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7盗人
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「楽しみですね、収穫祭!」
と興奮気味に言えば、
「あら、もうじき8歳の誕生日もあるじゃないの」
とお母様に言われ、この時期は美味しいものだらけで、ワクワクする。
そんな楽しくてワクワクする気持ちをげんなりさせる知らせがきた。夕食時にお祖父様から、友人の元国王と元王妃を収穫祭に招くとそしてカイル王子も同行すると説明された。使用人のみんなは、気合いが入っているし、我が家族もニコニコしている。今年の収穫も期待が大きいし、領民も王家の方達が見に来てくれるなんて凄い事で喜ぶだろう。
このモヤモヤは、私だけ。
部屋に一人になると、あの事件から半年近く経っているが、思い出せば不安になる。私が書いた紙と違ってカイル王子は死んでない。ストーリー、未来を変えた。そして謎なのはこの半年に二回ほどエリオンから手紙が来たこと。これもストーリーを変えた影響だろうか。
「何か関わりたくないようなでも知りたいような…好奇心とあの怖さのせめぎ合いみたいなところがあるのよね」
扉が叩かれた。
「アーシャ様、失礼します。明日の領地の視察ですが、言語学の先生がお見えになるのが遅くなるそうですので、朝食を食べたら、男爵様と共に出発しませんか?」
「そうですね。そうしましょう。シンさん、元国王様達が収穫祭に参加されるって聞きましたか?」
「はい」
と護衛騎士は答えた。
「早めに村の門番や警備隊と連絡や連携、警護の仕方を話し合った方が良いですね。せっかくみんなも楽しみにしていたのに、仕事になってしまいましたね」
と言えば、
「こちらに来て初めての収穫祭ですからね。楽しみでしたが、客人に何もないことが一番ですし、こういう騒ぎに乗じて悪い事をするヤツが出てきますから、気合いが入ります。あの事件以来の緊張感がありますよ」
と護衛騎士のシンは言う。彼は、公爵家エリオンの護衛騎士を辞めて、お祖父様達と、この領地に来た。そしてドミルトン男爵家の護衛騎士になった。今は私達子供のお守り番になっている状態で申し訳ない、きっと王都の公爵家で勤めていたなんて中々の有望株を奪ってしまったのではないかなぁと思っている。シンさんは何も言わないけど。
男爵家の領地は狭いが収入は多い。貯蔵している蔵に最近、収穫物を盗まれる事件が出てきた。明日はその対策を検討する。お父様は、ストック国で動物や植物の研究をしていた為、この領地は、お父様のアイデアが生かされてどんどん畑が立派になって収穫量が増えている。お母様も高山で咲いていた綿花の栽培を段々畑のように作り女性達の仕事が増えた。綿の生地は、通気性も良くて丈夫と人気商品を生み出している。
経済的にに豊かになると町も発展し、人も多くなり、王都までではないが賑わいも活気もある。
私は、5歳でここに来てわずか3年で立派にしてしまう、父様達が自慢だった。
「本当に凄いわ、本を読むことの素晴らしさや探求することの大切さを知るわ」
「アーシャも一緒に出発だってね」
と父様に言われ
「はい、盗人対策です」
と答える。
「大事な使命だなぁ、みんなの収穫物だ、頼むぞアーシャ」
と父様と話しているとマークがモジモジしていた。
「どうしたの?マーク」
「私も行きたいです。姉様と一緒に行きたい」
と可愛らしい事を言ってくれるが、今日は、馬車じゃなく乗馬、
「ごめんなさい、マーク。馬車じゃないの。収穫祭にはお客様が来るのよ、マークも何か歓迎のプレゼントを用意したらどうかしら?」
と言えば、喜んでプレゼント作ると張り切っていた。いつもの賑やかな楽しい我が家。
「アーシャ、今日は、言語学の先生が来ますから、早く帰ってくるのですよ」
とお祖母様に釘を刺されながら、出発した。
「アイデアはあるのかい、アーシャ」
と父様に言われ、
「収穫物の蔵の周りに石を蒔く、ロープを張って板を吊るし、引っかかったら音が鳴るとか、扉を開けたら、上からイガグリが落ちてくるとか」
と言えば、お父様も護衛のシンも笑った。
「子供のイタズラみたいだな」
私が拗ねながら、
「盗人は夜来るのよ。足元は見えないわ。引っかかると思うのよ」
と言えば、シンが
「それでは捕らえられませんよ」
と言った。
「私は、捕まえるよりも諦めてほしいのよね」
と言うと、お父様が、少し難しい顔になった。
「何故だい?」
