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扉から出れば、ガレットさんが髭を落とし、茶色と銀髪だった髪が、銀一色にひと結びにされ、眼鏡も取り外し、肌は陶器のように美しかった。
めちゃくちゃ若くないか?
「随分と賑やかな卒業パーティーになったようですね」
とどこかの王子様ではないかと思うほど、麗しい。言葉が出ない。ユイナともう一人男子学生が跪ついていた。
そして、また歓声が上がった。理由は、たぶんローズリーさんの卒業を認めるとかだろうか。
すっかり、フランツ王子信者が出来たようだ。これは、想像しえなかった産物だ。挨拶運動って凄いと改めて思った。
今日は疲れた。
このドレスも早く脱ぎたいと、ガレットさんに一礼した後、ユイナさんに向かって、
「請求書の件ありがとうございました」
と言って、私は、立ち去る。
寄宿舎まで歩いて帰る道のり、本当に学園に鳥が増えたなと木だけでなく歩く道先にいて思った。
普通に人を避けず歩いている鳥達。私は、動物とは話せないから、出来れば森に帰って欲しいなぁとマリーさんにお願いしたいところだ。
マリーゴールド劇場にフランツ王子劇場、共に見ていただけだったけど、非常に疲れた。
エリオンが、『学園は楽しい』と言っていたけど、楽しい人と疲れる人に分かれるなと思った。
その日の夜、伝書鳩がきた。
『ありがとう』
と短い手紙がついてきた。
フランツ王子の事を一番に考えたわけではない。私は、自分の領地のことを一番に考えだけ。
返事に困った私は、今日一番したり顔をしたエリオンが書類を掲げた絵を描いて送った。
そしてバミューダ侯爵家は非難と賠償金を払って、サミエルがどうなったかはわからない。そして4家の関係性もわからない。
私達は、二年生になった。
生徒会メンバーは解散かと思っていた。私も逃げようと考えていたのに、厳重注意で済んでしまった。ガレットさんだと思う。とても忙しいのか中々寄宿舎でも私は、会わなくなった。
あの美しい尊顔にミリーがメロメロになると思っていたのに、眩しすぎて目が開かない、私には直視出来ません。と言って、恋とか憧れでもないそうだ。不思議だ、人が恋から冷める瞬間は、あっけない。
ドミルトン公爵家は、まだルイーゼを外には出してない。行儀見習いをさせるとか王妃を諦めてないのかわからないが、王家側は、王子に扇子を投げつけるような令嬢は、嫌だと拒否し、ドミルトン公爵家は謝りに徹している。
「これで良かった」
とエリオンは言った。
「ルイーゼに器がないし、私もルイーゼを支えたいとは思わない」
と春休みに一度カフェでそんな話をされた。エリオンは穏やか顔になっていた。王子との仲も戻ったのだろうか?ローズリーさんとはどうなるのか、知りたいことはあったけど、これは野暮だろう。恋を知らない私に聞かせるわけはないな。
「そう言えば、昨日、マリーゴールド嬢が、家に訪ねてきたよ」
と、突然、予期せぬ言葉が出てきた。
「何故マリーゴールド様が?」
「よくわからないのだが、至急大事な話があるとかで、ルイーゼがそんな人知らないとかなんとかで、かなりの時間サロンで待たしていたよ。でもマリーゴールド嬢が諦めなかったから仕方なくルイーゼは話を聞いたようだ」
とエリオンが言った。流石撃ち合いをするヒロインだ。
「どんな話だったのですか?」
「わからない、メイドの話では、かなり怒って、その後伏せったと聞いている」
それだけではわからない。でも二人に学園での共通は無い。
ルイーゼを訪ねても、私に言わないだろう。
新学期
遠くから明るい声が聞こえてきた。
元気に挨拶しているマリーゴールドさんの横にゼノンさん。
もうすっかり公認されている。拐われた過去が心の傷は、王子達と一緒だろう。ゼノンさんとすれ違っても、私の事など覚えていない、あの綿花の作業場の記憶なんて忘れたいことなのだ。だから私も声はかけない。
