは四日ほどかかるという。幸いジャックが城下町で食料を買い込んでいたので、カトレアはひとまずそれらで腹を満たした。咀嚼に難儀する堅焼きのパンも、噛みちぎるのがやっとな干し肉も、空腹の身には十分なごちそうだった。
アイリス村を離れるまでは街道を歩かず、道沿いのなだらかな丘の下に広がる草原を進んだ。ジャックの後にくっつき、草いきれの中を黙々と歩いていったが、カトレアは陽が真南に昇る前に音を上げてしまった。両膝を抱え、先を行くジャックを呼び止める。
「ちょっと、待ちなさいよ……!」
十歩は離れた草むらの中で、ジャックがようやく振り向く。カトレアは棒のようになった足で何とか歩み寄り、荒々しく息をついた。
「おまえ、少しは歩調を合わせたらどうなの? わたしは馬か、馬車での移動しかろくにしたことがないのよ。朝早くから休みなしに歩いていたのでは一歩も動けなくなるわ」
立っているだけで足の裏が痛く、その場にしゃがみ込む。背の高い雑草がまとわりつき、苛立ちを増長させる。ジャックは肩をすくめ嘆息した。
「お前の言い分だと、一時間ごとに休憩を入れないと歩けない。今は新しい馬を調達する術もないし、一日でなるべく早く進まないと危険だ」
「その前にわたしが倒れるわよ! そうしたら、おまえにおぶってもらうから!」
ぜえぜえと抗議の声を上げると、ジャックは目の前に見える防風林を指し、渋々休憩を取ると告げた。
木陰に腰を下ろし、手渡された木苺の砂糖漬けを口に入れると、いくらか疲労が和らいだ。おのずと、アリッサムと摘んだ草苺の味を思い出す。ワンピースの裾に有り余るほどため込んだ草苺は、結局あの屋敷に置き去りにしてしまった。
憲兵がアリッサムを執拗に尋問し痛めつけていたらと思うと、彼女がいたたまれない。憲兵の品性が損なわれている現状を正さねばならない。
沈痛な面持ちのカトレアを気遣うでもなく、ジャックは片膝を立てて街道に目を配っている。
「ねえ、アイリス村であのようなことが起こったのなら、これから行くシスル村にも、イーデンはわたしらしき人物がいないか見張るよう、伝達しているのではないかしら」
ジャックはしばし思案して、首を横に振った。
「いや。シスル村までは、お前のことを知らせないだろう」
「どうして?」
身を乗り出すと、ジャックはわずかに胸を引き、こめかみのあたりを掻いた。
「言っただろう。お前の暗殺の首謀者はイーデンだ。あいつはお前を葬ることで、コルデホーザの実権を名実ともに手に入れたいんだ。お前の捜索はあくまで内密に行い、生きているのが分かったら始末にかかる」
ジャックの弁では、アイリス村の憲兵は王女を捜しているとは明言していなかった。だが怪しい女がいると通報を受けた時点で、それがカトレアだと断定したはずだ。
次にイーデンが打つ手は、おのずと導き出される。カトレアは両手で自分を抱いた。
「……ということは、極秘でイーデンの命を受けた者が、わたしを殺しに来るの?」
「そうだ。王宮にいた頃より物分かりが良くなったな」
相変わらずいけ好かない口の利き方をする。だが今はそれどころではない。カトレアは草や泥を乱雑に払い立ち上がった。
「そうなったら、ぐずぐずしてられないわ! 一刻も早く国境を目指さないと!」
「だから、さっきから言ってるだろ」
ジャックが呆れたように見上げる。カトレアもわがままを言っていられる状況ではないと思い直し、口を尖らせた。
「悪かったわね。それにしても、このままでは万が一の時、何も抵抗出来る武器がないわ」
ジャックに無理矢理持たされた短剣も、屋敷での揉み合いによってなくしてしまった。自業自得だが、一度はカトレアを殺そうとした男と再び行動を共にしているというのは妙な気分だった。
すると、ジャックも腰を上げ隣に並んだ。カトレアの目線の高さに、幅広い肩がある。
昨夜、この身体に包まれて眠ったのだと思うと、ふいに気恥ずかしさを感じた。婚前の娘が、心に決めた相手でもない男と身を寄せ合い眠るなど、どの家柄でもご法度だ。
カトレアの葛藤など知る訳もなく、ジャックが意外そうに片眉を上げた。
「武器がなくとも、護身術くらいは身につけているだろう。生誕の宴で暴漢を自らのしたと、イーデンがアルベール王に文書で報告していたそうだが」