「何か事情があって盗んでいるなら、周りに相談してほしいし、悪い事だと認識してるなら、更生もしてほしい」
と私が言えば、お父様は、
「犯人がわかっているのかい?」
と聞かれて、顔を振り
「知りません、会った事もないですし」
シンも続けて、
「私は、野生動物か呑んだくれだと思ってましたが」
「もちろんその可能性もあるけど、ニ日おきに物が無くなって一回に大量に盗まれてないって言うし、一番最初に盗まれたと聞いた時、沢山の足跡があったって報告がありました。荷馬車や荷台車の跡もない、歩いて盗みにきたわけでしょう?」
と報告書を思い出しながら、話せば、お父様が、
「そうか、その可能性があるのか」
と言った。私も続けて、
「はい、村の人達も何か知っているかもしれないです」
「ちょっと待って下さい、男爵様、アーシャ様、お二人だけわかってて私にはさっぱりわかりません」
とシンが不貞腐れながら言う。
「盗んでいるのは、子供達の可能性があるとアーシャは考えているようだ」
「えぇ~!子供達が何故?」
とシンは言い、私は、
「いえ、親が病になったのかもしれないし、何か事情がある人かもと思っただけです。盗み方が大胆じゃないし、荒らしてもいない、でも盗んだとわかる杜撰さが子供かもって」
と言えば、シンさんは、目を輝かせて、
「さすが、アーシャ様です」
「やめて下さい、その目、何か怖いです」
村に着くと村長さんに、さっきの話をした。すると村長さんは、思いあたる事があるらしく、畑作業をしていた村人に聞いた。
「少し前に、5人ぐらい子供を連れた女が、教会か休める小屋はないかと聞きにきたよな?」
「はい、教会なら隣の公爵領にあると話しましたよ」
「そうですか。とりあえず、村の子供達に籠にイガグリ拾いをお願いします。後この周辺で隠れられるような所ってありますか?」
「ここは、畑だらけで森もない。見通しのいいイガグリや林檎の木があるぐらいだ。川も細いしな」
と村人も言い、私は、頷きながら、
「では、今日は、仕掛けを作りましょう。そして村の門番に頼み事をしましょう」
と言って、作業を終え、屋敷に戻る。
「シンさん、明日も村に行く時間あるかしら?」
「どうでしょうね」
夕食になり、お祖母様から、更なる提案が発表された。
「アーシャ、あなたも8歳になります。そろそろダンスも習った方が良いと思います」
「お祖母様、今日から言語学ですし礼儀作法もお祖母様から家庭教師に変わりましたし、男爵令嬢の私には、贅沢ではありませんか?」
「いえいえ、元は公爵家ですし、問題はありませんよ、ほっほっほ」
何か、おかしいと思う。首を捻っているとお父様から
「盗人対策はどうしたんだい?」
と言われ、
「今日、イガグリの仕掛けをしました。きっと悲鳴が出るはずなので、門番に捕まえずに跡をつけて暮らしている場所を突き止めてほしいと伝えました」
答えれば、お父様は頷き、
「そうか、わかった」
と言った。
「お父様、確か今、貯蔵する新しい倉庫を作られていますよね。収穫祭で発表する予定の」
と言えば、
「何故それを知っているんだろうね、アーシャ。シンに聞いたかい?」
「はい、古い蔵の方、ください」
「いきなりだね。一応、農作業の置き場になる予定だったんだけど。住居に整えるなら色々必要そうだね」
「はい、教会は無くても修道院もしくは学校は、貴族の務めとして領地発展に必要だと思います」
と言えば、お母様も賛成してくれた。領内は狭いが仕事はある。ドミルトン男爵領の素晴らしいところだ。
事情があって一人で生活しなければならない子供の保護や領民の学ぶ自由もこれからドミルトン男爵領には、必要なことだ。
「ねぇマーク、収穫祭で私達も出し物をしましょう」
「何、姉様、何するの?」
と目を輝かせている。
「まだ思いつかないけどね」
と言うとお母様から
「なら、アーシャも私達と一緒にハンカチの刺繍を売りましょう」
と誘われてしまった。まだまだ刺繍は得意ではないので、マークと一緒に何かしたいと言って納得してもらった。弟をダシにする姉様でごめんと心の中で謝った。
翌日、村に行く許可がおりなかった為、シンさんに見に行ってもらい、何かあれば父様と連絡を取ってもらう事になった。
帰宅したシンさんは、
「アーシャ様の言う通り、子供達が犯人でした。橋の下で生活していました」
と息を切らせ報告をしに来た。
「お父様は?」
「今日は、綿花の作業小屋に移動させました。女性が体調を崩し教会まで行けなかったと話しています」
「ありがとうございます。シンさん」
