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20対決
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「何故、マーク!」
と言っても答えない。シンは頷く。
「シンさんはわかっているの?」
「まぁ、なんとなく」
と意味深な発言。私には全くわからない。
「マーク様は、姉上を馬鹿にされて怒っているんです」
えっ!?マーク、私全然気にしてないのよ!あの人達悪者だから、気にしたところでと思ったけど、マークも5歳、私が5歳の時パーティーで失敗した時の事を思い出した。確かに口が先に出ちゃうのよね。
「頑張れマーク」
応援しちゃうよね。私の為に怒ってくれるなんて、嬉しいもの。ルイーゼとリリアンがこちらを睨む。
「用意始め」
掛け声がかかり、サラ対マークの手のひらがぶつかる。
「なんてはしたない!」
ルイーゼは扇子で口元を隠しながら話す。しかし視線は、手押し相撲に釘つけだった。一進一退、善戦しているマーク。ルイーゼは、サラに懸命に扇子です指示を出している。まだまだ駆け引きは出来ないので押す一方で引くをお互いしない。会場も貴族同士の戦いに盛り上がっている。先に体勢を崩したサラにマークが押し出そうとした瞬間マークの手がサラを支える形となってマークの足が一歩木箱から出てしまった。
「勝者サラ様」
すごく悔しがるマークに対して、サラのウキウキな顔。
「頑張ったわね、マーク」
と声をかければ、とても悔しそうな顔をして
「負けました」
と言った。マークは、まだ表情も言葉も貴族的な駆け引きなどしないし、本当に可愛い。思わず抱きしめてしまう。
「可愛いマーク」
と言う私を押すマーク。
「やめて下さい」
ふふっ本当に可愛い。
そんなこんなをやっていれば、ルイーゼから声がかかる。
「アーシャ、賭けませんこと!」
「えっ?」
「あなたと私の勝負で、あなたが勝ったら、公爵家に招待された場合、参加してもいいけど私が勝ったら、成人の儀まで一切王都に足を踏み入れない。お兄様の誕生日会にも参加しない、フランツ王子様達の茶会にも参加しない。どう?」
…
どうって、私に何かメリットはある提案だったのだろうか?私が勝った場合、エリオンの誕生日会に参加させてあげるということ?いや別に参加したいと思ってないし。負けたら、三年間王都に入るなって、まぁ私は、良いけど。
「お祖父様やお祖母様が何て言うか…」
と言えば、また怒りのスイッチが入ってしまって、持っていた扇子を投げつけた。
「何でもかんでも、間にお祖父様達を入れるんじゃないわよ!あんたのそういう所大嫌い。名前出せば、私が引き下がると思っているの?あの人達は、もう力無き老人よ。公爵令嬢の私に逆えるわけないのよ!」
と傲慢で高圧的な言葉が降ってきた。
マークは、涙を溜めていた。怖いのかな?怖いよね、だって私も怖いもの。年々迫力が増してきたと思う。
野次が聞こえない。随分と静かになったものだ。
貴族同士の喧嘩にしか見えないだろう。一応、一方的だけど。困ったなぁ。私に何も得もない勝負を引き受けるのも、そこまでお人好しではないのだけど。
『私、エリオン様のお誕生日会に参加したいわけではございません』
と言おうかなと考えたが、その言葉も火に油を注ぐだけだろう。あー面倒くさい。
「引き受けなさい、アーシャ」
と後ろから声が飛んできた。振り返るとお祖父様とお祖母様がいた。
お祖母様がとても好戦的だ。とても困った。どうにかして逃げたかったのに!
「アーシャが勝ったら、アーシャに近づくのはやめてちょうだい。そうやっていちいち絡んでくるのも、茶会でテーブルを同じにするのも、そうね必要最低限の挨拶まで!これでどう?」
お祖母様…
強い、いや、これは私にもメリットあるんじゃない~。頭の中で想像する。悪役令嬢の取り巻きにはならないでいいし、マリーさんが出てくる際に私は関係ない!ルイーゼとは従姉妹であっても絡まれない!
