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41悪役令嬢ルイーゼの最期
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私は、生徒会でエリオンに会って、カレンさんの事を話した。エリオンは、相手にすることなんてないと言ったが、マリーさんの事があるので、どうにかルイーゼと話す機会を作ってほしいと頼んだ。きっと私では駄目だろうから。そして一週間後やっと話を聞いてくれると連絡をもらった。
エリオンが、
「ルイーゼが、よくわからないのだが、いつもと様子が違うんだ。アーシャ気をつけた方がいい。当日は、私も同席する」
と言った。
少し緊張した。
それは、マリーゴールドさん、ヒロインが何故悪役令嬢を訪ねたかが、引っかかっているから。5歳の時に書いた漫画の予告書、あの通りではないけど、人物も出て事件も起きた。
扉のノックの音。
私は、構えた。
第一声は嫌味を言ってくるだろうと思っていた。いや、いつもは、間違いなくそうだったから。だから、驚いた。思い悩んだ表情をしたルイーゼが現れた。
「ご機嫌いかがですか?ルイーゼ様」
と挨拶すれば、ルイーゼは、手で蠅でも払うかのようにして座った。エリオンは、
「ルイーゼ、いくら従姉妹でも非常識な言動をするな、何故わからないんだ」
と言った。その言葉なのか、エリオンに叱られたからなのかわからないが、突然、ルイーゼの目に涙が溜まった。
そして、しゃくりあげるかのように、泣き出した。
「いかがされましたか?ルイーゼ様」
と言えば、
「あんたも私が悪役令嬢で破滅するから態度を直した方がいいって言いに来たんでしょう、あんたみたいな誰にでもいい顔する令嬢、大っ嫌いなのよ」
と泣きながらも私を睨みつける。悪役令嬢がルイーゼだと言ったのか!?
「悪役令嬢と本当にそんな事を言ったのですか?」
「あのマリーゴールドって令嬢、突然我が家に来て、私は、フランツ王子様ではなく、ゼノン様と仲良く無理なく幸せになるから、王子様と恋には落ちないって言うのよ。その後、悪役令嬢の退場が早すぎてわからなかったけど、転生者?ですかとか聞かれて、意味がわからないって言ったら、そうやって怒るから王族に嫌われるんですって言うの、何様なのかしら?」
と再び泣き出した。エリオンもこの言葉には怒った。
「不敬だ」
「待ってエリオン様、その時ルイーゼ様も怒ったはずでしょう。しかしルイーゼ様は、申し立てしていない、何故ですか?」
と聞けば、ルイーゼは私を睨んで、
「私が修道院に行かされて、途中で刺客に会って殺されるって脅したのよ。ドミルトン公爵家だからって」
いや、ルイーゼが脅しぐらいで引き下がるとは思えない。確かに公爵家なら、お金を持たせるかもしれないが、刺客って。
「何故マリーゴールドさんの言葉を信憑性が高いと思ったんですか?」
と率直に聞いた。多分普通こんなとんでもな話を聞いたり、信じたりしない。
予告書とある意味同じだ。それよりずっと詳しくルイーゼの最期を予期している。
ルイーゼは黙っていた。エリオンは焦れて、ルイーゼに
「黙っていたらわからない!」
と言った。
「何故かあの子、私が10歳の時のフランツ王子様のお茶会でしたことや王宮で王妃教育を受けていた時の他の令嬢やメイドや侍女にしていた意地悪を言い当てたのよ」
あぁ、悪役令嬢の意地悪を私なんかより具体的に知っているってことは、漫画の予告書を持っている?ヒロインだから?
