今日も楽しくいきまshow!?

犬野きらり

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69 王宮の図書館を手伝いました

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王宮の図書館がすぐ着く訳ありませんでした。しっかり王宮入り口から入り、建物の外周を歩き、中々の徒歩時間です。

「今日からお世話になります、ミランダ・イズリーと申します。本の虫干しは、素人のやり方なので、王宮のやり方を教えて頂けると助かります。よろしくお願いします」

8人いる司書さんからの自己紹介がお互い終わると、この図書館の取りまとめをしている館長に、説明を受けた。

意外に若い…
つまり、ちょっと怪しい…そして他の司書さんからすぐに引き離された。

「ここにある児童書ですか、綺麗な保管状態ですね」

私が読んでいた本とは、大違いだわ。
全部新品に見えるし、読んだ本もある。なんだか楽しい。

「こちらの台車に本を載せ、扉向こうの廊下に運び、ガラス窓のサロンが見えます、あちらに机が並んでおりますので…作業になります」

「こちらは、一人の作業ですか?」

ラナと二人では…

「いえ、後から…一名手伝いに派遣されます。よろしくお願いします」

館長に頭を下げられてしまった。
確かに人手不足という程で雇われているのでしたね、私は。
この方は、一応道理は通っていると思います。頭の中で記憶する。

「お嬢様、あまり数を載せると、万が一倒して本に傷がつくと宜しくありません。これは、王宮の物ですから」

流石ラナ!

「確かに。では、少なめにしましょう」

サロンに運ぶ。綺麗に並んだ机とサロンの窓が開いて風通しが良かった。

「緩やかな風ね。気持ちがいいわ」

冬が近づいている。カラッとした風ね。

一冊づつ開く。これは読んだことがある本だわ。懐かしい。
本を開けるとムズムズして、読みたくなる。

「お嬢様、読むのではなくて、干すのです」

ラナに注意されてしまった。

「…わかっているわ」

少し膨れる、絵や字が見えてしまうのだもの。

「ミランダ嬢」

廊下から呼ばれた。そうか、ここは王宮だから、いる方だわ。相変わらず、絵本の1ページみたいな現れ方だわ。

「アンドル王子様、このような場所でお会いするとは思いませんでした。こんにちは」

「…働いてくれてありがとう。私も今から手伝うから…」

えっ?
王子自ら、本の虫干しをするの?
手伝いが来るって、王子なの。
そんなに人手不足なの、王宮って?

ラナを見る。知らなかったらしい。大層驚いている。

そして、館長が台車に大量の本を運んで来た。ラナが、館長に呼ばれた。
私を見たので、頷いた。

流石に王子が、他国の間者ではないだろうから!



「ミランダ嬢、すまないね。学校が休日だというのに、手伝ってもらって」

うわぁ、王子の笑顔は駄目よ。
絵本じゃないわ。もうすっかり人間!
緊張するわ、別世界から来た異国人?偶像人?憧れの人?身分の高い王族だから?
…視線は外す。

「いえ、大丈夫です」

顔は見れないわ。なんか変だわ。
部屋の空気?ちょっと張り詰めている?
王子様の声?少し震えている?

「先程、侍女と話していたようだけど、本で怪我をしたとか?」

「まさか、本の虫干しで怪我なんてしません。この本を昔読んで懐かしくなって、本を捲ったら、ラナに怒られてしまったのですよ。すみません、不真面目で」

「あぁ、ミランダ嬢もこの本を読んだんだな。懐かしいな、これを読んで、お菓子の家に憧れたな」

「わかります。私だったら、どこから食べるかとか想像しました」

「参考までにミランダ嬢は、どこから食べる派かな。私は、扉から順番に食べていくと思う」

「私ですか?私は、窓が飴を想像していたので、窓ですね」

「良いね、家は潰れなそうだね」

「まぁ!そんなこと考えもしなかったです」

「ハッハハハ、確かにな、駄目と言われても足を一歩踏み出すからな」

「何故それを!私がみんなに注意されている所、まさか見られましたか?」

あれかしら?クラスメイトに注意された時の事?
あれ、何でだろう?緊張していないな。息苦しくないわ。
普通に話せる…
王子様も声、もう震えてない?
本の話だから?