「メリットだわ」
私は呟き、うなづいた。
勝負です!
ルイーゼ(悪役令嬢)対アーシャ(出てこない)
が始まる。
「用意始め」
鬼の形相のルイーゼ。彼女は今自分が人から見られていると知っているのかしら?
バチーンと手のひらを押すではなく叩いたルイーゼ。叩かれたごとき体勢は崩れませんが、そして叩いた衝撃で前のめりになるルイーゼに手を引っ込めた。ルイーゼのバランスが悪いけどつま先で踏ん張っている。押そうか迷ったけど、私自身少し楽しくなってまだ勝負をつけるのは早いと思った。これは、私の意地悪だ。
「グッ」
と踏ん張るルイーゼに体勢を整えさせてあげ、いざ、勝負。手のひらをつき出すが叩いてこない。崩れるのがわかったのかな。案外頭は良いのかもしれない。ルイーゼの手のひらを押し、押し返される。まだ軽く、大して力は入れない。ルイーゼがニヤリと笑った。こんなものかと思ったようだ、力を入れ出すルイーゼに少し困り顔と腕が震えるように見せ、肩と頭が少し後ろに下がり、身体全体を使って勢いがついたルイーゼのタイミングを測り、肩を開き、手を引いた。
「アッ」
ルイーゼの頭、上半身が前に揺れた。勢いが止まることなく流れた。足が止まった状態て前に倒れれば、転ぶ。
バターーン
派手な転倒だ。これはわざとだ。私の意地悪。私も悪役令嬢の才能ありだと思いながら、マークを悲しませた仕返しです。手を地面につき、鬼の形相で下から私を見上げるルイーゼ。
「勝者、アーシャ様」
歓声もなく静かな中、私は、
「ルイーゼ様、大丈夫ですか?大変、手から出血なさってますよ。護衛、早く手当を!急いで」
と言った。本当は、派手な転倒に笑いたかっだけど、心配の顔を作った。笑い声が聞こえ始めれば、一斉に歓声と笑い声が響いて、ルイーゼは下を向きすぐに馬車に向かった。歯軋りの音が聞こえたような気がしたが、マークの笑い声でわからない。
「よくやりました。アーシャ。すっきりしました」
とお祖母様。本当に血気盛んだと思う。そして更に後方にフードを深く被った3名の騎士風な人がいる。
「あっ、カイル王子様?」
「はっはは、流石アーシャだな。見事な勝ちぷりだ。最高に心を折ったな」
と言われて、肩をあげて、
「私もドミルトンなので、性格が悪いんですよ」
と小声で言えば、お祖母様に咳払いをされた。そしてカイル王子の隣には同じくらいの背の高さで、もう一人は、背も高く体格がいい方がいた。護衛騎士のような人が、
「シン、シンじゃないか?」
「フェルナンドか」
「知り合い?」
とシンに聞くと
「騎士学校の友人です」
と答えた。もう一人は肌が随分と白い。
「まさか、フランツ王子様ですか?」
と聞けば、深く被ったフードが揺れた。
「よくお許しが出ましたね」
「騎士の遠征練習に参加して帰りに寄らせてもらった」
と言った。しかしカイル王子よりまだ人混みは怖いようでかなり目深くフードで隠していた。
「少し、席を外します」
と断りを入れてから、雑貨屋に入り帽子二点とスカーフを二点購入した。これで私の小遣いは終了だ。
「お待たせしました。フードを取ってお二人とも、帽子を被って、スカーフを巻いて、スカーフは口元まで隠して」
それでも高貴なオーラは消えない。仕方ない。
「まぁ、少しはマシかしら?貴族の子には見えるわね」
と言った。フェルナンドさんは驚いてやめさせようとしたけど、シンさんが止めた。
「さぁ、遊びましょう。せっかく来たのですから」
と私達は遊んだ。輪投げも的当ても村の子供達と流行っている綿ボールの投げ合い。
カイル王子が
「お腹が空いた~」