私は、女性の体調の回復を祈りながら、収穫祭で、みんなが楽しめて、お金も手に入る方法を考えていた。
と興奮気味に言えば、
「あら、もうじき8歳の誕生日もあるじゃないの」
とお母様に言われ、この時期は美味しいものだらけで、ワクワクする。
そんな楽しくてワクワクする気持ちをげんなりさせる知らせがきた。夕食時にお祖父様から、友人の元国王と元王妃を収穫祭に招くとそしてカイル王子も同行すると説明された。使用人のみんなは、気合いが入っているし、我が家族もニコニコしている。今年の収穫も期待が大きいし、領民も王家の方達が見に来てくれるなんて凄い事で喜ぶだろう。
このモヤモヤは、私だけ。
部屋に一人になると、あの事件から半年近く経っているが、思い出せば不安になる。私が書いた紙と違ってカイル王子は死んでない。ストーリー、未来を変えた。そして謎なのはこの半年に二回ほどエリオンから手紙が来たこと。これもストーリーを変えた影響だろうか。
「何か関わりたくないようなでも知りたいような…好奇心とあの怖さのせめぎ合いみたいなところがあるのよね」
扉が叩かれた。
「アーシャ様、失礼します。明日の領地の視察ですが、言語学の先生がお見えになるのが遅くなるそうですので、朝食を食べたら、男爵様と共に出発しませんか?」
「そうですね。そうしましょう。シンさん、元国王様達が収穫祭に参加されるって聞きましたか?」
「はい」
と護衛騎士は答えた。
「早めに村の門番や警備隊と連絡や連携、警護の仕方を話し合った方が良いですね。せっかくみんなも楽しみにしていたのに、仕事になってしまいましたね」
と言えば、
「こちらに来て初めての収穫祭ですからね。楽しみでしたが、客人に何もないことが一番ですし、こういう騒ぎに乗じて悪い事をするヤツが出てきますから、気合いが入ります。あの事件以来の緊張感がありますよ」
と護衛騎士のシンは言う。彼は、公爵家エリオンの護衛騎士を辞めて、お祖父様達と、この領地に来た。そしてドミルトン男爵家の護衛騎士になった。今は私達子供のお守り番になっている状態で申し訳ない、きっと王都の公爵家で勤めていたなんて中々の有望株を奪ってしまったのではないかなぁと思っている。シンさんは何も言わないけど。
男爵家の領地は狭いが収入は多い。貯蔵している蔵に最近、収穫物を盗まれる事件が出てきた。明日はその対策を検討する。お父様は、ストック国で動物や植物の研究をしていた為、この領地は、お父様のアイデアが生かされてどんどん畑が立派になって収穫量が増えている。お母様も高山で咲いていた綿花の栽培を段々畑のように作り女性達の仕事が増えた。綿の生地は、通気性も良くて丈夫と人気商品を生み出している。
経済的にに豊かになると町も発展し、人も多くなり、王都までではないが賑わいも活気もある。
私は、5歳でここに来てわずか3年で立派にしてしまう、父様達が自慢だった。
「本当に凄いわ、本を読むことの素晴らしさや探求することの大切さを知るわ」
「アーシャも一緒に出発だってね」
と父様に言われ
「はい、盗人対策です」
と答える。
「大事な使命だなぁ、みんなの収穫物だ、頼むぞアーシャ」
と父様と話しているとマークがモジモジしていた。
「どうしたの?マーク」
「私も行きたいです。姉様と一緒に行きたい」
と可愛らしい事を言ってくれるが、今日は、馬車じゃなく乗馬、
「ごめんなさい、マーク。馬車じゃないの。収穫祭にはお客様が来るのよ、マークも何か歓迎のプレゼントを用意したらどうかしら?」
と言えば、喜んでプレゼント作ると張り切っていた。いつもの賑やかな楽しい我が家。
「アーシャ、今日は、言語学の先生が来ますから、早く帰ってくるのですよ」
とお祖母様に釘を刺されながら、出発した。
「アイデアはあるのかい、アーシャ」
と父様に言われ、
「収穫物の蔵の周りに石を蒔く、ロープを張って板を吊るし、引っかかったら音が鳴るとか、扉を開けたら、上からイガグリが落ちてくるとか」
と言えば、お父様も護衛のシンも笑った。
「子供のイタズラみたいだな」
私が拗ねながら、
「盗人は夜来るのよ。足元は見えないわ。引っかかると思うのよ」
と言えば、シンが
「それでは捕らえられませんよ」
と言った。
「私は、捕まえるよりも諦めてほしいのよね」
と言うと、お父様が、少し難しい顔になった。
「何故だい?」
「何か事情があって盗んでいるなら、周りに相談してほしいし、悪い事だと認識してるなら、更生もしてほしい」
と私が言えば、お父様は、
「犯人がわかっているのかい?」
と聞かれて、顔を振り