さっき転生者と言っていたけど、
「ルイーゼ様、質問していいですか?、さっき言われた転生者とは何ですか?」
と聞いた。エリオンも何だそれはと言っている。ルイーゼは、
「ここは、漫画の世界で、その中に生まれ変わったと言っていたわ。だから私はこの物語を知っているけど、私はフランツ王子様とは結婚したくないから、あなたを救いに来たと…
悔い改めて明るく優しい人になった方がいいって。令嬢を虐めるのも嫌味をいうのも駄目で傲慢なところも直した方がいいと言われたわ」
エリオンは、頷き、
「もっともな意見だ。王族に嫌われているし、他の令嬢もルイーゼのことを嫌われ令嬢だと思っている。カレン嬢なんてアーシャに自分が嫌われるのは、ルイーゼの嫌われが自分に降りかかっているから、学園に連れてこいって言ってきたぞ」
と正直に全てを言うエリオン。ルイーゼは、再び涙を溜めて、泣き始めた。
冷めたお茶を飲んだ。
ルイーゼが落ち着くまで、私も考える。私もマリーさんの言葉でいう転生者だ。あまりにも幼い時に思いだしたから、全てがわからなかったのか?
いや、それよりもマリーさんは、漫画であることを言い、自らストーリーを変えると宣言しに来たのか。フランツ王子とのハッピーエンドではなくゼノンさんを選んだと言ったのは、彼女の覚悟だ。
私の予告書の舞踏会で婚約、ハッピーエンドではない。
きっとその覚悟を持ってみんなを幸せにする為に、ここに来たのかもしれない。
ルイーゼは、修道院へ行く途中刺客に襲われ殺される事が可哀想だから、いや、きっとあの時の私がカイル王子に会った時と同じ気持ちだ。
まず、ルイーゼを修道院に行かせてはいけない。きっと私なんかより詳しい予告書だ、従った方がいい。
私は、エリオンとルイーゼに提案をした。
「留学するのはどうかしら?私の父様ならストック国に伝手があるし、ルイーゼ様が、悪役令嬢だの言われている事を知らない国に行って、今までの自分と逆を演じてみたら、マリーゴールド様の予言じみた告白に抗えるのではないですか?」
と言うと、ルイーゼが、
「逆って何よ!」
「その言い方を変えるのです。例えば今でしたら、逆とは何ですか?と一歩引いて下手にでて丁寧に聞き直してみる。参考にするのは、公爵家のメイドや侍女がよろしいと思います」
「そんな恥ずかしいこと出来ないわ」
「では、何故泣くのですか?ルイーゼ様、婚約破棄後、修道院に行かされる未来がわかっているのではないですか?」
「それは…」
「私から言うよ、」
とエリオンが話し始めた。
「母様が連日の謝罪やら抗議、その他ルイーゼの評判や評価に嫌気がさしていて、婚約破棄の場合、修道院という話も出ている」
ルイーゼがまた泣く。
「母様は酷い」
ルイーゼ…
「エリオン様、やはり留学の件公爵様にお願いした方がいいのでは、ルイーゼ様も知らない土地、知らない人の方が変われるかもしれません」
納得してくれたかは、わからないが逃げ道がある事は示せたと思う。
マリーさんは、私より詳しい予告書を持っている事がわかった。転生者同士というもので、声をかけるべきかどうか。
私なんか予告書には出てこない。でもマリーさんの書には私も出てくるのだろうか?
マリーさんは、一度として私と接触したことがあったかしら?あちらはヒロインだとして、私は、一体?