気になるのは、マリーさんがルイーゼに何を言ったかだ。
「おはよう、アーシャ」
名前を呼ばれて振り向くと、何故かカイル王子が学園の制服を着ていた。
「えっ!?何故」
「驚いた?王子って言うなよ。ストック国の留学生なんだから」
と小声で言う。確かにガレットさんが留学生がくるとは言っていたけど。
「アーシャ、全く変わってないな、ガハハハ」
と豪快に笑う。騎士ぽい身体つきになって、私より20センチは身長もありそうだ。浅黒く焼けた肌と黄色の髪がよく似合う笑い方だ。
魚釣りを一緒にやっていた人だ。
「すぐバレてしまうのではありませんか?」
「意外にバレないと思う」
と意味ない自信で答えられた。
ふふふ
意味なんてない。ただ朝から笑いたくなっただけ。
「アーシャ様、何かいい事ありましたか?」
とクラスメートに聞かれたけど、
「今日は、髪の毛が良い感じにまとまってくれただけですの」
と答えた。
カイル王子は、フランツ王子のクラスになったがフランツが言わない限り、ストック国の留学生で通ってしまうのが驚きだ。
様子を見に何回か意味なく廊下を歩いたりして、無性に恥ずかしくなった。
晴れた日も曇った日もカイル王子とは、中々話せなかった。カイル王子の豪快で今や気さくな面もあって、騎士令息に人気だ。令嬢人気は、フランツ王子だけど。
まぁ仕方ない。人気者と影の薄い伯爵令嬢が話していたら、おかしなものだ。もちろん、フランツ王子とだって学園で話したことはない。
コルンさんが、
「アーシャ様知ってますか?ストック国の留学生のカイル様とゼノン様が、模擬剣で試合をされたそうですよ。勝者は、カイル様です」
情報通のコルンさんが帰ってきた。カレンさんの取り巻きはやめたのか、今は、教室にいる。
またクラスメートの令嬢は恋話が盛り上がっていて、早く婚約者を見つけなければと口を揃えて言う。
15歳の令嬢は、今が一番売り時らしくみんな美しさに磨きをかけている。
「恋だの何だの言っても、やっぱり貴族シビアね」
と呟くとリリアンが鼻で笑って、
「アーシャ、そう言えばあなた夜会って参加したことないでしょう?あの大人の世界を知らないなんて貴族令嬢なんて言えないわ」
と言ってきた。ルイーゼがいなくなって取り巻きも解散したのか、サラと一緒にはいるが、休み時間でも席にいることが多い。友達を作ろうとしているのか、チラチラ令嬢の様子を気にかけている。
そんな姿にあの高圧的な言動だけでなく、弱い女の子の姿も見えた。
ふと気づいた。私は、ルイーゼのこと悪役令嬢って決めつけて、他の面を見なかったかもしれない…
そしてマリーさんが何しに行ったのか聞きに行った方がいいのではないか、たとえ話してくれなくても。
そんな事を考えていたら、私の席の前に立ち、突然、
「いいご身分ね。ドミルトン家のくせに」
と元婚約候補者の一人カレンさんが現れた。
「いかが致しましたか?」
と聞くとカレンさんは、
「ルイーゼ様を学園に呼びなさい」
と言った。何故カレンさんが、ルイーゼを?
「申し訳ございません、ドミルトン公爵家のことですので、同じドミルトン家でも伯爵令嬢では話すことも出来ません」
と言うと、カレンが
「生徒会に行ってもエリオン様にお会い出来ないのよ。兄様のこともあって生徒会メンバーが、間を取り持ってくれないのよ。あなた、休みにエリオン様とカフェに行けるぐらい仲が良いのでしょ。間を取り持ちなさい!」
どうして、そんな話になるのか?カレンさんという嵐が去ったあと、コルンさんが来て、
「カレン様は、ルイーゼ様が学園にいた時は、こんなに悪い評判が立ってなかったと、ルイーゼ様がいれば、前に戻れるだろうと、話しているわ」
と言った。
ルイーゼは色々隠れ蓑にされていたのかもしれない。
ルイーゼの気持ちはわからないけど、可哀想だとは思った。
めちゃくちゃ若くないか?
