黄金の狼の傭兵団

栗菓子

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第1話 奴隷と主人の身代わり人生

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とある時代。
サイカ国では、傲慢で無知なお姫様が、豪奢な馬車に乗って、物見高く、サイカ国を遊びまわっていた。
中には痴れ者と陰では言われるほどの愚かな姫だった。愚劣な姫だが、容姿は美しく、父は、何かの役に立つかもしれないと姫を生かし、放置していた。
姫には、世界の危険性を教えなかった。唯、姫は、同位カーストの男に嫁すまでの自由だと思って遊びに酔いしれた。

そんな時、姫は不幸にも、自分に瓜二つの奴隷女に会った。まるで双子のようによく似ていた。
唯、目だけが違った。愚劣な瞳をした姫とは違って、奴隷女の瞳は深淵を讃え、底光りをしていた。

姫は子どものように面白がって、奴隷女を侍女にした。
愚かにも姫は、猛毒の蛇を招き入れたのだ。

母はとうに亡くなっていて、姫には本物の味方がいないことを知らなかった。
姫は父の戯れに生かされているだけの道具に過ぎなかった。乳母や他の侍女は辛うじて姫の愚行や浅慮を諫めたが、姫は癇癪を起して、姫のために思って厳しい真実や事実をあえて苦々しい忠言を告げても姫の耳には聞こえなかった。それどころが主人に逆らうなんてと激怒して、彼女らを処刑にした。

姫は救われる機会を何もかも知らずに自ら潰したのだ。

瓜二つの侍女。彼女は蛇のように目を細め、彼女の愚行を冷静に見やった。
彼女には姫が自ら破滅への道を踊っていくようにしか見えなかった。

父はそんな姫の愚行を見聞きして、だんだん冷徹に姫を見下げた。

姫はまだそんな父の変化に気づかなかった。

そして姫は或る決定的な愚行を犯した。

最下層の男に恋をしたのだ。その男は最下層の者なのに、稀な美貌を持っていた。体格も良く、聡明で貴族の落とし胤ではないかと疑われるほどの能力を備えていた。

並の貴族より遥かに優秀で麗しい奴隷男。

愚かな愚かな姫が盲目的に男に夢中になっても無理はなかった。
彼女は赤子のように容易く、男のいいなりになった。男は、最下層の売春婦より股を開くのが早い姫だと内心嘲りながら、姫の処女を麗しき愛の従者のような演技をして奪った。


上位の男が自分より劣位の女を妾とすることがあっても、上位の女が、劣位の男と交わうことは禁忌だった。
このサイカ国は父権社会だった。
女は子どもを孕むからだ。上位の女が劣位の男を選んだら、劣等な子どもや、女と子どもだけの社会になるかもしれない。それは今まで築き上げた父親や男たちの自尊心や誇りが許さなかった。
男は女と違ってそう受け入れる性質ではない。
名誉を穢されたと怒り狂って、父は姫をもはや最下層の男と同じように穢れし者と見なしていた。

それをかすかに面白げに見ていた瓜二つの侍女は、ギラギラと怒り狂う父から目を反らした。
姫によく似た美しい最下層の他人の女。姫より聡明で豊満な肢体をした美しい奴隷。

道具として生かしていた姫であっても娘に裏切られた理不尽な怒りと憎悪、尊大な自尊心は冷たい復讐と報復を選んだ。

父は、その場で、瓜二つの侍女を顔が球のように腫れ上がるまで殴った。
衣服を引き裂き、豊満な胸を千切れるぐらい掴んで舐め回した。悲鳴を侍女は堪えた。悲鳴など上げようものなら不興をかってかえって殺意を膨れあがさせるだけだ。
侍女は聡明で正しい選択をすることができた。彼女は震えながらも従順に姫の身代わりに復讐される蹂躙を受け入れた。それしか生き延びる道はないと解ったからだ。

娘によく似た美しい女奴隷の足を大きく開かせて、膣を乱暴に指を差し込み、痛みに喘ぐ様を見て処女と分かった父は、せわしなく下履きを脱いで、醜悪なドス黒い脈打つ男根を怒りと興奮で膨れ上がせ、誰もやったことがない処女地を蹂躙した。この売女め。穢れしものめと支離滅裂に喚き散らしながら、醜い欲望を何度も何度も、奴隷女に吐き出した。

どれぐらいの時間がたったのか、父は正気に戻った。後には、半死半生の奴隷女が震えながら倒れていた。
冷淡に無感動に、父は奴隷女を見やったが、奴隷女は震えながら、父の目を見据えた。
涙を流しながら、余りの理不尽さに憤りと悲しみを瞳で現わしていた。

醜い父の顔がその奴隷女の瞳に映っていた。
奴隷女の股からは父の出した精液と血で汚れ落ち、床に広がっていた。

嗚呼・・悲しみにうちひがれた奴隷女は誰よりも美しく見えた。
父は、また別の欲情に男根がもたげるのを感じた。

その時、父は冷徹に、そうだ。娘はここにいた。あの娘はいなかったのだ。姫に対する情は完全になくなり、冷酷にも、実の娘とその恋人を始末することを考えた。
新しい娘にしよう。この女はあの娘より聡明で、正しい選択をする。

父は慧眼であった。この女を姫として、実質的には私の性奴隷にしよう。
孕んだら、その者が優秀で強かったら、一族の者としてやってもいい。

父はそう考えて、実行した。
愚かな姫は泣き叫んで、「お父様!許して!必ずこの罪は晴らしますから。あの男は殺しますからわたくしだけは許してください。必ず役に立ちますから!」
とも見苦しくも足掻いた。
醜い醜いとしか父は思わなかった。

父は自ら、実の娘と恋人であった男を剣で惨殺した。名誉は守られたのだ。
父は満足した。

遺体は獣に喰わせた。


そして新しい姫となった凍り付いた瞳をした奴隷女をきつく抱きしめて束縛した。

冷たく復讐と憎悪に満ちた毒蛇を無理矢理征服するのは心地いいと彼は愉悦とともに、長年性奴隷らしく強姦し続けた。

やがて新しい姫は、とても珍しい赤子を孕んだ。額に第3の目があったのだ。
父は殺すべきか迷ったが、とても美しい赤子だったため、生かすことにした。

額の目は、額を覆い隠す金の環で隠した。
凍り付いた瞳をした姫は己の赤子を僅かに愛おし気に見た。

強姦されてもわが子だけは可愛いと見える・・。父は冷徹に姫の、女の心理を暴き立てた。


珍しい赤子は姫の人質にもなる。父はどこまでも女の裏切りを赦さなかった。

女と父の関係はどこまでも冷徹で情欲と支配欲に満ちていた。

赤子の名前はカーラと名づけた。


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