「いや、それは…
あ、この本知っているかい?病気のお母さんのために、知らない国に行って、万病の花を見つける話。これを読んで旅や冒険に憧れたんだ」

「わかります!私は、こっちですね。嵐に遭遇して無人島に着いた船乗りの話。ナイフ一本で木の上に家を作ったり、食料を採取したり…一人ぼっちの孤独を紛らわしたり、知恵と勇気が元気になれました」

「ミランダ嬢は、意外に活劇が好きなんだね、驚いた」

「冒険譚は好きなんですよ。特に読む種類が多かったこともありますが、ワクワクしますし、非日常や違う世界に連れて行ってくれるお話が大好きでした。物語で想像していたより、現実はもっと素敵でした。面白くて、楽しいですよね」

「非日常や違う世界は、わかるな~。ミランダ嬢は、毎日が楽しいの?」

「ええ、もちろん。アンドル王子様は、楽しくないのですか?」

「えっ、っと、正直に言うと、面倒くさいが半分を占めていて、いつも通りと、たまに楽しくて嬉しいがあるな。最近は、ドキドキする事が多いかな」

と困ったように笑った。
あれ!?普通の男子学生みたい…不思議。

「そうですか。いつも通りが楽しくなるといいですね」

「プッフフフ、面倒くさいは、そのままにするの?」

「何故笑うのですか?面倒はやっぱり面倒じゃないですか?その言葉を使った時点で嫌々なんですから。それはもう気持ちも頭も決めているんです。だからいつも通りが、楽しい方が良いと思いますね」

「いつも通りか。ミランダ嬢は、いつも通りは何をしているのか、聞いても良いかい?」

「私ですか、私は、お茶を色々試しています。薬草園の研究員の方達が出してくれたハーブティーも果実の皮を浸したお茶も風味が全く違うので、口の中が豊かに想像するんです」

「口の中が想像?意味がわからない」

「今度ハーブティーをもらって下さい。口の中で風が吹きます。レモンの皮のお茶は、苦味とさっぱりで、雨降って地固まるを現しています。変化を楽しめます。今まで、お茶は、口や喉を潤すだけだったのではないですか?少し変えるだけで、いつも通りが色づくかもしれません」

「確かに、今聞いただけでレモンの皮の苦さと酸っぱさで口の中に溢れた」

ウゲっという顔をした王子。
随分と面白い顔をする。こんな顔もするのか、王子様は、意外だわ。

うっふふふ

「薬草園で見ました。月下美人。凛として艶々した葉っぱ、茎の中に花の蕾があるように見えましたが、花は咲きましたか?」

「いや、まだだよ。生き生きとしているだろう!輝いているんだよね、美しいよね」

おぉ~熱量が…

「あの置き方、いえ、飾り方ですか、あれは月下美人だけを見てと主張しすぎですよ」

「そうかな、そんなことはないんじゃないかな。真正面に置いたけど」

やっぱり自ら置いたのね。

「何故階段みたいに作って、三段目に載せたのですか?」

「ほら、高い位置の方が光が当たるだろう。あと階段って…」

言葉に詰まったわね。

「ほら、注目を浴びるって思ったのではないかしら?」

「…すまない、その通りだ」

「わかりますよ。大事に育てているものが、可愛いし、一番主張したいのは。でも、あの区画は薬剤研究の方達も育てて、見て欲しいものが、あったかもしれないのに、月下美人だけ絶対君主になってましたよ」

「すまない…周りを考えてなかった」

ふっふふふ

「アンドル王子様も毎日楽しそうじゃないですか?大切なものを愛でて、困った顔をしたり自慢したり、楽しそうです」

「いや、そんなことは、ないと思ったのだけど。ミランダ嬢から見て、私は、楽しそう?」

また表情が変わった。
随分とコロコロと変わって、王子様だけど、…王子様じゃないのね。

昔、先生が言ってたことがわかった。
『ミランダさん、笑ってばかりの人なんていないわよ。これは絵本の世界…もっと沢山を知りなさい』

先生、私もいろんな顔をするようになりました。
いつか…お見せ出来たら…
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