「随分と賑やかな卒業パーティーになったようですね」
とどこかの王子様ではないかと思うほど、麗しい。言葉が出ない。ユイナともう一人男子学生が跪ついていた。
そして、また歓声が上がった。理由は、たぶんローズリーさんの卒業を認めるとかだろうか。
すっかり、フランツ王子信者が出来たようだ。これは、想像しえなかった産物だ。挨拶運動って凄いと改めて思った。
今日は疲れた。
このドレスも早く脱ぎたいと、ガレットさんに一礼した後、ユイナさんに向かって、
「請求書の件ありがとうございました」
と言って、私は、立ち去る。
寄宿舎まで歩いて帰る道のり、本当に学園に鳥が増えたなと木だけでなく歩く道先にいて思った。
普通に人を避けず歩いている鳥達。私は、動物とは話せないから、出来れば森に帰って欲しいなぁとマリーさんにお願いしたいところだ。
マリーゴールド劇場にフランツ王子劇場、共に見ていただけだったけど、非常に疲れた。
エリオンが、『学園は楽しい』と言っていたけど、楽しい人と疲れる人に分かれるなと思った。
その日の夜、伝書鳩がきた。
『ありがとう』
と短い手紙がついてきた。
フランツ王子の事を一番に考えたわけではない。私は、自分の領地のことを一番に考えだけ。
返事に困った私は、今日一番したり顔をしたエリオンが書類を掲げた絵を描いて送った。
そしてバミューダ侯爵家は非難と賠償金を払って、サミエルがどうなったかはわからない。そして4家の関係性もわからない。
私達は、二年生になった。
生徒会メンバーは解散かと思っていた。私も逃げようと考えていたのに、厳重注意で済んでしまった。ガレットさんだと思う。とても忙しいのか中々寄宿舎でも私は、会わなくなった。
あの美しい尊顔にミリーがメロメロになると思っていたのに、眩しすぎて目が開かない、私には直視出来ません。と言って、恋とか憧れでもないそうだ。不思議だ、人が恋から冷める瞬間は、あっけない。
ドミルトン公爵家は、まだルイーゼを外には出してない。行儀見習いをさせるとか王妃を諦めてないのかわからないが、王家側は、王子に扇子を投げつけるような令嬢は、嫌だと拒否し、ドミルトン公爵家は謝りに徹している。
「これで良かった」
とエリオンは言った。
「ルイーゼに器がないし、私もルイーゼを支えたいとは思わない」
と春休みに一度カフェでそんな話をされた。エリオンは穏やか顔になっていた。王子との仲も戻ったのだろうか?ローズリーさんとはどうなるのか、知りたいことはあったけど、これは野暮だろう。恋を知らない私に聞かせるわけはないな。
「そう言えば、昨日、マリーゴールド嬢が、家に訪ねてきたよ」
と、突然、予期せぬ言葉が出てきた。
「何故マリーゴールド様が?」
「よくわからないのだが、至急大事な話があるとかで、ルイーゼがそんな人知らないとかなんとかで、かなりの時間サロンで待たしていたよ。でもマリーゴールド嬢が諦めなかったから仕方なくルイーゼは話を聞いたようだ」
とエリオンが言った。流石撃ち合いをするヒロインだ。
「どんな話だったのですか?」
「わからない、メイドの話では、かなり怒って、その後伏せったと聞いている」
それだけではわからない。でも二人に学園での共通は無い。
ルイーゼを訪ねても、私に言わないだろう。
新学期
遠くから明るい声が聞こえてきた。
元気に挨拶しているマリーゴールドさんの横にゼノンさん。
もうすっかり公認されている。拐われた過去が心の傷は、王子達と一緒だろう。ゼノンさんとすれ違っても、私の事など覚えていない、あの綿花の作業場の記憶なんて忘れたいことなのだ。だから私も声はかけない。
気になるのは、マリーさんがルイーゼに何を言ったかだ。
「おはよう、アーシャ」
名前を呼ばれて振り向くと、何故かカイル王子が学園の制服を着ていた。
「えっ!?何故」
「驚いた?王子って言うなよ。ストック国の留学生なんだから」
と小声で言う。確かにガレットさんが留学生がくるとは言っていたけど。
「アーシャ、全く変わってないな、ガハハハ」
