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21おかしな点
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収穫祭が終わり、空気も冷たくなった。私の10歳の誕生日が近づく。
黄ばんだ紙を広げ、白い紙に清書をする。これが毎年の恒例行事になっている。
まだ会ったことのないマリーさんの言葉、
『今本当はこう思ったでしょう』を決め台詞のように毎回言って、
と書いていれば、
今、本当はこう思ってたでしょう!?って、
「お、おや、最近聞いたような。カイル王子がフランツ王子に収穫祭で言っていたような。…」
確実に言った、言ってた。男と女じゃ違うからなんていうかセーフだよね?
まさかマリーさんの台詞じゃないよね。いや。まずマリーさん学園からの登場って話なのよね。そう、王子達が収穫祭に来たって話あったのかしら?もしかしたら、収穫祭にマリーさんいた?
それはいくらなんでも都合良すぎだよね。マリーさんって貴族なのかな?
書物室に向かって貴族名簿を見ても、成人の儀が終わってない私も載ってない。同じ歳頃のはず。
部屋に戻り、書き写す。当時の記憶はもうない。これは未来予告みたいな意味あいで書いている。この通りになるわけではない。現にカイル王子は生きている。ルイーゼの周りもまだ誰も消えていないし。
14歳学園。
ここには、カイル王子はいない。だって盗賊に殺されたから。フランツ王子は、氷の王子だもの。思い返してみてもフランツ王子は確かに無表情で言葉が少ない。
しかし、氷の王子と呼ばれているなんて聞いた事もない。今は自由恋愛主義って言われているらしいし…
だいぶ変えたのではないだろうか。
もう一つ気になること、ルイーゼが王族の前で生意気を言ってもお祖父様達の前で言っても対して罪がないこと。子供だから当たり前なのだろうか?
ルイーゼに関しては変えてはいないかな。サラやリリアンは取り巻きみたいだし。
でもいないはずの人がいる世界って成り立つのだろうか?いや、成り立っているのだけど。不安が残る。嫌な妄想しか出来なくなってしまう。
14歳学園、これが漫画が始まるとしたら、今は、何だろう、準備期間?合わせ?調整中…?
ルイーゼは婚約者にはなってない。自称婚約者候補。これは問題ないと思いたい。
カイル王子だ。
大丈夫だろうか?あのヒロインの台詞を言うカイル王子を消したりしないだろうか?
不安が消えない。この何年かは、夢も記憶も漫画というものを思い出さないし、記してないからこの余白に調整が出来るのではないか?
すぐに手紙を書く。カイル王子宛だ。笑っていた顔を思い出す。どうしても私の中の不安が消えない。
収穫祭に来てくれたお礼と楽しかったことを伝え、何か変化がないか順風満喫に日常を過ごしているか、書いた。
何故カイル王子は、一人でドミルトン伯爵領に来ようとした?元国王夫妻は?知らない事が多い。こういうのは情報戦だ。急いで、お祖母様の元に行く。
「お祖母様、不躾な質問で申し訳ございません。先日、カイル王子様は、収穫祭に一人で来るはずだったとおっしゃったのですから、元国王夫妻は、どうなさったのでしょうか?カイル王子様のお母様はどこに?」
と聞けば、お祖母様は片眉を動かして、
「カイル王子様のお母様は何年も前に亡くなられたわ。どうしても収穫祭に来たいと言ったそうで、準備をしていたのだけど、側妃がリオン王子様を預けられて、国王と休暇を取りたいとなって予定が変わったの。カイル王子様が一人でも行く予定になった所をフランツ王子様が一緒について行くことになって、遠征という名目で騎士団が動いたのよ」
とお祖母様が話した。
「何かおかしくありませんか?」
と言うと、
「何が?」
「いえ、カイル王子様は10歳です。一人はないですよね。タイミング的にもまた側妃様が出てきたので、護衛騎士はどのあたりがつく予定でしたか、調べられませんか、お祖母様」
「どうしたのアーシャ、突然」
「いえ、思い過ごしならいいのです。カイル王子様は命を狙われてはいませんか?」
「何を馬鹿なことを。アーシャ軽々しくそんなことを言ってはなりませんよ」
…
「申し訳ありません、お祖母様」
と膝を折り挨拶をして部屋を出る。廊下にはシンさんがいた。