と言った。今日は、フランツ王子の声を聞いてない。私は、
「私、お金がスッカラカンですの」
と言えば、帽子を触って、フランツ王子が
「すまなかった。代金を支払う」
と言った。
「やっと話しましたね」
と言えば、また黙る。カイル王子も呆れて、
「兄様、本当は、ずっと申し訳ないなって思っていたでしょう」
と言った。
「何でですか?」
と私が聞けば、
「私一人ドミルトン伯爵領に行く予定が、兄様も行くから騎士の遠征隊を動かしたこと」
えっ、そんな大掛かりなことになってたの。それでは、お祖父様やお祖母様も出てくるわ。
「なら、イノシシ肉と葡萄ジュースは、フランツ王子の奢りですね」
と私が言えば、カイル王子も手を叩いて喜ぶ。みんなでイノシシ肉を買った。空いているベンチもなかったので、木の根の周りに陣取りみんなで食べる。
「「美味しい」」
二人の王子は声を揃えて言った。二人は、顔を合わせて笑った。
「本当に美味しいですね」
茶会のあれからの話を聞いて、令嬢達のフランツ王子の婚約者候補熱が加速したこと、王都では、青色ドレスが売り切れていることなどを聞いた。
「大変ですね」
と言えば、
「は、元はアーシャ嬢が自由でいていいなんて言うから、口が滑った」
とフランツ王子は言った。カイル王子は笑って、
「違う違う、本当は、アーシャが言ってくれたから、有力な貴族達の面倒な対応もあるけど、自由だから感謝してるって言いたいんでしょう」
「そうなんですか?それなら私は、余計なお世話をしてなかったんでしょうかね。安心しますよ」
と言えば、カイル王子は、笑って
「そのままのアーシャでいて」
と言ったら、フランツ王子は
「君は、案外、狡いな」
と言われた。あのルイーゼとの勝負かな。
「そうですよ、二人とも手押し相撲も参加して来て下さいな。フェルナンドさんとシンさんも」
ふふっふ。
会場は盛り上がっている。
フェルナンドさん対シンさん
この試合10分近く続いてる。フランツ王子対カイル王子はあっという間に終わったのに対して、この騎士対決の盛り上がりは、凄い。
二人ともなかなか話さない。
「どうでしたか?」
と聞けば、
「単純なのに頭を使う。目も使うし、力だけじゃない、一番は策だな」
とカイル王子が言った。
「狡いと思いましたか?武器を持っていたら狡い?体格差があれば狡い?」
とフランツ王子に聞けば、
「いや、これはタイミングだな」
と言った。
「狡いは賢いです。そして、貴族、王族どこで何の策略や横暴に巻きこまれるかわかりません。所詮タイミング、しかし気づいたなら策を練り機会は自分で作れば、道は開けると信じたいのです。もちろん勝ち負けがあるなら、今後のために絶対に有利にするべきでしょう」
と言うと、カイル王子は呆れて
「アーシャは、国軍隊長か騎士団長を目指しているのか?」
と聞いてくる。フランツ王子は
「どんな勉強をしている?兵法か軍隊法か」
と聞かれた。本当は、黄ばんだ紙、漫画の世界に巻き込まれないための戦い。
「令嬢の争い」
と答えれば、二人は声を揃えて、
「怖い」
と言われた。
そして後夜祭、楽しくワイワイと踊り、盛り上がって夜が更けた。朝方早く、フランツ王子やカイル王子達は、騎士団と共に王都に戻った。
と言っても答えない。シンは頷く。
「シンさんはわかっているの?」
「まぁ、なんとなく」
と意味深な発言。私には全くわからない。
「マーク様は、姉上を馬鹿にされて怒っているんです」
えっ!?マーク、私全然気にしてないのよ!あの人達悪者だから、気にしたところでと思ったけど、マークも5歳、私が5歳の時パーティーで失敗した時の事を思い出した。確かに口が先に出ちゃうのよね。
