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第三話
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セシルがエリオスの書斎を訪れたある日のこと。明るい窓から射し込む光が部屋を柔らかく照らし、膨大な本棚に並ぶ魔道書の背表紙を輝かせていた。
本自体が魔力を帯びていて、日差しを浴びても焼けたりしないのだとか。いつ来ても心が躍る空間だ。もちろん一番は彼の存在が大きいのだけれど。
「こんにちは! エリオス様の方からお呼び出しいただけるなんて嬉しいです!」
書類に目を通していたエリオスは、セシルの声に顔を上げる。
「セシル、少しこちらに来てくれ」
「はい?」
不思議そうに眉を上げながらも、彼の机のそばまで近づいたセシルは、その上に置かれた小さな木箱に気づく。
その精緻な彫刻と光沢のある木箱は、見ただけで高価な品だとわかる代物だった。
「何ですか、これ?」
「君に渡したいものだ」
そう言ってエリオスは静かに木箱を開ける。
中には、銀細工の美しいネックレスが収められていた。細いチェーンには、透き通るような水晶が埋め込まれたペンダントが付いていて、光に当たるたびに幻想的な虹色の輝きを放っていた。
「これを……私に?」
驚きに目を見開いたセシルを見て、エリオスは軽くうなずいた。
「魔除けのようなものだ」
「魔除け……」
「君は無茶をする癖があるからな。これには私の魔法を刻んである。この石があれば、私がすぐにセシルを見つけ出せるしし、危険な魔法から身を守ることもできる」
「エリオス様……!」
彼の言葉にセシルは胸が熱くなり、瞳を潤ませた。
「でも、こんなに高価なもの……本当にいいのですか?」
「礼はいらない。ただつけておけばいい」
そう言って、エリオスはネックレスを取り出し、セシルの方に差し出す。
「ほら、顔を上げたまえ」
「えっ……?」
セシルが戸惑いながらもおとがいを上に向けると、エリオスは彼女の髪を優しく払い、ネックレスをそっと首にかけてくれる。
彼の指が一瞬だけ肌に触れ、その冷たさにセシルの鼓動が熱く高鳴った。
「これでいい」
「……っ」
至近距離で見上げるエリオスの整った顔立ちに、セシルはみるみる顔を赤くする。
「エリオス様、そんなに心配しなくても、私はそんなに危ない目には遭いませんよ」
セシルは照れ隠しに、大げさに笑い飛ばしてみせた。
「そう思うのは君だけだ」
低い声でそう返され、彼の真剣な表情を見た瞬間、セシルは何も言い返せなくなる。
「……お心遣い、ありがとうごうざいます。大切にします」
ネックレスをそっと手で押さえながら、セシルは嬉しそうにはにかんだ。
エリオスはそれを見て視線を逸らす。
「そうしてくれ」
彼の声には微かな照れのような響きが混じっていた。
***
それから一月後、セシルがお菓子の材料を買いに町へ出かけた時、王都の裏通りで事件が起きた。
普段なら侍女と一緒に買い物に来るのだが、いつも通っている店だし、大丈夫と言って、一人で出かけたのがよくなかった。
セシルは魔導具の禁制品を扱う密輸団と、裏路地でうっかり鉢合わせしてしまったのだ。
潜伏情報を掴んでいた王宮警備隊が動いたものの、セシルを人質に取られ、手出しできないうちに取り逃がしてしまった――そんな報告がエリオスの耳にも入ってきた。
本自体が魔力を帯びていて、日差しを浴びても焼けたりしないのだとか。いつ来ても心が躍る空間だ。もちろん一番は彼の存在が大きいのだけれど。
「こんにちは! エリオス様の方からお呼び出しいただけるなんて嬉しいです!」
書類に目を通していたエリオスは、セシルの声に顔を上げる。
「セシル、少しこちらに来てくれ」
「はい?」
不思議そうに眉を上げながらも、彼の机のそばまで近づいたセシルは、その上に置かれた小さな木箱に気づく。
その精緻な彫刻と光沢のある木箱は、見ただけで高価な品だとわかる代物だった。
「何ですか、これ?」
「君に渡したいものだ」
そう言ってエリオスは静かに木箱を開ける。
中には、銀細工の美しいネックレスが収められていた。細いチェーンには、透き通るような水晶が埋め込まれたペンダントが付いていて、光に当たるたびに幻想的な虹色の輝きを放っていた。
「これを……私に?」
驚きに目を見開いたセシルを見て、エリオスは軽くうなずいた。
「魔除けのようなものだ」
「魔除け……」
「君は無茶をする癖があるからな。これには私の魔法を刻んである。この石があれば、私がすぐにセシルを見つけ出せるしし、危険な魔法から身を守ることもできる」
「エリオス様……!」
彼の言葉にセシルは胸が熱くなり、瞳を潤ませた。
「でも、こんなに高価なもの……本当にいいのですか?」
「礼はいらない。ただつけておけばいい」
そう言って、エリオスはネックレスを取り出し、セシルの方に差し出す。
「ほら、顔を上げたまえ」
「えっ……?」
セシルが戸惑いながらもおとがいを上に向けると、エリオスは彼女の髪を優しく払い、ネックレスをそっと首にかけてくれる。
彼の指が一瞬だけ肌に触れ、その冷たさにセシルの鼓動が熱く高鳴った。
「これでいい」
「……っ」
至近距離で見上げるエリオスの整った顔立ちに、セシルはみるみる顔を赤くする。
「エリオス様、そんなに心配しなくても、私はそんなに危ない目には遭いませんよ」
セシルは照れ隠しに、大げさに笑い飛ばしてみせた。
「そう思うのは君だけだ」
低い声でそう返され、彼の真剣な表情を見た瞬間、セシルは何も言い返せなくなる。
「……お心遣い、ありがとうごうざいます。大切にします」
ネックレスをそっと手で押さえながら、セシルは嬉しそうにはにかんだ。
エリオスはそれを見て視線を逸らす。
「そうしてくれ」
彼の声には微かな照れのような響きが混じっていた。
***
それから一月後、セシルがお菓子の材料を買いに町へ出かけた時、王都の裏通りで事件が起きた。
普段なら侍女と一緒に買い物に来るのだが、いつも通っている店だし、大丈夫と言って、一人で出かけたのがよくなかった。
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