「どうされましたアーシャ様?そのような浮かない顔して」
「シンさん、もしもの話よ。あの誘拐事件、初めから仕組まれたものだったら、カイル王子様を殺すためだけに」
「まさか!」
「わからない、ただ頬に傷を負ったカイル王子様、位置がもう少し下なら首だわ。当時カイル王子様は盗賊が刀を振り回したと言ったわ。振り回すかしら?それに錆びた刀、ではなく刀に何か塗ってあったと考えると」
「アーシャ様考えすぎです」
「そうね、どうかしているわ、ごめんなさい」
部屋につき、一応カイル王子には手紙を書く。気をつけろと直接的には書かない。検閲が入るかもしれない。楽しかった思い出と魚釣りの思い出の中でタネキ言葉を使って魚がかかるまで楽しんだことを思い出し最後の二行にタヌキ言葉を書いた。イラストを描いて、用心してほしいことを伝えた。
一方、元公爵夫人は、
「レーリー、アーシャがカイル王子様は狙われているんではないかと言うのよ。何かおかしいって」
…
「何故カイル王子様なのか…いや、そこではないな。今回の収穫祭で何事もなかったこと良かったな。アーシャの感は侮れない。カイル王子様を斬りつけた奴は死んだし、刀には確かに毒が塗られていたと報告があった。フランツ王子様を庇ったと言うが子供だ。足もすくむ、本当は二人とも動けない方が自然。カイル王子様から狙われて突入のタイミングで手元が狂った?いや違うか」
と言えば、
「アーシャは気に病んでおります」
「私から元国王には連絡する」
私の誕生日の日、黄色の石がついた髪留めと花束が送られてきた。メッセージカードにはタヌキ言葉だ。
『ありがとう、大丈夫』
それだけだ。本当は自分でも危険を感じているのではないだろうか?
誕生日を家族が祝ってくれる。使用人達も祝ってくれる。そして、お祖父様に私は、呼ばれた。
「アーシャ、カイル王子様がの命が狙われているのではないかと心配しているようだが、根拠は?」
「お祖父様、申し訳ありません。情報が少なすぎてただの感としか答えられません」
漫画なんて事は言えない。
「感か」
…
お祖父様が、ゆっくり私に、
「どうしたいのだ」
「まず、カイル王子様には信頼できる護衛騎士と信頼できる特に毒に詳しいメイドをつけて欲しいです」
と話すと、お祖父様がゆっくり頷き、
「私達からの誕生日プレゼントだ。シンとマリアについてもらえるように元国王の推薦を貰おう。そして留学をするよう進言しよう」
「ありがとうございます。お祖父様。ただの私の思い過ごしの話に乗って頂き、本当に感謝します」
そうして、冬の寒い日、シンさんとマリアは、お祖父様と王宮に向かった。何度も彼らには頭を下げた。万が一にも、私の悪い感が働いたら、生命の危険が高い任務になるのだから。
カイル王子様とフランツ王子様から手紙が届いた。二人とも何故?という文面だった。前もって、お祖父様に私の思いを記した手紙を持っていってもらった。これは元国王様達と話してから決めて頂く。変に不安を仰ぐ必要はないから。シンさんにはサプライズと伝えてと言ってある。
カイタル商会はない。側妃様との繋がりはタンという商人だけだった。側妃様には荷物だけの取引、でも何故かまだ、始まってもいないと思える漫画の予告書が気になった。
お祖父様は一か月以上帰って来なかった。雪が積もったある日、私の部屋に鳩が止まっていた。足に手紙がついていた。
フランツ王子が王妃からの贈り物の伝書鳩で、再び何があったと書いてあったので、情報が少なすぎて判断がつかないが、私の感でカイル王子に危険が迫っている可能性を伝えた。
フランツ王子が理解した、ありがとうと一言添えてきた。
私は、フランツ王子にもタヌキ言葉で書きイラストを描いた。
お祖父様は、城から何人かの騎士とメイドを連れて帰ってきて、伯爵領地の警備隊が充実し、メイドは、王宮の一流らしく我が家の質が格段に上がった。
もう一つ、家庭教師がまた一人やってきた。
黄ばんだ紙を広げ、白い紙に清書をする。これが毎年の恒例行事になっている。
まだ会ったことのないマリーさんの言葉、
『今本当はこう思ったでしょう』を決め台詞のように毎回言って、
と書いていれば、
今、本当はこう思ってたでしょう!?って、
「お、おや、最近聞いたような。カイル王子がフランツ王子に収穫祭で言っていたような。…」
確実に言った、言ってた。男と女じゃ違うからなんていうかセーフだよね?