「あの時は見慣れない男がいたから、たまたま近づかれる前に注目していただけのことよ。不意を突かれた時は……」
今度は夜の私室で、唐突な口付けをされた記憶が蘇る。身体の芯が熱くなり、カトレアはとっさに指を突きつけた。
「そうよ! おまえ、あの夜はよくもわたしをたぶらかしたわね! おまえが手を貸してくれるのは感謝するけど、あの時のことは絶対に許さないわ!」
いきり立つカトレアにきょとんとしたものの、ジャックは平然と返した。
「なら、初めてのキスは、あいつが良かったか?」
ジャックが示した相手は、カトレアの怒気を一瞬にして沈下させた。
カトレアがおとなしく王宮に留まっていれば、伴侶になるはずだったレイ。
レイは、カトレアと結ばれた挙句、一生イーデンの傀儡となる人生を見据えていたのだろうか。それでもカトレアに好意を抱いたまま、時折想いを囁いていたのだろうか。
もし、初めて口付けた相手がレイだったとしたら。思い描いた想像を無茶苦茶に振り払った。
「どうした?」
さすがに様子がおかしいと思ったのか、ジャックが声を落とした。正視出来ない。
「赤くなったり青くなったり、忙しいものだな。行くぞ」
人の気持ちも知らず、外套を翻し背を向けたジャックを、カトレアは唇を結んで見つめた。
任務を遂行するためなら、女を手玉にとることも造作ないのか。昨夜打ちひしがれたカトレアを凍えぬよう包んでくれたのも、主の命令を守るためでしかないのか。
この男は、どのような人生を歩んできたのだろう。ただ与えられた任務をこなす姿からは、彼の意志はもやにかかったように見出せない。
「……おまえは、一体何のために生きているの?」
ジャックの歩みが止まった。じっと答えを待つが、男は問いが聞こえなかったかのように、再び歩き出した。
もしかすると、彼はカトレアやレイよりもずっと、寂しい人間なのかもしれない。
そんな感傷を振り払い、カトレアもだるい足を励まし、後を追った。
街道沿いにはまだ憲兵がうろついており、苦渋の決断として、厩舎にジャックの馬を残し徒歩で進むこととなった。
シスル村までは徒歩で三日、さらに国境までは四日ほどかかるという。幸いジャックが城下町で食料を買い込んでいたので、カトレアはひとまずそれらで腹を満たした。咀嚼に難儀する堅焼きのパンも、噛みちぎるのがやっとな干し肉も、空腹の身には十分なごちそうだった。
アイリス村を離れるまでは街道を歩かず、道沿いのなだらかな丘の下に広がる草原を進んだ。ジャックの後にくっつき、草いきれの中を黙々と歩いていったが、カトレアは陽が真南に昇る前に音を上げてしまった。両膝を抱え、先を行くジャックを呼び止める。
「ちょっと、待ちなさいよ……!」
十歩は離れた草むらの中で、ジャックがようやく振り向く。カトレアは棒のようになった足で何とか歩み寄り、荒々しく息をついた。
「おまえ、少しは歩調を合わせたらどうなの? わたしは馬か、馬車での移動しかろくにしたことがないのよ。朝早くから休みなしに歩いていたのでは一歩も動けなくなるわ」
立っているだけで足の裏が痛く、その場にしゃがみ込む。背の高い雑草がまとわりつき、苛立ちを増長させる。ジャックは肩をすくめ嘆息した。
「お前の言い分だと、一時間ごとに休憩を入れないと歩けない。今は新しい馬を調達する術もないし、一日でなるべく早く進まないと危険だ」
「その前にわたしが倒れるわよ! そうしたら、おまえにおぶってもらうから!」
ぜえぜえと抗議の声を上げると、ジャックは目の前に見える防風林を指し、渋々休憩を取ると告げた。
木陰に腰を下ろし、手渡された木苺の砂糖漬けを口に入れると、いくらか疲労が和らいだ。おのずと、アリッサムと摘んだ草苺の味を思い出す。ワンピースの裾に有り余るほどため込んだ草苺は、結局あの屋敷に置き去りにしてしまった。
憲兵がアリッサムを執拗に尋問し痛めつけていたらと思うと、彼女がいたたまれない。憲兵の品性が損なわれている現状を正さねばならない。
沈痛な面持ちのカトレアを気遣うでもなく、ジャックは片膝を立てて街道に目を配っている。
「ねえ、アイリス村であのようなことが起こったのなら、これから行くシスル村にも、イーデンはわたしらしき人物がいないか見張るよう、伝達しているのではないかしら」