「知りません、会った事もないですし」
シンも続けて、
「私は、野生動物か呑んだくれだと思ってましたが」
「もちろんその可能性もあるけど、ニ日おきに物が無くなって一回に大量に盗まれてないって言うし、一番最初に盗まれたと聞いた時、沢山の足跡があったって報告がありました。荷馬車や荷台車の跡もない、歩いて盗みにきたわけでしょう?」
と報告書を思い出しながら、話せば、お父様が、
「そうか、その可能性があるのか」
と言った。私も続けて、
「はい、村の人達も何か知っているかもしれないです」
「ちょっと待って下さい、男爵様、アーシャ様、お二人だけわかってて私にはさっぱりわかりません」
とシンが不貞腐れながら言う。
「盗んでいるのは、子供達の可能性があるとアーシャは考えているようだ」
「えぇ~!子供達が何故?」
とシンは言い、私は、
「いえ、親が病になったのかもしれないし、何か事情がある人かもと思っただけです。盗み方が大胆じゃないし、荒らしてもいない、でも盗んだとわかる杜撰さが子供かもって」
と言えば、シンさんは、目を輝かせて、
「さすが、アーシャ様です」
「やめて下さい、その目、何か怖いです」
村に着くと村長さんに、さっきの話をした。すると村長さんは、思いあたる事があるらしく、畑作業をしていた村人に聞いた。
「少し前に、5人ぐらい子供を連れた女が、教会か休める小屋はないかと聞きにきたよな?」
「はい、教会なら隣の公爵領にあると話しましたよ」
「そうですか。とりあえず、村の子供達に籠にイガグリ拾いをお願いします。後この周辺で隠れられるような所ってありますか?」
「ここは、畑だらけで森もない。見通しのいいイガグリや林檎の木があるぐらいだ。川も細いしな」
と村人も言い、私は、頷きながら、
「では、今日は、仕掛けを作りましょう。そして村の門番に頼み事をしましょう」
と言って、作業を終え、屋敷に戻る。
「シンさん、明日も村に行く時間あるかしら?」
「どうでしょうね」
夕食になり、お祖母様から、更なる提案が発表された。
「アーシャ、あなたも8歳になります。そろそろダンスも習った方が良いと思います」
「お祖母様、今日から言語学ですし礼儀作法もお祖母様から家庭教師に変わりましたし、男爵令嬢の私には、贅沢ではありませんか?」
「いえいえ、元は公爵家ですし、問題はありませんよ、ほっほっほ」
何か、おかしいと思う。首を捻っているとお父様から
「盗人対策はどうしたんだい?」
と言われ、
「今日、イガグリの仕掛けをしました。きっと悲鳴が出るはずなので、門番に捕まえずに跡をつけて暮らしている場所を突き止めてほしいと伝えました」
答えれば、お父様は頷き、
「そうか、わかった」
と言った。
「お父様、確か今、貯蔵する新しい倉庫を作られていますよね。収穫祭で発表する予定の」
と言えば、
「何故それを知っているんだろうね、アーシャ。シンに聞いたかい?」
「はい、古い蔵の方、ください」
「いきなりだね。一応、農作業の置き場になる予定だったんだけど。住居に整えるなら色々必要そうだね」
「はい、教会は無くても修道院もしくは学校は、貴族の務めとして領地発展に必要だと思います」
と言えば、お母様も賛成してくれた。領内は狭いが仕事はある。ドミルトン男爵領の素晴らしいところだ。
事情があって一人で生活しなければならない子供の保護や領民の学ぶ自由もこれからドミルトン男爵領には、必要なことだ。
「ねぇマーク、収穫祭で私達も出し物をしましょう」
「何、姉様、何するの?」
と目を輝かせている。
「まだ思いつかないけどね」
と言うとお母様から
「なら、アーシャも私達と一緒にハンカチの刺繍を売りましょう」
と誘われてしまった。まだまだ刺繍は得意ではないので、マークと一緒に何かしたいと言って納得してもらった。弟をダシにする姉様でごめんと心の中で謝った。
翌日、村に行く許可がおりなかった為、シンさんに見に行ってもらい、何かあれば父様と連絡を取ってもらう事になった。
帰宅したシンさんは、
「アーシャ様の言う通り、子供達が犯人でした。橋の下で生活していました」
と息を切らせ報告をしに来た。
「お父様は?」
「今日は、綿花の作業小屋に移動させました。女性が体調を崩し教会まで行けなかったと話しています」
「ありがとうございます。シンさん」
私は、女性の体調の回復を祈りながら、収穫祭で、みんなが楽しめて、お金も手に入る方法を考えていた。
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