まさかマリーさんの台詞じゃないよね。いや。まずマリーさん学園からの登場って話なのよね。そう、王子達が収穫祭に来たって話あったのかしら?もしかしたら、収穫祭にマリーさんいた?
それはいくらなんでも都合良すぎだよね。マリーさんって貴族なのかな?
書物室に向かって貴族名簿を見ても、成人の儀が終わってない私も載ってない。同じ歳頃のはず。
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14歳学園。
ここには、カイル王子はいない。だって盗賊に殺されたから。フランツ王子は、氷の王子だもの。思い返してみてもフランツ王子は確かに無表情で言葉が少ない。
しかし、氷の王子と呼ばれているなんて聞いた事もない。今は自由恋愛主義って言われているらしいし…
だいぶ変えたのではないだろうか。
もう一つ気になること、ルイーゼが王族の前で生意気を言ってもお祖父様達の前で言っても対して罪がないこと。子供だから当たり前なのだろうか?
ルイーゼに関しては変えてはいないかな。サラやリリアンは取り巻きみたいだし。
でもいないはずの人がいる世界って成り立つのだろうか?いや、成り立っているのだけど。不安が残る。嫌な妄想しか出来なくなってしまう。
14歳学園、これが漫画が始まるとしたら、今は、何だろう、準備期間?合わせ?調整中…?
ルイーゼは婚約者にはなってない。自称婚約者候補。これは問題ないと思いたい。
カイル王子だ。
大丈夫だろうか?あのヒロインの台詞を言うカイル王子を消したりしないだろうか?
不安が消えない。この何年かは、夢も記憶も漫画というものを思い出さないし、記してないからこの余白に調整が出来るのではないか?
すぐに手紙を書く。カイル王子宛だ。笑っていた顔を思い出す。どうしても私の中の不安が消えない。
収穫祭に来てくれたお礼と楽しかったことを伝え、何か変化がないか順風満喫に日常を過ごしているか、書いた。
何故カイル王子は、一人でドミルトン伯爵領に来ようとした?元国王夫妻は?知らない事が多い。こういうのは情報戦だ。急いで、お祖母様の元に行く。
「お祖母様、不躾な質問で申し訳ございません。先日、カイル王子様は、収穫祭に一人で来るはずだったとおっしゃったのですから、元国王夫妻は、どうなさったのでしょうか?カイル王子様のお母様はどこに?」
と聞けば、お祖母様は片眉を動かして、
「カイル王子様のお母様は何年も前に亡くなられたわ。どうしても収穫祭に来たいと言ったそうで、準備をしていたのだけど、側妃がリオン王子様を預けられて、国王と休暇を取りたいとなって予定が変わったの。カイル王子様が一人でも行く予定になった所をフランツ王子様が一緒について行くことになって、遠征という名目で騎士団が動いたのよ」
とお祖母様が話した。
「何かおかしくありませんか?」
と言うと、
「何が?」
「いえ、カイル王子様は10歳です。一人はないですよね。タイミング的にもまた側妃様が出てきたので、護衛騎士はどのあたりがつく予定でしたか、調べられませんか、お祖母様」
「どうしたのアーシャ、突然」
「いえ、思い過ごしならいいのです。カイル王子様は命を狙われてはいませんか?」
「何を馬鹿なことを。アーシャ軽々しくそんなことを言ってはなりませんよ」
…
「申し訳ありません、お祖母様」
と膝を折り挨拶をして部屋を出る。廊下にはシンさんがいた。
「どうされましたアーシャ様?そのような浮かない顔して」
「シンさん、もしもの話よ。あの誘拐事件、初めから仕組まれたものだったら、カイル王子様を殺すためだけに」
「まさか!」