ジャックはしばし思案して、首を横に振った。
「いや。シスル村までは、お前のことを知らせないだろう」
「どうして?」
身を乗り出すと、ジャックはわずかに胸を引き、こめかみのあたりを掻いた。
「言っただろう。お前の暗殺の首謀者はイーデンだ。あいつはお前を葬ることで、コルデホーザの実権を名実ともに手に入れたいんだ。お前の捜索はあくまで内密に行い、生きているのが分かったら始末にかかる」
ジャックの弁では、アイリス村の憲兵は王女を捜しているとは明言していなかった。だが怪しい女がいると通報を受けた時点で、それがカトレアだと断定したはずだ。
次にイーデンが打つ手は、おのずと導き出される。カトレアは両手で自分を抱いた。
「……ということは、極秘でイーデンの命を受けた者が、わたしを殺しに来るの?」
「そうだ。王宮にいた頃より物分かりが良くなったな」
相変わらずいけ好かない口の利き方をする。だが今はそれどころではない。カトレアは草や泥を乱雑に払い立ち上がった。
「そうなったら、ぐずぐずしてられないわ! 一刻も早く国境を目指さないと!」
「だから、さっきから言ってるだろ」
ジャックが呆れたように見上げる。カトレアもわがままを言っていられる状況ではないと思い直し、口を尖らせた。
「悪かったわね。それにしても、このままでは万が一の時、何も抵抗出来る武器がないわ」
ジャックに無理矢理持たされた短剣も、屋敷での揉み合いによってなくしてしまった。自業自得だが、一度はカトレアを殺そうとした男と再び行動を共にしているというのは妙な気分だった。
すると、ジャックも腰を上げ隣に並んだ。カトレアの目線の高さに、幅広い肩がある。
昨夜、この身体に包まれて眠ったのだと思うと、ふいに気恥ずかしさを感じた。婚前の娘が、心に決めた相手でもない男と身を寄せ合い眠るなど、どの家柄でもご法度だ。
カトレアの葛藤など知る訳もなく、ジャックが意外そうに片眉を上げた。
「武器がなくとも、護身術くらいは身につけているだろう。生誕の宴で暴漢を自らのしたと、イーデンがアルベール王に文書で報告していたそうだが」
「あの時は見慣れない男がいたから、たまたま近づかれる前に注目していただけのことよ。不意を突かれた時は……」
今度は夜の私室で、唐突な口付けをされた記憶が蘇る。身体の芯が熱くなり、カトレアはとっさに指を突きつけた。
「そうよ! おまえ、あの夜はよくもわたしをたぶらかしたわね! おまえが手を貸してくれるのは感謝するけど、あの時のことは絶対に許さないわ!」
いきり立つカトレアにきょとんとしたものの、ジャックは平然と返した。
「なら、初めてのキスは、あいつが良かったか?」
ジャックが示した相手は、カトレアの怒気を一瞬にして沈下させた。
カトレアがおとなしく王宮に留まっていれば、伴侶になるはずだったレイ。
レイは、カトレアと結ばれた挙句、一生イーデンの傀儡となる人生を見据えていたのだろうか。それでもカトレアに好意を抱いたまま、時折想いを囁いていたのだろうか。
もし、初めて口付けた相手がレイだったとしたら。思い描いた想像を無茶苦茶に振り払った。
「どうした?」
さすがに様子がおかしいと思ったのか、ジャックが声を落とした。正視出来ない。
「赤くなったり青くなったり、忙しいものだな。行くぞ」
人の気持ちも知らず、外套を翻し背を向けたジャックを、カトレアは唇を結んで見つめた。
任務を遂行するためなら、女を手玉にとることも造作ないのか。昨夜打ちひしがれたカトレアを凍えぬよう包んでくれたのも、主の命令を守るためでしかないのか。
この男は、どのような人生を歩んできたのだろう。ただ与えられた任務をこなす姿からは、彼の意志はもやにかかったように見出せない。
「……おまえは、一体何のために生きているの?」
ジャックの歩みが止まった。じっと答えを待つが、男は問いが聞こえなかったかのように、再び歩き出した。
もしかすると、彼はカトレアやレイよりもずっと、寂しい人間なのかもしれない。
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