「頑張れマーク」
応援しちゃうよね。私の為に怒ってくれるなんて、嬉しいもの。ルイーゼとリリアンがこちらを睨む。
「用意始め」
掛け声がかかり、サラ対マークの手のひらがぶつかる。
「なんてはしたない!」
ルイーゼは扇子で口元を隠しながら話す。しかし視線は、手押し相撲に釘つけだった。一進一退、善戦しているマーク。ルイーゼは、サラに懸命に扇子です指示を出している。まだまだ駆け引きは出来ないので押す一方で引くをお互いしない。会場も貴族同士の戦いに盛り上がっている。先に体勢を崩したサラにマークが押し出そうとした瞬間マークの手がサラを支える形となってマークの足が一歩木箱から出てしまった。
「勝者サラ様」
すごく悔しがるマークに対して、サラのウキウキな顔。
「頑張ったわね、マーク」
と声をかければ、とても悔しそうな顔をして
「負けました」
と言った。マークは、まだ表情も言葉も貴族的な駆け引きなどしないし、本当に可愛い。思わず抱きしめてしまう。
「可愛いマーク」
と言う私を押すマーク。
「やめて下さい」
ふふっ本当に可愛い。
そんなこんなをやっていれば、ルイーゼから声がかかる。
「アーシャ、賭けませんこと!」
「えっ?」
「あなたと私の勝負で、あなたが勝ったら、公爵家に招待された場合、参加してもいいけど私が勝ったら、成人の儀まで一切王都に足を踏み入れない。お兄様の誕生日会にも参加しない、フランツ王子様達の茶会にも参加しない。どう?」
…
どうって、私に何かメリットはある提案だったのだろうか?私が勝った場合、エリオンの誕生日会に参加させてあげるということ?いや別に参加したいと思ってないし。負けたら、三年間王都に入るなって、まぁ私は、良いけど。
「お祖父様やお祖母様が何て言うか…」
と言えば、また怒りのスイッチが入ってしまって、持っていた扇子を投げつけた。
「何でもかんでも、間にお祖父様達を入れるんじゃないわよ!あんたのそういう所大嫌い。名前出せば、私が引き下がると思っているの?あの人達は、もう力無き老人よ。公爵令嬢の私に逆えるわけないのよ!」
と傲慢で高圧的な言葉が降ってきた。
マークは、涙を溜めていた。怖いのかな?怖いよね、だって私も怖いもの。年々迫力が増してきたと思う。
野次が聞こえない。随分と静かになったものだ。
貴族同士の喧嘩にしか見えないだろう。一応、一方的だけど。困ったなぁ。私に何も得もない勝負を引き受けるのも、そこまでお人好しではないのだけど。
『私、エリオン様のお誕生日会に参加したいわけではございません』
と言おうかなと考えたが、その言葉も火に油を注ぐだけだろう。あー面倒くさい。
「引き受けなさい、アーシャ」
と後ろから声が飛んできた。振り返るとお祖父様とお祖母様がいた。
お祖母様がとても好戦的だ。とても困った。どうにかして逃げたかったのに!
「アーシャが勝ったら、アーシャに近づくのはやめてちょうだい。そうやっていちいち絡んでくるのも、茶会でテーブルを同じにするのも、そうね必要最低限の挨拶まで!これでどう?」
お祖母様…
強い、いや、これは私にもメリットあるんじゃない~。頭の中で想像する。悪役令嬢の取り巻きにはならないでいいし、マリーさんが出てくる際に私は関係ない!ルイーゼとは従姉妹であっても絡まれない!
「メリットだわ」
私は呟き、うなづいた。
勝負です!
ルイーゼ(悪役令嬢)対アーシャ(出てこない)
が始まる。
「用意始め」
鬼の形相のルイーゼ。彼女は今自分が人から見られていると知っているのかしら?
