黄金の狼の傭兵団

栗菓子

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プロローグ 

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或る時代。身分格差は激しかった。
王族・貴族の権力は圧倒的で、そこに住む民は家畜に等しい待遇だった。
その中で離脱し、脱走農民や、犯罪者、難民などが生きるために、傭兵団を作って、金貨で戦を請け負う稼業があった。当時、七つの国や、国ともいえない小さい村が集まって生きている流浪の民のための村や、あちこちで紛争や、内乱は良くあった。

世界暦 767年  

当時の七つの国でも強大な国は西の国 サイカという国であった。王族、貴族は類まれなる程優秀で残虐な面が強かった。サイカは七つの国で最も身分格差が激しい国である。

そこでは、王族・貴族を除いて、最下層の女や弱者にとっては地獄であった。
高カーストの位の人間の前を歩いただけで、不浄と言われて惨殺されるのだ。

でなければ、強姦されリンチされ、木につるされたりすることは良くあった。

王族・貴族は巧妙に、最下層の民はこうあって当然と家畜のように飼い慣らした。

厳しすぎる制度は時に歪みも生じる。 狂った獣や理解できぬ化け物も生まれる。
自分の家族でさえも面白がって殺す男や、女。
それは醜い欲望のはけ口でしかない人生であった。民たちにも勿論感情はある。だが無教養な民は親の真似をして、
最も弱い赤ん坊でさえもはけ口として犯したり、売ったりする。

長い間、それが最も合理的で正しい事だと、仕方がない、あれは最下層のモノだったから・・。
と彼らはずっと上層部の思惑通り動き信じた。
そこには或る宗教もあった。彼らは弱いから負けたのだ。だから仕方がない。彼らは神の祝福を授からなかった。
前世で何か悪行を犯したのだろうと巧妙に理不尽な所業を正当化する宗教の洗脳もあって、純粋な無知な最下層の者はずっとそれを信じて、理不尽な境遇に甘んじていた。

しかし、中にはこの絡繰りに朧気ながら気づいている聡明な民もいたり、違和感を感じる者も少なからず居た。

それに憤怒と反逆精神をもつ彼らは自然に集い、傭兵団や盗賊団を創った。自由になるために、生きるために、力を持とうと着実に実力を身に着けつつあった。


その中で、最も有名な奴隷傭兵団  カカンテ 砕けた欠片と言う意味。最下層の象徴である。

欠片のようなトレードマークを付けた旗を振りながら、戦場を戦う悪鬼のような振舞いは有名であった。

彼らは、実力を持つ者しか信じなかった。ある意味王族・貴族より厳しい実力制度であった。
余りにも過酷な弱肉強食の傭兵団で、極僅かに、特異変異体質をもった強大な能力をもった女傑たちが居た。

彼女らは、男を種としか見出さず、子種を出した男は容赦なく屠った。
我が子を完全な所有物とするためである。そうでなければ子さえも容赦なく奪われる女達は後を絶たなかった。

孕み袋として使われる女も居た。用済みになったら襤褸のように処分された。

それを知り尽くしている女傑は、父親となる男を不要とした。
我が子でさえも、弱いと容赦なく屠った。

こうしてより聡明で賢く強靭な子どもたちが残った。
女傑は満足そうに愉悦の笑みを浮かべた。

女傑は常に子供らに言い聞かせた。
「喰らえ。喰らいつづけるのだ。」

子どもらは親の言う通り、敵を屠り喰らいつづける者となった。



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