あ、本来なら悪役令嬢の従姉妹で取り巻きをしていたのかもしれない。
ルイーゼに出会った日、自分でストーリーを変更していたのかもしれない。
私が書いた予告書は破綻している。マリーさんも王子様とのハッピーエンドを望んでいないと、ルイーゼに言いに来たぐらいだ。
でもこれで本当にルイーゼが助かるなら、ドミルトン家にとってハッピーエンドだ。私は、マリーさんに感謝した。
エリオンは怪しんでいたが、マリーゴールドさんには構わずにいようと言って、納得させた。
その日見たルイーゼは、終始泣いていた。目のまわりが赤く、鼻も赤い。どこから見ても悪役令嬢ルイーゼはいなかった。
そして一カ月後、ルイーゼは、ストック国に留学する事が決まった。
その話を聞いたサラとリリアンが一番悲しんでいた。二人は、取り巻きではなかったんだ、友達だったんだとわかった。
見送り会は、夏休みに入る前、こっそりして、ストック国に旅立った。
その時のルイーゼは、傲慢でも高圧的でもなく、ただの令嬢だった。フランツ王子様宛に手紙をストック国から出したそうだ。
エリオンが、
「ルイーゼが、よくわからないのだが、いつもと様子が違うんだ。アーシャ気をつけた方がいい。当日は、私も同席する」
と言った。
少し緊張した。
それは、マリーゴールドさん、ヒロインが何故悪役令嬢を訪ねたかが、引っかかっているから。5歳の時に書いた漫画の予告書、あの通りではないけど、人物も出て事件も起きた。
扉のノックの音。
私は、構えた。
第一声は嫌味を言ってくるだろうと思っていた。いや、いつもは、間違いなくそうだったから。だから、驚いた。思い悩んだ表情をしたルイーゼが現れた。
「ご機嫌いかがですか?ルイーゼ様」
と挨拶すれば、ルイーゼは、手で蠅でも払うかのようにして座った。エリオンは、
「ルイーゼ、いくら従姉妹でも非常識な言動をするな、何故わからないんだ」
と言った。その言葉なのか、エリオンに叱られたからなのかわからないが、突然、ルイーゼの目に涙が溜まった。
そして、しゃくりあげるかのように、泣き出した。
「いかがされましたか?ルイーゼ様」
と言えば、
「あんたも私が悪役令嬢で破滅するから態度を直した方がいいって言いに来たんでしょう、あんたみたいな誰にでもいい顔する令嬢、大っ嫌いなのよ」
と泣きながらも私を睨みつける。悪役令嬢がルイーゼだと言ったのか!?
「悪役令嬢と本当にそんな事を言ったのですか?」
「あのマリーゴールドって令嬢、突然我が家に来て、私は、フランツ王子様ではなく、ゼノン様と仲良く無理なく幸せになるから、王子様と恋には落ちないって言うのよ。その後、悪役令嬢の退場が早すぎてわからなかったけど、転生者?ですかとか聞かれて、意味がわからないって言ったら、そうやって怒るから王族に嫌われるんですって言うの、何様なのかしら?」
と再び泣き出した。エリオンもこの言葉には怒った。
「不敬だ」
「待ってエリオン様、その時ルイーゼ様も怒ったはずでしょう。しかしルイーゼ様は、申し立てしていない、何故ですか?」
と聞けば、ルイーゼは私を睨んで、
「私が修道院に行かされて、途中で刺客に会って殺されるって脅したのよ。ドミルトン公爵家だからって」
いや、ルイーゼが脅しぐらいで引き下がるとは思えない。確かに公爵家なら、お金を持たせるかもしれないが、刺客って。
「何故マリーゴールドさんの言葉を信憑性が高いと思ったんですか?」
と率直に聞いた。多分普通こんなとんでもな話を聞いたり、信じたりしない。
予告書とある意味同じだ。それよりずっと詳しくルイーゼの最期を予期している。
ルイーゼは黙っていた。エリオンは焦れて、ルイーゼに
「黙っていたらわからない!」
と言った。
「何故かあの子、私が10歳の時のフランツ王子様のお茶会でしたことや王宮で王妃教育を受けていた時の他の令嬢やメイドや侍女にしていた意地悪を言い当てたのよ」
あぁ、悪役令嬢の意地悪を私なんかより具体的に知っているってことは、漫画の予告書を持っている?ヒロインだから?
