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第6話 キセキノコ
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やあ。あたしの名はマリエです。 美しい花の女王の名の意味です。
あたしのお父さんは不思議でした。お母さんをそれほど愛していないようにみえて、肝心な時には助け守る人でした。
お母さんはどこか無機質で、娘のわたしにもなかなかわからない人でした。とても近いのにとても遠い人でした。
お母さんには心があまりありませんでした。お母さんには片目と、片足がありません。
シラという端女がお母さんの能力に気づいて、野心溢れる男とともに、お母さんを道具にして権力を得ようとしたようです。それにはお父さんが邪魔だったのでしょう。
お父さんはそういう悪い奴らに狙われました。
でも流石は、お父さんです。返り討ちにして、敵対勢力を滅ぼしました。
お父さんは、他にも側室が多くいます。その中には大層寵愛深き女もいたけど、お母さんは別枠だったようです。
「・・オ前のオカアサンは運命のオンナだった。オマエを生んだから特別ダ。 お前は使えるかと思ったら、オレニよく似て、才能と器量はあった。俺としたことが、親バカになったものよ。」
お父さんはそういってかかかと笑いました。
あたしを生んだから特別って・・そんなにお父さんはあたしを気に入ったのだろうか。親って何だろう。あたしには
今だによくわからない。
まああたしは生まれてお父さんの溺愛に包まれて、すくすくと育った。 なかには嫉妬であたしの居場所を奪おうとする異母妹や、弟もいた。
しかし、その度にお父さんは薄ら笑いをして、惜しい惜しいといいながら殺しました。
あたしのお父さんはそういう冷酷で酷薄なところがありました。
その弟、妹・・大人になれなかった子どもの顔が忘れません・・。
あたしは時折うなされるようになりました。 お母さんの眠り歌だけが救いでした。
「・・忘れられないのね。解るよ。ワタシもお父さんの親友の顔が忘れられなかった・・あの憎悪に満ちた顔・・
どうしてだろうね。お父さんを裏切ったのは向こうなのに・・。」
その親友は、お父さんの昔の恋人と一緒になって、またお父さんを殺そうとしたらしい。
良くも悪くもお父さんは敵をつくりやすい人だった。
嗚呼と溜息をついたお母さんは、今となっては分からないけどお父さんと共に生きるのは運命だったのだろうと納得している。
運命は何の接点もない男と女を結び付ける変な縄や紐のようなものだ。とお母さんは遠い目で言った。
あたしにも現れる? お母さんは苦笑していった。わからない。でもそれを受け入れるか。拒絶するかはお前次第・・。
お母さんはそういってあたしの髪をなでた。お父さんにそっくりのチリチリの髪だ。
お母さんの髪は長く長く伸びて、柔らかい質感をしている。
あたしもお母さんの髪を撫でた。
あたしはわりとお母さんが好きだ。お父さんも大好きだ。
あたしは結構幸福な子どもだった。
あたしはこの幸福な記憶を宝物としてしまって、なにかおこっても生きようと思った。
お父さんは敵が多い。お母さんは能力があっても無力だ。
今は、お父さんが生きているからいいのだ。
あたしはこれからおきるかもしれない災厄を漠然と予知しながらも頑張ろうと思った。
おやすみなさい。お母さん。哀れなだが生き延びる女よ。
あなたがお母さんで良かった。
あたしは目をゆっくりと閉じた。
あたしのお父さんは不思議でした。お母さんをそれほど愛していないようにみえて、肝心な時には助け守る人でした。
お母さんはどこか無機質で、娘のわたしにもなかなかわからない人でした。とても近いのにとても遠い人でした。
お母さんには心があまりありませんでした。お母さんには片目と、片足がありません。
シラという端女がお母さんの能力に気づいて、野心溢れる男とともに、お母さんを道具にして権力を得ようとしたようです。それにはお父さんが邪魔だったのでしょう。
お父さんはそういう悪い奴らに狙われました。
でも流石は、お父さんです。返り討ちにして、敵対勢力を滅ぼしました。
お父さんは、他にも側室が多くいます。その中には大層寵愛深き女もいたけど、お母さんは別枠だったようです。
「・・オ前のオカアサンは運命のオンナだった。オマエを生んだから特別ダ。 お前は使えるかと思ったら、オレニよく似て、才能と器量はあった。俺としたことが、親バカになったものよ。」
お父さんはそういってかかかと笑いました。
あたしを生んだから特別って・・そんなにお父さんはあたしを気に入ったのだろうか。親って何だろう。あたしには
今だによくわからない。
まああたしは生まれてお父さんの溺愛に包まれて、すくすくと育った。 なかには嫉妬であたしの居場所を奪おうとする異母妹や、弟もいた。
しかし、その度にお父さんは薄ら笑いをして、惜しい惜しいといいながら殺しました。
あたしのお父さんはそういう冷酷で酷薄なところがありました。
その弟、妹・・大人になれなかった子どもの顔が忘れません・・。
あたしは時折うなされるようになりました。 お母さんの眠り歌だけが救いでした。
「・・忘れられないのね。解るよ。ワタシもお父さんの親友の顔が忘れられなかった・・あの憎悪に満ちた顔・・
どうしてだろうね。お父さんを裏切ったのは向こうなのに・・。」
その親友は、お父さんの昔の恋人と一緒になって、またお父さんを殺そうとしたらしい。
良くも悪くもお父さんは敵をつくりやすい人だった。
嗚呼と溜息をついたお母さんは、今となっては分からないけどお父さんと共に生きるのは運命だったのだろうと納得している。
運命は何の接点もない男と女を結び付ける変な縄や紐のようなものだ。とお母さんは遠い目で言った。
あたしにも現れる? お母さんは苦笑していった。わからない。でもそれを受け入れるか。拒絶するかはお前次第・・。
お母さんはそういってあたしの髪をなでた。お父さんにそっくりのチリチリの髪だ。
お母さんの髪は長く長く伸びて、柔らかい質感をしている。
あたしもお母さんの髪を撫でた。
あたしはわりとお母さんが好きだ。お父さんも大好きだ。
あたしは結構幸福な子どもだった。
あたしはこの幸福な記憶を宝物としてしまって、なにかおこっても生きようと思った。
お父さんは敵が多い。お母さんは能力があっても無力だ。
今は、お父さんが生きているからいいのだ。
あたしはこれからおきるかもしれない災厄を漠然と予知しながらも頑張ろうと思った。
おやすみなさい。お母さん。哀れなだが生き延びる女よ。
あなたがお母さんで良かった。
あたしは目をゆっくりと閉じた。
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