と豪快に笑う。騎士ぽい身体つきになって、私より20センチは身長もありそうだ。浅黒く焼けた肌と黄色の髪がよく似合う笑い方だ。
魚釣りを一緒にやっていた人だ。
「すぐバレてしまうのではありませんか?」
「意外にバレないと思う」
と意味ない自信で答えられた。
ふふふ
意味なんてない。ただ朝から笑いたくなっただけ。
「アーシャ様、何かいい事ありましたか?」
とクラスメートに聞かれたけど、
「今日は、髪の毛が良い感じにまとまってくれただけですの」
と答えた。
カイル王子は、フランツ王子のクラスになったがフランツが言わない限り、ストック国の留学生で通ってしまうのが驚きだ。
様子を見に何回か意味なく廊下を歩いたりして、無性に恥ずかしくなった。
晴れた日も曇った日もカイル王子とは、中々話せなかった。カイル王子の豪快で今や気さくな面もあって、騎士令息に人気だ。令嬢人気は、フランツ王子だけど。
まぁ仕方ない。人気者と影の薄い伯爵令嬢が話していたら、おかしなものだ。もちろん、フランツ王子とだって学園で話したことはない。
コルンさんが、
「アーシャ様知ってますか?ストック国の留学生のカイル様とゼノン様が、模擬剣で試合をされたそうですよ。勝者は、カイル様です」
情報通のコルンさんが帰ってきた。カレンさんの取り巻きはやめたのか、今は、教室にいる。
またクラスメートの令嬢は恋話が盛り上がっていて、早く婚約者を見つけなければと口を揃えて言う。
15歳の令嬢は、今が一番売り時らしくみんな美しさに磨きをかけている。
「恋だの何だの言っても、やっぱり貴族シビアね」
と呟くとリリアンが鼻で笑って、
「アーシャ、そう言えばあなた夜会って参加したことないでしょう?あの大人の世界を知らないなんて貴族令嬢なんて言えないわ」
と言ってきた。ルイーゼがいなくなって取り巻きも解散したのか、サラと一緒にはいるが、休み時間でも席にいることが多い。友達を作ろうとしているのか、チラチラ令嬢の様子を気にかけている。
そんな姿にあの高圧的な言動だけでなく、弱い女の子の姿も見えた。
ふと気づいた。私は、ルイーゼのこと悪役令嬢って決めつけて、他の面を見なかったかもしれない…
そしてマリーさんが何しに行ったのか聞きに行った方がいいのではないか、たとえ話してくれなくても。
そんな事を考えていたら、私の席の前に立ち、突然、
「いいご身分ね。ドミルトン家のくせに」
と元婚約候補者の一人カレンさんが現れた。
「いかが致しましたか?」
と聞くとカレンさんは、
「ルイーゼ様を学園に呼びなさい」
と言った。何故カレンさんが、ルイーゼを?
「申し訳ございません、ドミルトン公爵家のことですので、同じドミルトン家でも伯爵令嬢では話すことも出来ません」
と言うと、カレンが
「生徒会に行ってもエリオン様にお会い出来ないのよ。兄様のこともあって生徒会メンバーが、間を取り持ってくれないのよ。あなた、休みにエリオン様とカフェに行けるぐらい仲が良いのでしょ。間を取り持ちなさい!」
どうして、そんな話になるのか?カレンさんという嵐が去ったあと、コルンさんが来て、
「カレン様は、ルイーゼ様が学園にいた時は、こんなに悪い評判が立ってなかったと、ルイーゼ様がいれば、前に戻れるだろうと、話しているわ」
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感想ありがとうございます!
楽しんでいただけてたんだなぁとほっこり。
完結後に頂いた感想は、全部ネタバリ有りにさせていただいてます。
与太話、中身なくて、楽しい。
最近息子ちゃんをいじってます。
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が、大まかな、美味しいとこどりの流れはこちらにひとまず。
ひとくぎりがつくまでは。
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