さっき転生者と言っていたけど、
「ルイーゼ様、質問していいですか?、さっき言われた転生者とは何ですか?」
と聞いた。エリオンも何だそれはと言っている。ルイーゼは、
「ここは、漫画の世界で、その中に生まれ変わったと言っていたわ。だから私はこの物語を知っているけど、私はフランツ王子様とは結婚したくないから、あなたを救いに来たと…
悔い改めて明るく優しい人になった方がいいって。令嬢を虐めるのも嫌味をいうのも駄目で傲慢なところも直した方がいいと言われたわ」
エリオンは、頷き、
「もっともな意見だ。王族に嫌われているし、他の令嬢もルイーゼのことを嫌われ令嬢だと思っている。カレン嬢なんてアーシャに自分が嫌われるのは、ルイーゼの嫌われが自分に降りかかっているから、学園に連れてこいって言ってきたぞ」
と正直に全てを言うエリオン。ルイーゼは、再び涙を溜めて、泣き始めた。
冷めたお茶を飲んだ。
ルイーゼが落ち着くまで、私も考える。私もマリーさんの言葉でいう転生者だ。あまりにも幼い時に思いだしたから、全てがわからなかったのか?
いや、それよりもマリーさんは、漫画であることを言い、自らストーリーを変えると宣言しに来たのか。フランツ王子とのハッピーエンドではなくゼノンさんを選んだと言ったのは、彼女の覚悟だ。
私の予告書の舞踏会で婚約、ハッピーエンドではない。
きっとその覚悟を持ってみんなを幸せにする為に、ここに来たのかもしれない。
ルイーゼは、修道院へ行く途中刺客に襲われ殺される事が可哀想だから、いや、きっとあの時の私がカイル王子に会った時と同じ気持ちだ。
まず、ルイーゼを修道院に行かせてはいけない。きっと私なんかより詳しい予告書だ、従った方がいい。
私は、エリオンとルイーゼに提案をした。
「留学するのはどうかしら?私の父様ならストック国に伝手があるし、ルイーゼ様が、悪役令嬢だの言われている事を知らない国に行って、今までの自分と逆を演じてみたら、マリーゴールド様の予言じみた告白に抗えるのではないですか?」
と言うと、ルイーゼが、
「逆って何よ!」
「その言い方を変えるのです。例えば今でしたら、逆とは何ですか?と一歩引いて下手にでて丁寧に聞き直してみる。参考にするのは、公爵家のメイドや侍女がよろしいと思います」
「そんな恥ずかしいこと出来ないわ」
「では、何故泣くのですか?ルイーゼ様、婚約破棄後、修道院に行かされる未来がわかっているのではないですか?」
「それは…」
「私から言うよ、」
とエリオンが話し始めた。
「母様が連日の謝罪やら抗議、その他ルイーゼの評判や評価に嫌気がさしていて、婚約破棄の場合、修道院という話も出ている」
ルイーゼがまた泣く。
「母様は酷い」
ルイーゼ…
「エリオン様、やはり留学の件公爵様にお願いした方がいいのでは、ルイーゼ様も知らない土地、知らない人の方が変われるかもしれません」
納得してくれたかは、わからないが逃げ道がある事は示せたと思う。
マリーさんは、私より詳しい予告書を持っている事がわかった。転生者同士というもので、声をかけるべきかどうか。
私なんか予告書には出てこない。でもマリーさんの書には私も出てくるのだろうか?
マリーさんは、一度として私と接触したことがあったかしら?あちらはヒロインだとして、私は、一体?
あ、本来なら悪役令嬢の従姉妹で取り巻きをしていたのかもしれない。
ルイーゼに出会った日、自分でストーリーを変更していたのかもしれない。
私が書いた予告書は破綻している。マリーさんも王子様とのハッピーエンドを望んでいないと、ルイーゼに言いに来たぐらいだ。
でもこれで本当にルイーゼが助かるなら、ドミルトン家にとってハッピーエンドだ。私は、マリーさんに感謝した。
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その日見たルイーゼは、終始泣いていた。目のまわりが赤く、鼻も赤い。どこから見ても悪役令嬢ルイーゼはいなかった。
そして一カ月後、ルイーゼは、ストック国に留学する事が決まった。
その話を聞いたサラとリリアンが一番悲しんでいた。二人は、取り巻きではなかったんだ、友達だったんだとわかった。
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