バチーンと手のひらを押すではなく叩いたルイーゼ。叩かれたごとき体勢は崩れませんが、そして叩いた衝撃で前のめりになるルイーゼに手を引っ込めた。ルイーゼのバランスが悪いけどつま先で踏ん張っている。押そうか迷ったけど、私自身少し楽しくなってまだ勝負をつけるのは早いと思った。これは、私の意地悪だ。
「グッ」
と踏ん張るルイーゼに体勢を整えさせてあげ、いざ、勝負。手のひらをつき出すが叩いてこない。崩れるのがわかったのかな。案外頭は良いのかもしれない。ルイーゼの手のひらを押し、押し返される。まだ軽く、大して力は入れない。ルイーゼがニヤリと笑った。こんなものかと思ったようだ、力を入れ出すルイーゼに少し困り顔と腕が震えるように見せ、肩と頭が少し後ろに下がり、身体全体を使って勢いがついたルイーゼのタイミングを測り、肩を開き、手を引いた。
「アッ」
ルイーゼの頭、上半身が前に揺れた。勢いが止まることなく流れた。足が止まった状態て前に倒れれば、転ぶ。
バターーン
派手な転倒だ。これはわざとだ。私の意地悪。私も悪役令嬢の才能ありだと思いながら、マークを悲しませた仕返しです。手を地面につき、鬼の形相で下から私を見上げるルイーゼ。
「勝者、アーシャ様」
歓声もなく静かな中、私は、
「ルイーゼ様、大丈夫ですか?大変、手から出血なさってますよ。護衛、早く手当を!急いで」
と言った。本当は、派手な転倒に笑いたかっだけど、心配の顔を作った。笑い声が聞こえ始めれば、一斉に歓声と笑い声が響いて、ルイーゼは下を向きすぐに馬車に向かった。歯軋りの音が聞こえたような気がしたが、マークの笑い声でわからない。
「よくやりました。アーシャ。すっきりしました」
とお祖母様。本当に血気盛んだと思う。そして更に後方にフードを深く被った3名の騎士風な人がいる。
「あっ、カイル王子様?」
「はっはは、流石アーシャだな。見事な勝ちぷりだ。最高に心を折ったな」
と言われて、肩をあげて、
「私もドミルトンなので、性格が悪いんですよ」
と小声で言えば、お祖母様に咳払いをされた。そしてカイル王子の隣には同じくらいの背の高さで、もう一人は、背も高く体格がいい方がいた。護衛騎士のような人が、
「シン、シンじゃないか?」
「フェルナンドか」
「知り合い?」
とシンに聞くと
「騎士学校の友人です」
と答えた。もう一人は肌が随分と白い。
「まさか、フランツ王子様ですか?」
と聞けば、深く被ったフードが揺れた。
「よくお許しが出ましたね」
「騎士の遠征練習に参加して帰りに寄らせてもらった」
と言った。しかしカイル王子よりまだ人混みは怖いようでかなり目深くフードで隠していた。
「少し、席を外します」
と断りを入れてから、雑貨屋に入り帽子二点とスカーフを二点購入した。これで私の小遣いは終了だ。
「お待たせしました。フードを取ってお二人とも、帽子を被って、スカーフを巻いて、スカーフは口元まで隠して」
それでも高貴なオーラは消えない。仕方ない。
「まぁ、少しはマシかしら?貴族の子には見えるわね」
と言った。フェルナンドさんは驚いてやめさせようとしたけど、シンさんが止めた。
「さぁ、遊びましょう。せっかく来たのですから」
と私達は遊んだ。輪投げも的当ても村の子供達と流行っている綿ボールの投げ合い。
カイル王子が
「お腹が空いた~」
と言った。今日は、フランツ王子の声を聞いてない。私は、
「私、お金がスッカラカンですの」
と言えば、帽子を触って、フランツ王子が
「すまなかった。代金を支払う」
と言った。
「やっと話しましたね」
と言えば、また黙る。カイル王子も呆れて、
「兄様、本当は、ずっと申し訳ないなって思っていたでしょう」
と言った。
「何でですか?」
と私が聞けば、