「わからない、ただ頬に傷を負ったカイル王子様、位置がもう少し下なら首だわ。当時カイル王子様は盗賊が刀を振り回したと言ったわ。振り回すかしら?それに錆びた刀、ではなく刀に何か塗ってあったと考えると」
「アーシャ様考えすぎです」
「そうね、どうかしているわ、ごめんなさい」
部屋につき、一応カイル王子には手紙を書く。気をつけろと直接的には書かない。検閲が入るかもしれない。楽しかった思い出と魚釣りの思い出の中でタネキ言葉を使って魚がかかるまで楽しんだことを思い出し最後の二行にタヌキ言葉を書いた。イラストを描いて、用心してほしいことを伝えた。
一方、元公爵夫人は、
「レーリー、アーシャがカイル王子様は狙われているんではないかと言うのよ。何かおかしいって」
…
「何故カイル王子様なのか…いや、そこではないな。今回の収穫祭で何事もなかったこと良かったな。アーシャの感は侮れない。カイル王子様を斬りつけた奴は死んだし、刀には確かに毒が塗られていたと報告があった。フランツ王子様を庇ったと言うが子供だ。足もすくむ、本当は二人とも動けない方が自然。カイル王子様から狙われて突入のタイミングで手元が狂った?いや違うか」
と言えば、
「アーシャは気に病んでおります」
「私から元国王には連絡する」
私の誕生日の日、黄色の石がついた髪留めと花束が送られてきた。メッセージカードにはタヌキ言葉だ。
『ありがとう、大丈夫』
それだけだ。本当は自分でも危険を感じているのではないだろうか?
誕生日を家族が祝ってくれる。使用人達も祝ってくれる。そして、お祖父様に私は、呼ばれた。
「アーシャ、カイル王子様がの命が狙われているのではないかと心配しているようだが、根拠は?」
「お祖父様、申し訳ありません。情報が少なすぎてただの感としか答えられません」
漫画なんて事は言えない。
「感か」
…
お祖父様が、ゆっくり私に、
「どうしたいのだ」
「まず、カイル王子様には信頼できる護衛騎士と信頼できる特に毒に詳しいメイドをつけて欲しいです」
と話すと、お祖父様がゆっくり頷き、
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「ありがとうございます。お祖父様。ただの私の思い過ごしの話に乗って頂き、本当に感謝します」
そうして、冬の寒い日、シンさんとマリアは、お祖父様と王宮に向かった。何度も彼らには頭を下げた。万が一にも、私の悪い感が働いたら、生命の危険が高い任務になるのだから。
カイル王子様とフランツ王子様から手紙が届いた。二人とも何故?という文面だった。前もって、お祖父様に私の思いを記した手紙を持っていってもらった。これは元国王様達と話してから決めて頂く。変に不安を仰ぐ必要はないから。シンさんにはサプライズと伝えてと言ってある。
カイタル商会はない。側妃様との繋がりはタンという商人だけだった。側妃様には荷物だけの取引、でも何故かまだ、始まってもいないと思える漫画の予告書が気になった。
お祖父様は一か月以上帰って来なかった。雪が積もったある日、私の部屋に鳩が止まっていた。足に手紙がついていた。
フランツ王子が王妃からの贈り物の伝書鳩で、再び何があったと書いてあったので、情報が少なすぎて判断がつかないが、私の感でカイル王子に危険が迫っている可能性を伝えた。
フランツ王子が理解した、ありがとうと一言添えてきた。
私は、フランツ王子にもタヌキ言葉で書きイラストを描いた。
お祖父様は、城から何人かの騎士とメイドを連れて帰ってきて、伯爵領地の警備隊が充実し、メイドは、王宮の一流らしく我が家の質が格段に上がった。
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