「私一人ドミルトン伯爵領に行く予定が、兄様も行くから騎士の遠征隊を動かしたこと」
えっ、そんな大掛かりなことになってたの。それでは、お祖父様やお祖母様も出てくるわ。
「なら、イノシシ肉と葡萄ジュースは、フランツ王子の奢りですね」
と私が言えば、カイル王子も手を叩いて喜ぶ。みんなでイノシシ肉を買った。空いているベンチもなかったので、木の根の周りに陣取りみんなで食べる。
「「美味しい」」
二人の王子は声を揃えて言った。二人は、顔を合わせて笑った。
「本当に美味しいですね」
茶会のあれからの話を聞いて、令嬢達のフランツ王子の婚約者候補熱が加速したこと、王都では、青色ドレスが売り切れていることなどを聞いた。
「大変ですね」
と言えば、
「は、元はアーシャ嬢が自由でいていいなんて言うから、口が滑った」
とフランツ王子は言った。カイル王子は笑って、
「違う違う、本当は、アーシャが言ってくれたから、有力な貴族達の面倒な対応もあるけど、自由だから感謝してるって言いたいんでしょう」
「そうなんですか?それなら私は、余計なお世話をしてなかったんでしょうかね。安心しますよ」
と言えば、カイル王子は、笑って
「そのままのアーシャでいて」
と言ったら、フランツ王子は
「君は、案外、狡いな」
と言われた。あのルイーゼとの勝負かな。
「そうですよ、二人とも手押し相撲も参加して来て下さいな。フェルナンドさんとシンさんも」
ふふっふ。
会場は盛り上がっている。
フェルナンドさん対シンさん
この試合10分近く続いてる。フランツ王子対カイル王子はあっという間に終わったのに対して、この騎士対決の盛り上がりは、凄い。
二人ともなかなか話さない。
「どうでしたか?」
と聞けば、
「単純なのに頭を使う。目も使うし、力だけじゃない、一番は策だな」
とカイル王子が言った。
「狡いと思いましたか?武器を持っていたら狡い?体格差があれば狡い?」
とフランツ王子に聞けば、
「いや、これはタイミングだな」
と言った。
「狡いは賢いです。そして、貴族、王族どこで何の策略や横暴に巻きこまれるかわかりません。所詮タイミング、しかし気づいたなら策を練り機会は自分で作れば、道は開けると信じたいのです。もちろん勝ち負けがあるなら、今後のために絶対に有利にするべきでしょう」
と言うと、カイル王子は呆れて
「アーシャは、国軍隊長か騎士団長を目指しているのか?」
と聞いてくる。フランツ王子は
「どんな勉強をしている?兵法か軍隊法か」
と聞かれた。本当は、黄ばんだ紙、漫画の世界に巻き込まれないための戦い。
「令嬢の争い」
と答えれば、二人は声を揃えて、
「怖い」
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そして後夜祭、楽しくワイワイと踊り、盛り上がって夜が更けた。朝方早く、フランツ王子やカイル王子達は、騎士団と共に王都に戻った。
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わぁいながい!
お付き合いいただきありがとうございました!
でもまだちょっとばかり、与太話でおまけを書くと思います。
いえ、やっぱりちょっとじゃないかもしれない。
【感謝】
感想ありがとうございます!
楽しんでいただけてたんだなぁとほっこり。
完結後に頂いた感想は、全部ネタバリ有りにさせていただいてます。
与太話、中身なくて、楽しい。
最近息子ちゃんをいじってます。
息子ちゃん編は、まとめてちゃんと書くことにしました。
が、大まかな、美味しいとこどりの流れはこちらにひとまず。
ひとくぎりがつくまでは。
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